徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】思い橋 #7

TBS 1973年5月15日

 

あらすじ

北(藤岡弘)は、会社からの命令で「二上」を買収するつもりだった。だが善良な二上家の人々と接するうちに、そのことがいかに彼らを不幸にするかを知った。そこで、北は桂(松坂慶子)たちに…。

夢は流れて

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2024.2.19 BS松竹東急録画。

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二上彩子(ふたがみ・さいこ):淡島千景…「二上」の女将。

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北晴彦:藤岡弘…「二上」の宿泊客。

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二上桂(かつら):松坂慶子二上家の次女。字幕緑。

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中西良男:仲雅美…鶴吉の息子。

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二上多美:上村香子…二上家の長女。字幕黄色。

大須賀伸(しん):荒谷公之…織庄の一人息子。

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山下幸子:望月真理子…自殺未遂後、「二上」で働きだす。

静子:相生千恵子…「二上」の仲居。

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専務:土紀養児…北の会社の上司。

竹子:大橋澄子…仲居。

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女性:村上記代…桂の同僚。

社員:小峰陽子…北の同僚。

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課長:玉川伊佐男…北の上司。

*

西鶴吉:花沢徳衛…「二上」の板前。

 

帳場

そろばんをはじいてため息をつく彩子。北の計画をすばらしいと思っていたが、肝心のそこまで持っていく資金をどうするのかと多美と話をする。銀行から借りて拡張してもお客さんが来なかったら取り返しがつかない。

 

彩子「この二上、人手に渡さなきゃならなくなる」

多美「そんなに儲けなくたっていいじゃない。今までどおり、みんなで細々とでもやっていければ、私はそのほうがいいわ」

彩子「やっていければね」

 

月々で締めればちゃんと採算がとれてるが現金のほうはだんだん減っている。庭の手入れや大工さんに入ってもらったり、新しい冷蔵庫を入れたりした分だけ赤字になっている。もっと利潤を上げなきゃダメ。

 

せせらぎの間

そろばんをはじく北。まだ計算機が一般的ではないんだね。

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スナックトムでは1971年に計算機買おうって話をしてる。今でいうパソコン買うかみたいな感じ…ともちょっと違うか。

 

部屋にやって来た静子に「女将さん何してる?」と聞いた北は「女将さんじゃなくてお嬢さんでしょ?」と返される。女将さんに相談を受けたから一生懸命考えていると言う北。お客さんも暇なんですねって…自分に興味ないことをしてる人を「暇なんですね」と返す人、ホント嫌いだな~。

 

北「ねえ、このうちには後ろ盾になってる人はいないのかい? 例えば何かあると相談に行くとか乗り出してくるとかさ」

静子「ありますよ」

北「誰だい? どこだい? その人のうちは」

静子「フフフッ。ほら、この先1丁ほど行った所の突き当りですよ」

 

お寺だと思いついた北は坊主がパトロンだと思い、寺へ。墓を歩いていた彩子の後を追う。墓参りしている彩子。

 

北・心の声「パトロンは墓の下。計られたか」

 

寺の縁側?に座り、歩いてきた彩子に声をかけた。北はゆうべの意見を撤回する、このままやってかれるほうがホントはいいのかもしれないと言い出した。儲かることは間違いないが、お客さんからホントに求められる旅館なのかどうか自信がなくなってきた。お騒がせして申しわけありませんと頭を下げる。

 

彩子もまた「亡くなった主人もそう申しますの」と北の意見に同意する。足りないところはうんと切り詰めると言う。

 

二上

帳場に北あての電話があった。多美は名前を聞こうとするが、女性は、またおかけいたしますので結構でございますと電話を切ってしまった。

 

北の同僚女性が電話をかけ、課長や専務が外出している北を不審に思う。

 

思い橋にたたずむ北に電話があったと声をかけた多美。とても親しそうな若い女の人の声だったと言う多美に会社の子だと即答した北は再びどこかへ出かけていった。

 

織庄

出前のそばを食べている桂と伸のところへ北が顔を見せた。北は出先からそのまま来てしまって桂に200~300円貸してほしいと言う。お茶ぐらいおごってあげるから、ちょっと待っててとそばを食べる桂。北はタバコが買いたいと桂の前に手を出す。伸はタバコならありますよと手渡そうとするが、桂から小銭を受け取った北は出ていった。

 

伸「なんだ。誰かに買いに行かしたのに」とタバコをくわえると桂が「最近、タバコ吸いすぎるわよ」と取り上げた。

伸「まあね。いろいろとフラストレーションたまるからな」

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フラストレーション…欲求不満

ストレス…精神的緊張

 

桂「あら。私に責任でもありそうな言い方ね」

伸「キスさしてくれたら禁煙してもいいけどな」

桂が立ち上がり、大きな声で「社長~! 伸ちゃんがキ…」と言いかけ、伸が「バカ…ああ、よせよ」と口を押さえた。

 

赤い公衆電話

北「北だけどね、俺んとこへ電話かけたのお前さんか?」

社員「そうよ」

 

北も伸も(当時の)今どきの若者だろうに、お前さんって時代劇みたい。

 

北はあれほどかけるなって言ってあったのにとどなる。同僚女性は専務さんにかけろと言われた。なかなからちが明かないから専務さんがじれてると瓶牛乳を飲みながら言う。課長は食事に出ていると聞くと、「俺が信用できないんだったら、この仕事から今すぐ手を引く」と言っていたと専務に伝えるように念を押し、「二度と女の声なんかで電話かけてくるな」と逆切れ。

 

茶店

北「いいかい? 今の日本は観光ブームでみんな行く先を探してウロウロしてるんだぜ。そんな客を他のところに取られることはないじゃないか。そうだろう? 秩父の自然と札所の巡礼と秩父織物の見学、即売の3つを兼ねた有機的なスケジュールを組めば善男善女の団体客で観光バスの20~30台はすぐに繰り込んでくるさ。旅館は儲かり、秩父織物の宣伝はでき、即売は売れ、町にお金が落ちれば、こんないいことはないじゃないか」

桂「ホントね」

伸「いや、ちょっと待ってくださいよ。まあ、北さんの話を聞いていると、いいことずくめだけどさ」とタバコをくわえ、また桂に取り上げられる。「そう簡単にはいかない事情があるんですよ」

 

伸はどこの織元でも今から秋の品を織っていて、これは絶対に見せない。織庄では第1工場で秋の新製品を織っていて、これは絶対に秘密。北は第2工場を観光工場にして、順路を作って説明を入れて工場の中を案内して回ればいいと言う。

 

さらに、伸は第2の問題点として旅館には旅館組合、織物には織物の組合があって、それを誰がまとめるか。君たちがやるんだよと言う北。「そうだよ。桂ちゃんは旅館の娘、伸君は織元の息子。2人とも親のすねをかじってのうのうとしてるだけが能じゃないよ。人間として生まれてきたからには体を張ってドンとぶつかっていかなきゃ」

 

2人とも仕事はしてるんだから、親のすねかじりというのはどうなの?

 

桂や伸は年寄り連中が相手で自分たちにできるのか不安を漏らす。

北「できるかできないかじゃないんだ。やるんだよ。相手にしてくれるか、くれないかを考えてる間に2人ともぶつかっていくんだ」

 

まずはそれぞれの親に言うこと。北は及ばずながら力になると言う。タバコをくわえた北に火をつける伸。

 

「あしたからの恋」で愛情表現のように女性が男性に火をつけてあげるしぐさが度々あり、あまり好きじゃなかったけど、男→男なら別になんにも思わないな。自分も吸おうと火をつけようとした伸のライターを取り上げる桂。

 

二上に戻って来た北。幸子に女将さんがいるか聞くと、鶴吉は奥でこれだと頭に指を立てて怒ってるポーズ。「彩さんって人はね、頭へくると何をするか分かんねえから2~3尺離れて座ったほうがいいよ」

 

帳場

彩子の前に座っていた静子と竹子が去っていく。北が事情を聞くと、彩子が着物を買ってあげると言ったことをあてにしていて、今更取り消すことにしたのでがっかりしていた。「この厳しいときにどこ押したら、そんなお金が出るの?」

 

北は立て替えると提案。実績が上がったら返す、実績が上がらなかったらそのままでいい。着物で稼いでくれると言ったのは僕で、資本を投じなければ利潤が上がらないとも言った。必ず元を取る。半月間連続、二上旅館を満杯にしたら償いはつく。1日1部屋でも空いた部屋ができたら着物代は全部かぶると言う。

 

織庄

カーテンを閉めて、帰り支度をしている桂。

伸「そりゃね、僕だっていい案だとは思うさ。成功すれば秩父の一大革命だもんな」

桂「時代はそこまで来てるってことね。若い人は登山、お年寄りは巡礼参り、家族連れはハイキング。秩父全体がホントの意味で自然の大公園となってこそ初めて存在価値が生まれるんだわ」

伸「日本のふるさとを探る旅か」

桂「観光織物は機械もいいけど手織りや足機(あしばた)を実演してみせるのね。希少価値だから右から左に売れるわよ」

伸「問題はね、うちの頑迷固陋な親父をどうやって説得するかだよ。進歩性なんて全くないもんな」

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桂「あらそうかしら。そうでもないわよ、社長さん」

伸「お前さんはね、知らないからだよ」

桂「北さんじゃないけど、ぶつかってみるよりしょうがないんじゃない?」

伸「うん。よし、やるか」

桂「頼もしいわ」

伸「ちゃかすなよ。市役所や織物組合、観光協会にも働きかけなくっちゃな」

桂「青年商工会議所なんか理解があるんじゃないかしら」

伸「うん。まずは足元からだよ」

桂「健康も足元からよ」とまた伸からタバコを取り上げる。

伸「今日は北さんにもだいぶ吸われたしな」

 

桂「そのぐらいでちょうどいいのよ」伸に突然キス。「これで我慢しときなさい」

立ち上がって桂を見る伸。

桂「そんな変な顔しないで。さあ、帰りましょう。窓は閉めたし、鍵はかけたし、電気は消したと」

桂の肩をつかむ伸。

桂「こういう手もあるわよ」

伸「いいさ」

桂「ごめんね」

伸「何を言うんだよ。俺はずっと前から…」

桂「伸ちゃん、とっても頼もしく見えたんだもん」

 

どっちかというと北の話をうっとり聞いてたように見えてた。

 

厨房

洗い物をしている良男。

お膳を運んできた竹子。「お願いします」

良男「おいおい、洗いやすいように重ねるだけ重ねてけよ」

竹子「どうも気がつきませんで」

良男「世の中、少しは人の身になって考えるもんだ」

竹子「どうもすいません」

 

あれ? 前回、着物姿の女中だれ?って思ったけど、やっぱり竹子だったのか。セリフがなかったせいかノンクレジットだった。

 

鶴吉「良男、おめえ、なかなか言うじゃねえか」

良男「間違ってっかな?」

鶴吉「間違ってるもんかい。男はそのぐれえのこと言ってもいいんだ」

良男「親父の代わりに言っただけだよ」

 

しかし、幸子がお膳を運んでくると「ああ、いいよいいよ。俺やっとくから」とデレデレ。「わざわざ手を汚すことはないだろ」と片づけを手伝う。

 

鶴吉は親バカだし、重ねられると油汚れがついてイヤだし、人によって態度変えるし、コミカルなシーンなんだろうけどムカつくな。

 

良男の態度に鶴吉は笑う。「あれは孔子様だっけかな? 人(にん)を見て法を説けって言ったのは」

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幸子が着物を作るのを断ったことを気にする良男。彩さんがほっときゃしないから心配ないと言う鶴吉。金のことになると別だと噂してると彩子が厨房に現れ、鶴吉笑う。

 

せせらぎの間

北は「一身上の都合により退職いたしたくお願いいたします」と退職願を書いていた。

 

伸がお風呂に入りに来た。多美に桂の様子を聞く伸。多美は大須賀のためにもミルクセーキを作ると言うと、桂も手を挙げた。多美は桂と伸がケンカしたらしいと彩子に言う。

彩子「桂ちゃんも気が強いからね」

伸がご機嫌伺いに来たと思っている多美と彩子。

 

厨房

多美「ミルクセーキ欲しい人」

鶴吉「ヘヘッ。あんな卵酒の気の抜けたようなもの、俺、死んでもごめんだい」

良男「ねえ、作るんだったら僕やりましょうか?」

多美「いいわよ。私、習いたての特製作ってあげる」

 

鶴吉「多美ちゃん、こいつ、近頃いやに優しくなったと思わねえかい?」

良男「うるせえな。年寄りは黙って酒でも飲んでろい」

ハハハと笑う鶴吉。やっぱり親バカだと思う。

 

なみなみと酒の入ったコップを持って帳場へ移動した鶴吉。

彩子「いつまでも飲んでるから追い出されたんでしょ?」

鶴吉「まったくあいつときた日には人が飲んでたってスルメ一枚焼こうとしやがんねえんだから」

彩子「当たり前よ。今からそんなに気がついちゃ困っちゃうわ。ピーナツで我慢しときなさい」

 

結局着物を買うことにした彩子。幸子の分ももちろん買う。

 

風呂

伸「♪ささげた その…そ…(せきばらい)そのひ…(せきばらい)」

女のみち

女のみち

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この歌詞だけでこの歌がヒットするのすごいな。

宮史郎とぴんからトリオ「女のみち」1972年5月10日発売。

 

せせらぎの間

北「あの声、どっかで聞いたような声だな」

桂「そう?」

北「ハハッ。天下でも取ったような気になって歌ってんだろ」

桂「きっと酔っ払いかなんかじゃない? やあね」

 

彩子にはまだ話していないが、よく説明すればきっと分かってくれると言う桂。北もこれから多美に話をすると言い、桂は喜ぶ。「姉ちゃんだって絶対、北さんのそのひと言を待ってるんだから」

 

結局、良男も一緒にミルクセーキを作っている。「ちょっと材料が多すぎたかな?」

多美「いいわよ。北さんに売りつけてくるから」

良男「あっ、なるほど。そういうことになってんの?」

多美「あら、私、別に」

良男「あっ、もう一つ余ったら、さっちゃんにあげていいかな?」

多美「あら、なるほど。そういうことになってるの?」

笑い合う2人。

 

伸が帳場に顔を出した。「今日はいやに楽しそうだな」と声をかける鶴吉。多美はミルクセーキを2つ持ってきたが、あとから来た桂が伸が飲もうとしていたミルクセーキを持って自室へ。一人ミルクセーキを飲み、考えるような表情の桂だった。(つづく)

 

秩父というと舟下りのイメージで織物のイメージがなかった。

www.meisenkan.com

今でもこうしてあるんだから、私が無知なだけだな。