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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(85)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)が元気がないので泰光(森塚敏)は邦世(磯村みどり)に話し相手になるように言う。元子は巳代子(小柳英理子)がラジオの料理番組に出演したことで複雑な気持ちだった。正道(鹿賀丈史)には、やはり本当はラジオ局に入りたかったのでは?と見透かされるが、元子は自分が決まった仕事を持っていないことが、気持ちを沈ませているのだと分かって淋しくなる一方だった。そんな時、大介(橘慎之介)がケガをする。

松江・大原家

洗濯をしたり、玄関掃除をする元子。琴の音色はBGMじゃなく陽子が稽古してるってことかな。

 

泰光が寝てる部屋

泰光「元子さんだがのう」

邦世「はい?」

泰光「何だかここんとこ元気がないのと違あかや」

邦世「はい。やっぱし、おとうさんおかあさんがお帰りになってさみしいのかと、私も思っちょうましたけど、家の仕事は前よりも元気なくらいにやってごいちょられますがね」

泰光「うむ」

邦世「何か?」

泰光「いや、そげなら多分、気のせいだわや。わしは寝ちょればいい病人だけん、あんたはできいだけ元子さんの話相手んなってやあだで」

邦世「はい」

 

病人の勘は鋭いものです。けれども、元子は毎日の仕事に一生懸命取り組むことで気を取り直していたのです。しかし…。

 

台所で道子をおんぶしている元子。

 

波津「元子さん! 元子さん!」

 

元子「は~い! よっこいしょ…」

 

波津「元子さん。はい、お手紙です」

元子「はい。ああ、すいません。どうも。あっ、妹からですわ」

波津「ほんなら、道子を私がちゃんと見てあげるけん、おお…いい具合にご機嫌だわ。さあさあ、降ろしてゆっくり読まっしゃい」

元子「でも…ええ、あの、さっきまでぐずってましたから」

波津「…だども、私が見ちょってあげるけん。ね」

元子「後でゆっくり読みますから大丈夫です。ありがとうございます」

波津「そげかいね。ああ」

 

元子「さあね、お仕事があるんだよ」大根を洗おうとしたが、やっぱり手紙が気になるので、封を開ける。「うん、はいはいはい」道子をあやしながら手紙を開く。「うん…」

 

巳代子の手紙「お姉ちゃん、元気ですか? 松江での様子、お母さんから聞きましたけれど大介君や道子ちゃんも元気らしいし、大原の人(しと)たちは、みんないい人のようで安心しました」

 

元子「調子いいんだから」

 

道子のぐずる声。

元子「はいはい、はいはい…」座って手紙を読む。

 

巳代子の手紙「さて、私たちの近況ですが、祐介さんも新しい会社で元気にやっておりますし、私は今度、六根さんの紹介で民放ラジオのお料理番組に週に一度、出演することになりました。といっても、お料理研究家の上林美雪先生の助手みたいなものですが」

 

上林先生というと、金八先生を思い出すなあ~。3年A組担任で学年主任。

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吉宗

弘美と遊ぶトシ江。帰ってきた巳代子が弘美を抱き上げる。

 

巳代子の手紙「前に一度、やはり六根さんに声をかけられ、料理自慢の主婦というコーナーに出たところ、それが上林先生の目に留まったものですから、チャンスというのは、どこに転がっているか分かりませんね。料理自慢といっても勝手に工夫した料理ばかりです。ともかく祐介さんのお客様が多いものですから、それでやむを得ず、鍛えられたのですが、なるべくお金をかけず、珍しさとお味とアイデアが勝負のものばかりです。それで、お母さんに相談したところ、弘美のことなら見てくれるというので引(し)き受けることにしたのです。放送は今度の火曜日、午後1時から10分間ですが、『私と料理』という題です。是非(ぜし)聴いてください。六根さんの話では、そちらの民放にも流れるそうです」

 

桂木家茶の間

宗俊夫婦+巳代子家族+順平のにぎやかな食卓

 

順平…斎藤建夫さんに代わってた。2日くらいしか出てこなかった中学生の順平のスタイルを踏襲した体のでっかい男の子。昭和11年生まれだったと思うから、19歳くらい!? 吾郎はどうなったかな。

 

宗俊「誰も食べる前になくなっちまうからな」

トシ江「いいじゃありませんか」

宗俊「みんな、ちゃんと取ってから順平に後でお前、残飯…」

巳代子「さあ、順平順平」

順平「はい」

宗俊「この野郎、本当にガツガツ、ガツガツ食いやがって。しかし、これは、なかなかうめえな、おい。え。まあ『好きこそ物の上手なれ』ってのは、よく言ったもんだ」

巳代子「はい」

順平「はい」

藤井「それにお義父(とう)さん、熱心さですよ。うちには結構、味のうるさい連中が来ますからね、これとこれがおいしいって言うと巳代子がまた、その味を熱心に聞くんですよ」

巳代子「だって、あなたが必ず僕も食べてみたいって言うから」

トシ江「似たもの夫婦とは、よく言ったもんだわ」

順平「けどさ、これ、何て料理だ?」

巳代子「さあ。何て付けようかな」

宗俊「何だ? これはおめえ、名無しの権兵衛か」

藤井「まあ、いいじゃありませんか。名前より、まず味ですよ」

宗俊「分かりました。はいはい」

 

巳代子「あ~、ドキドキするなあ」

宗俊「え? 何がだい」

巳代子「明日の放送よ。お姉ちゃん、聴いててくれるかな」

トシ江「知らせたのかい?」

藤井「あっ、はい。大原さんと元子さんには僕も心配のかけ続けですから、なんとかやってる証拠に知らせて安心してもらった方がいいと思いまして」

トシ江「うん…」ちょいと複雑な表情。

 

巳代子も優先して食べさせてるみたいな感じだったし、順平が大きくなったのも納得だな。だからあえてそういう体型の人を選んだんだろうか。

 

松江・正道たちの部屋

正道が手紙を読んでいる。「それじゃ、放送は明日か」

元子「ええ」

正道「この時間じゃ僕はちょっと聴けないけども、おばあさんやみんなと一緒に聴いてあげるといいな。この手紙の様子じゃ大丈夫だ。巳代子ちゃんって意外と慌てない人だからな。放送は、きっとうまくいくよ」←元子が出演するなら絶対どうにかして聴いてただろうな。

元子「ええ」

正道「ハハ…やっぱりきょうだいだな。そんなに心配か?」

元子「いえ、別に心配なんかしてませんけど…。随分いいかげんだなと思って」

正道「何が?」

元子「お母さんよ。私の時は子供の面倒を押しつけられるのは真っ平だって言ったくせに巳代子には弘美ちゃんの面倒を引き受けてやるなんて随分なえこひいきだわ」

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正道「いや、そんなことはないだろう」

元子「いいえ、絶対えこひいきよ」

 

正道「それじゃ何か? 君はあの時、後悔しないっつったけども、やっぱり六根と一緒にラジオ局、入りたかったのか」

元子「ううん、そういうことじゃないのよ」

正道「だったらどうしてお義母(かあ)さんのこと、そんなふうに言うんだ」

元子「だって、言うことがクルクルと変わるんだもん」

正道「だって、あの時は巳代子ちゃんが出産を控えてたし、出版社だって、まだ倒産する前で僕も結構忙しかったよ。それに経済的な事情で君が働きに出なきゃならんっていう必然性もなかったし、お義母さんだって何が何でも反対されたわけじゃなかっただろ」

 

元子「でも…」

正道「いや、働きに出るんなら、お手伝いさんを探せっておっしゃられたはずだし、僕もそれには賛成したよ。そのやさきにおやじが倒れて何もかも駄目になってしまったんだけども。それ以来、僕は君にずっとすまないと思い続けてるよ」

元子「いいえ、私は決してそんなふうには」

正道「だったら何でお義母さんのこと、そんないいかげんだなんて言うんだ」

元子「すいません…」

正道「それにお義母さんだってね、君のことを案じてなかったら、あんなに汽車に弱い人がこんな遠くまで君や道子の顔を見に来てくださるわけがないだろう」

元子「それは…」

 

正道「それにだよ、君だって東京へ手紙を出す時にいちいち心配事を書き並べたりしないだろう」

元子「もちろんですよ、そんなことは」

正道「それだったら巳代子ちゃんだっておんなじだよ。できるだけ余計なことは書かずに安心させられることだけを書く。君の家族だったら、それくらいの心遣いは必ずするはずだと僕は思ってるけどね」

元子「ええ…」

正道「それに、六根だってね、巳代子ちゃんが君の妹だからこそ遠くにいる君の代わりにいろいろ力になってくれてるんだよ。それに巳代子ちゃんにもし才能がなかったら、いくら六根の推薦があったって上林先生に目をつけられるわけもないだろうし、お義母さんだって弘美ちゃんの面倒を引き受けられたこともなかっただろう」

元子「はい」

正道「とにかくね、明日ラジオ聴いてあげなさい。それで元アナウンサーとして親身になってアドバイスしてあげなさい。君はもともとそういう人じゃなかったのか?」

元子「どうもすいませんでした」

 

ポロッと愚痴ったら、めちゃくちゃ正論で返されちゃったパターン。正道さんも元子が仕事やりたいと思ってるのも分かってるし、できなくしたのは自分のせいとも思ってるからめちゃくちゃ理詰めにいっちゃったのかね。

 

そして、その翌日。

 

泰光の部屋

大介「お母さ~ん!」

元子「シ~ッ」

 

泰光は布団から起き、ラジオの前に座り、邦世が背中をさする。部屋の隅に元子がいて、繕い物をしている。

 

ラジオ・巳代子「食事時にお客様をお迎えした時、だからといって食事は出さなくてもいいというわけにはいかないのが人情ですよね。私の場合、主人のお客様が本当に多いものですから急な来客でどうしようと思ったことも随分とございました。そういう時、私は無理な背伸びは必要ないと考えることにしました。お客様にしてもごちそうを食べにいらっしゃるのが目的ではないでしょうし、昔っから客の来ないような家では駄目だとも申しますでしょう。ですから、おもてなしで頭を痛め、来客を避けるようでは何もなりません」

 

波津「若いのに巳代子さんという人もしっかりした考えを持っちょうなさあのう」

元子「昔から食べ物のことだけは熱心な子でしたから」

邦世「ああ、そげでしたか」

元子は糸を歯で切り、針を胸元に差した。

 

ラジオ・巳代子「…ひと味違うものをと心がけてまいりました」

 

ラジオ局

巳代子「たとえば、お台所にいつでもある煮干し。この煮干しを一握り、頭とはらわたを取ってフライパンで焦がさないように炒め、小鍋にしょうゆ4、砂糖2、お酒1の割合でつゆを作り、火にかけてお鍋をゆすりながらあめ状になるまで煮詰め、から煎りした煮干しを入れて火を止めて手早く混ぜ合わせ煎りごまをふると、これで1品出来上がり」

ブースで見ていたのぼるがグッドサインを巳代子に送る。

巳代子「とりあえず、これを出しておいてから十分、次のお料理に取りかかる時間が生み出せるはずです」

 

巳代子の放送は成功でした。しかし、姉として感想をつづった手紙を出してきながら元子は、なぜもっと素直に喜んでやれないのだろうかと自分の心に問うておりました。

 

買い物かごを下げて、道子をおんぶして松江の街を歩く元子。

元子・心の声「そうだわ…。陽子さんはお琴、お義母様はお仕立物、おばあ様はお習字。みんな、ご自分の仕事を持っているのに私だけが決まった仕事を持っていなかったんだわ…」

 

台所

買い物かごから野菜を取り出す元子。

大介「お帰りなさい! あのね、お母さん! あっ、痛い!」

元子「大介! どうしたの?」

大介「痛いよ! 火を踏んじゃったよ、火を!」

元子「えっ!? ちょっ…どこ? どこ痛いの?」

大介「痛い…」

元子「ないよ、火の痕なんて」

大介「だって踏んじゃったんだもの。本当だよ!」

元子「えっ?」

大介「痛いよ…」

 

邦世「どげしただね?」

元子「はい、大介が何か踏んだようなんです」

邦世「踏んだ?」

元子「ええ」

邦世「痛いよ…痛いよ…」

元子「ここ? どこ? どこ痛いの?」

大介「痛いよ、痛いよ、痛いよ…」

 

邦世「元子さん!」床に落ちていた針を拾う。

元子はハッとして胸元をさぐる。

邦世「折れちょうけん、踏んだのは針だわね。早(はや)こと病院へ! 折れたのが入っちょったら針は体の中動くけんね」

元子「はい! さあ、大介…」

邦世「あっ、歩かせたらいけん。はい、早く…」

大介「痛いよ、痛いよ…」

邦世「はい、私もすぐ行くけんね。お母さんにしっかりつかまっちょうだで」

大介「お母さん、痛いよ…」

元子が大介をおんぶして外へ。

 

波津「道子が泣いちょうってのに元子さん、何しちょうだかいね」

邦世「はい…」手に持った針を後ろへ。「あっ、あの…私の不注意で大介が針を踏みました」

波津「針を?」

邦世「申し訳ないことをいたしました」

 

大原家門

大介「痛いよ、痛いよ、痛いよ…」

大介をおんぶして走っていく元子。

 

元子・心の声「ごめんね、大介…ごめんね!」

 

つづく

 

明日も

 このつづきを

  どうぞ……

 

とっさにかばう邦世さんはやっぱり正道さんの母って感じするな。

 

岸辺のアルバム」の八千草薫さん演じる則子も完全な専業主婦じゃなくて、ブティックに仕立物を卸してたからねえ。ミシンで袖付けとかしてたみたい。それでも閉塞感あったし、専業主婦扱いだった。内職なら、まあ…って感じなのかな。

 

元子と巳代子の姉妹は巳代子はそんな気がなくても、元子が宗俊とケンカして勝ち取ったものをするっと反対なしでやってきた感じに見えるもんねえ。でも仲良し姉妹だから好き。仲の悪いきょうだいを見たくない。元子のモヤモヤが晴れる日が早く来るといいんだけどね。