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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (85)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

昭和19年早春。学徒出陣に続き、若い女性が軍事工場に借りだされることになった。病床でも明るく振舞うヨウ子(早川里美)に、栄養をとらせたいマリ子(熊谷真実)たちは、度々農婦・テツ(今井和子)を訪ね、着物と食べ物を交換しに行く。愛想の悪いマチ子(田中裕子)に忠告するテツだが、マリ子の人の良さと働きぶりにより、大量の野菜と米を持たせる。そんな矢先、はる(藤田弓子)が家族バラバラに住もうと言い出し…。

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昭和19年早春

 

着物の整理をしているはる。「まあ~…いい柄だこと」と友禅の着物をあててみる。

マリ子「品がよくても駄目なんです。今度は木綿物をって念を押されたんですから」

はるは浴衣を選ぶ。マリ子が言うには、近頃どこでも上等なものを持っていくから農家では木綿物を欲しがるようになったという。

はる「それはそうよね。いくら品がよくても柄が見事でも訪問着で野良着は変でしょうしね」

 

東郷新八郎の後を追うように18年の暮れに学徒兵たちが出陣していくと今度は女の番です。19年の正月早々には14歳から25歳の未婚女性は軍需工場に動員されることとなり、寝ているヨウ子を除けば磯野家でこれに該当するのはマチ子一人でしたが…

 

ヨウ子は2階で寝ていて、顔色が悪い。父の肖像画を見ていた。

 

マチ子「本日の気分はいかがかな?」

ヨウ子「東部軍管区情報、本日の経過状況は極めて良好なり」

マチ子「上等上等。それじゃあ夕方にはもっと良好にしてあげるからね」

ヨウ子「また、お買い出し?」

マチ子「『また』ということはないでしょう。それじゃあまるでマッちゃん姉さんがヤミ屋さんみたい」

 

ヨウ子「ううん、そういう意味じゃないの。本当に大変だと思って」

マチ子「大丈夫。ヨウ子がもっと元気になったらどんなに大変なものか買い出しの味をたっぷり味合わしてあげるから」

ヨウ子「はい、楽しみにしています!」

マチ子「まあ、この子ったら本気にしてないんだから」

 

ヨウ子「フフッ…」

マチ子「こら、何がおかしいのよ」

ヨウ子「セーターが裏返し」

マチ子「えっ? こら~、また担いだな~!」

ヨウ子「ええ、せめて買い出しのお米代わりに」

マチ子「本当にヨウ子ったらもう!」

 

準備ができたとマリ子が声をかけた。

マチ子「よし、それじゃ出撃するとしますか」や「大丈夫。名参謀がついてるんだから」とスラスラ軍事用語みたいなのが出てくるのが面白い。

 

このころになると紙も極度の不足で新聞すら夕刊が廃止となり、マリ子もマチ子も思うような仕事もなくて帝大分室から依頼された野戦食糧植物編の合間を縫って買い出しに精を出す明け暮れでした。

 

蒸気機関車の中、ススだらけのマリ子とマチ子。

 

とある農家に行った二人。すごい立派なセットだなー。大きな農家という感じ。独り遊んでいた子供に声をかけ、お母さんを呼んでくるよう頼んだ。

マチ子「2駅も歩かされて空振りなんてたまんないわよ」

マリ子「しかたがないでしょ。摘発隊がいるっていう情報だったんですもの」

マチ子「だけど私たちまだ何も持ってないのよ。帰り道ならともかく」

マリ子「『謀は密なるをもって良しとする』。定期的に来なくちゃならないんですもの。一度でも顔を覚えられない方が得でしょう」

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マチ子「それはそうかもしれないけど…」

マリ子は座るようにマチ子に言い、マチ子も座る。

マチ子「あれ、譲ってくんないかな」

視線の先はかごに入ったニワトリ。

 

マリ子「この前、だいぶ粘ってみたんだけど、手ごわいんだな~、あのおばさん」

マチ子「だけど頼まれた木綿物持ってきたんでしょう?」

マリ子「うん…まあ、卵10個がいいところかもしれないわね」

マチ子「食べさせたいのよ、ヨウ子に。栄養とらせなきゃ心配だわ。口じゃ元気そうなこと言ってるけど」

マリ子「とにかく粘れるだけ粘ってみる」

 

マチ子「だからってこの前みたいなことはしなくていいのよ」

マチ子は物もらいでも何でもない、それなりにちゃんとお金を払ってるんだから麦踏みはしなくてもいいとマリ子に言う。

マリ子「いいじゃないの。それで向こうが親しみを持ってくれれば、結局は私たちが得になるのにどうしてあんなに機嫌が悪かったのかしら?」

 

マチ子「『渇しても盗泉の水を飲まず』」

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マチ子「いくらヤミ買いだからって、私、そんなに卑屈になりたくないの。マー姉ちゃんだってもっとプライド持つべきよ」

マリ子「だって麦踏みくらい何の抵抗もないんだもん」

マチ子「本当にあきれた人ね」

 

マリ子「ヘヘヘッ、我が家にも一人くらいそういうのがいなかったら今頃みんな栄養失調よ」

マチ子「そりゃそうかもしれないけど…」

マリ子「やってみなさいよ。結構面白いのよ。それに第一ヨウ子のことを考えたら何ともないじゃないの」

マチ子「ひど~い! こんな時にヨウ子のこと言うなんて!」

 

そこに農婦のテツ登場。今井和子さんは「おしん」では仁の妻・道子の母・波子さん。「はね駒」では、りんが受験前に泊まった旅館の女将さん。

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他にも古いドラマを見ていると結構いろいろ出てくる。

 

マリ子はテツの背負ってきたかごを運ぶのを手伝い、愛想よく話しかけ、ネギやホウレンソウを褒める。テツもこの前もらった襟巻きがみんなに褒められたとマリ子に言う。マチ子に浴衣を出すように言うマリ子に「マー姉ちゃん、出せばいいじゃないの」と機嫌の悪いマチ子。

 

テツ「相変わらず愛想の悪い娘っ子だな。アハハハッ。そんなこっちゃな、おい、姉(あね)さんと一緒でないとどこのうちでも売ってくんねえど」

マリ子「本当にすいません。根はいい子なんですけど」

テツ「ああ、本当にいい子かバカのどっちかじゃなくちゃ、ああは強情は通せまい! ハハハッ!」

ムッとするマチ子。

 

テツ「(マチ子に向かって)喉渇いてんだ。奥に湯が沸いてっから、ちゃっこさ、いれてくんねえか。お茶うけに漬物と干し芋が出してあるけんど、おめえさん食いたくなかろうから病気の妹さんに持っていくこったな」

マチ子口でぶつぶつ何か言いたそう。マリ子はテツと一緒に野菜を束ねる手伝いをしながら、マチ子を見てクスッと笑う。マリ子の方が人当たりよく、周りの人だって気分がよくなることは分かっているのに、マチ子的な態度になるのも分かるんだよなあ(^-^;

 

磯野家にはウメがヨウ子を見舞っていた。はっさく? いよかん

ウメ「いや、前にねちょっと面倒見てやったことのあるのがひょっこり訪ねてきてさ、これをね5つも置いてったのよ。ハハハッ! となるとね、しばらく顔も見てないし、おばあちゃんとしては、もう、すぐさまヨウ子ちゃんに食べさせたくなっちまうじゃないか」

ヨウ子「ごめんなさい。おばあちゃまの分を頂いてしまったせいか何だかとっても元気が出てきたみたいよ」

ウメ「ああ、そうだとも。うん。しぼり出してでもね、元気ってえもんは自分で出さなきゃいけないんだよ」

ヨウ子「はい」

 

マリ子、マチ子が帰ってきた。

ウメ「ああ、よかったよかった! おばあちゃん掛け違っちゃうかと思ったら、これで2人にも会っていけるしね、今日はおばあちゃんついてるね」

ヨウ子「ええ!」すごく明るい笑顔を見せる。

 

帰ってきたマチ子はウメに挨拶に2階に来た。何から話そうかな?というマチ子。

ウメ「そりゃ、今日の戦果から話さなくちゃ」

マチ子「そうか、そうよね。大本営発表、本日の戦果、お米5升」

ウメ「ええ~!」

ヨウ子「わあ~!」

2人と一緒におお~と言ってしまった。

 

マチ子「それからネギとホウレンソウ、それからえっとね…」

マリ子「卵10個に大根2本」

ウメ「あらまあ~!」

 

マリ子はおまけとして新聞紙に包んだものを差し出した。

ウメ「あら、まあ、懐かしいね。いもかちじゃないか」

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干し芋の別の言い方なんて初めて知った。

 

お茶うけに出されたものをもらって帰ってきたというマチ子に、ウメはひとつもらった。

ウメ「あら、だけど、これ、入れ歯大丈夫かね?」

ヨウ子「『己を試すに恐るることなかれ』」

ウメ「えっ?」

ヨウ子「昔、小学校の校長先生がそうおっしゃいました」と笑う。

 

病人でありながらヨウ子の持つ明るさに周囲の方がしばしば救われることが多かったのですが…

 

夜。台所。

マリ子「何ですって?」

はる「だから私たち別々に暮らした方がいいんじゃないかと思って」

マチ子「私たちってまさかお母様…」

はる「そうですよ。私にとってはどの子もみんな同じように大事なの。だからもし一緒に暮らしとってヨウ子の病気があなたたちにうつるようなことでもあったら…」

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あぐりが肋膜炎になって入院してる時もうつるからと近所のうめと春子が淳之介を病室の入り口から抱っこして顔を見せてたね。

 

マチ子「うつるほど病気が進んでいるの? 進藤先生がそうおっしゃったの?」

はる「別に暮らせとまではおっしゃらなかったわ。大丈夫よ。ヨウ子の世話はお母様が責任持って見ますから、あなたたち2人はどこか別にお部屋でも…」

マチ子「嫌よ、そんなこと!」

はる「し~! 2階に聞こえたらどうするの」

マリ子「私は反対です」

マチ子「私だって!」

 

はる「私だってたった4人だけの一家がバラバラに別れて暮らすなんてそんなことは反対ですよ。でもね、このまま寄り集まっとって全滅するのも賢い方法ではないと思うのよ」

マリ子「賢くなくて結構です」

マチ子「そうよ! どんなことがあったって私たち離れないわ! だって家族でしょう? きょうだいじゃないの」

はる「泣かないでちょうだいよ。少なくともヨウ子が寝とるこのうちの中でそんな顔だけはしないでちょうだい」

 

マチ子「だって…」

はる「いいえ、病気のあの子があんなにけなげに頑張っているんですもの。私たちが涙を見せたらどうなるの」

マリ子「お母様」

はる「いいですね。このうちの中で決してヨウ子のことで涙は見せないでちょうだい」

 

家を飛び出したマチ子。追いかけるマリ子。

マチ子「嫌よ。ヨウ子が死んでしまうなんて私…絶対に嫌」

マリ子「私だって嫌よ。だからこそ買い出しだってヤミ買いだって恥も外聞もなくやってるんじゃない」

マチ子「マー姉ちゃん…」

 

マリ子「行こう!」

マチ子「どこへ?」

マリ子「いいから行こう!」

 

画面に映るチャンバラ映画と観客の笑い声。マリ子とマチ子は号泣。

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この映画だと書いてる人がいた。昭和10年の映画。一瞬だから私には判別がつきませんでした。

 

なるほど。誰にも怪しまれずに思いっきり泣ける所といったら映画館の暗がりが一番適当だったでしょう。とはいえ、飛び込んだ場末の映画館ではドタバタ喜劇の2本立て。

 

マリ子の隣に座った男が泣いてるマリ子たちに目を向けるとマリ子はにらみつけた。

 

しかし、2人のきょうだいは強かった。心ゆくまで泣いたあとにひらめいたのが地方への疎開ということだったのです。

 

泣いてたマリ子が何かをひらめいた表情でつづく。

 

ヨウ子が明るくなったなー。しかし、今更別居!?