徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】飢餓海峡

 
 
1965/昭和40年
 
あらすじ
昭和22年秋、函館の近くで質店に強盗たちが押し入り、店主を殺して大金を奪った後、店に放火して逃走。折りしも台風の襲来で、函館湾沖で青函連絡船が転覆し、大勢の犠牲者が出る中、2人の身元不明の死体が残され、函館署の弓坂刑事はそれが質店強盗の一味であることを突き止める。ただひとり生き残った犯人・犬飼は、売春婦・八重と一夜を過ごした後、彼女に盗んだ金の一部を渡して消え去る。それから10年の歳月が流れ……。

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ふとBSプレミアムで放映されていたこの映画が目に入り、最後まで見てしまいました。
 
白黒なのでものすごい古い映画と思いきや昭和40年。最近古い映画も見てきたので、この頃ならカラー映画も普通にあったはず。あえてかな? 古いのばっかり見てると昭和40年なんてそんな昔に感じなくなってきました。
 
この映画で渋い演技を見せている伴淳さんが出演している「南の島に雪が降る」は1961年公開だけどカラーだった。こちらも面白いです。
 
 
 

原作は加東大介さんの従軍体験記です。

 

特に説明やナレーションがないので、当時の事情が分からないと分かりづらい部分もありました。

 

最初の数分を見逃していたので、最初に見たのは3人の男が逃げて汽車に乗り込むところから。切符はちゃんと3人分買ってた。

 

しかし、台風で汽車が止まってしまい、やむなく汽車を降り逃げていると海難事故を目撃。青函連絡船が転覆し、消防車や救助する人がごった返す中、どさくさに紛れて3人は小さな舟で海へ出た。

 

台風が去った後、たくさんの犠牲者が出る中、身元不明の遺体が二体発見された。その男たちは、質屋に押し入り、家族を全員殺してさらに放火をして逃げた犯人と思われた。その犯人が気になるため、あえて土葬を選んだベテラン刑事の弓坂(伴淳三郎)。二人の足取りを追う中、二人ではなく三人で行動していたことが分かった。二人は網走刑務所を出所した男たちだった。

 

台風の中、どうにか青森に着いたのは三人の中の大男・犬飼多吉(三國連太郎さん)だけ。ふらふらで歩いてる中、どうにか汽車に乗り込み、そこで杉戸八重(左幸子さん)と出会う。おにぎりを食べているのをチラ見してくるので、自分のおにぎりをあげる八重に犬飼はおにぎりにかぶりつく。

 

駅前の旅館(…と最初は思ったんだけど、売春宿なのかな)に先ほどの女性・八重に出会い、部屋に誘い込まれ、爪を切るなどなにくれとなく親切にしてくれる。お風呂入ったら髭剃って来てね、髭面は嫌だからとか言ってたから、まぁそういうことか。髭も剃り、さっぱりした犬飼に八重は身の上話をして、一夜を共にする。出ていくとき、新聞紙に包まれたものを押し付け、犬飼は去って行った。新聞紙の中には大金が入っており、八重はそのお金で売春宿を辞め東京へ行くことにした。

 

犬飼の足取りを探して青森まで来た弓坂刑事は、犬飼が泊まった売春宿を突き止め、相手をした八重に話を聞こうとしていた。八重は東京に行く前に父・長左衛門(加藤嘉さん)と温泉に湯治に来ていた。そこまで追いかけて話を聞いたが、八重はうそを言い、犬飼をかばった。弓坂刑事は、八重が必ず来るだろうと青森で仲の良かった友人を訪ねて東京まで捜査に行った。

 

この辺りが一番分からなかったところだけど、八重が上京して年配の女性一人がやっているおでん屋に住み込みで働くことになった。客の呼び込みをするため外に出ると、パンパンもたくさんいるような街で取り締まりの声に八重まで逃げて隠れたりしてる。若い女性だからその人たちと一緒にされるのを恐れたのかおでん屋というけど実は…?とも思うけど、おでん屋のおかみさんは店に来た客に「この子プロじゃないから」と念押ししてる。今思うとその会話も変かな?

 

その後、常連と思われる男二人に言い寄られておでん代とは別にお金を押し付けられて、返そうと外に出たら、その辺を取り仕切ってるヤクザ?にこんなお金はこうしとけばいいんだと神棚に飾られ、ヤクザ達は、その男を殴りつけ、別の日に八重が青森の友人に会いに行って帰ってきたら、店で男同士で喧嘩が起こり、おかみさんまで警察に引っ張られていった。

 

八重は、結局おかみさんが帰ってくる前に荷物をまとめてこの店を出ることになってしまった。どういうこと? 何が起こってどうなったのかがよく分からない場面でした。八重は堅気の職業に就こうとしたけど結局ダメだったと後に話してるけど、このおでん屋は普通のおでん屋だったの?

 

結局、娼妓として働くことにした八重。置屋のおかみさんが沢村貞子さん。青森にいた頃は派手な格好をするわけでもなく普通の服装だったけど、東京で娼妓として働いてた頃は芸者さんみたいな姿でした。

 

10年経ち、1958/昭和33年に売春禁止法が施工されることにより置屋も廃業することになった。ここの置屋のおかみさんや旦那さんは終始親切そうな感じで前もって廃業するからこれからどうしようかと女性たちと話し合いを持っている。しかし集まって話してる時に新聞記事が目に入った八重はその新聞を持って自室へ行く。

 

新聞には樽見京一郎という男が刑余者の更生事業資金に3000万を寄付したという記事が写真付きであった。その写真を見て、名前は違うけど犬飼多吉だと確信した八重は、今後の身の振り方を相談したい人がいるとして置屋を出た。

 

八重は京都にいる樽見京一郎を訪ねた。豪邸に行くと着物を着た上品な女性がでてきた。樽見の妻の風見章子さんは「おしん」では希望の師匠の奥さんだったり、着物の似合う上品な女優さん。樽見に会いたいというと通してくれた。

 

樽見と再会するが、いくら別人だと否定しても犬飼さんにお礼も言わせてくれないんですか?と食い下がる八重。ついに樽見は八重の首を絞めて殺してしまう。それを目撃してしまった書生の竹中をも殺めてしまった。二人を運んで海へ遺棄した。

 

遺体があがり、当初、二人は心中と思われたが、八重の着物の胸元に樽見の新聞記事が挟まれていたため、味村刑事(若手時代の高倉健さん!)が樽見に会いに来る。

 

八重の周辺を調べるうち、東京に刑事が訪ねてきたという話を耳にし、味村刑事は弓坂刑事に会いに北海道まで行く。弓坂は刑事を辞め、少年刑務所の刑務官になっていた。事件の話をして、弓坂を京都へ呼ぶ。弓坂はこの10年で犬飼の事件が解決せず、責任を取らされるなど苦労したらしい。

 

どんどん追い詰めていくが樽見はあくまでシラを切る。ついに10年前のことを話し始めるが、質屋の強盗殺人を犯した二人とは強盗後に偶然知り合った。行動を共にすることになり、海へ乗り出すが、その二人が仲間割れをして喧嘩し始め、一人が海に落ち、舟に残った一人から襲われそうになったため正当防衛で海に落とした。舟に二人が盗んだ現金が残されたため、警察にこの顛末を言っても信じてもらえないと思い、現金を持って故郷に帰って商売を始めた。ここまでの話を信じてくれなければ先の話はしないというが、刑事たちは樽見を留置場に入れる。私は最初の数分を見逃していたため、強盗殺人は樽見の言ってることが真実なのか分からない。

 

樽見はすごく貧しい中で育ち、小学校を出たばかりで大阪に丁稚奉公に行き、その後、北海道で農地開拓をしていた。周りも貧しく、母親に現金書留を送る人は樽見以外いなかった。樽見の妻は、終戦後に毛色の違う赤子を産んだ身寄りのない女性で泣いてばかりで樽見のことで有力な証言はなかった。

 

樽見は北海道に行きたいと弓坂に頼み、刑事同伴の元、連絡船に乗った。花束を二つ持った弓坂が生前の八重を知ってるのは二人だけだからと花束を海に投げ、お経を唱えた。花束を持った樽見はそのまま海へ飛び込んだ!!!(終)

 

びっくりした!!

 

一緒に見ていた母は、弓坂が死に場所を提供してあげた的なことを熱心に語っていました。昔の金田一とかでも最後に犯人が自殺するというのはよくあったけど、今は連行されるのが普通?だから突然のことにびっくりしすぎて。

 

長い映画だけど見て損はありません。それぞれの演技がすごくて。

 

八重と言う女性は、父親の話だと高等小学校を卒業して普通の仕事をするんだろうと思っていたら、娼婦になっていた。八重もせっかくお金をたくさん分けてもらったのに(強盗殺人で得たお金は70~80万で、八重にあげたお金は3万4000円といってたかなぁ)、借金を返して、父親や妹弟たちにもお金をあげたのに、結局、東京に出て堅気の職業に就けなかった。亡くなったときも100万以上お金を貯めていたそうだけど、社会的に成功できた樽見とできなかった八重の違いは何?

 

昔の名作を安易にリメイクはせず(現代設定なんてもってのほか)、そのままテレビで流せばいいのに。地上波でもドラマの再放送とかやってるけど、もっと昔のをやって欲しいんだよなー。今とは違う価値観の話を見るのはムカつくこともあるけど、面白い。

 

カテゴリー分けをしていて恐ろしいことに気付きました。 

peachredrum.hateblo.jp

 2013年に見ていた?! こんな日本映画があったんだ、とびっくりしたのに、今回すっかり忘れて見入ってしまいました。途中で、ん?これ見たことあるなとも思わず最後まで見ていたのです!

 

自分の記憶力が怖い…。