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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(102)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)の家に順平(斎藤建夫)が突然やって来る。ひと月近く、徳島で記録映画を作っていたという。テーマは藍だった。藍玉職人のじいさんを追いかけているうちに触発され、1年間あちこち旅して、職人の世界を追ってみるつもりだという。自分が宗俊(津川雅彦)に言うとケンカになるのは目に見えているから、元子と正道(鹿賀丈史)に間に入って欲しいという順平に、元子は宗俊に直接話して許可を得るよう諭すが…。

締め切りの期日にとらわれず、特別、功名心にもとらわれずに書きたいことを書く元子の筆は生き生きと滑らかでした。

 

ダイニング

ノートに文章を書いている元子。「中学生は生意気盛り。だが、近頃の大介は、いくら生意気なことを言っても、ひところより明るくなったような気がする。やはり子供の思春期には親に気持ちの余裕がないのが一番いけないのかもしれない。それにしても、子供の反応は鋭く、素直なものだと改めて驚くのだが…」

 

大原家前の路地を歩いてきた順平。「姉さん、いる?」

 

⚟元子「は~い、いますよ」

 

ダイニング

元子「疲れた顔して」

順平「ああ」

元子「飲み物、お茶とコーヒーどっちがいい?」

順平「うん、コーヒーでいい」

 

元子「お母さん、心配してたけど、ずっと四国にいたんだって?」

順平「ああ」

元子「じゃあ、ひとつき近くも行ってたことになるじゃないの」

順平「うん」

元子「まさか河内山とまたやり合ってきたんじゃないでしょうね」

順平「いや、まっすぐここへ来たから」

元子「まっすぐって…じゃあ、うちへは帰らなかったの?」

順平「うん」

元子「どうして」

順平「ちょっと聞いてほしいことがあったからさ」

元子「そりゃ、いくらだって聞きますよ。だけど、あんたのことじゃ、お父さんとお母さんどれだけ心配してたか分からないわけじゃないでしょう」

順平「俺はそんなお説教聞きに来たんじゃないんだよ」

元子「順平…。分かったわ。とにかく聞きますから話してちょうだい」

 

今の順平は高校生くらいから同じ役者さんだから、慣れた手つきでタバコを吸われるとちょっと驚く。当然成人してたんだろうけど。

 

順平「1年ばかり旅に出たいんだ」

元子「旅に?」

順平「うん。四国での仕事は軽い気持ちでついた記録映画だったけど、藍の話だったんだ」

元子「アイ?」

順平「うん、藍玉の藍さ」

元子「ふ~ん」

順平「あれは四国の徳島でとれるんだよね。うちが紺屋で縁の下には藍玉を寝かせてあるのは知ってたけど、それが徳島のものだとは分からなかったし、まさかその大本に撮影に行くなんて考えてもいなかったしさ」

元子「うん」

peachredrum.hateblo.jp

埼玉でもとれるよ!

 

順平「そこで約ひとつき明けても暮れてもカメラ担いで藍と藍玉職人のじいさんを追いかけてたんだけど、そのじいさんと話をしていると彦さんを思い出しちゃってね」

元子「そう…」

順平「まあ、撮影が済んだから引き揚げてきたんだけど、別れ際にそのじいさんから藍玉の職人にならないかと言われて俺は複雑だったよ」

元子「紺屋の息子だってこと言ったの?」

順平「いや」

元子「じゃあ、どうして?」

順平「妙に気が合ったというだけなんだけど…そのじいさんには後継ぎがいないんだ」

 

元子「それと1年間の旅とどういうつながりがあるの?」

順平「分からん」

元子「順平」

順平「まあ、強いて言えば、そのつながりを探してみたいというのかな。変かい?」

元子「まだよく分かんないわ」

順平「あっちこっち回ってみたいのさ」

元子「それで?」

順平「それで、何がつかめるか分からないけど職人ってものを追ってみたいんだ。いつか姉さんにシナリオを見てもらった時、観念的だって言われて、あれが一番こたえてさ。けど、一家背負(しょ)った苦しみもまだ分からないし、駆け落ちしたいほどの女にほれたわけでもないしさ」

元子「それで?」

順平「うん。けど、職人の世界なら彦さんや善さんを見て育ってきたから、いくらか分かるよ。現にそのじいさんと一緒に涙こぼしたり、笑ったりしたもの。それを突破口に人間ってものを描いてみたいんだ。だから、いろんな職人に会ってみたいと思ったんだ。その結果、どういうふうになるのか自分でもよく分からないけど…。今なら、わがままついでにもう1年ぐらい親不孝して大丈夫かなって。それを姉さんに相談したくてさ」

 

元子「けど、その1年間どうやって食べていくつもり?」

順平「それなら大丈夫。住み込んじゃえばいいんだから」

元子「え!?」

順平「住み込めば、寝る所と食うことは解決できるし、一緒に仕事していかなきゃ職人の心なんてものも分かんないだろ」

元子「それはそうねえ…」

順平「やっぱり夢物語だと思う?」

元子「そうは思わないけど…」

 

順平「じゃあ、大原の義兄(にい)さんは、おやじに信用があるから姉さんと義兄さんからおやじにそう言ってくれないかな」

元子「そうね…。だけどどうして自分の口から言えないの?」

順平「俺が言えばけんかになるのは分かってるじゃないか」

元子「けんかになったらなったでいいじゃないの。それとも負けるのが怖いから?」

順平「まさか」

元子「だったら、自分の口からきちんとおっしゃいな。言ってみれば何かを求めて新しいスタートなんでしょう? それを自分の口から宣言できないようじゃ住み込みを覚悟したところでまず見込みはないんじゃないの?」

順平「…」

元子「大丈夫。順平の気持ちはよく分かったから、けんかになったらなったで、あとの始末は姉さんがつけてやるから一丁ぶつかってごらん、あの河内山へさ」

順平「うん、分かったよ」

元子「じゃあ、行く時は教えてね。せん別ぐらいは持たせてあげるから」

 

吉宗

電話が鳴る。

トシ江「はい、もしもし人形町吉宗でございます。あっ、元子。えっ、順平が!?」

 

大原家茶の間

元子「まっすぐそっちに向かうかどうか分からないけど、とにかくお父さんと一台衝突する可能性があるのよね」

 

トシ江「あ…脅かさないでよ。一体何があったっていうの?」

 

元子「あるのはこれから。でね、とにかくあの子の気持ちを黙って聞いてやってほしいの。終戦処理は私たちが責任持ってやるとして、お父さんが何と言おうと、とにかくお母さんは黙ってあの子の気持ちを聞いてやって。お願い」

 

トシ江「ああ、もちろん…そのつもりでいるけどね」

 

広林建設事務所

電話が鳴る。

橋本「はい、広林建設。あっ、奥さんですか。ちょ…ちょっと待ってください。いえいえ、そんな言づけだなんて…今、呼びに行きますから」

 

大原家茶の間

元子「いえ、あの仕事中でしょうし、本当に言づけでいいんです。恐れ入りますが、今日、帰りに人形町の方へ寄ってもらいたいと…。いえ、あの、時間は別に…寄ってもらえさえすれば結構なんです。それと行く前にこちらに電話を入れるように…ええ、よろしくお願いいたします。ごめんくださいませ」

 

夜、吉宗

正道「こんばんは」

巳代子「お義兄さん」

正道「順平君は?」

巳代子「ちょっと前に帰ってきたんだけど訳の分からないことを言いだして…とにかく上がってください。お願いします」

正道「失礼します」

 

トシ江「正道さん…」

正道「元子から順平君帰ってるって聞いたもんですから」

トシ江「とにかく聞いてやってくださいよ。もうこの子ときたら…」

 

桂木家茶の間

宗俊「おめえは黙ってろ」

トシ江「だって…」

宗俊「おおかた仲裁にでも駆けつけてくれたんだろうが、これは俺と順平の問題だ。すまねえが、正道っつぁん、そこで黙って聞いててくれねえか」

正道「はい」

 

宗俊「おめえ、言うことはそれで全部か」

順平「ああ、全部だ。俺はもう決心したんだ。たとえ、おやじが何と言おうと俺の気持ちは変わらねえ。もう子供じゃねえんだ。それが勘当というなら、いくらでも勘当されてやろうじぇねえか」

宗俊「よ~し、おめえの言い分は分かった」

トシ江「あんた」

宗俊「行きゃあいいさ」

巳代子「お父さん」

 

宗俊「行ってこい。行ってな、じっくりとその目で職人ってものを見てくるんだ」

順平「それじゃあ…」

宗俊「紺屋のせがれがな、藍玉の職人からやりてえことを教わったってのも何かの縁だ1年でも2年でもよ、じっくりと腰据えて職人ってものを見てこい」

順平「父さん…」

宗俊「言うことはそれだけだ。トシ江」

トシ江「はい」

宗俊「今度は長旅になるだろう。支度もあるだろうからよ、見てやんな」

トシ江「あんた」

 

宗俊「おい、正道っつぁん、ちょいとつきあってくれねえか」

正道「はい」

巳代子「どこ行くのよ、今から2人で」

宗俊「バカ野郎、大の男が2人そろって出先を断って行くやつがどこにいる」部屋を出ていく。

 

トシ江「正道さん…」

正道「大丈夫ですよ」宗俊に続く。

 

トシ江「順平」

順平「ああ…」

巳代子「あんた、まさか本気じゃないんでしょ? 旅に出るだけだなんて。ただ、お父さんと張り合っただけなんでしょ?」

トシ江「本気だよ。ああ…この子、本気だとも。そうだろう、順平」

順平「母さん…」

 

銀太郎

銀太郎は看板の明かりを落として、奥へ。店には宗俊と正道の2人きり。

宗俊「大丈夫(でえじょうぶ)だよ。やせ我慢じゃねえんだから」

正道「はい」

宗俊「『かわいい子には旅をさせろ』か…。ハハ…昔の人は、よく言ったもんだ」

正道「ええ」

 

大原家茶の間

元子「やせ我慢じゃない…」

正道「うん、僕はね、本当にそうなんだと思うよ。あれは決してやけ酒なんかじゃなかったな」

元子「そう」

正道「順平君にね、自分でぶつかれって言った君の判断がやっぱり正しかったんだな。もしもね、君や僕が順平君の代弁してたら、ああはいかなかっただろうな」

元子「本当にお疲れのところ、ゴタゴタ話ですいませんでした」

正道「僕もね、お義父(とう)さんと飲むのは久しぶりだったから」

 

元子「それにしてもこんなにすんなりいくとは思わなかったし、初め順平も拍子抜けしたみたい」

正道「うん」

元子「だけどね、かえって覚悟が決まったって電話でそう言ってたわ」

正道「うん。お義父さんね、多分、順平君の中に自分を見たんじゃないかな。うまく言えないけど、何かそういう気がするよ」

元子「それで…」

正道「たつ前に一度こちらへよこすっておっしゃってた」

元子「よかったわ…。ううん、本当にいいかどうか分かんないけど、でもとにかくよかった」

正道「あとは順平君次第だな」

元子「そうよね。自分でそうしたいって思ったんだから、自分でそうするよりほかありませんものね」

正道「うん」

 

子供部屋

子供たちの寝顔を見ていた正道は大介にそっと布団をかけ直した。中1の大介と小3の道子が並んで寝てるの違和感。男女のきょうだいでこのくらいの年ならもう部屋分けない? ドラマ的分かりやすさかな。

 

ダイニング

ノートに文章を書く元子。「これを旅立ちというのだろうか。順平が何をつかんで帰ってくるのか私には分からないけれど河内山が黙って送り出す以上、もはや私が口を挟むことではないだろう。順平にとって実りあるよき旅であることを祈るだけである。それにしても、私の心が今、激しく乱れるのは大介のことだ。あの子もいつの日かこのようにして私の手元から旅立っていくのだろうか。男の子とはそうしたものなのだろうか」

 

その翌日、行ってくるよと電話をかけてきただけで順平はある発見を求めて旅立っていきました。

 

つづく

 

明日も

 このつづきを

  どうぞ……

 

順平…完全にルッキズムでアウトなこと言うけど、今ならヒロインの弟は若手イケメン枠だよね~。最初の順平はかわいい子役だったからあんな感じを踏襲してくれてたら…って前も書いたような。いや、でもさあ、これだけ出番やセリフが多いと思わなかったから。巳代子もまた今の時代ならヒロインの妹に選ばれないタイプだろうけど、巳代子は演技上手だもん。順平はちょっと長セリフきつかったかなって。

前に「よみがえる新日本紀行」で見たよ。藍玉づくりじゃないけどさ。「よみがえる新日本紀行」は何気に毎週楽しみに見ている番組で、そして今…と、残り10分でその後の町の風景が見られるのが楽しみ。

 

このエピソードみたいにその後、子供や孫が後を継いでるパターンもあれば、全く本編に触れられずに、今の町の風景が映し出されるものもあって、前者だったら大当たり。何百年も続く伝統がその当時も消えそうだと言ってたのに続いてて、放送当時に新たに作られた建物が今はもう影も形もないみたいなこともあるんだよねえ。

 

順平は何を見つけてくるのでしょうか。