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【連続テレビ小説】あぐり (81)「母からの贈りもの」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

建築費を払えず、パーマネント機を持っていかれて、意気消沈のあぐり田中美里)が事務所で経費の計算をしながらため息をついていると、店からピアノの音色が聞こえてくる。あぐりが見に行くと、美佐(松原智恵子)が開店祝いに、と蓄音機を買ってきていた。美佐の心遣いに、すこしほっとするあぐり。世津子(草笛光子)は、御大(里見浩太朗)に相談するように言うが、あぐりは出来ない。そこへ岩見(斎藤晴彦)が帰ってきて…。

前の夜から東京を襲った嵐は翌朝になってようやく収まりました。

 

辰子は下宿先が床上浸水でお昼からの出勤。このままだと東北や北海道を直撃するかもしれない。ラジオを神妙に聞いている岩見。

 

工務店がパーマネント機を預かりにやって来た。あぐりは「必ずお金をお支払いしますからだから絶対人手に渡さないで下さい。お願いします!」と頭を下げた。工務店は「建築費をちゃんとお支払いいただければいつでもお返ししますから」と帰っていった。陰から見ている岩見。

 

あぐりは2階バルコニーから外を見ていた。辰子が出勤してきてパーマネント機がなくなり「看板に偽りあり」だとあぐりが落ち込んでいる様子を見て「しかたがないわ。その分、私たちが頑張ってお客様に納得していただけるように努力するわ!」「先生が落ち込んでどうするんですか?」と励ましてくれた。

 

辰子が先に下に行き、ふとあぐりが見ると玄関から出てかつらをかぶって出かけていく岩見の姿が見えた。

 

あぐりはとめに昼食の準備を頼んだ。岩見が出ていった事をみんなに話すと、連れ戻そうとするが、あぐりは「あの人を責め続けてもお金戻ってくるわけじゃないでしょ?」と人を恨んで生きるぐらいなら騙されてる方が幸せだという母の言葉を話し、だからもういいと言った。

 

カフェ・セ・ラ・ヴィ。エイスケは世津子に小説を見せていた。都会の風俗の中で人間の営みを冷めた目で表現している…と望月エイスケの作風が確立されたと評した。しかし、世津子は最近プロレタリア文学に肩入れし始めていて、読んだ人に何も残らないエイスケの作風に疑問を持ち始めた。

ja.wikipedia.orgしかし、プロレタリア文学って虐げられた労働者が直面する厳しい現実を描いたもの…ってエイスケさんの世界といちばん遠くにいるものじゃない?

peachredrum.hateblo.jp

「入兆」醤油のお嬢様、律子さんだってそういう文学をかじったけど、河原畑にコテンパンに批判されてたよ。

 

世津子はプロレタリア文学の若き旗手・川原甚八に「婦人現代」の原稿を依頼していた。題名は「国家が婦人を駄目にする」。女性がいかに社会的抑圧から解放されるべきか。「それ…才能なの? 僕はどうも好きになれないな」とエイスケはどこか冷たい。貧乏人のために!っていう金持ちより、有り金(親の金だけどね)を好きに使ってるエイスケさんの方がなーんか私は好きなんだよな。浩太や水橋はそれで好きになれなかった。

 

川原甚八は検索してもあぐり関連でしか出てこないから架空の人物っぽいけど、この辺の人だろうか。

ja.wikipedia.org

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あぐりの事を世津子に問われたエイスケは「あぐりは大丈夫だよ。あいつには不運を幸運に変える不思議な力があるんだ」と、何だか人ごと。

 

弟子たちには明るく元気にふるまうあぐりでしたが、建築費の残額を払えるめどは立たず、さすがのあぐりもすっかり落ち込んでいたのでした。

 

レコードの音が聴こえて店に入って行くと、美佐が開店祝いに蓄音機を買ってくれていた。さすが美佐さん!と思うことにした。ここは突っ込んじゃいけないところだ。

 

嵐が吹き荒れたあとのほんのつかの間の静かな時間でした。そしてあぐりにとってこの時の母・美佐の美しい横顔はその後終生にわたり忘れえぬ思い出となったのでした。

 

沢子の頭を練習台に辰子がとめにウェーブを教えていた。世津子は開店祝いに贈った絵を売ってもいいとあぐりに言うが、あぐりは「駄目です! それは絶対できません!」と固辞。御大に頼むという案も却下。

 

しかし、世津子の「もうこのお店はあなただけの夢じゃないのよ。このままお店が潰れたらとめさんも沢子さんも辰子さんも悲しむわ…。チェリー先生だって御大だって悲しむわよ。あなたはもう人の夢を預かる立場にいるのよ」という言葉に、健太郎に電話することにした。だが、電話したものの言いだせず世間話だけしてそのまま電話を切ってしまった。

 

あぐりが店に行くと、美佐も顔を出した。店が続けられないかもしれないと打ち明けると、人生は山あり谷あり。よい時もあれば悪い時もある。失敗を恐れてあれこれ注意して歩いていてもつまづくときはつまづく。転ばないように足元を見て歩いてばかりいたら自分の行き先を見失ってしまうと励まされた。

 

美佐「大切なのは転んだ時どうするかじゃわ。誰かのせいにしたり慌てたり泣いたりしないこと。まず転んだまま青空を見上げるの…。それから何度も深呼吸をしてそれからゆっくりその先のことを考えればええの。あなたには十分時間があるんじゃから…」

 

しかしその後に続く「心配せんで。いつも私があなたのそばで見守っとるから。どんなに遠くにいても必ずあなたを見とるよ」が何だか不穏な感じ。覗き見していた五喜もいたたまれなさそうにしてたし。

 

そこに岩見が帰ってきて鞄一杯の札束をあぐりに見せた。「これ全部エイスケさんのお金です」。昨日の嵐が北海道の海を荒らして昆布を育てているのべ縄が一挙に全部流され昆布相場が急騰。「これ奇跡です! 奇跡ですよ!」

 

ホントに相場で成功するなんて奇跡的。エイスケの言うあぐりの不思議な力かな。岩見を見つけてすぐ警察に突き出してたらこういう事にはならなかったもんね。