徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】砂の器

1974年 日本

あらすじ

国鉄の蒲田操車場で起きた殺人事件は、発見された扼殺死体の被害者の身元が不明で捜査は難航するが、警視庁のベテラン刑事の今西(丹波)と、西蒲田署の吉村(森田)の地道な聞き込み捜査が実を結び、事件前夜に被害者と酒を酌み交わす若い男の存在が浮上する。

2021.1.9 日本映画専門チャンネル録画。今日は長いのを観よう。

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前に連ドラ版を見たけど途中挫折。原作は随分前に既読。野村芳太郎監督作品は先日観たばかり。

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2024.10.4 BS松竹東急で再放送があったのでキャストクレジットを書いていこうと思います。

 

提携:松竹株式会社

   橋本プロダクション(第一回作品)

 

夕暮れの砂浜で砂山を作る少年。ここでタイトルが出る。

 

製作:橋本忍

   佐藤正之

   三島与四治

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原作:松本清張(光文社・新潮社刊)

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脚本:橋本忍

   山田洋次

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製作協力:シナノ企画

     俳優座映画放送

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音楽監督芥川也寸志

作曲・ピアノ演奏:菅野光亮

タイトルバック[M-2]

タイトルバック[M-2]

  • provided courtesy of iTunes

指揮:熊谷弘

演奏・特別出演:東京交響楽団

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今西栄太郎:丹波哲郎…字幕黄色

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和賀英良/本浦秀夫:加藤剛

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吉村弘:森田健作

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高木理恵子:島田陽子

田所佐知子:山口果林

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本浦千代吉:加藤嘉

本浦秀夫:春田和秀(子役)

桐原 小十郎:笠智衆

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明子:夏純子

三木彰吉:松山省二

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警視庁捜査一課長:内藤武敏

「扇屋」女中:春川ますみ

黒崎警部:稲葉義男

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安本:花沢徳衛

商店街の飲食店組合長:殿山泰司

桑原技官:信欣三

三森署署長:松本克平

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村の巡査:浜村純

松崎:穂積隆信

亀田署員:山谷初男

視庁科学検査所技師:ふじたあさや

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山下妙:菅井きん

「若葉荘」住人:野村昭子

三木謙一の妻:今井和子

大塚きみ子:猪俣光世

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筒井:後藤陽吉

亀田署の刑事:森三平太

「朝日屋」主人:今橋恒

三森署の若い巡査:加藤健

安原外科病院長:櫻片達雄

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「扇屋」主人:瀬良明

世田谷署の巡査:久保晶

浪速区役所女係員:吉田純子

中林美津三

浪速区役所係員:松田明

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刑事:丹古母鬼馬二

   田畑孝

バーテン:別所立木

ホステス:高瀬ゆり

西蒲田署署長:西島悌四郎

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刑事:松波喬介

   山崎満

   北山信

   浦信太郎

   千賀拓夫

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刑事:原田君事

和賀の友人:大杉雄二

刑事:三島新太郎

和賀の友人:菊池勇一

      伊東辰夫

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刑事:高橋寛

   山本幸栄

   渡辺紀行

   今井健太郎

   小森英明

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西蒲田刑事課長:土田桂司

刑事:中川秀人

   沖秀一

三木の元同僚:高木信夫

田所の秘書:加島潤

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料亭の女中:坂田多恵子  

安原外科病院長の妻:村上記代

列車のウエイトレス:東風弓子

亀嵩の農家の主婦:水木涼子

慈光園の係員:戸川美子

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田所重喜:佐分利信

三木謙一:緒形拳

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映画館「ひかり座」支配人:渥美清

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監督:野村芳太郎

 

秋田県 羽後亀田駅

 

東京から来た今西刑事が丹羽哲郎さんと若手の吉村刑事が森田健作さん。地元の亀田警察署の署長が秋田出身の山谷初男さん(「はね駒」の梅沢先生)。ドラマ版は東北訛りがテキトーな感じがしたのが嫌だったんだよな。とりあえず全てに濁点つけりゃいいみたいなしゃべり方。

 

しかし、丹羽哲郎さんが現場を歩く刑事なのが珍しく感じる。いつもデーンとデスクにいる署長のイメージ。

 

事件発生は昭和46年6月24日早朝。場所 東京国鉄蒲田操車場構内。

被害者の年令60〜65才。やや痩型。

服装 グレーの背広上下。ネームなし。

所持品なし。身元不明。

血液型O型。

死因 前頭部頭蓋骨陥没。

石様の物で頭部及び顔面を殴打されており、死後、轢死を装ったものである。

胃の内容物よりアルコール分検出。死後 推定3時間乃至4時間経過。

 

バーのホステス達の話では、被害者には東北の訛りがあり、若い男と熱心に話し込んでいた。「カメダはどうした」「カメダは変わりない」という会話が聞こえた。

 

しかし、捜査は難航した。第一に被害者の身許が今だにどこの誰とも分からない。

 

東北各県に「カメダ」という人物を探したが、それらしい人が見つからない。捜査会議で共通の知人なら東北の人間とは限らないのでは?という話や、今西刑事が地名では?と言い、秋田の羽後亀田へ。

 

加害者の着ていたスポーツシャツが見つからない。秋田からの帰り道、汽車の食堂車で食事をしていた今西刑事と吉村刑事は作曲家の和賀英良(加藤剛さん)を見かけた。

 

山梨県 塩山附近

列車から紙吹雪を飛ばしている者がいた。

あぐり」で淳之介が尚久や南と行った塩山温泉だね〜。

 

この新聞記事を見た吉村が毎朝新聞の記者に電話をした。車窓からまいたものは紙ではなく布だったのでは!?と聞くが確かなことはわからなかった。記者が紙をまいた女性を東京で見かけたというのでバーへ。高木という女性に話を聞くが、東京から離れていないと言った。

 

その店でまたまた和賀英良を目撃。一緒にいるのは前の大蔵大臣の田所重喜の娘・田所佐知子。吉村が話を聞こうとした高木はハンドバッグからタバコを持ってくると言って、そのまま姿を消していた。

 

8月9日 事件は突然思いがけない展開をした。

 

岡山県警から連絡のあった三木彰吉という男が遺体の確認に行った。お伊勢参りをするといって出かけた父親の三木謙一が50日経っても帰らず、行方不明者にそれらしい人がいたので照会しに来た。彰吉は謙一の養子。謙一は東北に縁はなく、島根で巡査をしていて、退職を機に地元・岡山に帰り雑貨商を始めた。65歳。

 

今西はまだ「カメダ」が気になっていた。

 

国立国語研究所で東北弁に似た言葉はないか聞く。出雲弁ズーズー弁に近い…いつもここが信じられない。「ゲゲゲの女房」の布美枝さんの言葉と全然違うけどなあ。

 

ズーズー弁は語尾がはっきり聞こえないので亀嵩(かめだけ)がカメダに聞こえたのかも?ということで、島根の三木謙一を知ってる人に会いに行った。元同僚の1人が花沢徳衛さん! 東北訛りっぽいしゃべり。亀嵩で三木謙一と親しくしていた算盤業の桐原が笠智衆さん。桐原から聞く三木謙一は人に恨みを買うような人ではなかったことが分かった。

 

亀嵩の駅のホームで考え込む今西。吉村は中央線をしらみ潰しに探し、布切れを見つけた。その布切れにはO型の血液が付着していた。バーから消えた高木理恵子を探す。

 

線路近くのアパートで暮らす理恵子の部屋に和賀英良がいて、引っ越すよう理恵子に言っていた。

 

理恵子の写真を堂々と新聞に載せればいいという吉村に東京湾かどこかに女性の死体が浮かぶだけと今西がなだめた。

 

田所重喜は佐分利信さん。娘の佐知子と和賀英良が料亭で食事。

 

今西は休暇を利用して伊勢へ。三木謙一の足跡を辿る。6月19日伊勢に到着。21日に急に予定を変え、「ひかり座」という映画館に行っていた。「ひかり座」の支配人は渥美清さんだ〜! 20日、21日は違う映画が上映されていた。

 

和賀が作曲作業をしている。佐知子は和賀との結婚を望んでいるが、和賀に女の影があることを薄々気付いてもいる。

 

今西の元に桐原から巻紙状の手紙をもらった。三木謙一と関わりがあり、今は石川県に住む本浦千代吉を訪ねた。本浦千代吉の本家にいた義理の姉・山下妙が菅井きんさん。「あぐり」みたいな騒がしいばあさんじゃないよ! 本浦千代吉と息子の秀夫は昭和17年には家を出た。

 

和賀と理恵子が車で話している。理恵子には子供ができていて、どうしても子供が欲しいと泣く。泣きながら車から出たが、出血が…。それでも泣きながら歩く。タクシーの運転手が見つけてくれて、病院に運ばれたが、流産し、異常出血により理恵子も亡くなった。

 

今西はある男の戸籍調査のため、大阪へ。和賀英良の両親は昭和20年3月14日の空襲で亡くなっていた。しかし、地元に詳しい飲食店組合長(殿山泰司さん)に聞くと、和賀夫婦に子供がいないことが分かった。和賀英蔵の店には少年が働いていた。

 

三木謙一は6月10日に岡山県から関西旅行を経て伊勢へ。刑事の中に内藤武敏さんがいた!

 

映画館「ひかり座」で記念写真が飾られていて、それを見た三木謙一が田所重喜たちとお伊勢参りをしていた和賀英良の姿を見つけて、旅行の予定を変え、東京で和賀に再会し殺された。

 

理恵子の死を知らなかった和賀が部屋を訪ね、大家(野村昭子さん)に死を知らされた。

 

和賀英良の本名は本浦秀夫。秀夫が3歳の時、父の千代吉(加藤嘉さん)は、らい病になったため、6歳の秀夫とともに村を出た。日本中を旅する父子。和賀が作詞し、ピアノ演奏する“宿命”が流れる中、旅する様子が流れる。子供達にいじめられたり、時には警官に乱暴に村から追い出されたり…そんな旅の末、亀嵩に辿り着いた。

 

境内に隠れていた本浦親子を助けたのは三木謙一(緒形拳さん)で千代吉を隔離病舎に入れた。三木謙一は息子と離れたくないと言い張る千代吉を説得し、千代吉は別の隔離病舎へ。秀夫は亀嵩の駐在所に残された。しかし、走って亀嵩駅まで追いかけてきた。

 

三木謙一は秀夫を引き取り、自分の子として育てた。三木謙一の妻は今井和子さん。しかし、秀夫は放浪癖がついたのか家出をした。必死に探す三木謙一を影から見て涙を拭う秀夫。その後、大阪の和賀自転車店で働き、その家の店主夫婦が亡くなって戸籍を詐称した。

 

本浦千代吉はまだ生きていた。今西が会いに行き、今の秀夫=英良の写真を見せると大きな声で泣き出した。しかし、こんな顔の人は知らないと言い張った。

 

三木謙一は英良に会い、父親に会うように強く語りかけたが、今の生活を崩されたくない和賀は拒否した。三木謙一と本浦千代吉は24年文通をしていて、話題は秀夫のことばかり。

 

今西と吉村は和賀の演奏会に行った。演奏が終わり、スタンディングオベーションを受け、感動に打ち震える和賀。

 

ハンセン氏病は医学の進歩で特効薬もあって現在では完全に回復し社会復帰が続いている。それをこばむものはまだ根強く残っている。非科学的な偏見と差別のみで本浦千代吉のような患者はもうどこにもいない。

しかしーー旅の形はどのように変わっても、親と子の“宿命”だけは永遠のものである。

 

親子が旅をしている風景がモノクロに変わって終わり。

 

感動した〜。「宿命」iTunesにあるかな? それくらい曲も良かった。映し出される日本の田舎の風景も美しく、哀しかった。原作だと和賀英良を中心に芸術家集団みたいな人たちがいて、もっと前衛的な感じだったんだよね。クラシックな感じもまた加藤剛さんに合っていた。

宿命 PART I 映画『砂の器』サウンドトラックより

宿命 PART I 映画『砂の器』サウンドトラックより

宿命 PART II 映画『砂の器』サウンドトラックより

宿命 PART II 映画『砂の器』サウンドトラックより

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テレビドラマ版を早々に挫折したのは、仲代達矢さん演じる今西が子供を交通事故で亡くしたとか、妻の妹が世話を焼いてるとか余計な話がつまらなく思ったせいだった。こちらの和賀英良は田村正和さんで雰囲気出てたけどね〜。

 

いや〜、でもほんとに引き込まれる面白い映画でした。


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