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【連続テレビ小説】あぐり (52)「先生の醜聞」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

チェリー(名取裕子)と沢田(中条きよし)のことは、ゴシップ紙にも取り上げられ、あぐり田中美里)たち弟子の間にも動揺が広がる。チェリーの店に有名作家の妻が来店し、チェリーが、エイスケ(野村萬斎)の小説を読んでもらったら、と提案する。チェリーは、二人の関係がゴシップ紙にも取り上げられていることを沢田に相談すると、沢田は、ご主人と別れて結婚してほしい、と提案する。そんな時、世津子(草笛光子)に…。

あぐりは昼休憩にエイスケの「暗闇の街」を読もうとするが「ああ駄目じゃ…。すぐ眠くなるわ」と本を閉じてしまう。燐太郎の詩は暗唱するほど好きなのに、エイスケの小説を読んでないあぐりのことをごちゃごちゃ言う人もいるけど、でもさ、読書好きなら好き嫌いあるのが当然では? エイスケの小説は確かに読みづらい。あと身内が男女の恋愛話を書いてるのも読みづらい。 

地図に出てくる男女

地図に出てくる男女

 

入れ違いに休憩室に入ってきた時子と花枝が新聞を読んでいた。「最近洋髪で話題となっているA美容師は、夫と子供のある身でありながら青年実業家S氏に男女の仲を利用して多額の出資をさせている」。時子「全く。先生も旦那と子供おんのにようやるわ」。

 

あぐりが店に戻るとチェリー自ら接客する上品なご婦人がいた。「澪つくし」の久兵衛の本妻・千代役の岩本多代さんだ~。婦人は長堀俊介の妻・喜美子だという。あぐりは長堀の「烏丸物語」「金華山」「夕暮峠」が好きだと話し、特に「烏丸物語」の若い芸者との純愛に感動したと言う。一瞬、複雑な表情を見せる喜美子だったが、「主人に伝えておくわ」と笑顔を見せた。

 

帰り際、チェリーがあぐりの夫も小説家の卵で、長堀先生に作品を読んでもらったらと提案した。あぐりは「でも彼の小説、何が何だかよく分からないし、すぐに眠たくなるし…それでもいいんですか?」と言ってたけど、分かるよ、その気持ち。万人受けするタイプの作風じゃないんだよね。

東京ロマンティック恋愛記

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喜美子のお代は1円50銭。

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大正14年に純金1gが1円73銭。2020年5月の金1gが6,500円くらいだから、そうなると6000円くらいだからそこまで高級という感じでもなさげ。ホントにただ髪を整えに来ただけなのかもしれないけど。意外と良心的な値段だね。あぐりは持参していたエイスケの小説が載った雑誌を長堀夫人に渡した。

 

文壇で権威を誇る長堀俊介にエイスケの小説を見せた事からあとでとんでもない事になるとはあぐりは気が付く由もありませんでした。

 

世津子は文潮出版の社長の後押しで念願の女性を対象とした雑誌を発行する事になっていました。

 

カフェ・セ・ラ・ヴィにはいつものメンバーが集まるが森がいない。森は谷中の墓石屋さんの旦那と草津で温泉三昧。貧乏な文士の応援をするのが趣味の旦那で、エイスケによれば森は「墓石と人間の欲望についての関連を書きたい」そうです。

 

本に載せる小説にエイスケが書くと名乗りを上げたけど、鈴音も「みんな寝るよ、悪いけど」。「安らかに眠れる雑誌…。いいじゃない、健康によさそうだ」とエイスケ。うーん、エイスケさんも自分の作風を分かってるのね、それもちょっと切ない。

 

鈴音は長堀俊介の純愛ものを提案するが、エイスケは長堀の作風が嫌いだとはっきり言った。しかし、雑誌が売れた方がいいと言う燐太郎とケンカになりそうになるが、世津子が新しい雑誌を作りたいと止めた。小説も新人に書いてもらいたいと思っているという世津子の話から燐太郎が書くことになった。

 

店を出たエイスケに燐太郎が「本当にいいのか?」と尋ねるが、エイスケ「だからといって僕には若い女性にウケるようには書けないさ。世津ちゃんへの恩返しは別の形でするさ」と去って行った。

 

チェリーはゴシップ紙「萬新聞」を見ていた。「はね駒」でみどりさんがやってたのってこういう記者じゃなかったかな。一般紙じゃないやつ。

『それにしてもA美容師の経営手段には舌を巻くばかりである。次々と男を替え、その相手から出資金をしぼり取る。最近のS氏などは自分の本業そっちのけでA女史に夢中のようだが、これもいつまで続く…』チェリーは新聞を投げつけ、カフェ・セ・ラ・ヴィで沢田と会い、こんな風に書かれてしまった以上、会わないほうがいいと言ったが、沢田の方は「いい機会だからはっきりしないか?」とプロポーズした。

 

沢田はチェリーの才能も認めているが、女性としても好意を持ってるから、夫と別れて結婚してほしい…チェリーは仕事仲間と思っていたからびっくり。今でもこういう事ってありそう。仕事のできる女性に「どうせいいパトロンがいるんだろ」みたいなこととかもっと下品な言い回しで侮辱しているのをネットでも見かけます。

 

あぐりはグレーのスーツに合わないグリーンの帽子を持って来たため、家に取りに帰るよう言われた。銀座から1時間のチェリーの自宅は中野。

 

チェリー宅に戻ると、真知子に萬新聞の記者が「沢田さんもちょこちょこここにも来るんでしょ?」と下衆な質問をしていた。あぐりが「『帰れ』言いよんのが分からんのか! このアホッタレ!」と記者を追い出し、真知子の部屋の前へ。部屋で泣いてる真知子に先生も傷ついてる、燐太郎の詩を引用しながら真知子がチェリーの「星」で、チェリーには真知子が必要だと話しかけた。

 

カフェ・セ・ラ・ヴィで話し合いは続く。森は墓石屋の旦那と今度は修善寺へ。「墓石が人類滅亡の危機を救う」っていう小説を書くらしいというエイスケ談。そこへ文潮出版の社長から世津子宛に電話が来た。「今度の企画は白紙にしたい」という知らせだった。

 

世津子はチェリーの店に行き、あぐりにエイスケの小説を喜美子に渡したか聞いた。

 

そういえば某掲示板で「世津子に吉武とねみたいな常識を求めて見ていたらモヤモヤする」というのを見かけたけど、まさしくその通り。リアルタイムでは大人でおしゃれなマダムと思っていた世津子さんが今見ると、吉武とねを知ってしまったためにあまりに立派な女親方だったから物足りなく感じるのかも。

 

昨日のチェリーへのアドバイスは私はさらっと流して見てたけど、そこに引っかかる人も多かったし、その理由を聞けば、なるほどなと思えた。とねなら沢田なんかに頼らずあんたの力だけでお金を集められるだろう!と豪快に笑ってくれるんじゃないかって想像できるもんね。どうにもならなきゃ私のとこに来な、みたいな頼もしさがあった。

 

とねさん、千代さん今日は「澪つくし」を思い出します。岩本さんはやっぱり上品な奥様がよく似合う。