徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (77)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

呉服屋の金沢(西村淳二)は、マリ子(熊谷真実)から預かったお金を商売仲間に騙し取られたと言う。咎めると態度が豹変するが、大宗(渡辺篤史)が一喝すると、そそくさと逃げ出していく。やがて、ヨウ子(早川里美)が春秋文学館で働き始めた頃、標本を絵にする仕事を始めたマチ子(田中裕子)は性に合わず、辞めようとする。そこへ、一平(益田喜頓)から千代(二木てるみ)の夫・大和田(大門正明)の戦死が知らされ…。

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昨日の続きから。

良造「誰だ、あんた!」

三姉妹「正義の味方です!」

 

これがこのドラマに初めて登場した悪漢・天松屋良造です。

 

良造「お見それいたしました。あの~こちら様はご婦人方ばかりと存じ上げておりましたもんですから」

均「だからくみしやすしと見てだましにかかったってわけか?」

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良造「いえ、めっそうもございません。旦那なら近頃、人の弱みにつけ込んで、とんでもない悪いやつが横行してることをご存じと思って」

均「ああ、貴様のような手合いをな」

良造「そりゃありませんよ。私もだまされた方の口なんですから」

均「へえ~。お前さん、それで済むと思ってんのかい?」

 

良造「へっ?」

均「『へっ?』じゃねえよ。おめえ商人(あきんど)だろ? 商人ならだまされましたと手ぶらでお得意さんとこへ顔出しができると思ってんのかい?」

良造「あっ!」

均「『あっ』じゃねえや」

良造「ふえ~い…」

均「『ふえ~い』じゃないだろ、おい。申し訳ねえと思ったら、ええ? おわびのしるしの一品でも持って、お得意さんに上がるのが礼儀ってもんじゃねえか!」

 

良造「(均に向かって)ああ、そうでした…。まことに申し訳ございません。私もすっかり動転してたもんですから。旦那のおっしゃるとおりでございます。(マリ子たちの方を向いて)あの…それでは改めて出直してまいりますから」

イヤイヤ、均じゃなくてマリ子たちに謝罪しろ!

 

均「いいや、してやったりと思ってんならな二度とこの敷居はまたいじゃなんない!」

良造「とんでもございません! 手前どもにとっちゃこちらの奥様もお嬢様も上得意中の上得意でございますから! 本当に失礼いたしました。今日のところはこれでご勘弁を。すいませんでした…。あっ、前を失礼…」

均の前を通って玄関を出て行こうとする良造の首に均がキセルの灰を落とす。

良造「あちい! あちっ!」

 

マチ子「先輩…すごかった! 胸がスッとした!」

均「し~! いや~、持病が出なければね一発バリっとぶちかましてやったところだけども」

マリ子「いいえ、暴力はいけません!」

持病のことはぼかす均。

 

マリ子「私とお母様が上得意中の上得意ってことは…」

マチ子「最もだましやすい人種だってことを言葉を変えて言ったまで」

マリ子「バカにしてるわ! なめてます!」

マチ子「今頃気が付いたって遅いのよ。大宗先輩が居合わせてくれなかったら、私たち今頃どうなってたと思ってるの?」

マリ子「本当、どうもありがとうございました」

均「いえいえ。フフッ」

 

という一幕もあってマチ子は帝大の分室とやらに、ヨウ子は新橋の春秋文学社へ卵焼きのお弁当を持って出かける身の上となりました。

 

縁側にいる鶏は足をひもでつないでるのかな?

 

マチ子は魚の標本を目の前に描いていた。尻尾を上にして液体に浸されている。

マチ子・心の声「何が忠実よ。先輩ったら…。忠実に見れば見るほどこんな薄気味の悪い代物は私、初めてだわ」

白衣を着た助手が入ってきた。

助手「実に正確ですな。なかなか結構」

マチ子「はい」

 

いつの間にかカナリヤ用のかごに入っている鶏。ウラマド姉妹がやって来た。

マドカ「今日のピポちゃんのご機嫌はいかが?」

マリ子は鶏が産んだ卵をウラマド姉妹に渡した。今日はウラマド姉妹、明日はタマにあげるという。

 

ウララ「卵とじにしようかしら?」

マドカ「あら、まだ白いお粉が少し残っていたから、私、久しぶりに卵を入れた本格的ホットケーキが頂きたいわ」

ウララ「バターも蜂蜜もないのにホットケーキ?」

マドカ「ああ、なんということでしょう…」

 

そこにタマも来た。タマが鍋を持ってきたので、ウラマド姉妹は卵をもらいに来たのだと勘違い。タマは鶏のエサだと言って、配給のスケソウダラの頭を骨ごと一緒に煮込んだので菜っぱのクズと混ぜてやればいいと言った。

タマ「人間と同じでね、栄養をとらなきゃいい子は生まれません」

 

ウラマド姉妹は何をあげればいいのか?と聞くと、タマは庭の隅を棒でつつくとミミズが出てきて、それがニワトリの大好物だというと、卵を持っていたウララが倒れてしまい、手に持っていた卵を落としてしまった。

 

意外と70年代、80年代あたりのドラマって食べ物を粗末にするシーンってあるんだよな~。食べてもらえなかった夕食を台所のシンクや生ごみ入れに投げ入れるシーンとか。あれ、ホントに大っ嫌いなシーンだよ。夕食に食べてもらえなくても朝に食べればいいだろーと胃腸の丈夫な私は思う(^-^;

 

マチ子が食器を荒っぽく並べている。

マリ子「どうしたのよ、一体?」

マチ子「別に」

マリ子「別に何ともなかったんならお箸やお茶わんに八つ当たりするのはおやめなさい」

 

マチ子「おっと、そうだった。私、このお茶わん気に入ってたんだ」

マリ子「まあ! 私のお茶わんはどうでもいいみたい」

マチ子「別にそういうわけじゃないけど…」

マリ子「変な子。プンプンするかと思えばニタニタ笑って」

マチ子「そこがマー姉ちゃんと私の違うところ。神経がとてもデリケートに出来てるんだもん」

マリ子「別にそういうわけじゃないけど(照)」

 

マチ子「はあ…とにかく変なもの見ちゃったのよ」

マリ子「変なもの?」

マチ子「うん。普通の神経じゃとてもいられないようなもの」

マリ子「マッちゃん…」台所に立っていたのをマチ子のそばに座る。

 

マチ子「何よ、2人とも」

マリ子「だってただごとじゃないでしょう? 普通の神経でいられないなんて一体どんなものを見たの?」

マチ子「嫌ね~、お魚よ」

ヨウ子「お魚?」

 

マリ子「ああ~、そりゃあそうでしょう。確かに大宗さんがお仕事を紹介してくださった時にお魚の標本だって言われたわ。変な子。お魚と言われて豚を見せられたんならともかく」

マチ子「何よ、ひと事だと思って。私、豚を見せられた方がまだましだったわ」

 

マリ子「あ~あ、同情しそうになって損しちゃった」

マチ子「どうして?」

マリ子「だって豚に会いたいっていう方がよっぽど普通の神経じゃないもの」

マチ子「だって死んだお魚なのよ」

マリ子「標本っていうのはもともと死んだお魚なんでしょう?」

 

マチ子「それが何十年前に死んだか分かんないような色してんだもん」

マリ子「何十年前の?」

マチ子「うん、そうよ。それが瓶の中からプヨ~ンってした白い目して、こっちを見てるなんて私、たまんない…。性に合わないのよ、ああいう陰気な仕事は」

 

マリ子「だったら断ればいいじゃない」

マチ子「うん、だからね、断固、断ってきた」

マリ子「あっ、そう」

マチ子「つまんない、そんなの!」

マリ子「何が~?」

 

マチ子「だって長女でっしょう? 戸主でっしょう? たまには意見めいたこと言ってくれないと拍子抜けしちゃうじゃないの」

マリ子「何言ってんのよ。やりたくない仕事を断固やりたくないって言うの毎度のくせに」

マチ子「まあ…それはそうなんだけど…」

 

マリ子「ただし大宗さんには自分で説明しなさいよ」

マチ子「ずる~い…それ頼もうと思ってたのに…」

マリ子「本当にマチ子はボヘミアンなんだから。好きなように生きたらそれでいいじゃないの」

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自由人、みたいな意味合いか。

 

マチ子「ご理解いただけて感謝します!」

マリ子「でも何十年前のお魚ってちょっと興味あるわね。私、やろうかしら。そしたら大宗さんの顔も立つし、まさにこれで一石二鳥だわ」

マチ子「マー姉ちゃん、少しは見習ったらどうなの?」

マリ子「誰を?」

 

マチ子「私をよ! いくら長女だからって来た仕事を全部見境なく引き受けることはないもの」

マリ子「それが駄目なのよね。一丁上がりっていうあれの気持ちがたまんないのよ」

マチ子「そういうの乱作っていうんじゃないの? だから作り直しが来て描き直しが来てまた忙しくなって」

マリ子「だって好きなんですもの、そういうのが」

マチ子「うそ。節操がないのよ」

マリ子「節操…」

 

若さというのでしょうか。根がお嬢さん育ちと申しましょうか。紙不足のせいでせちがらい世の中になったとはいえ、芸術論争になると2~3時間はこのまま続行されるのがいつもの例なのですが…。

 

マリ子「あっ、いけない! お母様、6時にお帰りになるっておっしゃってたわね? 早くしないとヒトラーの雷が落っこちるわよ!」

マチ子「ご冗談でしょう。ここにいたら真っ先に討論会の中心人物になって、喜んで中心人物になるのがあのヒトラーなのよ」

 

福岡からの速達が届いた。差出人は牛尾のおじいちゃま。

牛尾一平の手紙

「前略 その後、皆様にはお変わりなくお暮らしのことと存じそうらえども、本日はいささかつらいお知らせをせねばならぬこと、これありそうろう。すなわちお千代ねえやが夫君、大和田高男君には、この度、南方方面にて名誉の戦死を遂げられた由、広報あり」

 

ヨウ子「大和田さんが!?」

マチ子「そんな!」

 

大和田高男の遺影の前で写真を見つめるお千代ねえや。後ろにいる一平。

 

手紙の続き

「なれど、このこと、お千代ねえやより、ご心痛かけるのみにあればくれぐれもそもじ様方にお知らせすること、これなきよう相頼まれそうらえども、沙汰せぬこともかえって不調法なるものと存じ、老体一人の一存にて、ここにお知らせするものにてござそうろう」

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一平が肩をポンポンとすると一平の膝で泣く千代。

 

手紙の続き

「この上は何とぞ旧来のご厚情をもって、お千代ねえやを励ましていただきたく、ひたすらお願い申し上げるものにてそうろう」

 

涙をぽろぽろ流すマリ子。

ヨウ子「お千代ねえや…」

マチ子「なぜよ…。なぜ、あんな人のいい大和田さんが…」

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結婚式の日の回想。

 

ヨウ子「南方ってどこなのかしら? 誰かが本当に見届けたのかしら?」

マチ子「でも東郷さんは大丈夫よね。大陸にいるんだもん!」

マリ子「マッちゃん。今はお千代ねえやのことだけ考えてやって。今は大和田高男さんだけのご冥福を祈るのよ。大和田さんだけの」

マチ子「ごめんなさい」

 

マリ子は新八郎への不安を必死に押し殺して祈りました。

 

遺影の前にいるお千代ねえや。

千代「あんた。うちは信じないけんね。あんたの骨がちゃんと帰ってくるまでは、うちは絶対戦死なんてこつ信じんよ。あんた」

 

牛尾のおじいちゃまから磯野マリ子宛てに届いた手紙を仏壇に供え、手を合わせるはる。

 

すぐに飛んでいってやりたくても当時、汽車の切符は既にそう簡単には手に入らず、戦争の悲劇はお千代ねえやの不幸によって、磯野家へ一層身近に近寄ってきたのでした。

 

微妙な尺余り。こういうのって脚本家というより演出の手腕という気がしてきたな。「おしん」のころはスタジオにBGMを流して芝居をしていたというのだから、多少早くなったり遅くなったりがあったのかなと。

 

はあ~、この落差。三姉妹(しゃべってるのはほぼ2人)の会話はいつも楽しい。

 

来週の「マー姉ちゃん」は番組表によると

27(月) 79話

28(火) 80話

29(水) 81,82話

30(木) 83,84話

31(金) 79~84話の再放送

 

正直、2話連続までしてやって欲しくなかった。明日で終わりにして、あとは3日からでもやって欲しかった。「純ちゃんの応援歌」みたいにNHKプラスの配信もないし、もしかしたら見れない可能性あり。