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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(77)「年明け ほんわかと…」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

昭和43年元旦、町子(藤山直美)と健次郎(國村隼)は子どもたちとにぎやかな正月を迎えていた。町子は子どもの時代の正月を健次郎と話し合う。校長先生の勅語奉読などの厳粛なしきたり、本家や親せきへのあいさつ回り、そして町子は、家族で楽しんだ百人一首のカルタ取りの思い出にふける。翌日、大御所作家、加藤舞子(岡田茉莉子)と編集者の神辺ソノ子(もたいまさこ)、松岡(寺杣昌紀)が訪れ町子たちはさらに盛り上がる。

昭和43年 元旦

 

昭和43年の元旦には見事な晴天に恵まれました。

 

徳永家の家の前には門松と国旗が掲げられ、晴れ着姿の女性たちが歩いている。

 

茶の間

健次郎「ほな…」

晴子は不在だけど他のみんなはそろって晴れ着を着て、杯を手に持っている。

イシ「あっ!」

健次郎「え?」

イシ「清志の羽織のひも、ほどけてる」

清志「ほんまや」紐を結ぶ。

 

健次郎「改めて…」

由利子「あっ!」

健次郎「え?」

由利子「おトイレの電気、消し忘れた」

健次郎「あ~、もうそんなん後でええ、後で」

 

町子「あっ!」

健次郎「何や?」

町子「忘れたらあかんから今の間に…」健次郎に耳打ち。

健次郎「あ~、そやな」

町子「お願いします」

 

健次郎「ほな…」

一同「あけましておめでとうございます!」

 

隆「お酒や、お酒や!」

登「ふう~、酔うた、酔うた」

喜八郎「これ、これ! ハハハ!」

 

健次郎「あけましておめでとうございます」

喜八郎「おめでとうさん」

町子「あけましておめでとうございます」

イシ「あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしゅうお願いします」

町子「お願いいたします」

 

健次郎「それと今年は金婚式やね。おめでとう」

喜八郎「え?」

イシ「やあ! そうやわ」

町子「お父さん、お母さん、おめでとうございます」

 

大阪と奄美のおせちとお雑煮。徳永家では毎年、大阪風と奄美風、両方をそろえる習わしです。

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大阪のお重は彩り豊かで奄美のお重は煮物系が多い感じ。奄美のお雑煮は丸餅、えび、なると、三つ葉、大阪は味噌とニンジン、ホウレンソウ、丸餅。

 

食事中、登が健次郎のところへ行く。

登「お父ちゃん、何か忘れてはりませんでしょうか?」

健次郎「うん? 挨拶は済んだしなあ」

登「もう、分かってるくせに…」

ほかの子供たちも立ち上がる。

町子「はい」

 

健次郎「はい。ほんならお年玉あげよう。はい、由利子」

由利子「ありがとうございます」

健次郎「はい、清志」

清志「ありがとうございます」

健次郎「はい、登」

登「ありがとうございます」

健次郎「はい、隆」

隆「ありがとうございます」

健次郎「はい、亜紀」

亜紀「ありがとうございます」

 

喜八郎「ハハハハハハハ! ハハハ…! あ~」

拍手して喜んでいる喜八郎の背後に子供たちが集まる。

喜八郎「何や? え?」

子供たち「お年玉!」

喜八郎「そうか、そうか! 分かってる、分かってる。よっしゃ、よっしゃ。じゃあ、じいちゃんが…。あれ? あら? ないな。あっ、部屋にあるわ」

イシ「あげ~、何してんの? もう!」

 

喜八郎「さあ、おいでおいで」

部屋に向かう喜八郎の後をくっついていく子供たち。

町子「えらいすいません、もう。おかあさん、すいません、どうも。すいません」

イシもついていく。

 

茶の間に残った町子と健次郎。

健次郎「現金なもんやな」

町子「ねえねえ、健次郎さん。三献(さんごん)というのは、神様に3つのお膳を献上するて意味なんでしょ?」

健次郎「う~ん、多分な。あのな、昔な、若水(わかみず)いうのもしたで」

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町子「え?」

健次郎「元旦の朝、早うにな近くの泉へ行って水を汲んでくんね」

町子「わあ、神聖な行事やね。私、ちっちゃい時からね、お正月ちゅうだけで、もうウキウキ、ウキウキしてたもん」

健次郎「そうやなあ」

 

町子「朝ね、家族とちゃんとご挨拶してそれから学校へ行くの。で、校長先生の勅語奉読。それからみんなで歌、歌うのね」

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町子「♪『年の始めのためしとて』」

健次郎「♪『終りなき世のめでたさを』や」

 

町子「私の一番の楽しみはね、百人一首

健次郎「え? 家族で?」

町子「もう、その時ばかりはね、お母ちゃんもおばあちゃんも真剣に競い合うてたからね」

 

昭和14年元旦

 

花岡寫眞館の外観が大写しになる。そして門松。隣はまだカフェローズあるね。晴れ着姿の女性たちや親子連れが歩いている。

 

町子のナレーション「大人も子供もあれへん。みんな真剣勝負やの。読むのは茂にいちゃん。実はええ声が自慢でね」

 

茂が読み手。和代、町子、文代(ツンツン)が並び、向かいにイトと昌江。孝子は参加せず、お雑煮を食べている。バアバアばあちゃん、常太郎、徳一は不在。

 

茂「『小倉山 峰の紅葉葉 心あらば』」

町子「はい!」

茂「『いまひとたびの みゆき待たなむ』」

ツンツンと取り合いになったものの1枚とった町子。

 

茂「『村雨の』」

和代「はい!」

孝子「お母ちゃん、すごい!」

和代「ウフフ」

 

茂「『わたの原 漕ぎ出て』」

イト「はい!」

昌江「はい!」

孝子「おばあちゃんもすごい!」

 

町子のナレーション「うちはお手つきをすると退場せなあかん、厳しいルールやねん」

 

茂の後ろでお雑煮を食べる昌江と孝子。

 

茂「『春過ぎて 夏来にけらし 白妙の』」

文代「はい!」

 

茂の後ろでお雑煮を食べてるメンバーに文代も増えている。

 

それにしても「春過ぎて…」を聞くと、岡田あーみんさんの「お父さんは心配症」での「春過ぎて夏来にけらし白妙のパンティほすてふ天の香具山」を思い出すなァ。

茂「『天の原 ふりさけ見れば』」

町子「はい! あっ、違う。これ『天つ風』やった」

茂「はい、マコ、お手つき!」

茂の後ろの昌江やツンツンがにやりと笑うのもいいね。

 

町子のナレーション「最後はいつもお母ちゃんとおばあちゃんの一騎打ちになるの。残り1枚になったら読み札に違うほかの札を交ぜるのが決まりでね」

 

茂「『逢ふことの』」

 

残された一枚は「ながくもがなとおもひけるかな」

 

イト「フフフ。引っかかりますかいな。なあ」

和代「はい」

 

茂「いくで。『君が』」

和代「はい!」

イト「あっ!」

町子「あっ!」

和代「今年は最後の一枚とれましたわ~」

 

君がため 惜しからざりし 命さへ

ながくもがなと 思ひけるかな

 

茂「おめでとう!」

イト「しゃあおません。和代さんお得意の藤原義孝だすさかい」

 

町子「もっぺんやろ! もういっぺん!」

イト「やろうやろう」

 

茶の間

町子「楽しかったなあ。楽しんで覚えて…」

健次郎「やったなあ、僕らも。学校に集まって…」

町子「昔人間て、みんな百人一首覚えてるもんね」

昔人間という言い回し、久々に聞いた気がする。

 

健次郎「うん。実はな、あんまり言いたないんやけどな、僕は兄貴に教えてもろたんや」

町子「お兄さんに?」

健次郎「うん。あかんあかん。こんな話しとったら、またどっかから忍び寄ってきよる」

町子「怪盗ルパンやないねんから」

健次郎「似たようなもんやで」

 

町子「健次郎さん」

健次郎「うん?」

町子「お兄さん、どこでお正月迎えてはるんやろね。一人なんやろか」

健次郎「どうせどっかで飲んどるよ」

 

隣の応接室でテレビを見ていた清志と隆。

清志「あっ、伯父ちゃんや!」

隆「ほんまや!」

 

テレビ中継でうつっている昭一。たこ焼きの露店をやっている。

昭一「へい、お待ち! おねえちゃんたちべっぴんやからな、3個おまけしとく」

 

町子「お兄さん!」

 

昭一「おめでとう。今年もよろしくお願いします」

リポーター「景気はどうですか?」

 

喜八郎「うん? 何や?」

 

昭一「あけましておめでとうございます!」

 

イシ「あら! えっ?」

健次郎「『おおきに』て言うとったな」

町子「大阪にいてはるのかな?」

喜八郎「何をしとるんじゃ? 一体」

イシ「一人で年越ししたんやろか…」

 

その昭一は姿を見せないまま徳永家の元日は静かに過ぎていきました。そして2日目。子供たちも喜八郎も出かけたこの日、徳永家には町子の作家仲間や編集者たちが集まることになっていました。

 

町子、純子が客を迎える準備をする中、健次郎は茶の間にいて二人を見ている。

健次郎「何や大層やな。誰が来はんねん?」

町子「加藤舞子さん」

健次郎「加藤さん? え…加藤先生、うち来はんの?」

町子「うわさ聞きつけて見てみたいんやて」

 

健次郎「うわさて何の?」

純子「大先生に決まってるじゃありませんか」

健次郎「僕?」

町子「文壇でも『怒りの舞子ちゃん』て名前が通ってるんですよ。私と違てものすごい怖いですからね」

純子「ほんとに怖いて聞いてます」

健次郎「あんたよりまだ怖い女の人がいましたか」

町子「あの方に比べて私なんか3歳児ですよ」

 

応接間

町子「どうぞ」

舞子「そう。池内さん、来られへんの」

松岡「用事が終わりしだい駆けつけますと」

ソノ子「お逃げになったんですよ。お正月からいじめられるの嫌だから」

舞子「何言うてんの? 失礼やわ。誰がいじめるもんですか。ちょっと議論に負けるといじめられた言うのよ、あの人たち。ねえ、花岡さん」

町子「ええ、まあ…そうですね」

 

作家・加藤舞子のモデルは佐藤愛子さんが濃厚!?

舞子「男のくせに。そやから戦後派の男は駄目なの!」

 

健次郎「失礼します」応接間に入ってきて、あいさつ。「いらっしゃいませ。あけましておめでとうございます」

町子「夫の徳永健次郎です。加藤舞子さん」

舞子「あけましておめでとうございます。お正月からお邪魔いたしまして」

健次郎「徳永健次郎です。いつもうちのがお世話になりまして、どうも…」

 

舞子「ねえ、あんた」

町子「はい」

舞子「うわさよりずっとすてき。ねえ、おソノちゃん」

ソノ子「はい」

健次郎「あ…あの、それはどうも…」

 

舞子と一緒に来たのは松岡という男性編集者と神辺ソノ子という編集者。松岡役のてらそままさきさんと言えば「仮面ライダー」のキンタロス。声優さんって一声しゃべると「この人って声優さん?」と思うほど特徴的な人とお芝居になじんでる人と分かれるよねえ。

 

マー姉ちゃん」のときに島本須美さんはすぐ分かったけど、大塚周夫さんや中西妙子さんは声優さんと聞いて、へ~、みたいな。大塚さんは初代ねずみ男だし、十分特徴的な声なのにね。てらそまさんは大塚さん、中西さんタイプで遠目で見ると東野幸治さんにちょっと似ている。

 

舞子「かわいげのある男て…花岡さん、どんな男や思う?」

町子「あっ、私ですか?」

舞子「うん」

町子「私はですね…あっ、あの『三国志』に呂布(りょふ)という勇士がいてますでしょ。あの体が大きいて力持ちで勇ましいんです。で、その呂布は自分の悪い親方に一生懸命お仕えしてるんですけども、ある時、敵の悪い美しい女のスパイにまんまとだまされて、その自分の主人の命をとる手伝いさせられてしまうんですよね。その何て言うのかな、悪い美しい女のスパイにやすやすと手玉にとられるとこが何か呂布って『あ~、かわいい人やなあ』と思ってしまうんですねえ」

松岡「哀れやなあ」

舞子「踏みにじりたいわ、そんな男は」

健次郎「踏みにじる…」

 

舞子「逆にかわいげのある女ってどんな女? 松岡君」

松岡「え? そうですね…。男が面倒みてあげたいと思うような女かな」

舞子「今どきの男はね、面倒みてもらいたいような情けない男ばっかりやからね。女がかわいげな女になろうと思っても、これは非常に難しい。私はね、かわいげのある女になりたいと思うけど。ねえ!」

町子「えっ、あ…はい。あ…すいません。頂戴します」

松岡「さあ」

町子「ありがとうございます」お酌してもらう。

 

舞子「あ~、ええ気持ちになってきたわ。あ、そうや、花岡さん歌、歌って」

町子「はあ?」

舞子「お正月やもん。女主人は歌、歌うもんよ」

町子「いや、とんでもない」

舞子「私、知ってんのよ。あんた、歌好きでしょ?」

 

町子「いえいえ、私…。そうですか。あ~、そしたらあのお正月ですので、あの昔、元旦に学校の講堂でズラ~ッとみんな整列しまして歌うた歌を、あの…歌わせていただきます」

舞子「待ってました!」拍手

 

町子「♪『高津の宮の昔より

よよの栄を重ねきて、民のかまどに』」

松岡「何ですか? それ」

舞子「黙ってなさい!」

町子「♪『立つ煙

にぎわいまさる 大阪市、にぎわいまさる 大阪市』」

拍手

ソノ子「『大阪市歌』ですね?」

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純子「あの、聞いたことあります」

松岡「あの、この歌って市の?」

舞子「黙ってなさい。花岡さん」

町子「はい」

舞子「すてき!」

町子「ありがとうございます」

 

舞子「私もね、この歌大好きなの。言葉が美しいのよね」

町子「はい」

舞子「『なにわの春のあさぼらけ、』」

町子「2番ですね。始めさせていただきます。

♪『なにわの春の』」

 

お正月、ふだん以上に大いに盛り上がる町子たち。宴会はまだまだ続きますが、続きはまた明日。

 

ミニ予告

舞子やソノ子のいるところに町子、健次郎が来た。

あさ7時15分から2話連続放送との告知。今週は木曜日までが年末回。本来、今日の回は年明けの木曜日回だったけど、金曜日にズレたので明日2回分放送。

 

家族で百人一首なんて知的レベル高いよねえ。久しぶりの花岡寫眞館もよかったな。