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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(50)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)のことをけなされたと怒り出した宗俊(津川雅彦)は、縁談を放りだして東京に帰ると騒ぎ出す。洋三(上條恒彦)はあきれ、正道(鹿賀丈史)が必死に引き止めるが、それは宗俊の駆け引きだった。波津(原泉)は、そばを打っている邦世(磯村みどり)の隣へ元子を連れてくる。邦世は意図を察し、そばの細く長くしっかりとお付き合いを願う、といういわれを披露する。どうやら波津も邦世も元子を気に入ったようで…。

オープニングはスキャットがなくなっただけでなく、人形も変わったんだね。

peachredrum.hateblo.jp

前回の続きから

元子「お父さん!」

正道「申し訳ありません。今、事情を説明しますので、ちょっと待ってください」

宗俊「さっきから待て待て、待て待てとな、こっちゃあ、あさっての分まで待たされてるんだい!」

元子「お父さん…。申し訳ございません。ただいまあちらに連れてまいりますので」

 

前回ラストのシーンと同じ流れだけど、宗俊のセリフが”俺ぁ”が”こっちゃあ”になってたり、”待ってる”が”待たされて”になったりしてるから、改めて50話分として撮影してるんじゃないかな。元子のセリフも微妙に違った。

 

宗俊「起きやがれ! なにもこっちは謝る筋合いはねえんだい」

洋三「だからといってですよ、義兄(にい)さん」

宗俊「うるせえ! 別に立ち聞きしたわけじゃねえがな、女なんてより取り見取りだって言われたんだぞ。はばかりながら、こちとらな、一山いくらの娘を育てちゃいねえんだ。そこまで言われてよ、無理にお願いするわけにいかねえんだ。さあ、帰(けえ)るぞ。おう、行くぜ、モンパリの」 

洋三「バカも休み休み言いなさい! 僕はあなたがそこまで出来損ないだと思わなかった」

元子「いいえ、叔父さん」

洋三「もっちゃん」

 

元子「大変失礼いたしました。皆さまにはご挨拶も致しませんうちにご無礼を申し上げましたが父がこう申しておりますので、これでおいとまさせていただきます。ごめんくださいませ」

正道「ガンコさん!」←元子さんじゃなくガンコさん!

元子「もういいんです」

波津「ちょっと待ちなさい。もういいとはどぎゃんことですか」

宗俊「もういいってのは、もういいってことですよ。おい、元子、行くぜ」

洋三「義兄さん、ちょっと…」

 

廊下を歩いていく宗俊を追いかける元子。

正道「元子さん!」

元子「ごめんなさい。とんでもないことになってしまって」

正道「いや、そんなことよりとにかく戻ってください。話し合えば誤解は解けます」

宗俊「さあ、そいつはどうかな」

正道「お父さん」

微妙に丈の短い着物、短髪ヅラ、裸足…何でもかんでも面白く見える大原さん。

 

正道「元子さん」

元子「大原さん」

正道「いけません。このまま東京へ帰っちゃいけません」

元子「ええ、私もこのままでは東京へ帰れません。でも、ここに残れるわけもないでしょう」

正道「元子さん」

元子「とにかく父に話をして私は松江に残ります。決してご迷惑はかけないつもり」

正道「どういう意味ですか、それは」

元子「例えば住み込みでも何でもいいから、そこで目いっぱい働きます」

 

立ち聞きする波津。

 

正道「働くって何する気ですか?」

元子「日本橋の女はこういうもんだというところを松江の方にも見ていただいて、それでサッと引(し)き揚げれば、父が勝手に押しつけたがっていたとは思われずに済むでしょう」

正道「それじゃあ、結局は物別れですよ」

元子「いいえ。その時は一人(しとり)では帰りません。正道さんの嫁には、あの娘が一番ふさわしいと、ご本家の方にも見直していただいて、そうすれば私、正道さんと一緒に帰れますもの」

正道「元子さん」

 

波津「正道、こぎゃんとこで何をしちょうだや」

正道「えっ…はい、おばあさん」

波津「私はね、元子さんに見せたいもんがああますだけんね、あんたはね、早いとこ、お父さんとこ行ってご無礼をおわびしてきなさい。元子さん、さあ、こっちへ来(こ)さっしゃい」

正道「いや…」

 

客間

正道「桂木さん」

宗俊「おう、こっちなら大丈夫(でえじょうぶ)だからよ、え、お前さんも一息入れたらな、しっかりと詰めの方を頼むぜ」

正道「はっ?」

宗俊「今のはな、河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)、一世一代の駆け引きだ」

正道「駆け引き?」

宗俊「ああ、そうともよ。かわいい娘がほれた相手だ、え。いきがって仲を引き裂く親がどこにある、え」

正道「あ…どうも申し訳ありません」

宗俊「おう」

 

台所

邦世がそばの生地を伸ばしている。

波津「元子さんもそば打ちなさあかね?」

元子「いえ、拝見するのも初めてです」

波津「あ~、そげかね。松江ではね、どげんなお客さんにでも、まず、そばが一番のもてなしだけんね。そばが打てんやなことでは一家の主婦とは言われませんけんね」

元子「はい」

波津「そば粉もね、初(はず)めはパラパラしちょうだども練っていくうちに自然にまとまってくうもんですけんね」

元子「はい」

 

波津「邦世さん、ほんなら見せてあげてごしない」部屋を出て行く。

邦世「はい。ここらではね、そばの三(み)たてがおもてなしになっちょうますけんね」

元子「そばの三たて…」

邦世「はい。ひきたて、打ちたて、ゆでたてで三たて」

元子「はい…」

邦世「初めはなかなかその加減が分からせんでしたども、おばあ様にそうはもてなす人の心で決まあと言われて、あとはだんだんと自分のそばが打てえようになあました。お父様のお口に合あといいんですがねえ」

元子「そんな…」

 

邦世「ああ」

元子「あっ、いえ、私が」

邦世「あっ…ああ、すいません」

元子「いえ」晴れ着のまま、かまどの火の調節をしている。

邦世「古い釜だらがね」

元子「ええ」

邦世「正道の産湯もその釜で沸かしましたけんね」

元子「まあ」

 

邦世の思いがけない言葉と釜からの湯気が元子の胸を温かくして、やがて、そばも出来上がり…。

 

客間

邦世「こげん田舎で東京の方にはお恥ずかしい次第でございますが、こちらでは細く長くしっかとおつきあいをお願いしたいいういわれでございますけん」

宗俊「そうですか。そういうことなら遠慮なく」

元子「お父さん」

宗俊「昔っからな、そばは出雲の手打ちそばってな、心を込めて打ってくだすったんだ、遠慮なくごちそうになりましょう」

 

邦世「ああ、先に薬味をそばの上へかけられて」

宗俊「へいへい」

邦世「その上から汁をかけて上がってごしなさいませ」

宗俊「えっ、汁を上から?」

正道「はい。それがこちらのそばの食べ方なんです」

宗俊「ほうほう」

邦世「ほんならどうぞゆっくり召し上がってごしなさいませ」

 

宗俊「へい、頂戴いたします。え~っとこりゃ何だか…面白いやり方だな。まあ、郷に入れば郷に従ってと…。さあ、やっつけてみよう。うん、こりゃ、うめえや。うん、さすが天下一品だよ、正道さん」

正道「はい、自分もそう思っております」

元子「一体どういうつもりなの!」

宗俊「バカ、今のおっ母さんの口上を聞いたか。細く長くしっかりとって、これは縁起もんの挨拶だ」

元子「だったらどうしてあんな騒ぎを起こしたんですか」

正道「それより元子さん、祖母は何を申しましたか」

宗俊「ああ、心配するな。『雨降って地固まる』な。俺があれだけのたんか切ったんだ。後はなるようになるさ。なあ、正道さん」

正道「はい」

 

雪がちらつく大原家の庭。

 

さて、宗俊の江戸前けんかの売り方、答えはどのように出たのでしょうか。意地でも松江に踏みとどまるという元子の決意も波津の口から大原家の親族会議に伝えられ、改めて両家ご対面の席が設けられました。

 

宗俊にお茶をたてて出す波津。

宗俊「頂戴いたします」所作が美しい。「いや~、結構なお服加減でやんした」

波津「いやいや、亭主としてはまことに爽やかなお客さんでございました、久々に。ほんにお見事な…失礼でございますが、お手前で」

宗俊「いえ…昔っから江戸染ってのは粋筋、芸人が相手の商売でやんすから、あっしの師匠は芳町のきれいどころ、歌舞伎の役者衆で、その、ひっかき回す方は、まるっきし駄目なんですが、まあ飲む方専門なら、それだけは父親がやかましく言いましたもんざんすからね」

 

忠之「はあ、それはまた一風変わった修業をされたもんでございますねえ」

宗俊「まあ、ひっかき回す方は娘の方は少々できますもんですから、うちでもまあ気が向いたらちょいちょい、それでも戦争からこっちこんないいお茶は、とんと頂いたことはありませんやな。やっぱり松江は茶どころといいますでやんすからねえ」

洋三「まあ、そんなわけでして、こちら様に無断で仮祝言を挙げてしまったことは重々、おわびを申し上げます。しかしながら決して皆様方をないがしろにしていたわけではございません。何せちょいとした連絡にも時間のかかる昨今、手紙で了承頂くのもかえって失礼かと存じまして、こうして直接お伺いしたわけでございまして、そこのところをおくみ取りいただきまして、よろしくお願いしたいんでございますが、いかがなもんでございましょうか」

 

政久「そぎゃんこと言わしゃっても、こげん祝儀、不祝儀は昔から親族が集まって話し合うのが土地柄ですけんねえ」

洋三「ですから、そのことにつきましては当方もよく分かりました。ご意見どおり、ここは一旦、失礼をいたしまして、しかるべき所でご返事をお待ちするということで」

武幸「いや、しかるべきとこと言われてもねえ」

宗俊「いえ、その気になりましたら駅の待合室で一晩(しとばん)や二晩」

武幸「いや、そぎゃんことしたらかえって大原家は客のもてなし方を知っちょらんと世間に恥をさらすようなもんですけんねえ」

政久「そうじゃけえ、今はどげしたら恥をさらさんでいい方法が取れえかと集まっちょるとこじゃないかよ」

 

正道「でしたら、この際、元子さんとのこと気持ちよく認めていただけませんか」

波津「あんたは黙っちょうまさい」

正道「いえ、しかしですね…」

波津「あんたはね、許しが出ようと出まいと、このお嬢さんをしっかりと捕まえておくこと」

泰光「お母さん」

波津「私はね、元子さんのこのきっぱりとしたとこがまことに士族の嫁にふさわして、えらい気に入っちょうますだけんね」

武幸「でも、おばあさん」

 

波津「このお嬢さんならば言葉どおりに覚悟を決めちょられえだけん、一人、松江へ残って働かれても、きっといい評判をとられえに違いないけえ。ここはひとつ、一日もはよに祝言ができますようにご本家にお願いしたいもんでごぜえますね」

政久「ほんなら、おばあちゃんは…」

波津「はい、許します」

元子、にっこり。

波津「ほんに親というものは、いざとなあと何でもできてありがたいもんでございますねえ」

宗俊「へ?」

波津「ほんにお江戸の狂言はさえざえと見事なもんでござっしゃいましたわ。ハハハハ…」

ハッとした表情をし、顔を覆う宗俊。

 

さすが相手も年季が入っていました。全てはお見通しだったようで。

 

宗俊「ふつつかな娘ではございますが、どうぞ末永くかわいがってやってくださいまし」

政久「そうでは、後は当方に任せてごしなさい。直ちに祝言の支度に取りかかあますけえ」

宗俊「へえ」

 

決まったとなれば、その翌日が大原家主催の結婚式です。

 

白無垢姿の元子、きれいだな~。この衣装がものすごく似合う!

邦世「こうはね、私の嫁入りの時に着た衣装でくし、こうがいは、おばあ様のおこし入れに使ったものですけえね。ねえ、昨日は随分心配(すんぱい)しなったでしょう。かわいそうに」

www.cosmetic-culture.po-holdings.co.jp

元子「いえ」

邦世「だどもね、こうもお国ぶりだわね、え。ハハ…だんだんに慣れてごしないね」

元子、大きくうなずくのでカツラが心配になった。

邦世「ああ」

波津「お~、まずまずきれいに出来ましたねえ」

 

元子「お父さん…」

宗俊「あ…ああ」

波津「フフ。今んなって惜しくなっても、もう手遅れですけんね、桂木さん」

宗俊「ああ、とんでもねえ。けど、この姿…かあさんに一目、見せてやりたかったよ、元子」

元子「はい…」

 

何はともあれ桂木元子は今日から晴れて大原元子となったのです。

 

雪が積もる石灯籠。

 

つづく

 

祝言をやったのは近所の人たちにうわさが広まりすぎたからお披露目を兼ねてやったんだよね。だから仕方ないっちゃあ、仕方ないような。でもその後のことは大原さんの根回しがもっと必要だったね。

 

そういえば、今日のオープニングのキャスト表、昨日のキャストから東京組を抜いたメンバーだったけど、今日、田中美佐子さんいた? キャストには出てたけど見かけなかったような…。

 

私は意外と、昭和の朝ドラの予告も週タイトルもない方が楽しめるかも。1週1テーマじゃなくもっと大きなくくりで描いてもいいと思う。同時代の金八先生の予告だと逆に見せすぎるくらい見せたりするんだよね。

 

大原元子さん…最初からこの名前だったみたいにしっくりくる。