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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(87)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

陽子(田中美佐子)が見合いをすることになり、元子(原日出子)と正道(鹿賀丈史)の夫婦が付添い人になった。相手の柳瀬平八郎(西岡徳馬)は小学校の先生。元子たちの応援もあって、陽子の縁談は滞りなくまとまり、東京の宗俊(津川雅彦)とトシ江(宮本信子)にも連絡が行く。宗俊はお祝いにと自分の手で染めた江戸小紋の浴衣地を送ってきた。泰光(森塚敏)も健康なうちに娘の婚礼に出席できそうで、正道も胸いっぱいだった。

陽子の見合いは吉日を選んで大原家の本家で行われました。

 

付き添いは正道と元子の夫婦です。見合い相手の柳瀬平八郎は小学校の先生でした。

 

平八郎…西岡徳馬さん。「澪つくし」にも数回出演。

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平八郎の父…加藤忠さん。「飢餓海峡」の刈田役など。

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平八郎の母…遠藤慎子さん。この方も出演作の一つに「飢餓海峡」があった。

 

脚本の小山内美江子さんは金八とか新八郎とか”八”が好きだね。

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本家客間

政久「うん、近頃の先生は民主主義か何か知らんだども、どうも子供たちの行儀はなっちょらんし、にらみも利かんやになっちょうでしょうが。わしゃ、平八郎さんが教育いうもんに対し、どぎゃん考えを持っちょられえか、それを伺いたいと思うちょったです」

平八郎「はあ、あの~、お言葉を返すようですが、教育基本法にもありますように、これからの教育は、やっぱし民主主義を基本に次の時代をつくる子供たちをしっかりと育てていかなければいけんと私は思っております」

政久「ああ、そりゃまあ、そうだども、ひところから見て、物が豊富になってきたかもしれんが、どうも子供たちが物を大事にさんやんになってきたような気がすうけんのう」

平八郎「はあ、私も時折、それは感じることがありますけども」

政久「そぎゃん時は、もう、ビシビシ叱ってもらわんと困りますわな」

平八郎「は…はい」

政久「まずこの己の信念ちゅうものを持っちょらんようでは、どげしゃあもないわや。な。そげんふうだけん、子供ももうフワフワしたのばっかし増えて全く嘆かわしいばっかりだ。一体、親は何を考えちょうのかと、もう、そう言いたくなあが。しかし、学校教育というのは、やっぱり土台だけんのう」

 

元子「あの」

政久「うん?」

元子「大伯父様のご意見は日頃、うちに見えます、お習字の生徒さんたちのお行儀を見ておりましても、おばあ様がこれは困ったものだっておっしゃいますのを私も実感として感じておりますわ」

政久「そげだぁわや、そげだぁわや」

元子「ですけれど、もともとしつけというものは学校にお願いすることではなくて親の務めだと思いますのよ。私もまだまだ失敗が多い親でこのようなことを申し上げるのには大変せん越だと存じておりますが、今日は平八郎様と陽子さんがこれからどういう家庭を築いていかれるか、できればそういうお話し合いになると大変結構だと存じますが」

政久「あ~、まあ、そりゃまあ、そげだわやな」

 

平八郎の父「はあ。我がせがれのことを親の口から申すのも何ですが平八郎は跡取りではああませんけんね。ご縁があったとしても若夫婦で新しい所帯をつくっていくことになあますが、責任感はしっかりと植え付けて育ててああますけん」

正道「我々にとっては、それが一番心強いことです。まあ、兄として申しますならば妹の取り柄は心の優しいのと辛抱強いことぐらいですが」

平八郎の母「いんやいんや、おなごはそうが一番ですわね」

平八郎「しかし、意見は持っていただかんと」

陽子「はい。私、義姉(あね)を手本としておりますので、義姉のような妻、そして母親になりたいと思っております」

元子「まあ、陽子さん」

平八郎の父「あっ、いやいや、そうは何より。嫁と小じゅうとの仲がいいというのは失礼ですが、家の中がしっくりいっちょう証拠ですわね。そげな家風の娘さんこそ平八郎の嫁に欲しいもんと私らも常々思ってきましたけんねえ」

 

まあ、お見合いの第1ラウンドとは、このようなものでしょう。

 

茶店

正道「はあ~。あっ、こっち、コーヒー3つね」

ウェイトレス「いらっしゃいませ」

 

ウェイトレス…野川ひとみさん。80年代に「太陽にほえろ」などに出ていた。

 

元子「すいません…」

正道「うん。陽子も…はい」

元子「ごめんなさいね。私、ちょっと余計なことを言い過ぎちゃったみたい」

陽子「ううん。大伯父様の演説がいつまで続くのかと絶望しちょったんですもの」

正道「あ~、僕も足がしびれてね」

笑い声

正道「それで、どうなんだ? 陽子」

陽子「ああ…う~ん」

正道「まあな、向こうの返事にもよるけれども、大体、こっちの意見もまとめといた方がいいな。しばらくつきあって様子見たいっていうんだったら全然遠慮はいらんぞ。反対にな、どうしても虫が好かんっていうとこがあるんだったら…」

陽子「うん、別にそういうところはないけど」

元子「だったら…」

 

陽子「でも一つだけね」

元子「気になることがあるの?」

陽子「フフッ…」

正道「おい、言ってごらん、この際だから。な」

陽子「フッ…名前」

正道「あっ、そりゃ失礼だぞ、お前」

陽子「だって…あの人の顔を見ちょって小さい時、何て呼ばれてたのかなあって、ひょっと考えてしまったわね。平ちゃん、平八っちゃん、平八郎君…。そうしたら、もうおかしくて、おかしくて…」

元子「もう、余裕があるわね。私なんか少しでも陽子さんが悪く見られないようにって緊張してたのに」

陽子「フッ、ハハッ…」

元子「でも、おかしいわ…」

正道「元子」

元子と陽子の笑い声

 

ウェイトレス「お待たせしました」

元子「わぁ、いい匂い」

陽子「お義姉(ねえ)様は松江へ来られてからコーヒーなんて初めてだないですか?」

元子「ええ、まあね」

正道「えっ、本当に?」

陽子「何言っちょうね、お兄さんたら。病人がいて小さい子がいたら、お義姉様一人で喫茶店に入るなんてとても無理だわね」

正道「あ~、全然気が付かなかった。悪かったな」

元子「ほらね、こういうところは抜けてても一生を共にするなら、これ以上の相手はいないっていう男性だっているんだから。初めから100%を望んでは駄目。足りないところは足し合っていくのが夫婦ってもんだと思うのよ」

陽子「はい、しっかりと承っちょきます」

元子「ええ」

 

正道「しかし、今日の陽子はきれいだったな」

陽子「う~ん、またまた」

元子「あら、本当よ」

陽子「ほんなら、ここのコーヒーおごってしまあかいね」

正道「あっ、ハハ…最高」

笑い声

 

「最高」「最低」という言葉がはやり、小中学校の通信簿が1から5という評価で示されるようになったのもこの年です。

 

幸い、陽子の縁談はまとまって、このことは宗俊のもとにも知らされました。

 

夜、桂木家茶の間

ラジオから「月がとっても青いから」が流れる。

月がとっても青いから

月がとっても青いから

  • 菅原都々子
  • 謡曲
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

宗俊「おい、陽子さんのお式は春になりそうだな」

トシ江「まあ、そりゃおめでたいですねえ。この分じゃ、おとうさんのお加減もだいぶよくなったんじゃないんですか。まあ、ようございましたよ」

宗俊「でな」

トシ江「はいはい」

 

ラジオの音声が耳に入った宗俊。「うるせえんだよ。ラジオ消せ」

トシ江「菅原都々子(つづこ)ですよ。つけておけって…」

宗俊「うるせえったら消せったら消せよ!」

トシ江「あ…はいはい」ラジオを消す。

 

宗俊「何にするかな」

トシ江「お祝いですか?」

宗俊「ああ。おめえ、巳代子の時もちゃんとしていただいたんだ。バ~ンと張り込みてえがな、何せお前、こっちは嫁の実家だ。あんまり出っ張っても引っ込んでもいけねえやな。難しいぞ、これは」

トシ江「そうですねえ」繕い物をやめて、肘をついて考える。

宗俊「今、考えろっつってんじゃねえやな。あれこれ知恵絞って2~3日うちに決めろっつってんだよ」

トシ江「はいはい」老眼鏡をかけようとする。

 

宗俊「あれ? 誰だ、ラジオ消したのは」

トシ江「だって、あんた…」

宗俊「俺が菅原都々子、お前、好きだってこと知ってんだろ、お前。変なまねするんじゃねえやな、おい」立ち上がり、ラジオの電源を入れる。

ラジオから再び「月がとっても青いから」が流れ、トシ江あきれる。宗俊も年とったということか!?

 

夜、大原家玄関

正道「ただいま」玄関に男物の靴があるのに気付く。

大介「お帰りなさ~い」

正道「はい、ただいま。お客さんかい?」

大介「はい」

正道「うん、はい」カバンを渡す。

 

元子「お帰りなさいませ」

正道「ただいま」

元子「柳瀬さんがお見えになってるんですよ」

正道「あ~、平八郎君が?」←字幕はこうだけど柳瀬君が?に聞こえる。

元子「ええ。今日はお義父(とう)様もご気分がいいからとご相伴なさってます」

正道「あっ、そう。それはよかった」

元子「寒かったでしょう。すぐに熱いものをお持ちしますからね」

正道「うん。はい」小さな箱を渡す。

元子「何でしょう?」

正道「ん? ここの薬局にね、あかぎれによく効く薬があるって言ってたから寄ってきた」

元子「ありがとう…。それじゃあ」

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昨日は傷だらけの指だと思ってたけど、あかぎれだったのね。北国育ちですが、もうあったかいお湯が出るのが普通の時代だったもので気付きませんでした。

 

冬来たりなば春遠からじ。ひとしお寒い松江の冬も年を越せば陽子の結婚式。元子にとっても、あかぎれなんかで泣いている暇のない年の瀬になりそうです。

 

そして、東京からも祝いの品が届いていました。

 

客間

平八郎「ほう、これは手染めなんですか?」

泰光「それも、元子さんのお父さんがお婿さん、つまり、あんたへのお祝いにと自分で染めてごされたもんでのう。型は江戸小紋を切らせたら東京一という名人に頼んだという逸品のようですわ」

平八郎「はあ、それ、すごいですねえ。何かもったいなあて浴衣として着いのは惜しいです」

泰光「いんやいんや、そうをそぎゃんふうに着いのが粋というもんらしいですわね」

平八郎「はあ」

泰光「陽子の分も染めてござれたども、とにかくそうを初めての夜に着てくださいと手紙が添えられちょってのう」

平八郎「あっ…」

陽子「フフッ…」

平八郎「はい」

 

なんちゅう…宗俊め!

 

正道「ハハハハ…いや、お父さん、それだけこの浴衣の説明できたら吉宗の番頭さんにもなれるよ」

泰光「ハハハハ…そのとおりだわなあ」

正道「しかし、この分じゃ、お父さんも結婚式に出席できそうだし、よかったな、陽子」

陽子「はい」

平八郎「あっ、私もそうが心配でしたが、こうからは寒さが厳しんなあことですし、くれぐれもお体をお大事にしてください」

泰光「なんの、病は気からというけん、こぎゃんおめでたいことがああに寝込んでなどおられんですわね」

平八郎「ええ」

正道「お手柄だぞ、陽子。お前が一番、親孝行だな」

陽子「はい。フフフフ…」←めちゃくちゃかわいい笑顔。

 

陽子と平八郎の交際が深まると同時にお仕度の方も進行していきます。

 

波津と邦世が縫い物をしている。

元子「失礼いたします」

邦世「はい」

波津「道子は大丈夫だったかや?」

元子「はい、今日もご気分がよろしいからとお義父様がお相手をしてくれますので」

邦世「ねえ、元子さん」

元子「はい」

邦世「平八郎さんがねえ、いいあんばいに年を越したら、この近くにいい家が借りられえげなと言ってこられたですけんね」

元子「それは、よろしゅうございました」

邦世「そうでねえ、初め3月にと言っちょったけど、本家の大伯父様も病人も容体がいいようだったら、この際、お式を少し早くした方がいいではないか、いうことですわね」

元子「はい」

邦世「節分が過ぎたら、早々にどげだらかと大伯父様は言っちょられえですわね」

元子「はい。いいお話ですので、私は一日も早く陽子さんの晴れ姿をお義父様にお見せしたいんですけれども、おばあ様はどうでしょうか」

波津「私も年だけんねえ。陽子のひ孫の顔が見られえもんなら早い方がいいですわね」

元子「それでは、問題はございませんでしょう」

邦世「ああ。あっ、元子さん、お袖の丸みはね」

元子「はい」

邦世「ちょっと貸してみるわね」

元子「はい」

 

波津「その前にちょっとこの針を通してごしならんか」

元子「はいはい」

波津「あ~、こう目が遠なったら仕事にならんわ」

元子「しかたがございませんわ。80年もお使いになってこられたんですもの。若い時とは少々違ってきますとも」

波津「80年もように使ってきたもんですわ」

元子「はい、どうぞ」

波津「はい、だんだん」

 

元子は…というか小山内美江子さんは「マー姉ちゃん」のときもそうだけど、年輩の人が喜ぶようなセリフがスラスラ出てきてすごいなと思う。

 

元子「お義母(かあ)様、お願いいたします」

邦世「はいはい。丸みをつけえ時はね、こうは私のやあ方だけど…」

 

しゅうとめから手を取って、仕事を教えられながら元子はラジオのモニターを断ってよかったと思っていました。

 

つづく

 

来週も

 このつづきを

  どうぞ……

 

次回は1月9日(月)放送

 

またぐちぐち言うと、12/15~17の休止なしで、28日に放送終了でも、そんな変な感じにならなかったと思うけどなあ。かなり日にちはあくけどね。平時の休止よりは年末年始ならいいよ。

 

数年前のツイートだけど、鹿賀丈史さんと西岡徳馬さんは今も仲いいらしい。