TBS 1970年6月16日
あらすじ
親に反発しつつ誰よりも心配している優しい修一(林隆三)だが、幼馴染のトシ子(磯村みどり)との関係はなんとも煮え切らない。一方、和枝(尾崎奈々)と直也(大出俊)の仲は急速に進展し、ついにデートの約束をする。
2023.11.28 BS松竹東急録画。
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谷口和枝:尾崎奈々…福松の長女。21歳。(字幕黄色)
野口勉:あおい輝彦…直也の弟。20歳。
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野口直也:大出俊…和枝にお見合いを断られた鈴木桂一の友人。内科医。(字幕緑)
井沢正三:小坂一也…「菊久月」の職人。30歳。
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谷口修一:林隆三…福松の長男。26歳。(字幕水色)
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中川トシ子:磯村みどり…修一の幼なじみ。26歳。
中川ます:山田桂子…トシ子の母。文房具店店主。
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山本:青野平義…お菓子好きのご隠居さん。
看護婦:坂本眸
トメ子:丘ゆり子…やぶ清の店員。
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谷口常子:山岡久乃…福松の妻。46歳。
菊久月
店内で接客している和枝の姿が見える。セットなのに車が通るのもすごい。日産提供だからだろうね。ピンクのTシャツ、ジーンズ姿の修一が店の前でタバコに火をつけ、マッチはポイ捨て。タバコを持ったまま店内へ。
和枝は修一に常子が待っていると言った。
修一「水羊羹にくず桜に鮎焼きか。もう夏菓子だな」
和枝に売り上げのことを聞くと、お茶の先生のお得意が2軒増えたと言う。紹介してくれたのは直也。和枝は医者のくせにどういうつもりなんだろ、気味が悪いと相変わらず素直じゃない。
修一は直也が和枝に引っぱたかれてから店に来ない。勉がそのうち、どさん子に来ると言っていたと聞くと「あらそう」と笑顔になる和枝。
「来たら電話してやろうか?」とからかうような口調の修一に「結構です」とツン。
修一「もっとも直さんのほうも俺のそばを食いに来んだ。知らせたってしょうがないか」
和枝「何が直さんよ。なれなれしいわよ」
修一「気が合ってねえ。男同士はサバサバしてていいよ」
和枝「うちの男同士はちっともサバサバしてないんだから」
作業場
福松「それじゃ、お前、諦めるんだな」
正三「それができるくらいなら悩むもんですか」
福松「それじゃ、やっぱり申し込むしかないだろ、ええ?」
正三「そうね…」
福松「はっきりしなさい。なんだ、男のくせにああでもない、こうでもない。おかげでこっちは大迷惑だ」
正三「だってね、旦那…あっ、修ちゃん」
店の奥から作業場を見ていた修一が作業場に入ってきた。「にぎやかだね」
福松「休みか? 今日は」
修一「うん」
福松「ヘッ、どうだ。この紅なら文句はなかろう」
修一「6月だよ、父さん」
修一は、紅よりいっそ緑にすりゃいいのにと指摘。
正三「そうですよ。もう青葉の季節だもんな」
福松「6月は梅雨の季節ですよ。うっとうしい時期にはパーッと派手にしたほうがかえってさっぱりするさ」
修一「紅も店の色気か。なるほどね」
福松「そうさ。水羊羹もくず桜も桜の葉に包んである。なっ? その中へこの紅を置くからお互いに冴えて季節感が出るんですよ」
修一「分かった。父さんの言うとおりだ」
正三「修ちゃん、いやに今日は素直だね」
福松「なんだ、お前、さも不満そうに」
修一「梅雨の季節か。思い出すね。隅田川の土手までおふくろさんと3人で桜の葉をとりに行ったじゃないか。雨のあとは葉がきれいだとか言ってさ。手間のかかることをしたもんだ」
正三「へえ、旦那がね」
福松「バカ、20年も昔のことだよ」
修一「でもどうしてあんなとこまでとりに行ったんだろうなあ。帰りに3人で親子丼食ってさ、うまかったな」
正三「へえ、3人で親子丼をね」
福松「いちいち感心するな」
修一「ほんとだ。昔のこと思い出して懐かしんでもいられねえや。こう世の中の変わり方が激しくっちゃね」と靴を脱いで家の中へ。
物干し場で布団を干している常子。修一が声をかけると作業をやめて部屋へ。常子は正三がトシ子を好きだということを本人の口から聞いたので、福松と相談してお隣へ結婚の申し込みをしようと思ってたんだけど、と前置きして「お前はどうなの?」
修一「俺は別に…知ってんだろ。俺とトシちゃんのことなら」
常子「お母さんの思い過ごしかもしれないけど、お前だって昔っからトシちゃんとはとても仲が良かったし正三さんがうちに働きに来てくれる、ずっと前からのおつきあいだし、遠慮することじゃないし」
修一「ああ、分かった分かった、そういうこと。つまり幼なじみってやつだ。恋愛には関係なしだよ」
常子「そう。サバサバしてんのね」
修一「俺は今、結婚どころじゃないよ。いや、このうちの2階だって、こういつまでもガラガラさせとくだけじゃもったいないだろ」
常子「しかたないわよ。建て直すのも大変だし」
修一「いずれ和枝も桃子も結婚して出ていく。なんとかしなくちゃな」
常子「ほんとにね。原料費は上がるばっかりだし、手作りの菓子だの味だなんて威張ってみても数はこなせない。売値だってそうそう上げられない。これじゃ将来行き詰まるのは目に見えてるものねえ」
修一「親父、ほんとのところどう思ってんだろう」
常子「まだボケるには早いわよね」
⚟福松「ハハッ、誰の話してんだ。ボケたのどうのって」
常子「あら、聞いてたんですか?」
福松「山本さんのご隠居だろ」
常子「いいえ。私の心配してんのは、お父さんよ」
福松「俺? お前さん、何をコソコソ言ってるんだ。正三のことかと思ってたら」←”俺”って言うの珍しい。
常子「いろいろあるんだもの」
うんざりした表情の修一。「その話は別として正ちゃんのこと頼むよ」
常子「そうね。暦を見て日を決めるわ」
福松「なにも結婚式をするわけじゃなし暦なんて見なくたって、うちの休みの日にすりゃいいんだ。お互い店を開けてりゃおちおち話もできんぞ」
結婚の申し込みは大安の午前中がいいって糸ちゃんが言ってました。
修一は「じゃ、もういいんだね」と出かけようとし、常子に夕ご飯を誘われると、今夜は集まりがあると断った。なんの集まりか気になる福松。若い人はいろいろ忙しいと言う常子に修一だって若いから集まって何をしてるか分からんぞと心配の福松。
↑この回で言ってた和菓子の研究会だよね。
しかし、常子は一番分からないのは桃子だと言い、桃子が買ったと思われるロングヘアのかつらを常子自身がかぶって見せた。前髪アリのロングヘアの山岡久乃さんかわいい。その髪をなでなでしている福松。
駒沢オリンピック公園を歩いている勉と桃子。
西川と幸子がデートしてたのもここ。
桃子「迷惑してるんじゃない? 呼び出しちゃって」
勉「女の子から呼び出しがかからないようじゃ男も一人前じゃないからね」
桃子「別にあんたを一人前だと思ってるわけじゃないのよ」
勉「まあ、いいさ。とにかくたまにはつきあうよ」
桃子「気持ちよく?」
勉「うん」
あおい輝彦さんと沢田雅美さんだと、どの作品でも沢田雅美さんのほうがリードしてる感じが出ていたように見えたので、大人っぽくなったな~と感じる。
桃子「ありがと」
勉「アルバイトのない日は暇だからね。君はそうでもないだろうけど」
桃子「こっちは暗中模索よ」
勉「方針は決まってんだろ?」
桃子「そのつもりだったんだけど大学へ行ってもどうってこともなさそうだし特殊な才能があるわけでもないし」
勉「君のうちは生活の心配がないんだろ? だったら深刻に考えることないじゃないか。気楽に4年間好きな勉強すると思えば」
結婚するのが当たり前の時代、女だったら嫁に行けってタイプじゃないのが好感持てるね。木下恵介アワーの男性は昭和の割にそういう人が多い。
桃子「お宅大変なの?」
勉「親父が誠実だからね。来年早々、定年だっていうのにさっぱりさ」
桃子「印刷会社って景気いいんでしょ?」
勉「天下(あまくだ)ってゴッソリ儲けるなんてのとは格段の違いだね」
桃子「じゃあ、お兄さんに頑張ってもらうのよ」
勉「兄貴に食わしてもらうまで待ってたら、こっちは干上がっちまうよ。ゴッソリ持参金持った嫁さんもらう気になれば別だけどね」
桃子「さもしいこと言うわね」
勉「まあ、今の相場は軽く1000万だね。実際にそういう話もあるんだから」
桃子「まあ、ほんと?」
勉は兄貴は成長株で和枝さんの耳に入れといた方がいいと桃子に言うが、桃子はピンと来てない様子。「頭働かせろよ」と言われて、「ああ」とうなずく。
茶室
山本「話をぶり返すようだが、鈴木君とだいぶいろいろあったようだね」
和枝「お断りしたんですけど、お友達の野口さんと二~三度、お話にみえたりして」
山本「困ったもんさね。仲人もいいが、一方だけがべた惚れというのは困るんだ」
和枝「しつっこいんですよ、鈴木さんって」
山本「バカに嫌われたね。エリート官僚も形なしってわけだな」
和枝「菓子屋の娘にはとても合いませんわ」
山本「そうかもしれん。あそこのうちはおふくろがうるさくてかなわんよ」
和枝「こりごりしました」
山本「修一君のほうはうまくいくかもしれんぞ」
和枝「さあ?」
山本「見合いの日取りと場所は暦と相談して決めるよ」
和枝「お願いいたします」
山本「うん。今日の水羊羹うまかったよ。そう親父さんに伝えておくれ」
和枝「はい」
山本「菊久月を親父さん一代で終わりにするのは惜しいね。修一君が中華そば屋を続ける気なら、あんたに養子を探すんだ」
和枝は戸惑う。山本は「菓子屋の息子だって大学出のしっかりしてるのがたくさんいるよ」と言うと、和枝は断る。しかし、山本は心当たりはないわけじゃないとしつこく勧める。
和枝は山本のご隠居さんにお茶を習ってるのかな。ご隠居さんといいつつ、青野平義さんは進藤英太郎さんより13歳年下! 当時58歳。しかし、4年後62歳で亡くなっている。今まで見たどのドラマより早くに亡くなってる方が多いな!
直也の勤める病院に和枝は電話をかけていた。この電話を受けた看護婦役の方が坂本眸さんかな? なかなか画像も出てこない。
この記事の中でやなせたかしさんが「まんが学校」に出演したときの写真に助手の坂本眸さんと紹介してあるけど、多分この方だ。
看護婦に研究室にいると言われたものの、和枝は特別の用ではないと返し、名前を聞かれると谷口と名乗って電話を切った。
すぐ野口が医局?へ。看護婦から谷口さんって女の方から電話があったと言われてもピンと来ない。患者に対して看護婦に注意していて、お菓子の話になり、「あっ、そうだ、菓子屋だ」と思い出した。
菊久月に電話。直也から電話があって、常子は先日の和枝の行いを謝る。茶の間に入ってきた福松は何となく会話を聞く。
常子「あの子はお父さんに似て、すぐ頭にきちゃうんですの。オホホ」
福松「何言ってんだ。自分だって頭にくるくせに」
なおも電話中の常子。和枝のことを聞かれ、このごろまたお茶のお稽古を始めたのでまだ戻ってないと話す。直也はまたお電話しますと言うが、常子は「電話よりうちのほうにお出かけくださいまし」と誘う。
常子「お父さんも近頃、体が弱ったもんですから病気のお話もお聞きしたいし」
福松「ピンピンしてますよ~だ」自分で茶を入れる。
常子が電話を切り、福松に和枝のほうから病院に電話したと話した。
福松「変なヤツだなあ。会えばゴチャゴチャするくせに」
常子「和枝だって別にケンカを売るつもりじゃないでしょうけどね」
福松「午と丑だろ。相性が悪いんだな」
常子「当てになりませんよ。相性なんて」
この回で予想した通り、和枝は昭和24(1949)年生まれの丑年。勉やアヤ子も多分同学年。とすると、直也は昭和17(1942)年生まれの午年で28歳か。
ますが「菊久月」を訪れた。アヤ子が帰ってきたので店を頼んで来たという。トシ子はお習字の稽古に通い始めている。和枝がお茶を習いに行ってると聞いたますは「年頃の娘を持つと急きたてられてるみたいでイヤね。アヤ子は勤め先で習ってくるからいいけど」と話す。勤め先で花嫁修業?
トメ子から近くお見合いだと聞いたと言うます。
常子「まあ、イヤだ。トメちゃんって修一のことよく知ってんのよ。気味が悪くて」
ます「情報屋だからね、あの子は」
出前帰りのトメ子が常子と目が合い店に駆けよってきた。「奥さん、修ちゃんまだ帰んないの?」
常子「トメちゃん、あんた修一のこといちいち気にしないでちょうだいよ」
トメ子「だって気になんだもん。私もお習字習いに行こうかな。じゃあね!」
ます「変なこと言ってるわ」
常子「イヤな子ね。思わせぶりなことばっかり言って」
ます「ああいうのが案外いい男つかむとね。こっちが年を取ったせいか、もうどこを見ても年頃の娘がウロウロしとって、もう気がもめるわ。うちもトシ子がもう若(わこ)うはないし」
ますのトメ子評。分かる! トメちゃん、スーパーポジティブだもん。しかし、トメ子の見た目が和枝みたいだったら常子も態度が違ったろうなとつい思う。このドラマ、特に美人ぞろいだし。
常子はますに今度のお休みにお父さんと2人でちょっとお願いに伺うつもりだと話した。ますは気になるから、今聞いてもいいと言うが、お手軽になるから困ると話さなかった。
作業場
手馴れた福松の大福を握る手のアップ(まあ本物の和菓子職人の手だろうけど)。
ますの紹介で婚礼の引き菓子の注文が入った。7月15日に50人分。1970年7月15日は水曜日の大安。おお~!
正三「7月15日っていやあ、お盆じゃないですか」
常子「でも大安だから」
福松「ああ、婚礼の引き菓子か。よし、気張って立派なのを作るさ」
常子「そうね。近頃は引き菓子もケーキが多くて」
正三「しかし、店を開けてちゃ50人分2人で作るってのは骨だよね、旦那」
常子「修一に話しとくわ」
福松「いいんだ、2人で」
常子「葬式まんじゅう作るのと違いますよ」
正三「意匠に凝りますからね」
福松「できるさ。任しとけ」
常子「暑い盛りに無理することないわよ、お父さん」
福松「無理をしたいんですよ」
常子「あら、そうですかだ」
正三「仲良くしてくださいよ。俺の話が決まらないうちに旦那と奥さんがケンカして別れるようになったら、それこそ一生恨みますからね」
福松「冗談じゃありませんよ、バカ」
常子「ほんとよ。別れるときはニッコリ笑って別れますよ」
福松「何がニッコリだ」
正三「あ~あ、ダメかな。ダメかなあ」
福松「うるさい! 申し込みもせんうちからダメと決まってるもんならさっさと諦めなさい!」←正論
書道教室
おばあ様の書道教室を思い出す。
机を並べるトシ子と修一。集まりってこれ?
「霜金生
麗水玉」
楷書のトシ子と行書?の修一。
トシ子は2回目、修一は2年も通っている。
トシ子「まさかここに来てるとは知らなかったわ」
修一「知ってて来たんじゃないのか」
トシ子「どうして修一さんのいる所へ来る必要があるの?」
修一「そりゃそうだな」
トシ子「ここ評判がいいんだもん」
修一「今更、習字に通ってどうすんだ。ラブレターでも書くのか?」
トシ子「まあ」
修一「正ちゃんのことで近いうちに親父とおふくろが話しに行くぞ」
トシ子「…」
修一「正ちゃん、優しくて腕も確かだし」
トシ子「少し黙ってらっしゃいよ」
修一「幸せになると思うよ」
トシ子「バカ!」
雨が降り出した。とうとう修一も直也も来なかった。福松は修一は休みの日に何をしていたんだろうと気にする。
常子「大丈夫ですよ。うちにいなくったって、あの子はしょっちゅううちのこと気にしてんだから」
福松「気にしてんなら気にしてるように態度で示せばいいんだ。わしの留守にコソコソ菓子なんぞ作らなくたって」
常子「じゃ、お父さん、本気で修一と話し合ってくれるの? カーッとしないで」
福松「そりゃそのときの話の具合では」
常子「イヤですよ。殴ったりどなったりしたら」
福松「バカ。今更あんなでかいヤツ殴るか」
「どうしてそんな気になったんです?」と常子に聞かれた福松は、昔、修一と3人で隅田川の土手に桜の葉っぱをとりに行ったことを覚えてるか聞く。
常子「覚えてますよ。雨がしとしと降っちゃって、私がやだやだって言うのに、あなた聞かないんだから」
福松「帰りに何を食べた?」
常子「さあ、なんだったかしら。あまりお金持ってませんでしたね。お父さん、あのころイライラしてたわ。商売も思うようにいってなかったし」
福松「親子丼だよ」
常子「ああ、そうね。おなかがすいてたせいかおいしかったわ」
福松「うまかったな」
常子「ねえ? 修一がどんぶり抱え込むようにして、目に浮かぶわねえ」
余韻に浸りニヤニヤしている福松。
常子「この店をこれだけにしたのはあなただけど、これをこれから背負って生きてくのは修一よ」
福松「ん…」と肩たたきを要求。
常子「ねえ、あの子の思うようにやらせてやればいいのに」
福松「わしは逃げ出すヤツは嫌いなんですよ」
常子「あなたとどなり合うのがつらいから避けてるんじゃないの」
福松「ぶつかってくりゃいいんだ。わしだって話の分かる男なんだから」
常子「あるところまでいくといつもダメなのよ」
福松「あいつがむちゃを言うからですよ」
常子「ほらほら。今、優しいこと言ったかと思うと、もう人が変わっちゃって」
福松「そうやすやす変わりますか」
常子「じゃあ、そのうちきっと修一の話を聞いてくれるわね」
福松「ああ、聞くよ」
そう、と肩を強くたたく常子。
和枝と桃子の部屋。英語を勉強中の桃子。「『It is true that…but』『なるほど…だが』ね」。和枝はアイロンかけ。桃子は野口さん来ないじゃないと和枝に聞くが、今日来るって言ったわけじゃないと返す。桃子は勉から聞いたとして、ちょいちょいすごい縁談があると言い、1000万円持ってお嫁に来たい女がいるらしいと煽る。
和枝「あきれた。どうせそんな持参金つきの女にろくなのはいないんだから」
桃子「でも考えてみるとお金の世の中ね。大学へ行って使う100万を元手にしてガッポリ儲けること考えるほうが利口かな」
和枝「お父さんの営業方針じゃとてもこれ以上の発展は望めないからね」
桃子「そろそろ真剣に考える時期かもね」
翌朝、雨の降る中、店を開けた和枝のもとに傘を持たない直也が訪れた。病院へ行く途中に寄ったと言う直也は病院に傘を忘れてきた。和枝の要件が気になるが、和枝は大したことじゃないと言わない。
直也「僕はそういうはっきりしないの嫌いなんだ」
和枝「でも、なんとなく、あのとき…」
茶の間では福松が直也が来ていることに気付く。
直也「君はどうでもいいことはかなりはっきり言うくせに聞きたいと思うことにははっきり答えない。嫌いだよ、グズな女は」←お前なー!
和枝はようやく「あなたの声を聞きたかったの」と素直に言う。直也は驚きつつ「今度の休みに映画にでも行きませんか?」と誘う。
和枝「えっ?」
直也「お宅の休みは月曜でしたね」
和枝「ええ」
直也「病院の帰りに迎えに来ますよ。6時ごろになっちゃうけど」
和枝「ええ」
さすが、昭和の男だな~。直也は出て行った。
常子「今度のお休みはお前にも正三さんにも待たれる日ね」
本日休業の札が下がる「菊久月」。福松と常子は和服に着替え、和枝も一人着付けをする。デートも和服。直也は病院で本を見ている。(つづく)
放送が1970年6月16日の火曜日で次の休みの6月22日(月)は大安吉日。
しかし、直也が好きになれないんだよな。せめて修一みたいな感じの人を和枝の相手役にしてほしかったよ。