徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(80)「奄美想いて」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

登(神保守)と隆(土井洋輝)が子犬を拾ってきて、町子(藤山直美)や健次郎(國村隼)にはないしょで飼うことにする。一方、町子は作家の懇親会で一日家をあけることになり同じ日に健次郎も釣りで一日家をあけ、喜八郎(小島慶四郎)とイシ(岩本多代)が子どもたちの面倒を見る。その夜、亜紀(畑未夢)がケガをする。痛みは一時治まったが喜八郎が飲みに出かけている深夜に再び痛みだし、イシが不安に駆られる…。

仕事部屋

電話している町子。「え!? そんなに反響が? うれしいわ~! はい」

 

雑誌を開いたところ

モカのおっちゃん かく語りき 花岡町子

白衣姿の健次郎の似顔絵つき。

 

恋人、夫婦、そして家族模様をつづる町子の新連載エッセーが好調なスタートをきっていました。

 

町子「だけど、今度のは挿絵が面白いでしょう。ハハッ! そう。ハハハハハ!」

 

待合室に出てきた健次郎。患者たちが健次郎の顔を見ている。

健次郎「お母ちゃん。今日、ヤマザキさん来た?」

イシ「まだ来てはれへんけど」

 

女性患者「ほんまもんや! いや~!」

雑誌を見ながら隣に座っていた女性と笑う。

 

鯛子「カモカ人気で満員になるかもしれませんよ」

健次郎「アホな!」

 

昼休み、茶の間

鯛子「私の父も楽しみにしてるんです。エッセーのページ。カモカ先生、中年族のちょっとしたアイドルですよ」

健次郎「え? 私はジュリーか」

純子「え~!」

 

町子「ジュリーて。これまでどっちかいうたらね、お手紙くれはるの女の人が多かったんですけども、この連載は『夫婦で楽しみにしてる』て言うてくれはる人が多いんですよ」

純子「『夫婦間の話題が増えました』って」

健次郎「そら、ええことやね。ほな、僕らもちょっとは世の中の人のために貢献してるわけや」

 

イシ「あら、お帰り」

町子「お帰りなさい」

晴子「アイドルも貢献も結構ですけどね、私の身にもなってください」

町子「え?」

 

晴子「最近、職場で何て言われてるか知ってる? 『カモカの妹』略して『カモイモ』」

健次郎「ハハハハハハ…! おいしそうやな」

晴子「人をカモナスみたいに…」

純子「あの、大阪の人ってどうして何でもこう縮めるんですか?」

 

健次郎「あ~、そやね。天神橋筋六丁目は『テンロク』で谷町九丁目は『タニキュウ』やな」←地名がどちらも一発変換…というかすぐに出てきたことに驚いた。

鯛子「結局、イラチなんですかね。何秒も変わらへんねんけど」

一同の笑い声

町子「そうかな」

 

喜八郎「あ~、寒、寒、寒…寒い」

イシ「やあ、お父さん、どこ行ってはったんです?」

喜八郎「ウエロク」

 

ウエロク→上本町六丁目

 

一同の笑い声

喜八郎「何がおかしいんや?」

健次郎「いやいや…」

喜八郎「なあ、町子さん」

町子「はい」

 

喜八郎「ちょっとお願いがあるんじゃけどな」

町子「あっ、何でしょうか?」

喜八郎「うん。あの、ワシのな、古い友達で繊維業の組合の役員やってるやつがおるんやけど、来週の会合でな、是非とも、あの、あんたに来てもろてしゃべってもらえんやろかっちゅう相談受けてな」

町子「講演でですか?」

 

喜八郎「誰が公園でしゃべらすかいな、あんた。ちゃんと部屋の中やがな」

健次郎「いやいや、違うがな。その公園と違て大勢の前でしゃべることを講演会て…」

喜八郎「あ~、そうそうそうそうそう。そうそう。その講演、ひとつ頼みますわ」

イシ「お父さん! そんな急な話、町子さん迷惑やて」

 

町子「いやいや、迷惑やないんですけども、私みたいなんでお役に立つんでしょうか」

喜八郎「何を言うてはるんです。あのね、あんたの例の『カモカ』、あれみんな読んでるんですって。うん、そやからな、あの是非とも町子先生の話を聞きたいて」

町子「日時が合いましたら…ねえねえ矢木沢さん」

純子「はい。じゃあ、後でスケジュール確認してみます」

喜八郎「そうでっか! いや~、それやったらみんな喜ぶわあ! おおきに、おおきに!」

 

診察室前の廊下

健次郎「大丈夫かいな? ほんまに」

町子「大したことようしゃべらんから、お父さんに迷惑かけへんかなて心配なんですけれどもね。あっ、それから忘れてませんよね、お祝い」

健次郎「ああ、おやじらの金婚式な」

町子「で、鯛は頼んであるし、ご近所さんに声かけてあるし、あっ、それから、あのほら、お酒どないしましょ?」

健次郎「うん、頼むわ。ほな…」

町子「ねえ、ちょっとちょっと、ちょ…」

 

健次郎「あ、そや。あんた、あの有馬行くのいつやった?」

町子「何言うてんの? 明日から1泊やないの」

健次郎「ふ~ん。僕な、あの明日の晩、おじゅっさんと夜釣り行くからな」

町子「え?」

 

健次郎「言うてたがな」

町子「もう寒いのに…。ちゃんと帰ってきてくださいよ。お祝い間に合うように」

健次郎「うん。久しぶりや。あ、そや。リールさびてないか見とこ」

町子「子供みたい」

 

茶の間を通りかかる町子。

イシ「いやいやいや、お父さん…」

喜八郎「ハハハハ。大丈夫や、大丈夫」

喜八郎がこぼしたのを拭いてるけど、イシは楽しそう。

 

夕方、大阪の街並み

そっと帰ってきた隆と登。

町子「お帰りなさい」

隆「ただいま!」

登「(隆の後ろに隠れる)ただいま!」

 

町子「寒かったでしょ?」

隆「うん」

登「寒かった~」

町子「何してんのよ? けったいな子。今日、お鍋よ。おばちゃん、ちょっとお買い物行ってきますね」

登・隆「行ってらっしゃ~い!」

町子「行ってきま~す!」

 

登の膨らんだジャンパーの中から犬の鳴き声がする。「シッ!」

隆「大丈夫かな?」

登「大丈夫や。お父ちゃんも町子おばちゃんも明日からいてへんから」

犬の鳴き声

登「シッ!」

 

工藤酒店

貞男「樽でいきましょ! めでたい日や」

町子「お父さんにポ~ンと鏡開きでもしてもろてね。わっ、うれしい! 何かワクワクしてきた!」

貞男「ほんま、お祝い好きやなあ、町子さん」

 

タエ「いや~、金婚式かあ。仲よろしいもんね。羨ましいわ」

貞男「コラコラコラコラコラ」

タエ「は?」

貞男「うちが不仲みたいに聞こえんがな。ねえ。うちかて金婚式の時は派手にやんでえ!」

 

タエ「あのな、こんなもんは自分らでお祝いするもんやあれへんねや。人さんに祝うてもらえるようにかいらしおじいちゃんになりや」

貞男「俺は今でもかいらしいがな。お前こそ!」

タエ「ふん! かいらしい? ハハハ」

 

貞男「見ました? 今の見はりましたか?」

町子「え?」

貞男「鼻で『ふん』て! ほんまド憎たらしい嫁はんやで!」

タエ「どっちがやの! 私は素直でかわいらしい!」

貞男「お前やないか!」

 

タエ「何でや! あんたが素直やない!」

貞男・タエ「ねえ!」

町子「同点、同点。はい、似たもん夫婦」

貞男の笑い声

町子「フフッ!」

 

夜、茶の間

おいしそうなお鍋のアップ

健次郎「ほな、いただきま~す!」

一同「いただきま~す!」

健次郎「寒い時はこれが一番やな」

 

町子「お母さん」

イシ「はい」

町子「明日の夜、よろしくお願いいたします」

イシ「はいはい。晴子は夜勤やし、健次郎はいてへんし、久しぶりに子供らと私らだけやね」

町子「それからあの、あさって、お父さんもお母さんもちゃんとうちにいててくださいよ」

喜八郎「そない大層にせんかて」

 

由利子「金婚式かあ。すごいなあ。50年たったんやよ、おばあちゃん」

イシ「ほんまにねえ」

町子「いろいろあったんでしょうねえ」

イシ「そやねえ…。いろいろありましたなあ」

 

町子「ねえ、健次郎さん」

健次郎「うん?」

町子「ちゃんと帰ってきてくださいね。私もお昼過ぎには戻りますから」

健次郎「うん。大漁で帰ってくるで」

 

清志「おばちゃん、お仕事で温泉?」

町子「関西の作家の親睦会」

隆「『しんぼくかい』て何?」

健次郎「組合の旅行みたいなもんや」

隆「『くみあい』て何?」

健次郎「字引でちゃんと調べなさい」

隆「『じびき』て何?」

健次郎「お前、毎日学校行ってんねやろな?」

 

由利子「おばちゃん、お土産忘れんといてね」

町子「忘れんとちゃんと買うてきますからね」

 

登「ごちそうさま」

町子「え? 登君、もういいの?」

登「うん。宿題してくる」

 

町子「今…何て言うた?」

健次郎「『宿題してくる』て聞こえた」

町子「明日、雪かなあ…」

 

翌朝、玄関を出た町子はちらつく雪を見ていた。「うわ~! ほんまに降った~!」

隆「雪や、雪や!」

由利子「あっ、ほんまや! きれ~い! すごいね」

清志「積もるかな~」

 

町子「あれ? 登君は?」

登「お待たせ!」

隆が登の手を引っ張る。「大丈夫やの?」

登「シッ! (町子の方を振り返り)行ってきま~す!」

隆「行ってきま~す!」

 

町子「行ってらっしゃい!」

由利子・清志「行ってきます!」

町子「行ってらっしゃい! 足元、気ぃ付けてね! 行ってらっしゃい!」

健次郎「あっ。ほんまに降ったな」

町子「うん」

 

健次郎「気ぃ付けて行きや」

町子「けど、すぐやむでしょう。ねえ、健次郎さんも気ぃ付けてね」

健次郎「うん」

町子「ほな、行ってまいります」

健次郎「はい、行っておいで」

 

そして、夕方になり、健次郎も一真と出かけていきました。その夜のことです。

 

茶の間

喜八郎「ほ~ら、高い高い高い! 亜紀ちゃん、高い高い高い!」

 

イシが台所仕事を終え、茶の間へ。清志と隆は応接間でテレビを見ている。

イシ「由利子はお風呂か? 登は?」

隆「うん。部屋で宿題」

イシ「昨日から珍しいこと。ほな、お部屋、お布団敷きに行こか」

隆「ええねん!」

イシ「え?」

 

隆「ええて! 自分らでやる」

イシ「どうしたん?」

隆「おばちゃんいてへんからな、自分のことは自分でせな。なあ、兄ちゃん」

イシ「はあ、急にええ心がけになって、また!」

清志、隆は部屋を出ていく。

 

子供部屋

段ボール箱に入れた子犬をなでている登。「ええか? 鳴いたらあかんで。静かにしとくねんで」

障子戸が開く音がし、入ってきたのは隆と清志。「どないすんねん? いつまでも隠しとかれへんで。『うちは医者やから動物は飼われへん』て、お父ちゃんから言われてるやろ」

登「こんな寒い中、ほっといたら死んでしまうやん。かわいそうや…。お兄ちゃん、頼む。黙っといて」

清志「すぐバレるで…。知らんで」

 

廊下を歩いているイシ。茶の間から亜紀の泣き声が聞こえた。

喜八郎「堪忍、堪忍」

イシ「どないしたんです?」

喜八郎「いやいや、ほたえとったらな、こけてしもて、ここでゴツンと打ちよった」

dictionary.goo.ne.jp

peachredrum.hateblo.jp

前も何かで調べたな…って「芋たこ」かあ~。てっきり「純ちゃんの応援歌」かと。

 

イシ「いや~、まあ!」

喜八郎「いやいや、湿布でもしといたらな、すぐに治るさかい」

イシ「赤なってるやないの。なあ」

喜八郎「ちょっと当たっただけじゃ」

イシ「かわいそうにな…。ああ、よしよし…」亜紀を抱きしめる。

 

喜八郎「堪忍やぞ」

イシ「亜紀ちゃん、大丈夫やで。なっ、すぐ治るよってなあ」

喜八郎「堪忍してくれ」

 

その深夜でした。

 

亜紀の泣き声

 

茶の間

イシが亜紀を抱っこして患部を冷やしている。

由利子「どないしたん?」

イシ「打ったとこ腫れてきてな」

由利子「おじいちゃんは?」

イシ「遅から飲みに行ったみたい」

 

亜紀、泣く。

イシ「よしよし。痛いか? いや、熱もってるがな」

由利子「晴子叔母ちゃんに電話する?」

イシ「様子見てな、腫れがひかへんみたいやったら、お医者さんに連れていくわ。あんたはええから寝なさい。なっ」

 

泣き声

イシ「亜紀ちゃん、大丈夫やで。なっ」

 

午後11時過ぎ

イシ「亜紀、大丈夫やで。大丈夫や…」

 

喜八郎「ただいま。あれ? どないしたんや? こんな時間に」

イシ「どないやあらしません! 亜紀がけがしたとこ『痛い痛い』て」

喜八郎「え? 『痛い』て? ちょっとこっち来い。こっち来い、亜紀。はいはい、はいはい」自らの膝に乗せる。

イシ「こんな時…こんな時…お父さん」

喜八郎「あら…。何、ぼんやりしてんねんな。早いこと、医者へ連れていかんかい! 健次郎に連絡するとか、晴子に電話するとか。何かあったらどないするんじゃ!? よしよしよしよしよしよし…」

 

イシ「私一人やったんやから…。『痛い痛い』泣いてんのに、正子が泣いてんのに私一人で…」

喜八郎「何を言うてんねん…? お前、今、『正子』て…」

 

ハッとするイシ。「亜紀、おいで。おいで」

喜八郎「どこ連れていくね?」

イシ「晴子の病院の救急」

喜八郎「あっ、ほな、ワシも行くわ」

 

イシ「そんなお酒くさい人、連れていかれしません! 子供たちもいてるから、ここいててください!」

喜八郎「あ…あ...気ぃ付けてな!」

 

治療を受けた亜紀は大事に至りませんでしたが、翌朝、イシが家を出たきり戻っては、きませんでした。

 

茶の間

健次郎「起きたらいてへんかったんやて」

喜八郎「散歩にしては、ちょっと長いな」

町子「お父さん、ようそんなのんきなことを…。何があったんですか? 留守中に」

喜八郎「いや、別に何もあらへんで」

 

町子「けんかでもしはったんですか?」

喜八郎「けんかちゅうな、大層なこっちゃあらへん」

 

理由が分からない2人には、なすすべはありませんでした。

 

ため息をつく町子。

 

ミニ予告

町子「タイミングの悪いチャンピオンなんですよ!」

「は?」←誰、この男の人

 

イシさ~ん、どこ行った!? 正子とは!? それと、子犬の行く末も気になります。