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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(112)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

正道(鹿賀丈史)の手術は無事終わったが、まだまだ安静が必要だった。元子(原日出子)と一緒に看病していた波津(原泉)と邦世(磯村みどり)は、松江に引き上げる事になったが、波津が東京へ残ると言い張る。宗俊(津川雅彦)もあきれるが、トシ江(宮本信子)はもし順平(斎藤建夫)が同じ目にあったら、と母の心情を理解する。しかし今後の生活をどうしていくか。洋三(上條恒彦)はモンパリを元子に任せてもいいと言い出す。

正道の大たい骨骨幹部と膝の骨折という困難な手術は無事に終わりましたが、これから先、ひ臓を摘出し、外傷を受けている体が、どう回復してゆくかまだまだ安静状態が必要です。今後、2~3か月は、その容体を見守らなければなりません。

 

病室

邦世「ほんなら、ベルに手は届くだね」

正道「はい、届きます」

邦世「体動かしたら足に響かんかいねえ」

正道「大丈夫ですよ」

邦世「ほんなら、おばあ様、そろそろ帰って支度せんといけん時間ですがね」

波津「いいわや。支度ならゆんべのうちにもう済んじょうだけん」

邦世「だども…」

波津「いいと言っちょうでしょうがね」

 

元子「すいません、今のうちに用を済ませてきたいんですけども、もうしばらくお願いできますでしょうか」

波津「あぁあぁ、行ってくうだわね。ご苦労さんだね」

元子「それでは」病室を出ていく。

 

正道「申し訳ありません、おばあさん。次から次へとご心配かけることばかりで」

波津「いいわや。もう何にも言うでねえで」

邦世「そげだわね。あとは一日も早(はや)ことようなることだわね」

正道「はい…。何としてももう一度立ち上がりたいと思ってます。しかし…」

波津「そげんに思ったら、そげんなあよに心に決めえだわね。物事悪い方へ悪い方へと考えたら切りがないだけんね」

正道「はい…」

 

一応、命を取り留めたとあって、勤めのある平八郎が一足先に帰り、今日は波津と邦世が松江に引き揚げる日だったのです。

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平八郎さんは足の手術の時にはもう松江に帰ってたということかな。

 

病院の洗濯室

 

洗濯機使用の

方は一階の管理室

までお申し出下さい

 

という貼り紙あり。

 

元子はタオル?などを洗っている。

女「お先に」

隣で洗濯をしていた女性が出ていく。

 

順平「姉さん」うっすら髭が生えている。

元子「あっ、もう支度できたの?」

順平「ああ」

元子「ごめんね、あんたにもいろいろと心配かけちゃって」

順平「何言ってんだよ。大原の義兄(にい)さんには世話ばっかりかけてるじゃないか。飛んでくるのは当たり前じゃないか」

元子「ありがとう。それじゃあ、おばあ様のことよろしくお願いね」

順平「うん。いつまでも残ってても切りがないし、俺がついでに送っていくんでちょうどよかったんじゃないか」

元子「うん」

順平「大丈夫だよ。そんなことない方がいいけど、何かあったらまたすっ飛んでくるから」

元子「順平」

順平「うん。大原のばあさん、さんざん別れを惜しんでたけど肉親だから気持ちは分かるけど、この先、長いんだしさ、いつまでも残ってたら姉さんの方が参っちまうぜ」

元子「そんな言い方しないでよ」

順平「長期戦なんだぜ。何事にも割り切りと覚悟が大事だってこと」

元子「まあ、偉そうなこと言うじゃないの」

微笑み合う。

 

邦世「ああ、元子さんここでしたかいね」

元子「あっ、正道さんが!?」

邦世「いいや…。おばあ様が東京へ残ると言いだされて」

元子「何ですって!」

順平「冗談じゃないよ、もう…」

 

廊下

波津「いんや、私は決めましたけんね」

順平「けどね、おばあちゃん」

波津「人形町でもようしてごしなはったども皆さん忙しいだけんね」

元子「でも、そのことでしたら…」

波津「あんたもうちと病院とで、ここんとこ寝ちょってないだけん。このまま私はどげしても松江へ戻る気になあませんわね」

邦世「そうだけん、残うやったら、この私が残うますけん、おばあ様は…」

波津「何言っちょうだね、あんた、裁縫教室がああだないかね。陽子もおることだし、松江に年寄りが2人必要ありませんだけんね」

順平「かもしれないけど、おばあちゃんここに残って一体何ができるんですか」

波津「もちろん介抱もできるし、元子さんと交代で子供の面倒も見られますわね」

邦世「元子さん…」

 

元子「分かりました」

順平「姉さん!」

元子「ごめんなさい。ここでは病人にも聞こえますし、これ以上」

波津「ほら、見なはい」

 

桂木家茶の間

宗俊「しかしよ、あのばあさんもどうしようもねえな、おい」

トシ江「それじゃ、やっぱり?」

宗俊「ああ。まあ、7日か10日残ったらよ、まあ、それで気が済むだろうってんで、元子のやつもそう言うしな、おかあさんだけ送っていこうってんで順平のやつが一緒に帰(けえ)っていったけどもよ」

藤井「『泣く子と地頭には勝てない』といいますが泣く子よりも始末が悪いんだから。お義姉(ねえ)さんも3年もよくあのおばあさんと暮らしたもんだと感心しましたよ」

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キン「全く人(しと)の迷惑も考えないんだからね」

トシ江「やめてちょうだい。もしそれが自分のことだったら誰だっておんなじ思いでしょうにね」

キン「そりゃまあそうですけど」

トシ江「でもまあ、ここんところはね、元子の言うとおりかもしれないね」

藤井「いや、しかしですね…」

トシ江「ううん。私だってね、もし順平が四国で何かあったとしたら…」

キン「縁起でもないことおっしゃらないでくださいましな!」

宗俊「バカ。たとえ話だ」

キン「それにしたってさ…」

トシ江「だからさ、肉親ならそれほど案じるものなのよ。まあたとえ1週間でも10日でも残っていただければ、正道さんだっていい方向に向かうのは決まってるし。まあ、看病したっていう、そういう気持ちで安心してお帰りになれるんじゃないの。まあ、あとはあとでこっちはもう交代する手はいくらでもあるんだもの」

 

宗俊「まあ、そういうところだ。祐介さんよ」

藤井「え…はい」

宗俊「今度ばかりは、おめえさんには随分世話になったな。ありがとうよ」

藤井「何をおっしゃるかと思えば、お義父(とう)さん…」

 

時計代わりで画面を見なくても分かるようにセリフがいっぱいとか言うけど、宗俊がしゃべりながら着物を脱いでステテコ姿になってるとか、この間みたいにセリフにはない薬を飲んでるとか細かい芝居いっぱいやってるよねー。

 

大原家ダイニング

巳代子「それから調味料はここ。缶詰や買い置きの干物はこっちに入ってますから」

波津「はい」

巳代子「あとは折を見て私がちょいちょい寄りますけど、必要なものは電話さえ頂ければ来る時に私が持ってまいりますから」

波津「なんの、なんの。そぎゃんことぐらいできんようなことでは残ったかいがないですだけんね。私が行きます、はい」

大介「大丈夫だよ。要るものがあれば、僕が帰ってきてから走って行くから」

巳代子「そうね、なるべく叔母さんがあんばい見るようにするけど急場の時はお願いね、大介君」

大介「はい」

巳代子「あっ、それからお洗濯ですけどね…」

波津「大丈夫です」

 

藤井夫妻には、波津さんがただのわがままばあさんに映ってたらやだな。道子もいたけどセリフなし。

 

病室

橋本「実は今日、労災の方も全て手続きが終わりまして、その報告を兼ねて寄りました」

元子「はい」

橋本「業務上のけがということが認められましたんで療養費に関しましては、けがが治るまで全て出ます。ほかに休業補償給付といって休んでる間の給料は本給の60%まで出ます。それと障害補償給付、これは若干の一時金ですが」

元子「はい」

橋本「しかし、休業補償の期間は1年半までです」

元子「はい」

橋本「もちろんそれまでに大原は元気になってくれると思いますが。僕はこの際、焦らずにじっくりと療養してほしいと思ってます」

元子「いろいろありがとうございました」

 

正道「橋本…」

橋本「お前を松江に口説きに行ったのは、この俺だ。けがの原因にしたって、お前があのストッパーのかけ忘れに気付かなかったら、次の日、もっと大きな事故につながってたかもしれんし、俺は責任を感じてるよ」

正道「こんな大事な時に力になれなくてすまない。とてもじっとしていられない気持ちだよ」

橋本「バカを言うな。お前はとにかく一日も早くよくなって奥さんを安心させることだけを考えろ。俺は俺にできるだけのことをするから今は何も考えるな。元気になることだけを考えろ」

うなずく正道。

 

ちゃんと労災出るだけでもよかった。

 

吉宗

宗俊「あ~、そりゃ橋本さんがな、そう言ってくださる気持ちはありがてえがよ、俺たちがついてて甘えるだけじゃあ、いけねえやな」

元子「私もそう思っています」

藤井「膝をやってしまうと、まず少なくとも2か月はギプスを外せないそうですよ」

トシ江「そんなに…」

宗俊「外したところでな、うまくつながらなけりゃ、おめえ、一生…」

洋三「義兄さん」

宗俊「覚悟だけは、しとかなきゃいけねえってことよ」

藤井「ですから、これから先どうするかということですよ」

 

洋三「でね、あの~、絹子とも相談したんだけれども、もっちゃん、うちの店、あんたに任せてもいいんだけどな」

元子「叔父さん」

洋三「どうせ子なしの夫婦だ。人を雇ってできるとこまでやったら、あとは適当な人を探して、まあ年寄り2人が食べていくだけの家賃をもらえばいいと思ってたもんだからね。だから、もっちゃんにやってもらえば叔父さん、願ったりかなったりなんだけどな」

トシ江「まあ、洋三さん…」

洋三「いや、とはいっても、正道さんの方はまだ目は離せないだろうし、ゆっくりでいいんです、ええ。まあ、大部屋へ移ってからでもぼちぼち仕事は覚えてもらえばいいしさ。それに店の時間の方だって大介君や道子ちゃんに合わせて都合のつく限りでいいんだから」

元子「ありがとうございます、叔父さん」

宗俊「いや、しかし、それじゃお前、洋三さんにおんぶにだっこじゃねえか」

トシ江「けど、それならそれで子供たちの面倒は私はおキンさんが見られるし、ね、元子、お前もしっかり仕事覚えてモンパリのお客様を一人(しとり)でも増やすようにね、勉強しなくちゃ」

洋三「いやいや、さすが日本橋、吉宗の総領娘ですよ、え。もっちゃんの客あしらいのうまさ、ほら、終戦の時のあの古着屋で立派に立証済みですよ」

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たまたま吉宗に顔を出していた正道さんが元子の手続きを手伝ってくれたんだった。

 

宗俊「まあ、そんなこともあったっけかなあ」

藤井「それにモンパリなら巳代子も応援できますよ」

洋三「ああ、そりゃいい。このごろテレビによく出るし、え、料理番組の先生がカウンターの中にいたらお客さんだって喜ぶよ」

巳代子「叔父さんったら…」

 

元子「けど、祐介さんだって独立したばっかりでしょう。巳代子が旦那様の後押ししなくてどうするのよ」

藤井「いや、大丈夫です。あの~、お義兄さんに安心してゆっくり療養してもらえるように会社の方は馬力かけますから」

宗俊「となると、ここは洋三さんに力になってもらうのが一番かな。え、元子」

元子「はい。でも、一応正道さんにも相談しなければいけないし、私も考えることがあるんで、少し時間もらえないかしら」

洋三「もちろんさ。大介君だって、これから高校大学とあるんだし、じっくり考えたらいい」

トシ江「けどね…正道さんにあんまり心配かけないようにね」

元子「はい」

 

病室

元子「私ね…やっぱり書く仕事やっていこうと思うの。さきざきのこと考えても今は子供たちのためにも、うちでできる仕事の方がいいんじゃないかって、そう思って」

正道「うん、僕はね、書くっていうことには賛成だよ。しかしな…」

元子「大丈夫よ。夢みたいなことは考えてないから安心して。ほら、『週刊毎朝』の手記が当選したあと、『女性時代』から原稿の依頼があったでしょう。とりあえず、あの編集者にぶつかっていってみようと思うの。もちろん、文章を書かせてもらえればうれしいけど校正だって宣伝文だって構わないわ。校正なら昔、あなたの会社の仕事を手伝った経験だってあるんだし。こうなったら私、書くことだったら何だってやるつもり」

正道「しかしな、そんなに頑張って、もし、今、君が倒れたら子供たちはどうなるんだ」

元子「大丈夫。無理はしません」

正道「無理をして困るのは子供たちと君だぞ」

元子「もちろん大介にも相談してみるつもりです。書くのは夜だけっていっても、子供たちの協力がなければできることじゃないし」

正道「それにな、多少の蓄えがないわけじゃないだろ」

 

元子「でもね、ギプスが外せるまで2か月。その先のことだってあるでしょう」

正道「1年先には大たいの骨折は再手術しなければならんそうだ…」

元子「そうよ。つないである金属を外せば完全に治るんですってよ」

正道「完全っつってもな、膝のことだってあるし」

元子「駄目駄目。今は弱気が一番の禁物よ」

正道「本当にすまないと思ってるよ」

元子「何をおっしゃってるのよ。そりゃね、少しはご不自由かけるかもしれないけど、やるにしても、あなたがもう少しよくなってから始めます」

正道「くれぐれも無理はしないでくれな」

元子「大丈夫。今は家族が力を合わせてなんとかやってかなきゃならない時なんですもの」

正道「くそ…何であの時、あと1メーター逃げられなかったかな」

元子「駄目、先のこと考えなくちゃ。頑張って。私も頑張るから。力を合わせて、あなたも一緒に頑張って」

うなずく正道。

 

つづく

 

作家として忙しくなるのだと思ったら、こういう作家生活の始まりなんだね。

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津川雅彦さんと上條恒彦さんは「氷点」では友達で共に医師。当たり前だけど宗俊と洋三とは雰囲気違って面白かった。