徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(33)「思いやる心」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)の原稿が紛失する。家政婦のヌイ(西岡慶子)が、過ってちり紙交換に出したのではと疑われるが、ヌイには覚えがない。そしてヌイは花岡家から出ていってしまう。また、上司とケンカして会社を辞職したばかりの矢木沢純子(いしだあゆみ)が、カゼで徳永医院を訪ねる。再就職のための大事な面接があるので、注射で熱を下げてほしいと健次郎(國村隼)に頼むが、健次郎は就職と体のどっちが大事やと言い合いになる。

peachredrum.hateblo.jp

昨日の振り返り

朝、徳永家

トイレにいる清志。「はあ〜」

しかし、ちり紙がのりで貼り付けられていた。

清志「誰や〜!?」

トイレの前にチューブのりを持った登がほくそ笑む。次に応接間にあった新聞紙にのりをつける。

 

登がのりを使って何やらいたずらを始めました。

 

仕事部屋から出てくる町子。「あ〜あ、おはようございます」

ヌイ「おはようさんです! あら〜、徹夜でっか〜?」

町子「なんとか原稿上がったんですわ」

ヌイ「大変なお仕事でんな〜」

 

電話が鳴る。

ヌイ「あっ」

町子「あ、大丈夫です。私、出ますから。大丈夫です。あ…」

茶の間のテーブルの上に置かれた封筒。

 

東京都千代田区紀尾井町一-一

(株)大綱社

「小説太陽」編集部御中

 

町子「はい、もしもし、徳永で…あ、花岡です。あ、聞かせてもらってますけども、それでよろしいですか? はい。ありがとうございました。お願いいたしま〜す。はあ…。おなか、すいたわ〜!」

 

こっそり茶の間に入ってきた登は原稿の入った封筒の上にのりでくっつけた新聞紙を乗せた。

 

町子「登君? あんた、はよ学校行かんと遅刻するやないの〜!」

走って逃げ出す登。

ヌイ「アイタタ! おはようさん。行ってらっしゃい! あらまあ遅刻ギリギリやな。奥さん」

町子「はい」

 

ヌイ「そこ済んだら置いといとくんなはれ。ワテ、やりますさかい」

町子「お願いしますねえ。ちょっとおなかに入れてから、私、仮眠させてもらいますわ」

ヌイ「あ、そうでっか。へいへい。あらまあ、もう…新聞3つもとるさかい見てみいな、すぐ、たまってしまうやない! どれ見たかて同じ事件しか載ってへんていうのに、もう」

 

台所

町子「いただきます」

 

「ちり紙交換に参っております」

 

ヌイ「ちょっと、ちょっと! ちょっとどっこいしょっと。よいしょ」

 

「古雑誌、ボロなどございましたら、多少にかかわりませず…」

 

新聞をまとめて持って行こうとしていたヌイは、テーブルの上の新聞紙(と封筒)も手に取った。「よいしょ。よっ」

振り返りここまで。結構長いね。ナレーションが微妙に変わっている。

 

登のいたずらのせいで自分の原稿に大変なことが起きているとは、つゆ知らぬ町子でしたが…

 

外から戻ってきたヌイ。手には少量のちり紙。「こんだけにしかなれへん。新聞紙も安なったもんやな、ほんまにもう」

 

台所でテーブルを拭いている町子を見かける。

ヌイ「あら、ちょちょちょちょ…奥さん!」

町子「はい」

ヌイ「そんな…そんなやってもろたら、ワテの仕事のうなりまんがな! ここ、ワテ、やりますさかい」

町子「そうですか。ほな、私、あの郵便局に原稿出しに行ってきますので、お願いします。あれ、原稿は?」

 

ヌイ「何が?」

町子「あれ? 原稿は? ちょっとここに置いてあった茶封筒は? ねえ、近藤さん。ここに置いといたでしょ、原稿! 茶封筒、茶封筒! 住所書いてある茶封筒!」

ヌイ「知りまへん」

町子「原稿入ってるんですよ! 私の原稿がここに!」

ヌイ「ここ…ここは新聞だけでんがな!」

 

町子「新聞!?」

ヌイ「うん」

町子「ちょっと~!」

ヌイ「あら…。あら~」

 

徳永家を飛び出す町子。「どっち行った? どっち行った?」

路地を自転車で来た貞男。「やあ、何してはりますの?」

町子「ちょっと、ちり紙交換! ちり紙交換て! 車! ちり紙交換の車、どっち行った?」

貞男「あ~、ちり紙交換やったら、向こう走っていきましたで」

町子「あっち? あっち? ちょっとのいて! 貸して貸して! ちょっとこれ! 手伝うて! 一大事! 一大事! 手伝うて! ありがとう! 必ず返すから! ありがとう!」←ここがミニ予告だね。

貞男の自転車を方向転換させて、町子自ら自転車を押していく。

貞男「ちょっと待っとくんなはれ、待っとくんなはれ!」

 

茶の間

健次郎「あれ? 町子は?」

ヌイ「え? あの新聞がどうのこうので出ていきはりましたで」

健次郎「新聞?」

ヌイ「へえ」

 

健次郎「あっ、これからか?」

晴子「うん。お兄ちゃん」

健次郎「ん?」

晴子「あの患者さん、まだ?」

 

健次郎「山内さんやったら来てないで。そない気になんのやったらなんとかしたらどや? お前の患者や。ちゃんと責任持て」

晴子「私の?」

健次郎「そうや。『検査、検査』言う前に食生活とか病歴とか聞いたか? なんも専門外でも問診で見当つくことあるやろ?」

晴子「病歴…」

peachredrum.hateblo.jp

山内「内臓? ワシ、体、どっこも悪いことおまへんで! 酒は飲まんし、毎日ホウレンソウとか体にええもん、いっぱい食べてるし…」

 

晴子「お酒も飲まへんし、毎日いっぱいホウレンソウ…」

健次郎「いっぱいホウレンソウ? 晴子。山内さんの仕事は?」

晴子「溶接工場で…あっ。暑い室内で汗かいて極端な水分不足に…ホウレンソウを多量に…」

健次郎「痛みが背中から腹部に移動しとるとしたら…」

 

晴子「尿路結石の疑い?」

健次郎「そうやとしたら今頃、痛みが腰から移ってひどなってるかもしれん」

電話をかけようとした晴子だったが「直接行ってくる!」と出かけていった。

peachredrum.hateblo.jp

清原先生がなったのは腎臓結石。

 

お茶を飲んで一息ついた健次郎。そこに封筒を持った町子が帰ってきた。「はあ…。はあ…」

健次郎「どないしたん?」

町子「はあ…。はあ…。あった…」

 

ヌイ「♪晴れた空 そよぐ風 港出船の ドラの音愉し」

にらみつける町子におちゃめなポーズのヌイ(なんて表現すればいいんだ!)。

 

テーブルの上に置かれた封筒。

ヌイ「すいまへん…。全然気ぃ付きまへんでしてん…」

町子「もうええから今日は話しかけんといてくださいね」

ヌイ「けどね、ワテ、あの新聞紙だけ別に…」

町子「私の大事な原稿、ちり紙に換わらんでよかったです」

 

ヌイ「そんな言いはりまっけどね、私、原稿とか封筒とか知りまへんねん」

町子「うち、新聞紙はね、ちゃんとよけてあるんですよ」

ヌイ「よけてるもん、なにもわざわざワテかて一緒にしまっかいな!」

町子「現に新聞の間にこれが挟まってたやないですか!」

ヌイ「奥さん、勝手に入れはったちゃいまんのか?」

 

健次郎「2人とも落ち着いて…2人とも。これ、見つかったんやから」

 

町子「どんなに短い小説でもね、私は身削って書いてるんですよ!」

ヌイ「あ~、さよか! よう分かりましたわ! 何だねんな、ほんまにもう! さよか! えらいお世話になりましたな! 何やねんな! もうしょうもない! ほんまにもう! 何やちゅうねん!」部屋を出ていく。

健次郎「ちょっと…ちょっと待って」

 

封筒にのりで貼りついた新聞紙を見つける町子。「これって…。え…」

 

昼、茶の間

今日もうどんを食べる町子、健次郎、亜紀。

健次郎「戻ってきてはれへんの?」

町子「そりゃそやわ」

亜紀「もっと!」

健次郎「うん。どないした?」

町子「あのね…」

 

鯛子「あの~、すいません! 待合室の方へお願いできますか?」

健次郎「昼休みやで」

鯛子「ええ、そうなんですけど…」

健次郎「そうか。はい。ちょっと行ってくる」

町子「うん」

鯛子「すいません」

 

待合室

健次郎「あ…シャンパン」

鯛子「あんまりつらそうなんで」

純子「診察時間前なんでございましょ? 私、待ってますから」

健次郎「あ~、いや、そりゃええんですけど、どないしはりました?」

純子「熱が下がらなくて」

健次郎「とにかく診察室、行こ。はい、立ちますよ。大丈夫ですか?」

 

診察室

純子「ああ~」口を大きく開けている。

健次郎「はい。赤いですね。風邪でしょうね。お薬出しときますから帰ってゆっくり休んでください」

純子「注射してください」

健次郎「え?」

 

純子「熱が下がる注射」

健次郎「いや…そやから薬でだんだん熱は下がりますから」

純子「これから行く所があるんです」

健次郎「アホな…。今日は無理。帰って寝なさい」

 

純子「大事な面接なんです!」

健次郎「面接?」

純子「就職の」

健次郎「アホな! 就職と体とどっちが大事です?」

純子「『アホアホ』言わんといてください! どうしても行かなきゃいけないんです!」

 

健次郎「あのね、体壊してまで仕事して、そんな人生何がええんですか?」

純子「ええか悪いかの問題じゃなくて、私は働かなきゃいけないんです!」

健次郎「もう、そう興奮せんと」

純子「お願いします!」右腕を健次郎の胸にあてる。

健次郎「そしたら、面接が終わったら家に帰ってゆっくり休むこと。よろしいね?」

純子「はい」

peachredrum.hateblo.jp

仕事一筋で真面目な純子は「阿修羅のごとく」の滝子に通ずるものがある。

 

カルテ

矢木沢純子

大正14年6月10日 女

大阪市東区大手前4-1-20

06-373-3083

 

健次郎「『仕事、仕事』て、最近のおなごは赤目つってんな。そろそろ午後、始めよか」

鯛子「はい。山内さん、どうぞ」

山内「はい。あ…」帽子を取って照れ笑い。「あの、おなご先生、あんまりひつこいもんやさかい」

健次郎「どうぞどうぞ」

山内「あ、おおきに。うっ…よいしょ…。あ~…」

 

健次郎「どうですか? きつそうですが」

山内「ここがね…痛いんですわ」

健次郎「ここ?」

山内「はい」

 

健次郎「ちょっといいですか?」

山内「はい。うっ、う、う~…」

健次郎「痛い?」

山内「はい」

 

仕事部屋

原稿を書いている町子。しかし、集中できない。「はあ…。まさかなあ…。誰からがわざわざ隠すやなんて…。アホな。そんなことはない。絶対そんなことはない」

 

清志「お前、ええ加減にせえ!」

 

町子「え?」

 

夕方、茶の間

清志「ええ加減にせ!」

隆は泣いている。

 

町子「ちょっと何してんの? やめなさいて! やめなさい、けんかするのは! どうしたん?」

清志「登がな、自分が読んだマンガ、のりでひっつけて隆が読まれへんようにしてん」

町子「え?」

清志「こいつ、今朝も便所のちり紙ひっつけるし、のりで悪さばっかりしてんねん」

町子「あら…。のり? 登君」

 

登「僕、知らんで」

町子「え?」

登「知らん!」部屋から出ていく。

 

清志「ひっついてないとこの方が面白かったで」

隆「嫌~! そこ読みたい~! アホ~!」泣いて悔しがる。

 

夜、茶の間

町子「尿路結石?」

健次郎「うん。石ができるんや」

町子「その病気やったの? 腰痛の人」

健次郎「うん。酒も飲まへんし、この前の健診でも数値は正常やったから大動脈瘤とか肝臓ではないなと思とったんや。汗かいて、水分補給が不足してるところへもってきて、シュウ酸をとり過ぎると体質的に起こる病気なんや」

町子「ふ~ん」

健次郎「まっ、そやないかなと…」

 

晴子「ただいま」

町子「あっ、お帰りなさい」

健次郎「あのな、山内さん、石溶かす薬出して様子見てるから」

晴子「そう」

健次郎「で、水、よう飲むように言うといたから、多分、それで石も出てくれるやろ。まっ、手術まではいかんわ。だいぶ痛がっとったけど」

 

晴子「『悪い病気やない』て説明したらやっと納得してくれはってん」

健次郎「ええ勉強になったやろ? けど、最悪のことも想定するのが一流の医者やて、私は思てます。今日は病院で手術の立ち会い、3つも入っててん。お風呂入って寝るわ。おやすみ」

町子「おやすみなさい」

 

健次郎「意地っ張りなやっちゃな、ほんまに…。何かあったんか?」

町子「え? いえ、何にも。ねっ、ねっ、あのほれ晴子さん、やっぱし、ほっとしてはるみたいね」

健次郎「うん。まあ、今回大事に至らんかったから、よかったけど…。一つ間違うて一つ分かる。それを大事にせんと医者はやっていかれへん。あんた、小説家のくせにうそ、下手やな」

 

町子「は?」

健次郎「話、したいことあるやろ?」

町子「何にもないよ」

健次郎「あ~あ。まあ、ええわ。話したないねやったら寝よか」

町子「うん」

 

回想

清志「登がな、自分が読んだマンガ、のりでひっつけて隆が読まれへんようにしてん」

登「僕、知らんで」

町子「え?」

登「知らん!」

回想ここまで

 

登への疑いを口に出せない町子でした。

 

ミニ予告

ちび町子のだるまさん転んだ?

 

ヌイさんが全く悪くないかと言えば、新聞をひっくり返すと封筒が見えたはずだから、登のいたずらだけが悪いわけでもない。せっかく18年越しのぬひさんとももさんのやり取りを楽しみにしてたのにここで決別?