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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (79)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

ヨウ子(早川里美)に肉入りスープを出して栄養をとらせるはる(藤田弓子)。ヨウ子は飼ってるニワトリの声が聞こえないと心配するが、皆でさばいたことをひた隠す。三郷(山口崇)から新たに紹介された医者・新藤(冨田浩太郎)からヨウ子が他の病の可能性があると言われる。一方、マチ子(田中裕子)の後釜として、標本を絵にする仕事を始めたマリ子(熊谷真実)。食べられるものかどうか兵が見て判断するための絵だと聞き…。

布団で寝ているヨウ子にはるがおかゆを持ってきた。

はる「今日はね、幸せなことにお肉が手に入ったもんだからね、スープにしたのよ。この病気はね、体に力がつきさえすれば、どんどんよくなるんですって。はい、たくさん食べてね。はい(ヨウ子に器を渡す)。薬だと思いなさい。薬だと思ってたくさん食べなきゃ駄目よ」

 

そこに帰ってきたマチ子。はるは、とっても気分がいいらしいからスープを飲ませるという。

はる「ほら、あの牛肉で」

マチ子「ああ…あの牛肉ね」

 

出かけていたマチ子も今日はとってもおいしい結構なコーヒーをごちそうになってきた。はるは台所に片付けに行き、マチ子はヨウ子にはると同じように「薬だと思いなさい、薬だと。この病気はまず体に力をつけなくちゃ」と言う。

 

ヨウ子「今朝はニワトリさんの声がしなかったみたいだったけれど…」

マチ子「え…あっ…あの、あれよ…天海さんのうちへ連れてった」

ヨウ子「どうして?」

マチ子「バカね~。だって、この病気は…おいしいものをたくさん食べてそんなくだらない心配は一切捨ててよく眠ることが一番の治療法なのよ。ニワトリさんがいたら毎朝コッコッて鳴いて、ヨウ子の眠りを妨げるじゃないの」

 

ヨウ子「それじゃあ」

マチ子「そうですとも! それに天海さんのおばさん、たった一人でさみしいでしょう? だからニワトリでも話し相手があった方が同じ独り言言うんだって張り合いがあるんですって。あのおばさんらしいじゃない!」

ヨウ子「そうだったの」

マチ子「さあ、食べて食べて」

ヨウ子にっこりマチ子に笑いかける。

マチ子「フフッ、本当においしそう」

 

庭の片隅にニワトリの羽と脚…羽だけならともかく脚…ウッ。

 

これでニワトリさんの運命はお分かりでしょう。しかし、残酷だなどと言わないでください。一家は総力を結集してヨウ子の病気に立ち向かっていたのですから。

 

マリ子はマチ子が投げだした標本の仕事をしていた。

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マリ子の心の声「頑張るのよ、ヨウ子。マー姉ちゃんがついているからね。ううん、お母様もマッちゃんもついているんだから絶対にあなたの病気を治してみせる」

 

助手が入室してきた。

助手「磯野さん」

マリ子「はい」

助手「この仕事は絵画ではなく学術的なものなんでね、できるだけ忠実にお願いしますよ」

マリ子「えっ?」

 

助手「妹さんのは、うろこの数まで実に丁寧でした。あなたのは絵としてはすばらしいが、できるだけ正確を期してほしいんです」

マリ子「はい、私もそう心掛けておりますけれど、つい見慣れないお魚もあるものですから珍しくて」

助手「そうでしょう。これは南方の魚なんでね」

マリ子「南方の?」

 

助手「まあ軍の機密に触れることになるかもしれないが、これは野戦食糧補充作戦の一環を担う仕事なんでね」

マリ子「野戦食糧?」

助手「日本で言えばフグのように南方にも毒性を持つ魚がいましてね。兵隊たちに食べていい魚と悪いのをこの絵によって判別させるわけなんだが、そのために我々が説明を付け加えるんですがね、できるだけ見た目の姿ですぐ分かるのが一番なんです」

マリ子「そうですか…。この仕事はそういうお仕事だったんですか」

 

助手「何か?」

マリ子「いえ、そういうお仕事でしたら頑張ってやらせていただきます。はい、私も知り合いに出征している人たちが大勢おりますし、その人たちの安全を守るためでしたら、私、命懸けでやります。ですから絶対、機密は守りますし、この仕事は私一人にやらせてください。忠実に絵にすることでしたら昔から私の本領ですし、それで受賞したこともあります」

助手「ほう、受賞を」

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そういえば、この回でもマチ子は本気を出せばマリ子よりデッサンはうまいとマリ子自身も思ってたんだね。

 

マリ子「はい、福岡新聞にお問い合わせいただければ必ず証明してもらえるはずですので」

助手「いや、結構です。実にいい人にお願いできました」

マリ子「はい、ありがとうございます」

 

夜。磯野家。布団で寝ているヨウ子は隣の部屋で話しているマリ子たちの会話を耳にしていた。

はる「まあ、そういうお仕事だったの」

マリ子「だから私、頑張るわ。たとえそういう仕事でなくてももう一口増えたんですもの。挿絵の仕事は夜やりますから応援してね、お母様」

はる「もちろんですとも。マチ子もね、今日、もう一つ新しい仕事を頂いてきたし」

マリ子「本当!?」

 

マチ子「ヨウ子のためですもの。ねえ、お母様。これからはヤミだろうと何だろうと、どんどん栄養になるものを買ってくださいね。だって私たちがぜいたくするんじゃない。ヨウ子は病人なんだし、私たちがまっとうに働いて稼いだお金ですもん。たとえ、ヤミ買いだろうと罪悪じゃないと思うの」

はる「そうですとも」

マチ子「それにもっといいお医者様に診せたいし」

マリ子「そうよね」

 

マチ子「今の先生を信用しないわけじゃないけど、もっといい先生ならもっといいお薬があるのかもしれないし」

マリ子「そうよ。それがいくらかかっても構わないわ。私たちでヨウ子を守らなければ誰が治してくれるのよ。そのためには私、根限り仕事をするわ」

マチ子「私だって」

はる「ありがとう、マリ子、マチ子」

マリ子「何をおっしゃるの、お母様。ヨウ子にもしものことがあって私たちが生きていけると思うの?」

マチ子「マー姉ちゃん

ヨウ子は眠りについていた。

 

わらにもすがる気持ちでお医者様も替えました。新しい先生はかつて写真屋さんの病気を治した進藤博士です。

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写真屋さんの病気というのは、まだマリ子たちに出会う前の大学時代に中退の原因になった病気のことかな? 

 

はる「遠い所からわざわざありがとうございました」

進藤「いやいや、三郷君からの紹介ではお断りするわけにもいかんですしな。それにだいぶ大げさに言われたんで飛んできたんですが、お嬢さんのは多分に疲れが原因ですね。多少神経質なところがおありのようですが、なるべくのんきにさせて養生させてやってください」

智正「はい。どうも申し訳ありませんでした。あの…ですが、先生、あの…病気が軽いとおっしゃられても、このままお見捨てなくどうか先生の患者にしてやってください。お願いいたします」

進藤「いいでしょう。それじゃあ、どなたかあとで薬を取りに来てください」

 

智正がお供するというが、マチ子が先生のカバンを持ってお供するという。

進藤「病人が不安がりますから、どうぞ、もう」

はると智正はお礼を言って家の中に入った。

 

マチ子「それで、先生…」

進藤「一度、気分のいい時を見てレントゲンを撮る必要がありますな」

マチ子「レントゲンを?」

進藤「ろく膜だけならいいんだがね…」

 

マリ子「ろく膜だけじゃないっていうと…」

マチ子「もう少し進んでいる可能性があるらしいの」

マチ子はマリ子が作業する帝大の分室に来ていた。

 

まだストレプトマイシンがなかった頃のこと、当時、一番、死亡率が高かったのが胸の病気だったのです。

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結核が原因だったらストレプトマイシンが有効ってことかな。

 

マリ子はうなだれてしまった。

マチ子「やめてよ、そんな顔するの」

マリ子「だって…」

マチ子「進藤先生はただ可能性があるとおっしゃっただけなのよ」

マリ子「マッちゃん…」

マチ子「だとしてもほんの初期なのよ」

 

マチ子は家でヨウ子の病気の話ができないのでマリ子のもとに来た。ヨウ子の前ではそぶりにも出さないでとマリ子に言う。マリ子は邪魔だからさっさと帰れという。「そうなったらどんな絵だろうとどんどん描かなくっちゃ」。マチ子が顔に出そうになったらどこでもいいからどやしてちょうだいと言って帰って行った。

 

とぼとぼ帰ってきたマリ子だったが、家に帰ると明るく家に入った。

マリ子「何だ~、疲れから来た気管支だったんだって?」

はる「でもね、この子は人一倍気管支が弱いからもっと悪い病気を併せて起こさないように十分気を付けてやらんとね」

マリ子「まあ、しばらくのんびり休むことね、ヨウ子」

 

ヨウ子「すいません」

マリ子「何言ってるの、原因は気疲れよ。菊池先生もああおっしゃってくださってるんだし、文学修業は当分の間お預けね」

ヨウ子「はい」

マチ子「それにしたってあんなヤブと医者替えてよかったわよね」

マリ子「そうよ、気管支をろく膜だなんてヤブどころかタケノコだわ!」

 

マチ子「本当、本当!」

はる「そういえばそろそろタケノコの季節だわね」

マリ子「そうだ! ヨウ子にタケノコごはんを炊いてやってよ、お母様。初物を食べれば75日は長生きするっていうくらいですもの。ヨウ子が元気になること請け合いだわ!」

 

マチ子はウラマド姉妹と用賀の竹やぶまでタケノコ掘りに行くというが、はるがスコップを持っていくという。

はる「あなたにはあなたの仕事があるとでしょう?」

マチ子「ハ~イ! (立ち上がり姿勢を正して右手を上げて)ヒトラー!」

これ、今じゃ絶対できないネタだな~。「いだてん」でもそうやって選手たちがふざけ合うシーンがあったんだから、やっぱりはやってたんだろうけど、それを後悔するという流れだった。このドラマは別にそういうのなく、みんな笑ってる。

 

はるとマチ子は夕食の準備、マリ子は挿絵の作業。

 

電話が鳴った。

交換手「世田谷の2137番でございますか?」

鹿児島からの至急電話だった。

 

果たしてこの電話、東郷新八郎の何を告げるものだったのでしょうか?

 

昨日、以前買った長谷川洋子さんの本を読み終えました。これは最初に出た朝日出版社の本を電子書籍化したもので、後から新章を足した文庫本の電子書籍化ではなかった。

↑これの電子書籍版が読みたかった。こちらには新章と解説がついている。それと、姉たちと絶縁したあとと思うけど、このサザエさん風の絵はどなたのものなんだろう? これからのドラマの展開ともかかわるので感想は後で書くけど、姉妹の断絶より、母の晩年の方が私はちょっとショックだったかな。