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ドラマの感想など

【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (78)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

大和田の死を悼むタマ(星清子)。マリ子(熊谷真実)とタマは、互いに大事な人が戦地にいく前に残した言葉を思い出していた。そんな矢先、ヨウ子(早川里美)が肋膜炎になる。マリ子から報告を受けた菊池(フランキー堺)はカステラを持たせる。配給所では、いわくつきの家のせいでヨウ子が病に倒れたと噂している。それを聞いたマドカ(斎藤美和)は憤慨し、ウララ(楠田薫)は責任を感じてシャワーで水ごりをしようとし…。

東京市世田谷區新町四丁目弐拾参番地

磯野マリ子様」

仏壇に供えられた牛尾のおじいちゃま空の速達手紙に手を合わせるタマ。

タマ「どうもありがとうございました」

マリ子「いいえ。こちらこそ本当にありがとうございました。お千代ねえやも天海さんのお母さんにお線香をあげていただいてさぞ喜んでいることと思います」

 

タマはお千代ねえやのことは朝男からよく聞いていた。お千代ねえやが大和田高男と過ごしたのは4年。

タマ「まあ、若い身空でさ…。私だって朝男のことを考えると他人事じゃありませんね」

 

もしものことがあったら一人っきりになってしまう。どうして孫の1人も残していってくれなかったんだろうと明け方に目が覚めるとそんなことを恨んだりして、そのまま眠れなくなることも年中だったが、朝男が言っていた「いいじゃねえか。戦死でもしようもんなら後家さん一人つくらずに済むってもんだよ」言葉を思い出した。

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タマ「あの時はこの親不孝者がと思いましたけど…あの子はこういう時に残された者のことを考えていたのかもしれませんね」

マリ子「でも…」

 

マリ子は新八郎を思い出していた。

新八郎「今、僕にできることは君との婚約を解消することしかないんだ。戦争が拡大してもし僕が生きて帰れないようなことがあったとしたら君にとって僕との婚約は解消しておいた方が身軽じゃないかと思ってね」peachredrum.hateblo.jp

婚約を解消するしかないんだ、と戦争が拡大して~の間にあるマリ子や新八郎の新聞記者だから~というセリフをカットしてつないでるのか、前の三郷さんみたいに新撮だったりするのかな。

 

マリ子「いいえ、絶対にそんなことはありません。ええ、どんなことがあっても天海さんは必ず無事に帰ってきてくれる。私はそう信じてますもの」

タマ「ありがとうございます。マリ子さん」

マリ子「おばさん…」

 

ウラマド姉妹が倒れたヨウ子を運んできた。ウララは靴のまま中に上がり、タマは医者を呼びに行った。

 

夜。医者を見送ったマリ子とタマ。医者の姿が見えなくなると…

タマ「ふん、『医は仁術』だと言っときながら世の中がせちがらくなるとお医者さんまで落ちるもんかねえ。情けないったらないよ」

マリ子「すいません、おばさん」

タマ「いえね、今までの先生がね出征なさらなかったら本当はあんなヤブなんか呼びたくなかったんですよ」

マリ子「あの先生はヤブなんですか?」

タマ「えっ…何でもありませんよ。さあ中へ入りましょう。夜風でもってねマリ子さんまで風邪ひいたら大変だ。しかしまあ心配なこった」

 

お千代の身を案じただけでなく小さい時から体の弱くなったヨウ子には厳しくなるばかりの世の中に抵抗していくだけの力がなかったのでしょうか。医者が下した診断は肋膜炎ということでした。

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若い頃に肋膜炎になると長生きする…!?

 

菊池寛邸を訪れたマリ子。

菊池「そう…風邪だったら早く治って出てきてもらいたいと思うとったんだが、肋膜だったの…そう…」

マリ子「はい。昨日の診断で、そうはっきり言われたものですから…」

菊池「かわいそうに…」

マリ子「はい」

 

菊池「よりによってあの子がそんな病気にかかって寝込むなんて…僕はかわいそうでたまらんよ」

マリ子「先生…」

菊池「病気に負けちゃいけないとそう言いなさいね。いいか? どんなことがあっても生き抜かなくちゃいけないと」

マリ子「はい」

 

菊池「そうだ。カステラを持っていってあげなさい」

マリ子「はあ?」

菊池「いや、ある所からね特製のカステラを頂いたんだ。それをヨウ子さんに持っていって食べさせなさい」

マリ子「でも…」

 

菊池「いや、それが必要な人がその必要なものを取るというのが一番合理的なんだよ。頂くときは快く人から物を頂くと。なっ? 初めに確か君に言ったはずだろう」

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マリ子「はい」

菊池「いやね、僕が人間何よりもまず食べることを生きることと悟ったのは、あの大震災の時だった」

マリ子「はい」

 

菊池「それまでに僕はもう文壇にはある程度の地位は確保していたし、春秋文学社もやっとって今よりも若くてね、えらい勢いだったんだが、9月1日、あの日をもって何もなくなってしまったんだ」

マリ子「はい」

菊池「それは僕ばかりじゃない。東京も横浜もそのほとんどがさ。その時、私はね、自分の職業というものをぼう然と見直したね。人間生きるか死ぬかのその境の時には文学というものは書画骨董と同じように全く無駄なぜいたく品だと思った。一大打撃だったよ、この発見は」

マリ子「はい」

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菊池「そりゃあ、まあ、今後、二度と東京がなくなるようなことはないだろうが、何よりも僕が言いたいのはまず健康」

マリ子「はい」

菊池「ねっ、どんな天変地異があっても自分をしっかりと生き抜いたらば、いずれまたきっと花が咲く。何も考えずに一日も早く病気を治してもらいたいんだ」

マリ子「はい。家族みんなで必ず元気にさせます。いいえ、させなくちゃ、私たち…」

 

菊池「うむ、君もまたまた大変だろうけどもね、とにかくカステラ持ってって食べさせなさいよ」

マリ子「はい、頂戴させていただきます」

菊池「あっ、それからお金に困ることがあったら遠慮なく言いなさい。前借りという形でいくらでも仕事はあげるから」

マリ子「ありがとうございます。でも、おかげさまで十分に働いておりますから」

菊池「そうか、そうか。そんならそれでいい。それだったらカステラを食べさせてやりなさい。もう一日も早く治って顔を…早くようなってね、顔を見せてもらわんと僕寂しいの」

マリ子「はい」

 

マチ子が配給をもらいに行き、家に入ると、近所の主婦たちが磯野家の噂話を始めた。

年子「これはね、やっぱりあれですわよ」

マドカ「はあ?」

町田(配給を分けてる男)「いや、私もね磯野さんだからって特別そんなはずはないと思ってましたよ」

マドカ「あの…?」

 

年子「因縁ですわよ。ほら、このうちの因縁。いずれ何かあるんじゃないかと思っていたら案の定やっぱりそうだったんですわね」

主婦「そういえば、この前に住んでらした方はふたつきばかりで変なことを口走るようになって出ていかれましたわよね」

町田「それが今度は下のお嬢さんに取りついたんだな、きっと」

 

マドカ「あんまりでございますわ!」

年子「あら、私は別に奥様のせいだなんて申し上げておりませんですわよ」

町田「そうそう…悪いのは首をつったやつですよ」

主婦「実際はた迷惑な死に方をなすったもんざますわ」

 

マドカ「いいえ、そういうお話自体、私どもには迷惑でございますわ! ヨウ子さんは絶対によくおなりになります! よくおなりにならなかった、その時は私どものせいですから、おわびにお宅の御門の前でこの私が首をくくって死んでご覧に入れますわ!」

年子「奥様そんな…!」

町田「なにも私たちはお宅の責任だなんてことは…」

マドカ「ひどいじゃございませんの!」

年子「そんな奥様…」

 

一悶着しているところにマリ子帰宅。

マリ子「あの…何かございましたの?」

マドカ「はい。ございましたとも。こんなことがあって…こんなバカな話があっていいものでしょうか、マリ子さん」

マリ子「はあ…」

近所の人たちは散り散りに帰っていく。

マドカ「自分たちこそバチが当たればいい! おしゃべりばばあどもが!」

マリ子「おば様…」

マドカさんは時々、自分の素の口調がでるね。

 

はるは割と大きなきり箱入りの上等なカステラを4等分した。

はる「これはね、前島さんとそれから天海さんの所にお届けしてちょうだい」

マリ子「でも、このカステラは…」

はる「分かっていますとも。でもね、あの方たちは本当にヨウ子の苦しみを分かち合ってくだすったんですもの。このカステラを分かち合ったとしても、きっと菊池先生はご理解してくださると思うのよ。それに『病は気から』というでしょう。ヨウ子にとってもカステラが半分になったとしても気分的にはその方が滋養になるのですよ。ねっ、ヨウ子」

布団に寝かされているヨウ子は黙ってうなずいた。

 

マリ子とヨウ子はカステラを持って出かけようとした。マリ子は着物をアレンジしたモンペだね。ツイッターの感想ではるの行為を人の行為を無碍にしたと書いてる人がいたけど、さすがに今日は、あんなにかばってくれたマドカさんや医者を呼びに走ったタマさんを見たあとだし、いいと思ったけどな。これをオネスト神父に持っていくと言ったらオイ!って思ったかもしれないけど。

 

あぐりが東京に来たばかりの頃に近所の人にしていた御礼についても自分で稼いだお金じゃないからというのもあるのかもしれないけど、うだうだ言ってる人がいて、本当に今って心が貧しくなったよねと思う。

 

マドカが大声でマリ子に助けを求めた。ウララが下着姿になってシャワーを浴びようとしていた。

マリ子「おば様! いけません、いけません! そんなことなさってはいけませんってば! いけません!」

シャワーがマリ子にかかってしまい、慌ててやめた。

 

マドカ「何が『ごめんあそばせ』ですか。こんなまねして、まあ…。風邪でもひいたらどうなさるおつもりですか!」

ウララ「それこそ本望ですよ。私はヨウ子さんの身代わりになりたいんですから」

マリ子「おば様…」

ウララ「私ね、今、水ごりを取ろうとしましたの。でも、うちには井戸がございませんでしょう。それで…」

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おしんでも出てきた水ごり。

 

マチ子「何だってそんなことを!」

ウララ「私、ヨウ子さんに助かっていただきたいのよ。私はもう十分、生きたんだし、私の一念でヨウ子さんの身代わりになれたらと」

マリ子「いけません! ご自分の命を大切にしない方なんて、私、嫌いです!」

ウララ「ありがとう、マリ子さん。そんなふうにおっしゃっていただくのはうれしいんですけど、もしヨウ子さんのご病気があのうちのためだったら死んでおわびしなければならないし…」

マドカ「お姉様…」

 

ウララ「マドカさん」

マドカ「はい。あなたを残していくのはつらいんですけど、私はもう何の未練もないんですよ。一日一日駄目になっていく日本を見ていくぐらいなら、いっそヨウ子さんのお役に立てた方が私は…」

マチ子「そんなことはお断りします!」

マリ子「マチ子」

 

マチ子「だってそれじゃあまるでおば様の代わりに駄目になっていく日本をヨウ子が見なければならないようじゃありませんか。そんなの病人にとってひどすぎます」

ウララ「あら、本当。どうしましょう?」

マドカ「とにかくお召し替えすることですよ。もう本当にみっともない! 嫌だわ!」

ウララ「あらまあ、私としたことが! ああ~! ガウン、ガウン! 早く、マドカさん!」

マドカ「もう、お姉様ったら!」

お姉様に振り回される叶姉妹みたい。

 

マチ子「シャワーで水ごりだなんて…」

マリ子「本当に変な人たち」

マチ子「本当に変で…それでいてとってもいい人たち!」

マリ子「フフッ、うん」

カステラは前島家の塀の上に置き忘れ。でも無事だった。

 

はるはヨウ子にカステラを食べさせていた。

はる「いいですか? 気をしっかりと持って必ず治るんですよ。まず自分が病気に負けてしまっては治る病気も治りませんからね。あなた、一人だけではないのよ。私たち、みんながついとりますからね」

ヨウ子「はい」

 

ギューギューに中身が詰まっていて残したいところがいっぱい。これが来週は2話連続。