徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(70)「おかあちゃん」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

健次郎(國村隼)の亡き前妻、澄子の法事を家で行った町子(藤山直美)と健次郎。思い出話に花が咲いたが、清志(小椋悠聖)の姿が見えない。ここ数日、清志は死ぬことを恐れていた。町子は、清志をはじめ、子どもたちに澄子と心の中で対話するよう呼びかける。また、徳永イシ(岩本多代)の奄美での幼なじみ、碇ツネ(石井トミコ)が徳永医院を訪ねる。観光にきたというツネは、しばらく徳永家に滞在することになるのだが…。

台所

おいしそうな料理が並ぶ。

隆「おいしそう!」

登「うわ~、きれい!」

イシ「やあ、いつの間にこんなにようけ!」

町子「炊きもんばっかりになってしまいましてね。おむすびね、3種類、ちゃんと作ってあるんですけど、これなかなかきれいでしょ?」

 

俊平「こんにちは! どうも!」

貞男「こんにちは!」

町子「あら…」

 

茶の間

健次郎「今日、用事やなかったんかいな」

俊平「えっ、いや、あの…」

貞男「こっちの方が大事やよってね。なっ」

俊平「うんうん、キャンセルキャンセル」

佐和子「何か急にどっか行く言うたりやめたり」

一真の大きな咳払い

健次郎「せっかくの休みやのにすんませんな」

 

一真の読経。おじゅっさん本当にやってる。

 

鯛子の隣の隣にいる守は鯛子をガン見。ここでこういうのを挟み込んでくるのが面白い。気付いたタエが頭を小突く。守、がっくり。

 

登が隆にちょっかいをかける。

隆「ヒャッ!」

健次郎が後ろを向いて隆にゲンコツ。

 

夜、茶の間

そのまま飲み会。

貞男「うちのやつのお産の時、俺がギックリ腰で動かれへんかってん。澄子さん、病院でず~っと付き添うてくれてた」

タエ「そやったなあ。うちの人、ほんまに肝心な時おらんな」

貞男「今、ええ話しとったんやないか」

タエ「いや、お父ちゃん、昔からやなあ」

貞男「しつこいなあ!」

 

大人たちは笑っているけど、清志は神妙な顔。

 

池内「こんばんは」

町子「隆君、お皿持って食べなさい。お皿持って。そう! お皿持って食べて」

池内「こんばんは!」

町子「池内先生!」

池内「こんばんは」

 

純子が池内のコップにビールを注ぐ。

池内「あの人の書く男の人は色気があったなあ」

町子「そうでしたねえ」

池内「うん。どんな小説でも何ちゅうか色っぽい男が出てきた」

純子「大先生のような方ですか?」

 

健次郎「え? 私、色気がある?」

池内「かなり違うタイプですけど」

健次郎「何や…」

一同の笑い声。それにしてもこのドラマに板尾さんが出てくるたび、こんなかっこよかったっけ?と思ってしまう。かっこいい役だからかなあ?

 

池内「いや~、つくづく惜しいですわ。ここ数年、『並木賞は確実や』言われてたのにねえ」

町子「本当に惜しいですねえ」

純子「でも何か妙ですね。奥様がいらしたら大先生と町子先生は…」

 

池内「3人、気ぃ合うたかも分かりませんよ」

町子「ああ…」

健次郎「いや、そん時には僕が身を引く」

町子「何でやの? いや、何で? 変わったこと言い…。清志君は?」

 

仏壇の前に座る清志。

町子「あ…清志君。ここにいてたの。まだ怖い? 清志君は何で死ぬのがそんなに怖いの?」

清志「死んだらきっと真っ暗で独りぼっちで何にも見えへんし、何にも聞こえへんし、しゃべられへんし…」

町子「そうかなあ…。おばちゃん、そうは思われへんわ。そしたら何で今日みたいにお母さんのためにみんな集まんの? お母さん、今、ほんまに独りぼっちなんやろか。清志君が学校行ったり、勉強したり、ごはん食べたり、遊んだりしてる姿、お母さん、見えへんのやろか?」

由利子、登、隆も来た。

 

健次郎「何をしてんねん。みんな待ってるで心配して」

町子「はい。ねえ、ちょっとみんなこっち来て。はい、こっち来て。お母さんの前に座って。座って。みんな、目閉じて。目を閉じて。心の中で『お母さん』て呼んでみて」

登「お母ちゃん」

町子「登君、お母ちゃん、何て答えてくれはった?」

登「『何や』て言うたで」

 

清志「うそや!」

隆「お母ちゃん、お母ちゃん。お母ちゃん、おやつどこ? 『あかん、ごはん前や』て怒ってる」

由利子「お母ちゃん」

清志も目を閉じて「お母ちゃん」

町子の頬には涙が流れる。子供たちも目を閉じてそれぞれ思う。健次郎も目を閉じる。ミニ予告はこの辺りか。

 

それぞれが心の中で澄子と対話をしました。

 

茶の間

町子「けど、いろいろ、お話聞けてよかった。やっぱり、ええお母さんでええ作家さんやったんやね」

健次郎「けど、ええ奥さんやったかどうかは分からんで」

町子「え?」

健次郎「一人で目いっぱい突っ走ってバ~ンと行ってしもた。スピード違反や。人生っちゅうのは神さんからの預かりもんやな」

町子「へえ…」

 

健次郎「しかも神さんはな、気まぐれやから一旦『返せ』て言いだしはったら、待て、しばしがない」

町子「いや、困るわ。神さんて子供みたいやね」

健次郎「うん」

町子「そうなんか。預かりもんなんか…」

 

健次郎「そうや。そやからな、神さんが『返せ』というのを忘れるぐらいに、こっちが楽しい人生、生きとかなあかんねん」

町子「へえ~。上手に言わはんねえ」

健次郎「フフッ…」

 

町子「あっ、清志君」

健次郎「おう、清志。ちょっとおいで。どや? お母ちゃんとしゃべれたか?」

清志「うん」

健次郎「何て言うてた?」

清志「『もうお兄ちゃんやねんからしっかりしなさい』て」

健次郎「うん」

清志「おやすみ!」晴れやかな表情になった。

健次郎「おやすみ」

町子「おやすみなさい」

 

健次郎「あれ…母親にずっと言われとったことや」

町子「生きてる時に大事な人にちゃんと言葉を残してる人は亡くなってからもしゃべれるんやね」

健次郎「上手に言わはるな」

2人の笑い声

町子「いやいや、はい、どうぞどうぞ」ビールを注ぐ。

健次郎「ありがとう」

 

たこ芳

一真「しかし、ええ会やったな、にぎやかで」

純子「ほんとにそうですねえ」

貞男「けど、町子さんが言いだしたとは思わへんかったなあ。いや、そうと知ってたら、はなからあんな心配…」

俊平「そうやがな。なあ、なにも行かれへんなんて、うそつかい…」

 

純子「うそ?」

一真「このスカタンども!」

純子「どういうことですか? ねえ」

りん「いや、あの、行かれへん言うたら中止になる思てたんや。スカタンども!」

純子「前妻とか後妻とか、そういうこだわりアホらしゅうございます」

りん「ほんまや! ねえ」

 

一真「うん。おりんさんもね、朝のうち、お寺へお参りに来てくれてね」

りん「ええ。私ね、時々澄子さんとは、こっそりお料理教えたり、教えてもろたりしてたわ。あ…お漬物習たりね。うちら苦手やろ、それ。まあ、おかげさんで近畿で一番お漬物のうまい外国人て、ちょっとした評判よ」

一真「自慢してる」

 

りん「あっ、そやそや、お墓で晴子さん見かけたわ」

純子「晴子さんに?」

りん「ええ」

鯛子「仕事やて早うから出かけはったのに?」

 

台所

食事の準備をしている純子。「あっ、おはようございます」

晴子「おはようございます」

純子「あっ、私…」

晴子「あっ、私、やります。昨日はたくさん来てくれはってんてね」

 

純子「はい。晴子さん、お墓参りにいらしてたそうですね。どうして、あの…ご法事にお出にならなかったんですか? 晴子さんも澄子さんのことお好きだったんでしょ?」

晴子「医大の受験勉強の時、よく夜食作ってくれた」

純子「でしたら…」

晴子「そやからなんよ、矢木沢さん。私らでも思い出したらつらいのに子供らはどうなんやろうって。今更わざわざ思い出させたらかわいそうやて私は思う」

 

晴子の懸念は現実となりました。

 

仏間

家計簿を見ている由利子。

 

家計簿の備考欄

 

焼き魚、煮物

おみそしる

 

義父 奄美のより合い

 

¥155-

 

 

ハヤシライス、スープ

 

年賀状の準備はじめ

 

¥205-

 

 

由利子の好きな

キンピラゴボウ

酢のもの、煮魚

隆、カゼ気味

 

イシ「やあ、ここやったんかいな。何してんの? はよ学校行き。何、読んでますね?」

由利子「お母ちゃん、こんなんつけてたんやね」

イシ「え? ああ、家計簿。そら…主婦はみんなつけてますねんで」

由利子「もう食べられへんねんな、お母ちゃんのキンピラゴボウ」

 

診察室

健次郎「キンピラ?」

イシ「昨日のこともあって思い出して、ちょっと寂しなったんやろなあ」

 

鯛子「おはようございます!」

 

イシ「あっ、あんた、こんなこと町子さんに言うたらあきませんで」

健次郎「言わへんよ」

イシ「なんぼ筒抜け夫婦でも」

健次郎「『筒抜け夫婦』て奄美でそんな言葉あんの?」

イシ「私が作ったの」かわいい!!

 

そして、その日、奄美大島からイシのいとこが訪ねてきました。

 

徳永醫院前

ツネ「ここじゃ、ここじゃ。あっ! あ~」

 

診察室までイシとツネの笑い声が聞こえてくる。

 

待合室

ツネ「あっげ~! 全然、変わらんや~!」

イシ「ツネちゃんこそ!」

 

健次郎「ああ」

ツネ「あげ~! 健坊?」

 

茶の間

ツネ「わあ~、私、あなたに会いたかったのよ~! ああ、私ね、名瀬市の本屋さんまで行って買ったのよ。あの…あの…あ…『楽天娘』!」

純子「あの…いや、あの…『楽天乙女』です。あの、それに私、あの…」

ツネ「まあ~、イッちゃん、あんた、幸せ者だわね。こんな偉い先生が息子の嫁さんっちばや!」

イシ「違うのよ、ツネちゃん」

 

町子「ただいま!」

純子「あっ、お帰りなさい」

町子「おいしいケーキがあったんでね、みんなで食べたらええと思て。あら、いや、どうしよう、お客さんですか」

ツネ「いや~、すごい! イッちゃん、お手伝いさんまでいるの!?」

町子「お手伝いさん?」

 

ツネ「あなた、丈夫そうな体してる!」

イシ「ツネちゃん! あの、ツネちゃん違うの。あの、こちらが…こっちが嫁の町子さんでこちらが秘書の矢木沢さん」

ツネ「うわ~、ごめんなさいね」頭を机にゴツン。

イシ「いや~、まあ!」

 

工藤酒店前

由利子、下を向いて歩いている。

貞男「よう! 由利子ちゃん、お帰り。昨日はありがとう」

由利子「こちらこそ」

貞男「うん、ご苦労さんやったね、うん、うん」

しょんぼり歩いていく由利子。

 

タエ「あれ? 由利子ちゃんか?」

貞男「うん。何や元気あれへんかったで」

 

茶の間

ツネ「モズクの塩漬け。塩漬けね。それからね、パパイアの一夜漬け。」

イシ「あげ~、そんなにいっぱい!」

ツネ「ひとつ、はい、どうぞ」

町子「『ありがとう』て。亜紀ちゃん『ありがとう』」

亜紀「ありがとう」

 

ミニ予告

町子「ちょっとすいません! ごめんなさい!」

走る町子を追いかけてヘロヘロの純子。

 

はあ~、しみじみいいなあ、このドラマ。