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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(50)「最後の一人まで」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

花岡写真館の技師の浦田(にわつとむ)も兵隊に召集されることになった。だが、女学生の町子(尾高杏奈)は浦田の出征を心から祝う。浦田は、そんな町子をけげんに思う。結婚を控えている町子の叔母・昌江(尾野真千子)も「町子には好きな人がいないからわからないのだ」という。そんな中、町子が愛国小説を書いていることをカンジ(森田直幸)に話すと、カンジは町子に日本軍の非力さと尋常でないさまを告げるのだが…。

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前回の振り返り

浦田「あちこち挨拶行ってた。召集令状が来たよって」

町子「あ…」

浦田「来週、滋賀に帰ってから入隊です」

振り返りここまで。

 

敬礼する浦田とうなずく町子。

 

大人町子「写真館の技師、浦田君から兵隊に行くことを聞かされたのは、ある日の夕暮れのことでした」

 

町子「お国のために戦うんやね」

浦田「うん。まあ、そやな…」

浦田はしゃがんでポパイをなでるが、ポパイは浦田を見ない。手を出しても避ける(笑)。

 

町子「男の人はええなあ」

浦田「お? 何でや? マコちゃん、意味、ちゃんと分かってるか? 僕、これから戦争行かなあかんねんで」

町子「分かってる」

浦田「戦争行ったら鉄砲の弾に当たって死んでしまうかも分かれへんねんで」

町子「日本と日本の国民を守るためやし、私もその覚悟はできてる」

浦田「はい…」

町子はポパイと散歩に行き、浦田は帽子をかぶる。

 

大人町子「そして、次の日曜日、浦田君を送る壮行会が行われたのです」

 

ダイニング

常太郎「遠慮せんと飲むんやで」

浦田「はい」

常太郎「こういう日のために配給券ためて、お酒を用意したんやさかい」

ウメ「…とか何とか言うて、自分が一番飲みたいんやわな」

一同笑い

 

常太郎「あっ、浦田君、あの、弾に当たらんおまじないは知ってるか?」

浦田「そんなんあるんですか?」

常太郎「『天気予報、天気予報』て言うねん!」

孝子「ほんまや。このごろいっこも当たれへんもん!」

一同の笑い声

 

浦田「あ~、そういうことですか!」

常太郎「弾にだけは当たりなや。うまいこと逃げなあかんで」

イト「素早うダ~ッと走るんやで!」

茂「そやで!」

浦田「やってみます!」

 

町子「兵隊が逃げたら誰が戦うの…」

 

浦田「いただきます!」

 

泣きそうな昌江。

町子「昌江ねえちゃん?」

泣きながら席を立ってしまう昌江。

徳一「昌江?」

常太郎「何やお前、どないしたんや!? あっ!」浦田を見る。

浦田「うん?」

町子「えっ!?」

 

浦田「あ…いや、違いますよ! 違います! 違います!」

茂「ほんまに?」

浦田「はい!」

イト「ほな何で、あの子…」

 

昌江の部屋

泣いている昌江。前は昌江、文代の部屋の奥に町子たちの部屋があったけど、今は戸が閉められていて仕切られてるんだね。

昌江「マコちゃん…」

町子「みんな、心配してた」

昌江「ごめん…」

町子「どないしたん?」

昌江「うん…」

 

町子「『浦田君と何かあったん違うか』て、おじいちゃん慌ててた」

昌江「私が? 文代姉ちゃんと亀田君みたいに? 違う…。みんな、行ってしまうんやなあて…。いつか、あの人も行ってしまうんやなあて…。そう思たら…」

町子「しょうがないやん。日本を守るためやもん。私が男に生まれてたら喜んで戦いに行く」

昌江「マコちゃん、好きな人いてへんからや」

町子「関係あれへん」

 

昌江「いつか文代姉ちゃんが一晩中、外歩いて怒られたことあったやろ。あの時は分かれへんかったけど、私、今やったら分かる…。人、好きになったら…寂しいて不安でたまらんようになんねん…。マコちゃん…まだ、きっと知らんね…」

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腑に落ちない表情の町子。

 

写場

カメラを磨く浦田。磨いたカメラを棚に戻し、写場をゆっくり見て回る。

浦田「ありがとうございました!」

誰もいない写場に頭を下げる浦田を見ていた町子。

 

女学校の裁縫室

町子「『しかし、我々は王と祖国のため、戦い抜きましょう。最後の一人まで戦うということは限りなくも尊くもまた正しいことなのです。祖国愛に燃えたアンガマダ兵士は…』。どないしたん?」

町子は自分の物語をキク、梅原に読んで聞かせる。2人は裁縫中。

 

キク「ずっとアンガマダ人しか出てけえへんの?」

町子「そやから横暴非道なカメリア人軍に祖国を蹂躙された南洋のアンガマダの人々の話やないの」

梅原「どこにあんの? その国」

町子「架空の国。僅かな兵力と武器をもって大国に立ち向かっていくの。これは我が祖国、日本が今、置かれている状況を…」

 

梅原「そんな戦争ごっこは男の人に任しといたらええやないの」

町子「あんた! そんなことでは大東亜共栄圏の盟主にはなられへんし、もっと日本人としての自覚を持たな…」

キク「それより、この間の梅原さんの詩、よかったやんか。なっ」

 

梅原「『乙女と子猫』?」

キク「あれ、読んで」

梅原「『今 思い出の丘こえて 夕べの雲は帰るけど 乙女の胸に抱いていた 可愛い子猫は帰らない』」

キク「ええわ~!」

梅原「子猫の死んだん歌ったの」

 

町子「あんた、猫、飼うてへんやんか」

キク「続き、続き!」

梅原「『乙女よ 乙女 なんで泣く』」

キク「『乙女よ 乙女 なんで泣く』」

 

廊下で話している先生たち。

町子「黒沢先生や」

キク「そういうたら英語クラブなくなるみたいやで」

梅原「お父ちゃん言うてた。『英語の先生は学校辞めなあかんかも』て」

町子「黒沢先生も?」

梅原「まあ、そやろね」

 

手を振って裁縫室に入ってきた黒沢先生。「ふたりっ子」は見てなかったけど、菊池麻衣子さんは知っている。

黒沢「自習?」

町子「はい」

たくさんの本を抱えた黒沢先生が町子たちの前を通る。

 

町子「あの、先生、英語の授業、もうずっとあれへんのですか?」

黒沢「うん」

町子「そしたら…」

キク「先生は辞めはるんですか?」

 

黒沢「いいえ。家政科で和裁を受け持つことになったの」

キク「和裁?」

梅原「あっ、そやからそれ」

黒沢先生が抱えていたのは洋書。

黒沢「そう。こんなに邪魔者扱いせんかてええのにね…」

 

女学校の帰り道

梅原「敵性語の本はみんな捨ててしまうねやろか?」

町子「家政科の先生になりはるやてびっくりしたわ」

キク「ほんま。『ネズミに水』やわ」

町子・梅原「『寝耳に…水』!」

キク「え? ネズミやないの?」

梅原「何言うてんの! キクちゃん」

 

こういう間違いってやっぱり字を見ないからかな。うろ覚えをうる覚えとか一応を一様とか時々いるよね。だから私は勘違いが多いからテレビ見る時は字幕命なのです。

 

町子「はあ…。『トム・ソーヤ―』はどないなんねやろ? 何や、どんどん面白ないようなっていく…」

 

キクの部屋

町子「『少女の友』寂しなったなあ」

キク「やっぱり中原さんの絵がないとねえ。うっとりするなあ、やっぱり。空襲の時は絶対これ持って逃げんね!」

町子「私も!」

 

キク「はあ~、アイスクリーム食べたいなあ…」

町子「金時アイス、アイスもなか、みつ豆

キク「うぐいす餅、桜餅、かしわ餅」

梅原「いや~、もう、やめて~!」

 

町子「はあ~。『欲しがりません、勝つまでは』か…」

梅原「『ぜいたくは敵だ』」

キク「『ぜいたくは…素敵だ~』」

3人の笑い声

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この番組の中でも「贅沢は素敵だ」が出てきた。興味深かったな~、この番組。

 

町子「キクちゃん!」

梅原「何、言うてんの!」

 

町子が階段を下りると、カンジが手を洗っていた。

光男「おっ、カンジ君、お疲れさん!」

カンジ「失礼します」

 

町子に気付いたカンジ。「よっ!」

何となくうなずくだけ。

 

梅原「キクちゃん、ありがとう!」

キク「うん」

梅原「お待ち遠!」

 

なんとなく町子とカンジを見るキク。

町子「行こ」

梅原「うん。ほな、さいなら」

町子「ほな」

キク「ほなな」

 

梅原と町子の後ろを歩くカンジが話しかけてきた。「読んだか? レイモント。おもろいんやで。ほんまのとこ」

 

町子「ほな、明日ね、キクちゃん」

キク「うん」

 

工場を出たところで梅原とも別れる。

梅原「ほなね」

町子「ほな」

 

町子の歩いていく方向についていくカンジを見ているキク。

 

川べりの道を歩いている町子。「ついてこんといて!」←この辺がミニ予告

カンジ「俺もこっちやねん。何か怒ってる」

町子「あんなとこでしゃべらんといて!」

カンジ「ほな、どこやったらええの?」

 

2人は川の土手に移動。

カンジ「あ~、気持ちええなあ!」

町子「何で分かったん?」

カンジ「うん?」

 

町子「こないだ『あんた、何か書いてんねやろ』て」

カンジ「ああ…大きいタコ」

町子「あ…」ペンだこか。

カンジ「どんなん書いてんの? 谷崎みたいなやつ?」

 

町子「ううん、ちょっと違う…。横暴非道なカメリア人に祖国を蹂躙された南洋のアンガマダ人が僅かな兵力と武器をもって必死に戦うの。愛国小説」

カンジ「女学生はみんな、そんな勇ましいこと考えてんのか?」

町子「銃後を守る婦女子には気概が必要やの。そやのに、おじいちゃんなんか『弾に当たらんよう逃げなあかん』なんて言うたり、昌江ねえちゃんかて…。とにかくそんなことでは勝たれへん」

カンジ「あんたは勝つと思てんの?」

町子「当たり前やん! なんてこと言うの!」

 

町子「思てへんの?」

カンジ「新聞の言うことだけうのみにしてたらあかん」

町子「え?」

カンジ「知ってるか? 飛行場。半分潰してサツマイモ植えてんねんで」

町子「サツマイモ?」

 

カンジ「蒸留してアルコール造って、それ燃料にすんねんて…。アホらし思えへんか? ブンブン飛んでる敵機は竹やりで落とせ。焼夷弾はバケツの水で消せ。そんなこと言うてんねんで、大人たちは」

町子「学校、行ってへんの?」

カンジ「どうせもうすぐみんな勤労動員で勉強なんかでけへんようになるしな。食べることが先や。ほんまのとこ。おなかへった~!」

 

町子「私、そろそろ帰る」

カンジ「ほなな」

町子「ついてこんといてな」

カンジ「行かへん、行かへん」

 

花岡家玄関

町子「ただいま!」

孝子「お姉ちゃん、ちょっとちょっとちょっとちょっと!」

町子「何やの?」

孝子「ええからはよって! はよはよ!」手を引っ張って町子を連れていく。

 

写場

常太郎「目線をこの真ん中の方にお願いします。あ~、いいですねえ! そしたら撮りますよ」

キレイな和服姿の女性。

町子「あっ、あの人!」

 

常太郎「さすが女優さん。絵になりますなあ」

あやめ「でも私、ブロマイドではいつも怒ってるみたいって言われますのよ」

常太郎「りりしいお顔だちということですよ」

あやめ「まあ!」

 

ミニ予告

自室で雑誌を見ている町子。

 

古城あやめ役の愛華みれさんは「ゲゲゲの女房」では茂の兄嫁の村井佐知子さんだったなー。いつもお風呂借りに来る人ね。

 

昭和3年生まれの町子と「純ちゃんの応援歌」の純ちゃんや「マー姉ちゃん」の終盤に出てきた満州帰りの道子は大体同年代くらいかなあ。純ちゃんも道子も軍国少女ではなかっただろうなとなんとなく想像がつく。純粋過ぎるくらい純粋な人がそうなっちゃうのかな。