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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(88)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

2月、元子(原日出子)は古いひな人形を陽子(田中美佐子)のためにとのんびり飾る。波津(原泉)が端然と見守り、泰光(森塚敏)の体調も穏やかな中、やがて支度も整い、大原家一同が嫁入りする陽子を連れ家を出ていく…。寂しくなった元子を三井(星充)が訪ねてくる。ラジオのモニターを4月から新しく募集するので、元子に声をかけてきたのだ。正道(鹿賀丈史)は時間を作ればやってできないことはないと背中を押すが…。

昭和31年

 

年が明けると陽子の結婚式も迫り、大原家もにわかに慌ただしさを増しましたが、2月へ入ったそんなある日。

 

松江・大原家

元子「はあ~、本当にいいお顔。私ね」

陽子「ええ」

元子「このおひなさまを飾るともうじき春がやって来るんだなって、冬の間、ずっとそう考えてるの。そうすると何だか水仕事も楽しくなってきちゃって。女はいくつになってもおひなさまが好きなのよねえ」

陽子「でも、来年はもうこのおひなさまを見られんですもんね」

元子「あら、どうして?」

陽子「だって、お嫁に行ってしまあですもん」

元子「あっ、変なの。行ったからって、ここはあなたが生まれたおうちなんですもの。いつでも好きな時におひなさまの顔を見に来たらいいわ」

陽子「本当に?」

元子「ええ、当たり前ですよ。だけどね」

陽子「え?」

 

元子「もしもよ、女の子の赤ちゃんが生まれたら話は別よ」

陽子「嫌だわ、お義姉(ねえ)さんったら、もう」

元子「あら、どうしてよ。赤ちゃんが生まれること、そんなに嫌なことかしら」

陽子「意地悪…」いちいち顔がかわいい。

元子「だって、その時は初節句でしょう。正道さんにお願いして、このお内裏様によ~く似た優しいお顔のおひなさまをお祝いするわ」

陽子「ほんなら、今のうちにお礼言っちょかんとね」

元子「そうですよ」

笑い声。ほのぼの~とした義姉妹だね。

 

波津が部屋に入って来た。「まず、まあ、あんたら、いつんなったら飾り終わあことかいの」

元子「すいません」

 

おひなさまとお内裏様だけ。「おしん」のお加代様んとこは一人一つの7段飾りだったよね。あれは壮観だった。

 

波津「またお会いできましたね、内裏さん」

陽子「変なこと言わんでごしなさい、おばあさん」

波津「何を言っちょうだや。わしのように年を取るとね、お節句が終わって箱にまたしまあ時になあと、来年、お目にかかあことができいかいなと思うもんだわや」

元子「おばあ様…」

波津「だけんね、こげして今年もお会いできいと、どげにうれしか口では言えんわね」

元子「ええ」

 

波津「だども不思議だねえ」

陽子「何がですか?」

波津「私は、こげん年を取ってしまったども、このおひなさん、私が子供ん時とおんなじような顔をしちょうなさあが」

陽子「おばあさん…」

波津「こげして見ちょうとねえ、時がたったのを忘れてしまって、自分が3つか4つの頃に戻ったような気になってしまあだが」

元子と陽子、顔を見合わせる。

 

道子を抱いた邦世と大介が部屋に入ってくる。

邦世「おや、飾られましたね」

元子「はい」

大介「道子、ほら、これがね…」

元子「あっ、汚いお手々で触っちゃ駄目よ」

大介「汚くなんかないよ!」

波津「あ~、ええがええが、さあ、こっち来い。こっち…」波津の膝へ。

 

大介「ねえ、僕のかぶとも出してやったら?」

元子「あれはね、男の子のお節句なのよ」

邦世「ハハハ…。はい、こうが道子でございますよ」

陽子「そうか、道子ちゃんとお内裏様は初対面だね」

邦世「そげだわね。道子には初節句だけんねえ。今夜は何(なん)をおひなさまにお供えしましょうかいね」

大介「ライスカレー!」

笑い声

 

いつもの年より早くにこのおひなさまを飾ったのは陽子のためでした。そして、陽子の結婚式がやってまいりました。

 

泰光の部屋

正道「失礼します」

泰光「おう」

正道「疲れませんか?」

泰光「ああ、大丈夫だ」

正道「ああ、そうですか。父さんに出席していただければ陽子もこんなにうれしいことはないでしょう」

泰光「ああ、しかし、披露宴の方は途中で失礼すうかも分からんけん、その時は頼むわや」

正道「あんまり無理しないでくださいね」

泰光「うん」

正道「支度できましたら陽子を連れてきますからね」

泰光「うん」

 

正道「陽子のやつ、きれいですよ。今になってやりたくないっつっても、もう遅いですからね」

泰光「フフフ…バカを言うだないわや。わしが元気なうちに出してやらんと、また遅れてしまあだないかや」

正道「父さん…」

泰光「元子さんやお前にも苦労をかけちょうが、陽子を嫁に出せば、わしの務めも終わあけんのう」

正道「何言ってんですか。父さんにはまだまだ陽子の子供の顔を見るのが残ってます」

泰光「うん」

 

金屏風の前で着付けられている陽子。おひなさまが飾られている部屋か。

波津「見事に出来たのう。こうで泰光もさだめし肩の荷が下りいだわ」

元子「でも、ちょいちょい遊びに来てくださいね。何たって、おうちは近いんだし、私は陽子さんを当てにしてるんですからね」

陽子「はい」

波津「困ったことを言う義姉さんだわや」

元子「ええ、本当に私って困り者なんです」

波津「あ~、おやおや」

 

元子「だって、お仕度を手伝いながら、もう道子を手放す時のことを考えてしまって」

波津「ハッ、そのことをね『子を持って知る親の恩』っていいますわね。分かあましたか。ハハハハハ…」

元子「よ~く分かりました」

髪結「出来ましたけんね」

波津「ああ、ご苦労さんでございました」

元子「それじゃ、お義母(かあ)様をお呼びしてきます」

波津「いやいや、あんたはここにおってやってごしなさい。ほんなら、あんた、こちらへどうぞ」髪結と部屋を出て行く。

 

髪結…森康子さん。おばあさん女優としておなじみの方。まだこのころはさすがにおばさんくらいかな。「マー姉ちゃん」患者、「おしん」10話のおばさん役、「ゲゲゲの女房」21、38話でのんのんばあ役などなど。東京出身だけど島根に縁があるね。あ、茂さんのふるさとは鳥取でした。

 

陽子「お義姉さん」

元子「きれいよ。本当にきれいだわ」

陽子「ありがとう。お義姉さんには本当にいろいろお世話になりました」

元子「いいえ。私こそあなたには助けてもらってばかりで」

陽子「いんや、私、お義姉さんがいてごしなさあからこそ安心して、このうちを出られます」

元子「陽子さん」

陽子「父のこと、お願いいたします」

元子「ええ。しっかりとお仕えしますからね、あなたも体に気を付けてね」

陽子「はい」

元子「私には困った時もあなたやおばあ様、お義母様、相談する方がたくさんいましたけど、もし、あなたに困ったことが起きた時は、私、すぐに飛んでいきますからね。あなたもいつでもここへ来てくださいね」

陽子「はい」

元子「あっ、ごめんなさい。ほら、せっかくのお化粧が」

陽子「お義姉さん…」

元子「何があっても、まず、平八郎さんを信じることよ。いいわね」

陽子「はい」

元子「大丈夫、お似合いにご夫婦だわ。何たって私が太鼓判を押したんですもの」

陽子「はい」

涙ぐむ2人。

 

両親への挨拶を済ませると花嫁は生まれた家を後にし、元子と道子が留守番役でした。

 

仲人夫人…大川万裕子さん。田宮二郎版「白い巨塔」など。大原家を出る時、陽子の手を引いて歩いていた人が仲人夫人か。

 

ピンクの晴れ着を着た道子を抱いた元子がおひなさまの部屋へ。

元子「♪『あかりをつけましょ ぼんぼりに

お花をあげましょ 桃の花』

何だか急に静かになってしまいましたね、おひなさま。あれはね、戦争中だったわ。いろいろなことがあってね、お母さん、頭にカ~ッて血が上ってた時があったの。その時、お父様がこのおひなさまのお話をしてくださったのよ。明日は生きていられるかどうか分からない時代だったけど、お母さん、どうしてもこのおひなさまにお会いしたいなって思ったの。だけど…こうして道子までが一緒におひなさまをお祝いしているなんて、お母さん、本当に不思議で不思議で…」

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この正道さんの手紙、ホントに好き。

 

桂木家にも平八郎と陽子の結婚写真が届けられていた。

宗俊「あ~、こりゃ、なかなか見事なもんだ」

トシ江「まあ、立派な旦那様だこと」

宗俊「バカ野郎、おめえ、俺は花嫁さんのことを言ってるんだ」

巳代子「何せ河内山は女性の方しか見えないことになってるんですものね」

藤井「僕の時もそうだったんですかね」

宗俊「当たりめえだ。おめえ、どこにな自分の娘、かっぱらってく男に愛想を振りまく男親があるもんか」

 

藤井「しかしですね…」

トシ江「祐介さんもね、あと15年もしたら、おとうさんの気持ち、よ~く分かりますよ」

巳代子「15年っていったら、弘美は18か。ねえ」

藤井「えっ!?」

トシ江「まあ、なんて声出すんでしょう」

藤井「いや、しかしですよ、いやぁ、そんなの困るなあ、僕は」

巳代子「何がなのよ」

藤井「何がって、巳代子、この弘美がだよ、変な男どもに言い寄られてみなさい。駄目ですよ、そんなことは」

宗俊「ざまあ見やがれ、え。やっと男親の気持ちのいくらかでも分かりやがったか」

藤井「お義父(とう)さん…」

宗俊「情けねえ声出すんじゃねえ。お前、そん時になったらな、こんなかわいくねえんだぞ。これぐらい(巳代子を指す)お前、憎たらしくなっちまうんだ。諦めもつかぁな」

 

藤井「やっぱり男の子の方がよかったかな」

巳代子「勝手なこと言わないでよ。ねえ、弘美、パパったらね、あんなこと言ってるのよ」

藤井「ここで弘美に言いつけることはないでしょう」

巳代子「だってさ」

藤井「だってもありません。子供はすぐ大きくなるんですよ」

トシ江「まあまあ、夫婦げんかするなら、うちへ帰っておやりなさいな」

藤井「お義母さん…」

トシ江「フフフフ…」

 

学生服姿の順平が茶の間に入ってくる。デカいな~。

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この回が初登場。巳代子の料理を食べ続けてでっかく成長したと解釈しました。学生服ということはまだ学生? 大学生かな。

 

藤井「あっ、順平君、お帰り」

巳代子「お帰りなさい、順平」

トシ江「お帰り」

順平は無言のまま、部屋を出て行き、トシ江もついていく。

 

宗俊「おい、何だ、このごろのあの野郎の態度ときやがったら、え」

 

大原家中庭

正道「よ~し…ほら、出来たぞ。よしよし、はい。あとはな、バンドつけておしまい。それじゃあ、ここ持っててくれ。な」大介と椅子を作っている。「はい、いくぞ」

大介「はい」

 

縁側で道子を抱っこして見ている元子。「ほら、道子、お父さんとお兄ちゃんがね、道子のお椅子を作ってくれてるのよ」

正道「あっ、道子、もうすぐだぞ」

元子「はいはい」

大介「このバンドはね、道子がずり落ちないようにつけてるんだからね」

元子「はいはい。フフフ…」

 

良男「ごめんください」

元子「はい…あら、三井さん。どうも」

正道「あ~、どうもこんにちは」

良男「こんにちは」

正道「先日はどうも妹にご丁寧なお祝いをありがとうございました」

良男「いや、ほんの気持ちです。あっ! お~。大原さん、こんなこともやられるんですか」

正道「いえ、ハハ…。知り合いからお古を頂いたんですけどもね、妹の手もなくなりましたんで子供を一人で遊ばせることもあるでしょうから、まあ、その時の対策です、ハハハ…」

良男「なるほど。大介君、日曜日にお父さんのお手伝いうれしいね」

大介「はい」

 

奥から座布団を持ってきた元子。「どうぞこちらに。今、お茶いれますから」

良男「お構いなく。これ届けに来ただけですから」

元子「あら、何ですか?」

良男「東京へ出張で行ってた者のお土産なんですけど、浅草の手焼き煎餅」

元子「まあ、浅草の?」

大介「僕、大好き!」

正道「ハハ…よかったな。ちゃんとお手伝いしたからだぞ」

大介「はい」

正道「うん」

 

良男「けど、僕もうっかりしてましたよ」

元子「え?」

良男「例のモニター。4月から新しく募集するんで、どうかなと思って来たんだけど、陽子さんが行かれたんで逆に忙しくなってしまったんですね」

元子「あっ…すいませんね。いつも三井さんには心配ばかりおかけして」

良男「いえ、そんなことありませんけど」

 

正道「しかし、時間作ればなんとかなるんじゃないか?」

元子「結婚式までは気もそぞろというのも嫌だったんですけれど」

正道「うん、まあ…」

映ってないところで咳き込む大介。

良男「そうですよ。主婦で完全に時間が空いてる人ってのは、まずいないんだから」

 

正道「それで4月からですか?」

良男「はい」

正道「今度は大丈夫だろう」

元子「ええ。おばあ様とも相談してみます」

正道「うん」

良男「あっ、そうですか。それじゃ、また」

元子「あっ、すいません、どうも」

正道「どうもあの、わざわざすいません…」

 

邦世「正道! あっ…あの、お父さんが少し苦しげですわね。日曜だけど、お医者様に来てもらえんかお願いしてきてごしなさい」

元子「あなた」

正道「はい、分かりました」

良男「じゃあ、僕も一緒に行きましょう」

邦世「あっ…すんません」

 

下駄で走っていく正道。

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竹脇無我さんも下駄で下り坂を走ってて、怖~と思ったな。昭和40年代半ばくらいまで?サンダルの代わりに下駄ばきがまだまだいたんだろうな。

 

泰光の部屋

呼吸の荒い泰光。波津、邦世、元子が無言で見守る。

 

つづく

 

明日も

 このつづきを 

  どうぞ……

 

昨日は日本映画専門チャンネル伊丹十三監督スペシャルでした。でもね~、エロいシーンあるよね? 子供のころ、「お葬式」「タンポポ」などテレビで放送してたから見たけど、また見たいと思わなくてスルーしました。

津川雅彦さん&宮本信子さんのコンビ見たかった気もするけど…。「スーパーの女」には原日出子さんも出てるらしいんだけどね。

 

松江での結婚式、「ゲゲゲの女房」と同じくらいかと思ったけど、昭和36年1月31日 米子・灘町後藤家でした。布美枝さんは当時29歳で当時としては晩婚で、もしかしたら陽子と年齢は近いのかもね。

 

いや~、久しぶりの「本日は晴天なり」やっぱり楽しい。日程をもうちょっと考えてもらえればな~と今年も言い続ける。