徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】しなの川

1973年 日本

 

あらすじ

岡崎英生・作、上村一夫・画による人気劇画を野村芳太郎監督が文芸作として映画化。昭和初期波乱の時代を背景に、良家の娘の奔放な生き方、女の愛の遍歴を描く青春大作。由美かおるの体当たり演技が話題になった。

2021.3.18 日本映画専門チャンネル録画。岡田裕介さん追悼作品の1本。脚本はジェームス三木さんと監督の野村芳太郎さん。

 

昭和3年信濃川の氾濫で竜吉は機屋(はたや)の高野家に奉公に出されることになった。両親はなく、祖母・トメが付き添った。丁稚奉公が始まり、機織りをしている女性のところへ行くと着物がはだけで胸が見えていた。えっ! 思わず竜吉が見てしまい、何見てんだ〜、今晩きなよ〜ハハハ〜とからかわれる。

 

雪が降った日、お嬢さまを迎えに行くように言われ嬉々として出かける。由美かおるさん、美しいわぁ〜。

 

竜吉は他の奉公人にお嬢さまと何話してんだ?とか女に興味ないのかと思ったなどとからかわれる。この辺、「澪つくし」の広敷をもっと下品にしたみたいな感じ。広敷はあれでも朝ドラ仕様だったんだな〜。

 

竜吉が身包み剥がされそうになってるところをお嬢さまの雪絵が竜吉を呼び出し、部屋に呼んで幻燈を見せてくれた。竜吉は雪絵に恋をした。

 

ある日、雪絵が竜吉を伴って竜吉の実家を訪れ、トメに母親のことを聞き出そうとした。トメは5年ほど織り子として高野家で働いていたが、誰に聞いても母のことを教えてもらえないと不満な雪絵。

 

帰り、雪絵は川でオールヌードで水浴び。えっっ!! 遠くで背を向けて待っていた竜吉は、蛇が来たと逃げてきた雪絵にあわてて着物をかけた。

 

またしても先輩達からいじめられる竜吉だったが、喧嘩は止められ、特に口汚く雪絵を罵っていた栄治という奉公人が雪絵の父・淳三郎から解雇された。

 

雪絵の母は家付きの娘で父は養子。母は駆け落ちで出て行って生きている。それを聞いた雪絵はショックを受けた。「竜吉は私が好き?」竜吉と雪絵は激しいキスをした。

 

雪絵は淳三郎と口を聞かなくなり、長岡の女学校に入れようという話になった。それに私たちの中も怪しまれないし…と淳三郎は肩を揉んでくれている部下?の辰之助の手を握る。えー!? そっちはそっちでそうなの!? そりゃ雪絵の母も出て行っても仕方ないかも!?

 

雪絵は十日町から長岡へ向かう。列車の中で女衒(げせん)と満州に売られていく娘とその母が乗っていた。別れが辛く、もう一駅だけ見送らせて欲しいという母親(浦辺粂子さん)に女衒は汽車賃がないとさっさと降りるように言う。

 

そんな会話を聞いていた雪絵はいたたまれない気分になるが、後ろの席に座っていた書生風の青年が母親に汽車賃を渡し、母親の好きにさせるように言った。

 

長岡の女学校に汽車で乗り合わせた青年が教師となって雪絵の目の前に現れた。これが岡田裕介さん演じる沖島先生。見た目は石坂浩二さんに似てるけど、はっきり言って棒だ〜。雪絵は沖島に夢中になった。他の生徒達の前で沖島の自転車に乗せてもらったり、遅れていた勉強をすると言って昭和5年の正月は帰省しなかった。

 

病気で寝込んだ沖島の家に行き、看病して雪絵からキス。変わり身早っ。汽車の中から好きになってたけどね。すぐ噂になり、雪絵は退学。落ちぶれているが元士族だという沖島が結婚したいと高野家を訪れるが、淳三郎はもう見合いが決まってるとして反対。沖島と雪絵は東京に駆け落ちした。竜吉は雪絵にもらった写真を川の上から破り捨てた。

 

仲間がいると東京に行った沖島だが、大恐慌の煽りで不景気、左翼弾圧でアカの沖島には厳しい現実が待っていた。新潟の刑事が雪絵を探しにきて、連れ戻され汽車に乗る。その刑事は母親の駆け落ちも知っていると言っていた。刑事は加藤嘉さん。雪絵はお手洗いに行くと言って汽車から飛び降りた。

 

雪絵は養豚場を営む沖島の実家の静岡を訪れ、船に乗って逃げ、旅館に泊まる。刑事は、沖島は親の前で早まったと泣いて謝り、思想犯としても大したことないから早く忘れろと言ってたのに、雪絵を迎えにも行かずに実家でぼーっとしてた奴なんだからやめとけって。しかし、先生に何もかもあげますと雪絵は全てを捧げた。

 

しかし、雪絵は全てを捧げたあとに不思議と気持ちが醒めて別れを切り出した。なんちゅー小悪魔! 魔性の女!

 

1ヶ月後、雪絵は「澪つくし」の律子さんみたいな断髪洋装で十日町に帰って来た。高野家は織物の注文が止まり、機械化で莫大な借金を抱えていた。

 

竜吉は人減らしで故郷に帰され、雪絵は織り子の女性達になんとかしてくださいと泣きつかれた。雪絵は資産家の西丸商会の息子に見そめられたが、上手くやっていける自信がないと泣き出した。

 

雪絵は夏祭りで竜吉と再会した。竜吉は百姓をしていると言う。川辺に二人でいると通りがかりの男達に冷やかされ、人のいない小屋で話す。いい気なものですねと竜吉は雪絵に怒りをぶつけた。殺したいほど憎いと言えば、殺してちょうだいと雪絵は泣き出す。

 

竜吉は私も死にますと雪絵を抱きしめた。二人で小さな船に乗って漕ぎ出す。川に身を投げたが、杭に引っかかって二人とも助かった。淳三郎は刑事に口止めを頼み、トメは雪絵が心中をそそのかした、母親そっくりだと罵った。

 

以前、刑事が雪絵の母を佐渡で見つけたという話を聞き、ひとり佐渡へ向かった雪絵。聞き込みをし、小料理屋の小袖屋に入って行った。派手な着物で男に淫売、売女と罵られていた。母の高野綾子は駆け落ち相手の番頭の芳助ではなく、綾子のために妻子を捨てた大阪の男・金子(財津一郎さん!)と暮らしていた。

 

雪絵はショックを受け、宿に帰った。そこに綾子が訪ねてきた。雪絵はなぜ捨てたのか尋ねると高野家の血が絶えると言われて置いてくるしかなかった、骨の髄まで女なのにお前のお父さんは女に興味がない、本当の父親ではないとバラした。

 

人にはそれぞれふさわしい生き方がある。自分の生き方は自分で決めるのが一番だと綾子は言った。だんだんお母さんのことが好きになると雪絵は言い、子守唄を歌ってもらった。

 

淳三郎は綾子の話を認め、子供を作れないのに養子に来たのが間違いだったと言うが、お父さんのためにお嫁に行きたいと雪絵は言った。

 

昭和7年 春。

雪絵の婚礼行列を横目に竜吉は満州へ旅立とうとしていた。(終)

 

時代的に「澪つくし」とかぶる。ただもっと高野家の奉公人たちは下品だったし、雪絵は律子+かをるのハイブリッド型という感じ。また竜吉の見た目が惣吉みたいで。雪絵は大正3(1914)年生まれかな? かをるは明治44(1910)年生まれでした。

 

おしん」の浩太みたいな人、「澪つくし」の水橋みたいな人がゴロゴロいたんだな。共通点はインテリで実家が金持ち。それにしたって雪絵は大人しく結婚生活を営めたのか心配になるよ。