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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(5)「ふたり」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

スランプから抜け出した町子(藤山直美)はようやく文学学校の卒業作品を書き上げる。町子の作品は仲間内でも好評だった。数日後、家に帰ると健次郎(國村隼)が上がり込んで、妹・孝子(メイサツキ)と酒を飲んで料理をつまみ、笑い転げていた。またしても健次郎と言い争いになり、キツイひとことを言い放って家を飛び出す町子。翌日、言い過ぎを詫(わ)びようと健次郎の診療所を訪ねるのだが、妊婦の出産立会いに巻き込まれる。

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川面を眺め、夕焼けを見ている町子から、夜、おにぎりを頬張りながら小説を書くところまでが昨日の振り返り。

 

いつもの喫茶店

浪花文学学校 卒業文集がテーブルの上に置かれた。

みすず「家族の話か…。初めてやね」

加代子「面白かった」

みすず「私も」

町子「そう。ありがとう」

 

子供の頃の小説への情熱に後押しされた町子は、ようやく文学学校の卒業制作を書き上げました。

 

みすず「研究科、卒業したら同人の会、入るやろう?」

町子「うん」

加代子「私…分からへん」

町子「えっ?」

加代子「今、4か月やの」

 

町子「そう。おめでとう」

みすず「2人目か~! ええなあ。私も早う結婚したいな~!」

加代子「町子、勤めどうすんの? 弟さん、大学卒業でしょ?」

 

町子は昭和40年に37歳だから、昭和3年生まれ。

弟の信夫は大学卒業だとすると、昭和18年生まれ前後かな?

 

町子「う~ん、しばらくの間、このまま続けるつもりやけど…」

みすず「仕事辞めてもやっていけるやろ。ラジオドラマの原稿料も入ることやし」

町子「私…あのお話、断ってん」

加代子「え? 何で?」

町子「うん…。私、小説に専念したいねん。やっぱり小説が書きたい!」

少し寂しそうな表情。

 

町子帰宅。

孝子「ハハハハハハ! そうなんですか。それはちょっとね」

町子「ただいま」

孝子「あっ、お帰り。徳永さんの話、面白うて…」

町子「あの、何してはるんですか?」

健次郎「あ、どうも。『もうすぐ帰ってきはる』いうて聞いたから」

 

孝子「ようけお土産持ってきてくれはってんよ」

健次郎「これね、故郷(くに)の奄美の黒砂糖で、これがね、島味噌です。こないだはえらい失礼なこと言うてしもうたようで…。これね、酒のあてに最高なんですわ。ねっ、あの遠慮せんと座って」

町子「『遠慮せんと』って…。孝子、お母ちゃんは?」

孝子「あ~、『仕事、遅なる』て」

 

町子「もう、私、話あってんけどな…」

孝子「仕事のこと?」

町子「え?」

孝子「『辞めよう思てる』て信夫には言うたんやて」

町子「お客さんの前でする話と違うでしょ」

 

町子は台所へ、孝子もついていく。

孝子「小説家、なる気やの? 本気でそんなこと思てんの? そんな甘いもん違うで、この世の中!」

町子「やめなさいって!」

孝子「お姉ちゃん、いつまでそんな夢みたいなこと言うてんのよ! 何の当てもないのに仕事辞めてどないすんのよ? お見合いでもして、ちゃんと結婚して、お母ちゃん安心さしたげてえな!」

町子「やめなさいって! 私のことは私が決めるんやから!」

 

2階で赤ちゃんの泣き声がして、孝子はそちらへ。

孝子「ごゆっくり」

健次郎「どうも。あの、こっち来て一緒に飲みましょう。ねっ。これ、本当、この島味噌おいしいですから。ちょっと…」

 

町子は玄関へ。「夢見て何が悪いねんな…」

健次郎「ちょっと…」

町子「ほっといてください!」

健次郎「妹さんの言うことももっともやと思て」

町子「もっとも?」

健次郎「いや、そやから…」

 

町子「『小説なんかなんぼのもんや』て思てはるんでしょ? あなた、奥さんにもそうやったんですか?」

健次郎「え?」

町子「奥さんつらかったでしょうね。奥さん、つらい思いして寂しい死んでいかはった…」

言い過ぎたという表情だったが、そのまま何も言わずに出ていく町子。

 

夜の街。橋の欄干にもたれかかる町子。

 

町子の部屋

机の上には昔の家族写真と人形。

信夫「これだけ空襲で焼け残ったんや」

和代「もっとあったんやけどな、終戦直後、町子と売りに行ってな。食べるもん買わなあかんかったやろ。お父ちゃん、病気やし、あんたらちいちゃかったし…」

信夫「大事にしてた人形売ってしもたんや…」

 

和代「お人形さんよりな、本売る時の方が泣いてたわ」

信夫「『小説家になる』いうてず~っと言うてたやろ」

和代「うん…。会社勤めの方がお給料ええよってな」

ずっと黙って聞いている孝子。

 

深夜、町子がそっと玄関を開けて冷蔵庫から麦茶を飲んでいると、孝子が待っていた。

町子「ええ!?」

孝子「お帰り…」

町子「ただいま…」

孝子「お姉ちゃん…ごめんな。私ら、お姉ちゃんに学校を出してもうたくせに…。堪忍…」

孝子は町子のためにサツマイモの煮物を残していた。笑顔になる町子。

 

昭和13年の回想で町子10歳で孝子もランドセルだったから、せいぜい2,3歳の差なのに町子は家族のために働き、孝子はさっさと結婚したタイプかな? いや、今、赤ちゃんがいるから、さっさとというほどじゃないか。孝子だって30代だろうし。

 

天満北商店街(大阪市北区)

 

その翌日でした。町子は菓子折りを持って「徳永醫院」を訪ねた。表にいた喜八郎に「いらっしゃい」と声をかけられる。

 

待合室は人がいっぱい。

イシ「初めての方は保険証、お願いしますね」

町子「あの、私…」

 

出たー! 健次郎の母・イシ役の岩本多代さん! 「澪つくし」「あぐり」「マー姉ちゃん」から連続出演です。これまで上品な奥様役が多かったから、庶民的な役は、朝ドラでは初めてかな。年齢を重ねても上品でおきれい。

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イシ「お熱はありますか?」

町子「ありません」

イシ「大きい病気、何かしはりましたか?」

町子「盲腸です。いや、あの…」

 

片平鯛子「先生、まだ診療時間!」

健次郎「服部のおじいちゃん、『具合悪い』言う…。ちょっと診てくる。すぐ裏やから」

待合室にいた町子が声をかけるスキもなく病院を出ていってしまう健次郎。

 

イシ「奥田さん。280円です」

 

鯛子「先にお熱だけ測っときましょうか」

町子「先生、帰ってきはりますよね?」

鯛子「もちろん」

 

鯛子役が小西美帆さんか~。全部はちゃんと見てなかったけど「やんちゃくれ」も見てたよ。小西美帆さんはそのあと金八先生で先生やってたね。ウルフルズ好きだけど、あのオープニングはうるさく感じたな~。ドラマ自体全体にガチャガチャした感じ。やっぱり朝ドラは歌唱ないほうが好きだな。

 

イシ「お大事に」

 

隆・登「ただいま~!」

鯛子「コラ! 『ここから入ったらあかん』てお父さんに言われてるでしょ!」

2人「べ~っ!」

鯛子「今度したら大きい注射打つからね!」

2人「嫌や~!」

鯛子「まったく!」

隆、登は自宅へ。入れ違いに長女の由利子が待合室に入ってきた。

 

由利子「鯛子さん」

鯛子「うん?」

由利子「お父ちゃんに『亜紀の虫下しの薬、出して』って言うて」

鯛子「あ~、先生、今、往診中。後で持っていくし、待っといて」

亜紀「うん」

鯛子「うん」

 

待合室で座って待っていた町子。「4人もいてるんや!」と驚く。

 

清志「ちょっと誰か来て!」

苦しそうな妊婦を連れてきた。

鯛子「どないしたん!?」

喜八郎「ちょっと大変じゃが!」

清志「そこで動かれへんようになってて…」

鯛子「あかん! 破水してるわ!」

喜八郎「え!」

 

イシ「とりあえず中へ!」

鯛子「清志君、先生、呼んできて! 服部さんとこ」

清志「はい!」

鯛子「あ~、すいません、お願いします!」

町子「あ…はい、はい、はい。手、手、手、ここ、回して回して。よろしいか」

鯛子と一緒に妊婦に肩を貸し、診察室まで連れていく。

 

路地

徳永晴子「清志、どないしたん?」

清志「赤ちゃん!」

晴子「赤ちゃん…?」

 

晴子役の田畑智子さんは健次郎の妹役!? 予告で見た時は、大人になった健次郎の子供だと思ってた。田畑さんの「私の青空」も当時、筒井道隆さんが好きだったんだけど、ドラマのノリについていけず挫折。

 

行きがかり上、診察室に入って妊婦を励ます町子。「頑張って! ね! 頑張って、頑張って、頑張って! ねえ、頑張って!」

晴子「何してんの!?」

鯛子「あっ、晴子先生! 予定日より3週早いんですけど」

晴子「まさかここで産むつもり? 産科の設備もないのにどないすんのよ?」

町子「あなた、先生でしょう!」

 

晴子「外科やの! 救急車、呼ばんと」

イシ「間に合えへん。もう産まれかかってる」

晴子「お母ちゃん! お兄ちゃんもいてへんのにここでは無理やで」

イシ「もう、慌てなさんな。一応のもんはそろてます。昔はみんな家で産んだもんです」

町子「私もお昼過ぎに自宅で産まれました」

 

イシ「お湯沸かして」

鯛子「はい」

イシ「晴子!」

晴子「えっ、私!?」

イシ「大学で実習したやろ! お母ちゃんも手伝うから」

晴子「お兄ちゃん、どこ行ったんよ?」

町子「今、呼びに行ってます」

 

晴子「あんた、誰?」

町子「えっ? 私ですか?」

妊婦「あ~! あ~!」

イシ「しっかり押さえて!」

町子「はい! はい!」

イシ「頑張って! 晴子!」

町子「頑張って! ねっ! みんなついてるんやから! みんなついてるんやからしっかりしなさい! ねえ、頑張んのよ! ねえ、みんないてるでしょ! ねえ、頑張って! ねえ、しっかり頑張って!」

 

清志と健次郎が路地を走る。

 

診察室の前の子供たちは聞き耳を立てる。

 

晴子「もうちょっと! はい、息んで!」

町子「力入れて、力入れて!」

 

由利子「お父ちゃん!」

健次郎「お産やて?」

由利子「晴子叔母ちゃんとおばあちゃんと知らんおばちゃんが…」

健次郎「知らんおばちゃん?」

 

産声

町子「産まれた~!」

 

健次郎「え~、産まれたんかい、おい…」

診察室に入って行く。

イシ「ガーゼでくるむようにして洗うんやで」

町子「おめでとう」

鯛子「はい」

町子「かわいらしいややさんや。よう頑張ったなあ」

 

健次郎「あれ? 何であんたが…」

町子「あっ、私…」

妊婦が気絶?

健次郎「点滴用意」

鯛子「はい!」

 

町子「大丈夫? ねえ、大丈夫?」

健次郎「うん?」

町子「先生、大丈夫やね?」

健次郎「大丈夫だ」

町子「大丈夫やね」

 

健次郎「聞こえるか? 聞こえるか? しっかりしいや」

町子「先生、助けてあげてよ。ねえ。せっかくかわいい赤ちゃん産まれたんやもん。元気な赤ちゃんがいてなあかんの。ねえ。先生、お願いやから助けてあげて。ねえ」

 

点滴が流れる。

健次郎「よっしゃ! 戻った~。100の50」

鯛子「はい」

健次郎「プルス90」

鯛子「はい」

健次郎「大丈夫やで」

 

町子、健次郎の腕を引っ張る。

町子「助かった?」

健次郎「ああ」

町子「よかった!」

 

健次郎「念のために赤ん坊と一緒に大きな病院、移しとこうか? お前んとこ産科あったな?」

晴子「うん。じゃあ、お願い」

鯛子「はい」

 

健次郎「大丈夫や…。もう安心や」

町子「はあ…」とため息つきながらも笑顔。

 

待合室でウトウトしていた町子に喜八郎が声をかけた。「あれ? あのちょっとちょっとちょっともし…」

町子「は…はい!」

喜八郎「あの、あんた、健次郎訪ねてきはったんでっかいな?」

町子「あっ、そうです」

喜八郎「ああ。これから晩飯やねんけど帰ってくるまで一緒にどうね?」

 

町子「いや、そんな、ご心配は…」

喜八郎「いやいや、いやいや、遠慮せんでもええんじゃ。ぎょうさんおるからもう一人増えても同じこっちゃ」

町子「いや、そんなあつかましいこと」

喜八郎「いや、ええ、ええ」

 

町子「そんなあつかましい…」

喜八郎「ええって」

町子「あつかましいですから」

喜八郎「いや、どうぞ」

町子「いや、ほんまに結構です」

喜八郎「ほんまやって」

 

路地

島唄が聞こえる。

健次郎「またおやじか…」

家の中では喜八郎の演奏に家族で踊っていた。その中に町子も。昨日のミニ予告はここ。

 

家に入ってきた健次郎と座って見ている晴子。「何やの、あの人?」

健次郎「え?」

晴子は部屋を出ていった。子供たちやイシさんと楽しそうに踊る町子でつづく。

 

ミニ予告

町子「わた…わた…わた…わた…わた…」

 

はあ~、やっぱり面白い。戦争で何かあったんだろうなと思わざるを得ない今の家庭環境。町子、「純ちゃんの応援歌」の純子、「マー姉ちゃん」の道子が大体同世代くらい。