公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
職人の赤川(吉村直)に召集令状が届き、入兆内は不穏な空気に包まれた。律子(桜田淳子)の同士の水橋は懲役二年の判決となり、律子と久兵衛(津川雅彦)は社会の動きについて語る。律子が書いた小説を銚子の芸術家たちは絶賛するが、作家の河原畑(石丸謙二郎)は、資産家のお嬢さんがプロレタリア文学を書くことについて異議を唱える。そんな折、かをる(沢口靖子)が様子を見に来ると、動けないはずの文吉が姿を消していて…。
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昭和4年1月25日 民政党は衆議院で田中義一首相を追求した。田中首相は張作霖爆殺事件について「調査中」と突っぱね一切の質問に答えない姿勢を取った。
世の中も不穏な空気が流れる中、広敷の赤川(ダイアン津田似)に召集令状が来た。佐倉の57連隊に入営。広敷のメンバーはそれぞれ慰める。
そこに、久兵衛と神山、律子が来て久兵衛が「みんなで『おめでとう』を言うたろうやないか」と言い、口々に「おめでとう」を言ったところ、律子が「どうしておめでたいんですか?」「戦争が始まったら弾の来ないところに逃げてください」とここに来て戦争反対みたいなことを言い出した。小浜には軍人を勧めてたのにね?
赤川は自ら「敵は幾万」を歌い出した(結構うまい)。この歌をバックに小畑と梅木が話していた。梅木は、かをるが結婚してからというもの、仕事は間違える、居眠りはすると小畑の目に余るような行動をし始めていた。
近々小畑が隠居したら番頭は梅木になるんだからしっかりしろとハッパをかけた。広敷の男たちは「万歳万歳」と言ってる…同時に二つの出来事が並行してるのが面白い。そして、ここまでかをるの出番はなし。
イワシを取る巻網漁で使う船を浜へ引き揚げたり押し出したりするのは女たちも加わってやっていた。1月の寒い海にはだしで…うっ。
魚住(斉藤洋介さん)は、とねの肩もみ、ツエも奥のことが仕事だから浜に出ていたかをるやアミのためにお風呂を沸かしてくれていた。浜の女たちは仲がいいととねも言うとおり、「惣吉の大事な嫁さん」と先に風呂に入らせたり、卵酒を作って飲ませるように言ったり、結婚しても変わらないのがすごい。本物のサバサバ女!
久兵衛は合田争議の首謀者として水橋が懲役2年と書かれた新聞を持って律子の部屋に入ってきた。「あの人たちは正しいことをしている」「法律が間違ってる」という律子だが、水橋のことは権力に屈服して仲間の名前をべらべらしゃべったとして活動家としては幻滅を感じていた。
久兵衛が特高の拷問は並の人間では持ちこたえん、と水橋をかばう形になってしまった。かをるのように無傷ではいられないもんね。人間は神様やないよって理想通りにはいかん。という久兵衛の言葉に不満げな律子。
沖田の家に集まる律子、宍戸、河原畑。沖田も宍戸も律子の描いた小説をほめたたえるが、河原畑だけは平林たい子や林芙美子を意識してますね。とどこか冷たい。
貧しい恋人同士が逆境を乗り越えて結ばれる結末は感動的ではあるが、あなたにこれを書く資格があるかどうか。裕福な資産家のお嬢さんで何一つ不自由なくおんば日傘で育った人で無理に主人公を貧乏人にしてリアリズムで書く必要があるのか?
社会運動に関しても「金持ちのお嬢さんがお遊びで運動に関わるのはインチキです。単なる好奇心か判官びいきにすぎません」とズバリ言われてしまった。振り向いてくれない律子が好きなのが水橋だっていうのがあるから余計に辛辣なことを言ったんだろうな。
そうは言っても、平林たい子も林芙美子も恵まれた生まれでないにせよ高等女学校を出てるからね。学歴ないと社会の矛盾にも気づかないし、活動するにはお金もかかるし、お嬢様おぼっちゃまがこういう考えにかぶれてしまうのは必然だったのかも。
吉武家では惣吉の父・文吉が姿を消していた。今日はかをるのいない入兆が主な舞台という感じ。正直言うと、かをる惣吉のカップルよりこの時代の社会情勢が気になる。