公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
マリ子(熊谷真実)の画塾の登校初日。校内の案内を受けていると、そそっかしいマリ子は早速イーゼルを倒してしまい、しどろもどろ。そんな中、ルパシカを着た青年・信彦(森田順平)と出合い頭にぶつかり、思わず見惚れてしまうマリ子。教室に戻ると、倒したイーゼルの持ち主・茜(島本須美)から喫茶店に誘われる。慣れた様子で大人の振る舞いをしていた茜の話を、興奮気味にマチ子(田中裕子)に話して聞かせるのだが…。
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マリ子が憧れの川添画塾へ通い始めたのは、風薫る5月に入ってのことでした。
デッサン室を見学し、早速イーゼルを倒した。
マリ子「どうも申し訳ありません! 私、磯野マリ子と申します。磯は海辺の磯に野原の原…いえ、上野の野です。マリはカタカナのマリ…以後、気を付けますのでどうかよろしくお願いします!」
下はデッサン専門、次は美校を出た人や好きで描いてる人たちのアトリエ。案内してくれてる佐藤先生は見たことある人だなー。
マリ子「私、人物大好きなんです。それも裸婦が」
などと話し、川添先生にも見ていただけるのか聞く。先生が見ていただける絵かどうかはまず佐藤先生に見せてから。
画学生たちに話しかけられた。
画学生1「新入りのお嬢さん?」
佐藤「ああ、磯野君です。よろしくお願いします」
マリ子「よろしくお願いします」
画学生1「裸婦が好きって今までどんなもの描いてたの?」
マリ子「はい、福岡新聞主催の展覧会で裸婦を出して金賞をいただきました」
画学生2「へえ~金賞を? それはすごいじゃない」
画学生1「いくつ?」
マリ子「もちろん1つです」
画学生1「年、君の」
マリ子「17です。筑前高等女学校を卒業したばっかりです」
画学生2「かわいいね。今度いつか君を描かせてくれない?」
マリ子「申し訳ありませんけど、それは駄目です」
画学生2「どうして?」
マリ子「私は絵を描きに来たのでありまして描いてもらうために来たのではありませんから」
佐藤「振られましたな、見事に」
画学生2「でもかわいいよ」
画学生1「かわいいかわいい。あのじゃじゃ馬に比べりゃすれてないところが新鮮だ」
うおー! セクハラ!!
アトリエから出ると男の人にぶつかった。
マリ子「ごめんなさい! ああ~またやっちゃった!」
手をつかまれた。
マリ子「あ…」
結城信彦「いいんですよ。ご婦人がそんなことをしてはいけません」
キャーッ! カンカンだ。
4月から「マー姉ちゃん」、10月から「3年B組金八先生」の乾先生。マリ子は信彦を見てぼうっとしてしまう。
デッサン室に戻ると、ピンクのワンピース姿の女性がデッサンをしていた。喜多川茜役は島本須美さん。やっぱり声優さんの声ってとってもきれい。
茜「よかった。このお部屋に入ってくるといつも話し相手がいないでしょう? だから息が詰まってすぐに帰りたくなってしまうの」
マリ子「はあ」
茜「あなたが入ってきてくださって本当にうれしいわ。よろしくね」と手を差し出した。
マリ子「こちらこそどうぞよろしくお願いします」
茜「私は喜多川茜。お茶でも飲みましょうか」
マリ子「はあ?」
茜「出ましょうよ。この先に割とましな喫茶店があるの」
マリ子「喫茶店ですか!?」
喫茶店。茜が注文したのは、コニャック入りのお紅茶。マリ子はソーダ水。
修業第1日はマリ子にとって実りというより刺激の多い一日でありました。
タバコを吸った茜が「召し上がる?」とにこやかに笑顔を向けた。
家で台所仕事をマチ子としながら今日の出来事を話して聞かせるマリ子。
マチ子「喫茶店!?」
マリ子「ないしょばい、お母様には」
マチ子「もちろん。そいで?」
マリ子「『あなたもいかが?』ってタバコ出したと」
マチ子「タバコ!?」
マリ子「もちろんうちは断ったばい」
マチ子「一体何者なんね? そん人」
マリ子「ん~…伊豆の大地主の娘なんだって。女学校も東京の女学校出てるからもうまさに東京の貴婦人たい」
マチ子「で、年は?」
マリ子「うちより2つ年上っつったから多分19だろうと思うけど、もう大人、大人」
マチ子「ふ~ん、すごかね~」
マリ子「すごいすごい、もう…」
と話しているうちにはる帰宅。
マリ子「今んことないしょばい」
マチ子「うん。そんかわりあとで続き教えてよ」
マリ子「教える、教える」仲いいなー。
川添画塾というのは、美術学校を狙ってるひとばかりで2~3年落ちた人もざらにいる。美校の試験には何といってもデッサンが一番ものを言う。何事も基礎が一番大切。
はる「ではミシンを1台買いましょうね」
マリ子「えっ?」
画塾で着るブルーズは買ってあげるけど、うちで着る分は自分で縫う。
ブルーズ10枚よりミシンの方がずっと高いとマチ子は言うが、ヨウ子のことでお礼をしたいので智正にお願いしてミシンを買うとはるが言う。近所の噂によると、三郷写真館は元々写真屋ではなく、病気で大学を辞め、今の商売を始めて1年ぐらいであまりうまくいっていない。だからこれから機械は智正にお願いすることにする。
夕食後、三郷写真館へ家族写真を撮りに行く。マリ子が結構大人びたワンピースを着てたな。トセに焼き回しは何枚ぐらいに?と聞かれ、福岡にも送りたいので10枚といい、ミシンのこともお願いした。
字幕でもセリフでも”焼き回し”と言っていたけど”焼き増し”が正解。この時代はこういう言い方がおなじみだったのかなあとも思ったり。今、そもそも焼き増しする状況がないか。
帰ってから、マチ子はマリ子に喫茶店の続きの話をせがんだ。ソーダ水の味は博多のデパートの味。その後、喫茶店に2階でぶつかった人が入ってきた。
マチ子「ああ~ああ、ロシア民謡みたいだっていう人?」
マリ子「写真屋の帰りに思い出したけど、ああいうのルパシカっていうんだって、ああいう服」
ロシア民謡!(笑) 「澪つくし」では河原畑、「あぐり」ではエイスケが着ていたあのルパシカです。
マチ子「へえ~マー姉ちゃんずっとその人のこと考えてたの?」
マリ子「嫌な子! もののはずみで思い出すってこともあるでしょう?」
マチ子「ん~…まあいいや。へえ~そうか、ルパシカか、ルパシカね」
マリ子「はあ~それがまたとっても似合うのよね。ああいうの貴公子っていうのかな…」
マチ子「貴公子?」
マリ子「華族さんの出なんだって、あの人!」
マチ子「やっぱり」
マリ子「何が?」
マチ子「東京って変なのばっかりおるとね。で、何て言ったの?」
マリ子「しかたんなか。『ごめんあそばせ。ごきげんよう』って言った」
マチ子「舌かまんかった?」
マリ子「かんだ」
マチ子「アホやね~。『華族なんかに驚くな馬賊の本場は福岡だ』って言ったとはマー姉ちゃんでっしょうが」
マリ子「だってすごく品がいいんだもん。そばを通るとプ~ンといい匂いがするとよ」
マチ子「嫌らしか男のくせに!」
マリ子「しかたないでしょ、華族さんなんだから」
マチ子「えらく肩持つんね」
マリ子「そんなわけじゃないけど…。うちんことね…ご婦人って…フフ…」
マチ子「はあ~そのひと言でポ~ッとなったんだ」
赤くなった、青くなったとマチ子に冷やかされているうち、泣き出すマリ子。
げに乙女心とは傷つきやすいものでありました。
会話が面白いなー。テンポがいいし。今日は貴公子はほとんどしゃべらなかったけど、後日に期待しよう。ていうか、森田順平さんこそ福岡の出身だったのね。