公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
町子(藤山直美)の原稿の紛失事件で、家政婦のヌイ(西岡慶子)が辞めたことを知ってから登(神保守)の様子がおかしい。また、登の最近のいたずら癖に気づいた町子は、紛失事件の真犯人が登であることを悟り、問いつめるが、登は本当のことを言わない。そんな時、町子は子どものころの苦い経験を思い出す。小学生の町子(山崎奈々)は、学校のテストの成績のことで、母・和代(鈴木杏樹)にウソをつき、ひどくしかられ…。
朝、徳永家茶の間
由利子「おはよう」
一同「おはよう!」
町子「パンは自分で焼いてね」
由利子「は~い」
清志「お姉ちゃん、僕のもやっといてな」
由利子「あかん」
清志「え?」
由利子「これから自分のことは自分でしてください。女の子にだけ用事言いつけんといて」
清志「ケチ。ついでやんか」
隆「お手伝いに来てはった、おばちゃん辞めはったん?」
町子「うん、まあね。さっさと食べなさい。ねっ」
登「ごちそうさま」
イシ「残ってますで」
登「もうおなかいっぱい」部屋を出ていく。
健次郎「珍しいな」
由利子「昨日、清志とけんかしてたから」
清志「あいつが悪いねん。悪さばっかり」
由利子「男の子は野蛮やから嫌やわ。あっ、体操のシャツ、洗濯出すの忘れてた」
清志「僕もや。お姉ちゃん、僕のも一緒に出しといてな」
由利子「あかん」
清志「え?」
健次郎「何か由利子、急に目覚めたみたいや。なっ」
町子「ええ…」
子供たちも少しずつ自分のことは自分でやり始めたのかな。
回想
町子「原稿は? ちょっとここに置いてあった茶封筒は? ねえ、近藤さん。ここに置いといたでしょ、原稿!」
町子「貸して貸して! ちょっとこれ! 手伝うて! 一大事! 一大事!」
ヌイ「ワテ、あの新聞紙だけ別に…」
登「僕、知らんで」
町子「え?」
登「知らん!」
回想ここまで
あわやのところで町子の原稿が紛失する事件。家政婦のヌイが辞めたと知ってから、登の様子がおかしくなっていました。
仕事部屋
右手にペン、左手にふかし芋を持ち、頬張りながら原稿を書いている町子。部屋の窓から登がしょんぼりしていたのが見えた。
野山「花岡町子。花岡町子!」
小学校の担任の先生の声から回想へ。セピア色からカラーに。
教室
返された算数のテストが42点だった町子はため息をつく。
野山「ハヤシカズコ」
ハヤシ「はい」
ヨシコ「マコちゃん、どやった?」
町子「あかん、全然。死んだ方がマシ」
野山「は~い。何べん見ても点数は変わらへん。後ろの席の者、集めて前に持ってくるように」
ヨシコ「またやろか」
町子「神様、今回は違いますように」
野山「君たちの本分は勉強や。家の人には学校で君らがどれだけ頑張ってるか知ってもらう必要がある」
町子「ああ、やっぱりまたや」
野山「毎回言うが、成績の悪い者は、それを恥じて日頃の反省をする機会にしてほしい。よろしいか?」
町子、会釈しながらうなずく。斜め後ろはマサル君。
空き地
ヨシコ「何で試験の答案をそれぞれの家に回さんとあかんの」
町子「ヨシコちゃんは、ええやんか。まだ上の方やもん。私なんか…」
ヨシコ「うちかて前より下がったから怒られる。けど、マコちゃん、何でか実力試験になると調子悪いなあ。ふだんはうちの方があかんのになあ」
町子「点数のええ順に綴じるやなんて、ようほんま、そんだけ意地の悪いこと考えつくわ」
ヨシコ「鬼や」
町子「鬼や! どないしよう…。お母ちゃんが見たら、もっと鬼になる」
ヨシ子「家に回ってくるまで何日かあるやろ。その間が地獄やねん。1日目にしてもらいたいわ。うち、さっさと済ましたい」
町子「私は永久に回ってこんといてほしいわ」
けんけんぱしている。すごい時代だな~、それとも教育熱心な地域性?
花岡家台所
イト「今日は丹波のお客さんから栗、ようけもろたさかい、明日、栗ごはんにしますわな」
常太郎「季節やなあ。おう、孝子、明日な、栗ごはんやて」
孝子「えっ、ほんま!?」
常太郎「うん」
玄関前の廊下
孝子「栗ごはん! 栗ごはん!」
町子「ただいま」
孝子「お姉ちゃん、えらいことや!」
町子「え?」
孝子「明日、栗ごはんなんやて。栗ごはん!」
町子「ええなあ…子供は無邪気で」
和代「町子、こないだの試験の答案、まだ返ってけえへんの?」
町子「うん、まだ!」
和代「そう…」
常太郎「町子、お帰り。明日、栗ごはんやで」
町子「うん」
常太郎「え? 何やうれしないのんか?」
町子「ううん、うれしいよ! 栗ごはん! 栗ごはん!」
常太郎「子供は無邪気やなあ。栗ごはん! 栗ごはん! 栗ごはん! もうやめとこ」
おじいちゃん、面白い!
そして次の日も…
台所
つまみ食いをしに来た町子。
和代「町子。答案の回覧、もう始まってんの?」
町子「ううん、まだ」
和代「いつからやの?」
町子「う~ん、聞いてへん」
和代「結果、どないやったん?」
町子「それがまだ返ってきてへんねん」
和代「町子」
町子「はい!」
和代「孝子にもお芋さん持ってったげ」
町子「あ…うん。はい」
町子の部屋
左手に持った芋を食べ、右手にも孝子の分の芋を持っている。
町子「どないしよう…。もうすぐ回ってくんのに、どないしよう~!」
孝子「お姉ちゃん!」
町子「急に開けんといて! びっくりするやんか!」
孝子、黙って部屋を出ていく。孝子がわがまま妹みたいな感想も時々見るけど、感情のふり幅が大きい町子に振り回されてるようにも見えるんだよねえ。
数日、このようにしのいでいた町子でしたが…
放課後、学校を出てきた町子たち。
いずみ「あれ? ヨシコちゃん、何か変やで」
ヨシコ「え? こうやろ?」
町子「違うって! こうや!」スキップの練習。
セイジ「おっ! あっこの空き地で缶けりや!」
町子「うん、分かった! 行こ、行こ!」
花岡家玄関
町子「ただいま! 行ってきま~す!」
町子がランドセルを置いて、玄関を出るとマサルが立っていた。
町子「マサル君…。何か用?」
マサル「試験の回覧やで。ほんならな」
ついにその日が来ました。
玄関に戻り、ランドセルの脇にそーっと回覧を置き、出かける町子。
四年三組
囬覽
空き地
町子「やった~!」
セイジ「また花岡や~。1,2,3,4,5,6,7,8,9,10。見つけた!」
缶を蹴る町子。「やった~!」
セイジ「あ~、もうまた花岡や…」
「やった~!」喜び合う子供たち。
セイジ「1,2,3,4,5,6…」
セイジ「坊さんが屁をこいた!」
カメラ目線でポーズをとる町子。←ミニ予告ね。
セイジ「坊さんが屁をこいた! フトシ、動いた!」
フトシ「クソ~」
セイジ「坊さんが屁をこいた! 花岡、動いた!」
町子「動いてへん」
セイジ「動いてた、今! 動いた、動いた!」
「もう、帰らな! また明日!」
「また明日!」次々帰っていく子供たち。
「はよ、やり! 最初から!」
夕方、空き地
「ケンケンパ、ケンパ、ケン…パ、ケン…ケンパ、ケン…」
「あっ、私、もう帰らな。ほな、また明日」
町子「ほな、また明日。セイちゃん、柿取りに行けへん?」
セイジ「柿かあ…」
町子「行こうな。空き家の庭にあんねん」
セイジ「もう暗なるで」
町子「大丈夫やて」
セイジ「俺も帰ろっと」
町子「え~っ!」
セイジ「また明日!」
町子「セイちゃんのイケズ! 薄情もん!」
独りケンケンパをする町子。
ダイニング
ウメ「子供がこんな遅うまで表にいてたらカモカにさらわれますねんで」
町子「はい。以後、気を付けます」台所にいる和代の様子をうかがう。
イト「町子、はよ座り」
町子「あ…はい」
昌江「あれ? みんなは?」
徳一「うん? 明日までに上げんならん仕事が重なっててな、交代で飯にしよういうことになってん」
昌江「いや~、商売繁盛やこと」
ウメ「文代は?」
イト「もう帰ってくる頃ですけど」
昌江「いいな、お姉ちゃんだけ」
徳一「まあ、ええがな。いただきます」
町子「いただきます」
イト「ほな、夜食の方、用意した方がええかな?」
徳一「いや、そこまでせんかてええわ」
和代が町子の隣に座る。
徳一「うん? 何や、町子、元気あらへんな? どっか痛いんか?」
町子、首を横に振る。
イト「昌江。お揚げさん取ってくれる?」
昌江「うん。1個でええの?」
イト「うん」
昌江「バアバアばあちゃんは?」
ウメ「あ~、もう結構や」
ごはんが口に入っていかない町子。
子供部屋前の階段に座っている徳一と孝子。部屋からは町子の声が聞こえる。「ごめんなさい! ごめんなさい!」
和代「泣いたら許してもらえる思てたら大間違いや! ちゃんとお母ちゃんの顔、見なさい。『回覧がいつあるか知らん』て言うたね? 知らんはずあらへんわね。うそついたの!?」
町子、和代の顔をチラ見。
和代「成績が悪いのもあかんけど、ようそんなうそついて! 『うそつきは泥棒の始まり』いうの知ってるでしょ! 平気な顔して、あんなうそついて、ほんま、恐ろしい子や。そんな子は、お母ちゃんの子やない!」
町子「ごめんなさい! ごめんなさい!」
階段下
徳一「バアバアばあちゃん?」
ウメ「どきなはれ」急な階段を上る。「あ…あ…。はあ、はあ…。はあ…、はあ…」
和代「いつも言うてるでしょ! うそは一番あかんの!」
ウメが部屋に入ってくる。
和代「バアバアばあちゃん!」
ウメ「まあまあ…そない…難しい言わんかて。まだちっちゃいのやよって…。はあ…はあ…はあ…はあ…。もうしまへん。これからはもうしまへんよってな…。なっ。なっ!」
町子「堪忍。お母ちゃん、もううそつきません! ごめんなさい!」
部屋の外から見ていた徳一と目配せする和代。
町子「バアバアばあちゃん…」
ウメ「もうしまへん…。もうしまへんな。もうしまへんな」
ウメが中心の家族写真から現在へ。
仕事部屋にいた町子は外にいた登に声をかける。「遊びに行かへんの?」
登「お掃除のおばちゃん、もう、来えへんの?」
町子「うん…。もう来はらへんよ」
登「ふ~ん…。僕と違うで。あのおばちゃんが町子おばちゃんの封筒、新聞の間に挟んでくくってた」
町子「それはうそやね。登君が出かけてから、おばちゃんは新聞を片づけていた」
マチ子と登が話していた庭に白衣を着た健次郎が来て(往診帰り?)、何も言わずに登を立たせるとビンタした。
町子「いや~!」
ミニ予告
笑顔でお茶を飲む町子。
ミニ予告の笑顔に救われる。明日はきっといい解決が待っているのだろう…だったらいいな。