徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(32)「思いやる心」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

晴子(田畑智子)の診察を受けた腰痛の患者、山内寅彦(芝本正)が、いつまでたっても検査を受けに徳永医院にやってこない。それを知った健次郎(國村隼)は、患者に病名を挙げて怖がらせた晴子の患者への接し方を非難する…。また、町子(藤山直美)は、上司とケンカしているキャリアウーマンの矢木沢純子(いしだあゆみ)を偶然、喫茶店で見かける。やがて町子にとってなくてはならない存在となる純子との最初の出会いであった。

徳永家茶の間

一同の笑い声

健次郎「本の帯、貼りつけてしもた」

町子「笑い事やあらへん。大事な本もぎょうさんあんのに!」

イシ「けどな、なかなか行き届いたお手伝いさんやで。部屋、きれいになってますで」

町子「いや、そら助かってることは助かってるんですけどもねえ」

 

清志「おみそ汁、お代わり!」

黙って食事を止め、お代わりをしに行こうとする由利子。

町子「清志君、何でお姉ちゃんに頼むの? 自分でできることは自分でしなさい」

清志「え? そうかて、女の仕事やん」

町子「そんなん決まってないやないの。そんな理由で女の子にもの頼んだらあきません。はい、自分でしなさい」

清志「は~い」

清志、しぶしぶ。由利子は町子に肩ポンされてにっこり。

 

このシーンよかったな。しかし、何となくだけど当時あまりこの朝ドラが好かれなかった?理由も分かった気がした。女だ男だという話があまり好きじゃない人も、今のツイッター上でもちらほら見られるけど、当時はもっと多かったんじゃないかと思う。たった16年前でもね。

 

でも、私は「女は~」と言われていちいち反論したりムッとしたりする町子さんが好き。その反論が気持ちいい。

 

町子「ねえ、健次郎さん。気にならへんの?」

健次郎「何が? 本人が納得しとったらええがな」

 

夕食後

健次郎「姉が弟の面倒見て何がいかん?」

町子「違うて。『女やから男の世話すんのが当たり前』て子供のうちからそう思てるいうのが、これ問題やて言うてんのよ」

健次郎「そんな大層に言いな」

町子「これ、大問題よ!」

 

健次郎「そやけどな、あんた、男の僕とかおやじにちゃんとみそ汁ついでくれるがな」

町子「いや、愛情があって自ら進んでやるのはええのよ。けど、『女やから』言うてガ~て女のこと顎で使うて、これ、私、許されへんよ!」

健次郎「ちょっと待ってよ」

町子「ん?」

 

健次郎「愛情がなくなったら、みそ汁はついでもらわれへんいうことか」

町子「うん?」

健次郎「縁の切れ目がみそ汁の切れ目か」

町子「何で真面目に人の話、聞いてくれへんの? ねえ!」

健次郎「あのな、そない目くじら立てることないて。どうせあと何年かたったらな、あいつも『女は怖い。女は思いどおりにならん』と思い知るんやから。男はかわいそうなもんやで」

町子「ねえ、そうなってからでは遅いでしょ、健次郎さん。そやから…」

 

健次郎さんも町子の言ってることを全部理解してないところがリアル。当時の批判である、朝からおばさんの顔なんて見たくないというのは言い訳だろうな。こういう痛いとこつくような女性を見たくないが本音だな。

 

晴子「またしゃべってんの? 毎晩毎晩よう飽きへんこと…」

町子「ねえ、晴子さん、おいしいおかき食べはりますか?」

晴子「あっ、今はいいわ」

健次郎「あの、大浦のおばあちゃん、手のギプスそろそろ取れる頃やったな?」

晴子「あさってくらいに来はるわ」

健次郎「あ、そう」

 

晴子「あっ、夕方、来はった? あの…尿検査のあの人」

健次郎「検査?」

晴子「溶接工場の山内さん」

peachredrum.hateblo.jp

回想

晴子「腰痛は病気のサインっていうことがあるんです。胃、腎臓、膵臓の疾患、尿路結石、腹部大動脈瘤、脊椎の転移がんや多発性骨髄腫なんかでも腰痛が出ます」

回想ここまで

 

健次郎「山内さん? 山内さん、来てへんで」

晴子「うそ! 『夕方来る』て…」

健次郎「いや、来てへん」

 

町子「ん?」←健次郎と晴子を見てキョロキョロ。ここがミニ予告?

 

診察室

電話をかける健次郎。「ええ、ほな、失礼します。どうも」

 

健次郎「お前はアホか! それでも医者か! お前が脅すようなことばっかり言うから、すっかり怖がってしもてはるやないか」

晴子「どならんといてよ。私は患者さんのためにきちんと正確な説明しただけやないの」

健次郎「それにしても言い方があるやろ。患者さん相手に恐ろしげな病名並べてどうすんねや。あのな、試験問題に答え書いてんの違うんや。相手は体に不安を抱えた人間や。いつも言うてるやろ。人間の気持ちと体はつながっとんのや。医者はその両方考えなあかんねん。特に町医者にはそれが大事や!」

晴子「それで山内さん…」

健次郎「うん。まあ、病院行って、検査受けてもらうように一応は頼んどいたけど…」

 

茶の間に戻ってきた健次郎。「あいつは町医者いうもんが全然分かっとらん」

町子「晴子さんかて別に脅かそうと思て言わはったわけやないと思うよ。患者さんのために危険性を教えてあげはったんでしょ」

健次郎「確かにそういう説明をしてほしいという人もおる。けどな…基本的にはその人の置かれた状況、性格、いろいろ考えて対処せなあかんねん。その人の人柄とか場合によったら家庭環境、家族関係まで知っとかないかん。そういう大病院ではなかなか対応でけへんことをやるのが町医者や」

 

診察室で考え込む晴子。

 

そして翌日。町子の方では、また今日もヌイとの一日が始まっていました。

 

仕事部屋

原稿を書いている町子。

ヌイ「奥さん、出版社の方がね…」

町子「あっ、いてないて言うてくださいね。もうどっから電話かかってきても今日は私は絶対いてないて、ちゃんと言い切ってくださいよ。いてないんですよ、私は」

ヌイ「原稿があの…」

町子「もうでけへんで…。今日、締め切りの分、半分もでけへんやんか。もう〜、最悪やもう!」

編集者「は…半分!?」

町子「えっ?」

仕事部屋のすぐ外に編集者が立っていた。仕事部屋にのれんがかかるようになったんだね。

町子「来てはるんやったら、先にそれを言うてくださいよ!」

ヌイ「あ、そうでんな」

 

茶店

町子「やっぱりもう1個頼もかな〜」

みすず「デザートに2個も!?」

町子「私、原稿上がった日にね、やたらと甘いもん欲しなんのよ。あんた、昔からよう知ってるやん」

みすず「知ってる。原稿関係あらへんこともね」

町子「プリンは別腹〜」

 

みすず「もう、やめとき! そやけど、お手伝いさん、あれ、最強やな」

町子「雑なくせにね、妙なとこがきちょうめんなんよ」

 

徳永家

洗濯をしながら、金歯がキラ〜ンとなるヌイ。手洗い!?

 

茶の間で亜紀や登の面倒を見るヌイ。「のりっちゅうもんは重宝なもんだっせ! こうやってな、大事なもんはこうやってピタッと貼っとくねんで。貼っといてよろしおまんねん。よろしいか? 登ちゃん、剥がれんようにちゃんと貼りや。亜紀ちゃん、面白いか?」

亜紀「うん!」

ヌイ「ハハハ! ちゃんと貼りや。のりようけつけてな。なっ」

 

茶店

みすず「優しいやないの、カモカのおっちゃん。お手伝いさん、雇てくれるやなんて」

町子「邪魔される方が多いねんよ…。けど、ほんまに人使うて難しいもんやねえ」

みすず「そやったら小説に書いて元とったり」

 

純子「どうしてここまで来てプラン変更なんてなさるんですか? 理由をちゃんとおっしゃってください! それじゃ、あまりにも失礼じゃありませんか!」

町子たちの隣の席にいた矢木沢純子(いしだあゆみさん)の声が聞こえてきた。

 

町子「何やろ?」

みすず「プランがどうとか言うてんな」

町子「うん」

みすず「痴話げんかやあらへんわ」

 

純子「人がせっかく積み上げてきた仕事を台なしになさるんですか?」

上司「ええ加減にせえよ。その態度は何や!? こっちも我慢してきたけどな、上司に向かって何や!?」

純子「我慢してきたのは、こっちです!」

 

上司は席を立ち、会計へ。

ウエイトレス「ありがとうございます」

上司「女のくせに生意気言うな!」

純子「その発言、女性蔑視です。撤回してください! これ私の分」お金を払う。

上司「かわいげのないやっちゃな! 男の言うことに逆らうな!」

純子「ちょ…」

出ていく上司についていく純子。「ふざけんのもいい加減にあそばせ! あ〜!」

ウエイトレス「お客さん?」

純子「あ〜、痛! お騒がせしました。失礼いたします」

 

町子「やっぱりプリン食べよ」

みすず「好きにし」

 

工藤酒店

カウンターで飲んでいる俊平。

健次郎が顔を出す。

タエ「あ、毎度」

貞男「おや、珍しい!」

俊平「お〜、これはこれは! ハッハ〜! 毎晩毎晩、ご夫婦で晩酌デートなんやてね! おでん屋にも2人で行かはんねやってね」

貞男「仲のよろしいこって!」

 

健次郎「あんたらもたまには嫁はんと飲んだらよろしいがな」

貞男「アレと?」

タエ「何か言うた?」

貞男「ううん」

 

俊平「ハッハ〜や! 嫁はんの顔見て飲んで何が面白い?」

貞男「それ」

俊平「そら、まあな、ボンドガールみたいやったらもうウハウハやけどな」

貞男「そやな、ウハウハや」

 

健次郎「駆け落ちまでしたやつが何を言うとんのや」

俊平「それ言わんといてえな。昔の話やがな」

貞男「『命まで 懸けた女て これかいな』」

健次郎「何やそれ?」

 

貞男「何や凝っとるまんながな、川柳」

俊平「川柳て顔か?」

貞男「これからの酒屋は文学をたしなむんや。町内にえらい先生いてはるしな。息子にもやらしてんねん」

俊平「あのアホの息子に」

 

貞男「やかましいわ! お前んとこも『007』みたいな派手な映画ばっかりやのうて文学作品でもかけえ!」

俊平「何を言うてんの、お前! こないだまで『おい、ピンクかけへんのか?』言うて、お前、言うてたやないか!」

貞男「いらんこと言うな」

タエ「あんた、外で恥ずかしいこと言わんといて!」

貞男「うるさい! お前、はよ伝票書いて風呂でも行け! ほれ。はい、行け行け行け…。もうええから行け行け。いらんこと言うなや〜」

 

健次郎「あのな、ちょっと聞きたいことあんねんけどな」

貞男「うん」

健次郎「あの、山内さんて、ほれ、溶接工場の…」

貞男「うん、うん」

 

健次郎「あそこ、配達行ってるか?」

貞男「うん、行ってるで」

健次郎「いけるクチかいな?」

貞男「いや。買い物はしょうゆとかみりんだけやな。あっこのおやじは酒やらん」

健次郎「飲まへんのか…」

貞男「うん」

俊平「それがどないした?」

健次郎「うん? いやいや、別に…」

貞男「『いやいや、別に』て何?」

 

純子「ごめん遊ばせ!」

貞男「はい、いらっしゃい」

純子「あの、こちらにブドウ酒…いえ、あの、シャンパンございますでしょうか?」足を引きずりながら店内へ。

貞男「あ、シャンペンですか?」

純子「いえ、シャンパン!」

 

貞男「シャンパン。え〜っとあったかいな…。あ〜、ちょっと待っとくんなはれや。シャンパン、シャンパン」

俊平が笑いかけても、ツーンと顔をそらす純子。

 

貞男「ありました! え〜っとこれでよければ…」

純子「ああ、これで結構です」

貞男「あ、おおきに。お祝いですか?」

純子「退職祝です」

 

貞男「あ〜、お父様ですか? ほな、熨斗に…」

純子「私です」

貞男「あ、そうですか」

純子「あの、紙袋で結構ですので」

貞男「あ〜、はい…」

 

純子「おいくら?」

貞男「5,000円になります」

純子「はい。どうぞお確かめください」

貞男「あ、はい」

純子「はい。ありがとう」

 

貞男「あ、おおきに。はい」

俊平「何じゃい、気取りやがって。何がシャンパンじゃ!」

健次郎「クリスマスにはちょっと早いな」

貞男「見かけん顔やな」

 

朝、徳永家

トイレにいる清志。「はあ〜」

しかし、ちり紙がのりで貼り付けられていた。

清志「誰や〜!?」

トイレの前にチューブのりを持った登がほくそ笑む。次に応接間にあった新聞紙にのりをつける。

 

カルテ

山内寅彦

大正2年5月29日 男

大阪市北区北天満2-4-15

06-373-3081

 

診察室

健次郎「これ、4か月前やな?」

鯛子「ええ。工場の従業員さんと健診に見えたんです」

健次郎「ふ〜ん…。肝臓の数値も血圧も血液も異常なし。酒も飲まんか…」

 

仕事部屋から出てくる町子。「あ〜あ、おはようございます」

ヌイ「おはようさんです! あら〜、徹夜でっか〜?」

町子「なんとか原稿上がったんですわ」

ヌイ「大変なお仕事でんな〜」

 

電話が鳴る。

ヌイ「あっ」

町子「あ、大丈夫です。私、出ますから。大丈夫です。あ…」

茶の間のテーブルの上に置かれた封筒。

 

東京都千代田区紀尾井町一-一

(株)大綱社

「小説太陽」編集部御中

 

町子「はい、もしもし、徳永で…あ、花岡です。あ、聞かせてもらってますけども、それでよろしいですか? はい。ありがとうございました。お願いいたしま〜す。はあ…。おなか、すいたわ〜!」

こっそり茶の間に入ってきた登は原稿の入った封筒の上にのりでくっつけた新聞紙を乗せた。

 

町子「登君? あんた、はよ学校行かんと遅刻するやないの〜!」

走って逃げ出す登。

ヌイ「アイタタ! おはようさん。行ってらっしゃい! あらまあ遅刻ギリギリやな。奥さん」

町子「はい」

 

ヌイ「そこ済んだら置いといとくんなはれ。ワテ、やりますさかい」

町子「お願いしますねえ。ちょっとおなかに入れてから、私、仮眠させてもらいますわ」

ヌイ「あ、そうでっか。へいへい。あらまあ、もう…新聞3つもとるさかい見てみいな、すぐ、たまってしまうやない! どれ見たかて同じ事件しか載ってへんていうのに、もう」

 

台所

町子「いただきます」

 

「ちり紙交換に参っております」

 

ヌイ「ちょっと、ちょっと! ちょっとどっこいしょっと。よいしょ」

 

「古雑誌、ボロなどございましたら、多少にかかわりませず…」

 

新聞をまとめて持って行こうとしていたヌイは、テーブルの上の新聞紙(と封筒)も手に取った。「よいしょ。よっ」

 

やっと仕上げた原稿に大変なことが起きているとは、つゆ知らぬ町子でした。

 

ミニ予告

先週末の予告でも流れた貞男と路地でごちゃごちゃしてる町子。

 

ヌイさん、ちょっと雑なとこあるな〜。そして気になるいしだあゆみさんの存在。純子にヌイさん…またしても「純ちゃんの応援歌」を思い出す。