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ドラマの感想など

【ネタバレ】春の山脈

1962年 日本

 

あらすじ

風光明媚な会津若松を舞台に、情の深い若い男女が織り成す青春群像劇。コメディからサスペンスまで多彩に手掛ける名匠・野村芳太郎監督が芸達者を揃え、複雑に交錯する若者の恋愛模様を丹念に描出。東京の高校卒業後、帰郷した友子(鰐淵晴子)は、帰省途中に知り合った栗村(佐野周二)が社長の会社に就職するが、同僚の隆吉(山下洵二)や、中学時代の同級生で芸者の豆太郎(十朱幸代)、彼女に入れ込む栗村の息子・謙太郎(三上真一郎)らの想いがもつれ合う。

2025.4.9 BS松竹東急録画

 

蔵出し名画座なので川本三郎さんの解説付き。

 

松竹の若手女優だった鰐淵晴子と十朱幸代共演のさわやかな青春映画。お嬢さまタイプの鰐淵と庶民的な十朱が好対照になっている。原作は当時の人気作家、源氏鶏太。監督は「張込み」や「ゼロの焦点」の野村芳太郎

 

会津若松が舞台でローカル色豊か。磐梯山、その麓を走る磐梯西線、鶴ヶ城、東山温泉、造り酒屋などがとらえられている。

 

鰐淵と十朱は中学の同級生。鰐淵は東京の高校を出たあと、郷里に戻って造り酒屋の事務員に。一方、十朱は会津若松奥座敷、東山温泉の芸者になる。二人の友情、そして恋が描かれてゆく。

 

鰐淵の働く末廣酒造は会津若松に実在する老舗の造り酒屋。そこで撮影されている。撮影はのちに「砂の器」を撮る名手、川又昻。その助手が高羽哲夫なのに注目したい。山田洋次監督の「男はつらいよ」シリーズの撮影で知られる高羽は会津若松の在、湯川村の出身。会津若松には高羽哲夫記念館がある。その場所がまさに末廣酒造のなか。高羽とこの造り酒屋の社長が親しかったからだという。

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松竹映画

 

蒸気機関車が田園の中を走る。栗村が外の風景を見ている友子に磐梯山はあっちですよと教える。あれが猪苗代湖と説明しだしたので、友子は、私、この辺の生まれなんですから、分かってますと反論。栗村は手にベロっと唾液をつけて名刺を渡した。

 

末廣酒造株式會社

社長 栗村順造

 

製作:保住一之助

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原作:源氏鶏太

   「わが町の物語」より

     面白倶楽部連載

撮影:川又昂

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音楽:池田正義

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春の山脈 主題歌

     コロムビアレコード

「春うらら」

 作詩:星野哲郎

 作曲:池田正義

 唄 :鰐淵晴子

「丘の上から」

 作詩:柳沼■←字が不鮮明で読み取れず。

 作曲:池田正義

 唄 :鰐淵晴子

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協賛:会津若松市

   会津若松観光協会

   東山温泉

   会津バス

   福島民報社

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新谷友子:鰐淵晴子…字幕黄色

須山隆吉:山下洵二…字幕水色

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栗村順造:佐野周二

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栗村謙太郎:三上真一郎…字幕緑

山崎君子:十朱幸代

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信子:藤間紫

虎吉:西村晃

置き屋女将:桜むつ子

かね:菅井きん

とめ:浦辺粂子(大映)

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佐々木恒子

平一:草山英朗(劇団若草)

達夫:綿田仁(劇団若草)

山本幸栄

髙村俊郎

川村朱門

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白川恵子

山内幸子

那須啓子

堀真奈美

新島勉

城谷皓治

水村義質(劇団若草)

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脚本・監督:野村芳太郎

 

会津若松駅

学生服の少年が自分で自分の靴を磨いていた。平一は友子の弟で友子を出迎えに来ていた。ベンチで隣り合った青年・隆吉は栗村の部下で社長が車で送ると言ってますけど…と友子に話しかけた。友子は不気味だと言い、断った。

 

友子が乗ったバスの車掌は友子の友達。友子は東京の叔母さんのところにいたが逃げ出してきたのだと話した。家に帰ると、母の信子がいた。びじーん!

 

友子は東京の叔母さんの家から高校に通っていたが卒業し、戻ってきた。平一は高校に行きたがらないが、男の子は学校に行かなくちゃと友子は高校行きを勧めた。平一は家のことを考えてのことではなく、単純に勉強が嫌い。

 

仕事を探している友子は栗村にもらった名刺を見て末廣酒造へ。隆吉がスクーターに乗せて、栗村のいる温泉旅館に案内しようとしたが、友子はあのくらいの年齢の男性は信用できないと言ったため、怒り、スクーターから降りるように言う。隆吉は身寄りがなかったが大学まで出してくれたので栗村の悪口に耐えられなかった。友子が謝り、温泉旅館へ向かう。栗村は遊びに行ってたわけでなく、組合で旅館に行っていた。

 

芸者がスクーターの前に立ち、隆吉を止めた。芸者は友子の同級生の君子で中学を卒業してから芸者になったのだと話した。君子は弟を末廣酒造に入れてほしいと頼んでいたが、断られた。

 

旅館に行った友子が栗村に履歴書を見せると即採用された。

 

家に帰り、友子が今年は誰も採用しないと言っていたのに、採用された理由を探る。汽車の中で友子の顔ばかり見ていた。5年前妻を亡くして独身…それが私の魅力(みりき)であっても、私がしっかりしてれば問題ないな!と思い直す。

 

”みりょく”を”みりき”とあえて言うやつ、「ベルサイユのばら」でも見たことある。

 

君子ののんべえのおやじ・虎吉は西村晃さんか。

 

末廣酒造に来た君子は隆吉に友子のことを愚痴る。事務員になった友子は若旦那・謙太郎と喫茶店へ。最初は君子と約束していたのに友子を誘って出かけた。君子が駆けつけ、学生時代の思い出を語る。

 

友子が隆吉に呼び出され、喫茶店を出た。友子は社長秘書になった。栗村に送られて帰ってきて、信子に挨拶してほしいと頼んだが、野良着だった信子が恥ずかしがり、栗村は帰ってしまった。

 

大工の虎吉が末廣酒造の屋根で作業していて、友子が採用された理由を知っていると言っていたので、友子が屋根に上がって虎吉から直接話を聞いた。信子と栗村が昔いい仲だったが、栗村の母・とめが反対してダメになった。

 

出かけていた信子を迎えに出た友子。会津若松駅前で栗村が車で待っていたので、信子が初めましてと初対面のような挨拶をした。

 

しかし、車の中で虎吉に2人の仲を聞いたことがバレた。

 

家に帰った信子は親をからかったと怒っていた。

 

友子は栗村家のお墓を磨いていた。秘書ってこんなこともするのね。とめはおじいさんの墓がきれいになって喜んでいたが、友子が栗村の結婚話を振ると、相手の娘が悪い、出しゃばりで気が強い、くそばばと言われたと信子の悪口を言う。友子は腹が立ち、私がその娘です、くそばばあ!と反論した。

 

隆吉は謙太郎を同席させ、友子と社長がどんな関係なのか聞いた。社長との間に変なことがないと友子が言うので、隆吉は謝った。謙太郎は友子に手紙を渡したつもりでいたが、友子は君子宛だと思い、虎吉に手紙を渡したと話した。

 

友子は君子に話を聞きに行った。置屋の女将に借金を頼む君子の母。おお! 菅井きんさん、てことは西村晃さんと菅井きんさんが夫婦役なのね。置屋の女将は「ありがとう」第1シリーズで石坂浩二さんの母だった桜むつ子さん。

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謙太郎は遊び人で、とめは早く嫁をもらったほうがいいと栗村に話していた。謙太郎を送ってきた君子に冷たく当たるとめ。

 

信子は栗村と会う約束しておめかししていた。栗村は車で迎えに来ており、2人で出かけて行った。

 

平一のもとには君子の弟・達夫が来て、遊びに出かけた。君子の弟は中卒で働く予定だったのか。

 

栗村と信子は城跡デート。とめは友子が気に入り、謙太郎と結婚させようとしていた。

 

達夫と平一は2人のデートを見ていて、達夫が平一を「妾の子」と言って殴り合いのけんかになった。

 

平一と達夫のケンカを止めたのは隆吉で平一を家まで送った。友子は栗村と信子をくっつけようとしていたのを隆吉に見抜かれていた。友子も平一も隆吉が気に入った。

 

君子が友子を訪ね、営業妨害しないでほしいと忠告した。友子は君子が母や弟の悪口を言うのが許せなく、決闘しようと申し出た。しかし、友子が向かったのは中学校で仲直りしようと言う。

ペチカ

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中学校から「ペチカ」の合唱が流れて、君子が泣き出した。中学校の校庭を友子と君子がグラウンドを走って、友子が勝った。

 

末廣酒造

職人が歌い、ほかの職人たちが樽の上で足踏み。虎吉が高いところにいたが、酒の入った水筒を落としそうになり、そのまま落ちてしまった。

 

医師から酒は当分禁止、働けないと言われ、母からはお前だけが頼りだとクギをさされた君子は謙太郎に助けを求めた。10万円の借金を申し込み、つくってくれなきゃ死んじゃうと脅した。

 

謙太郎は栗村ととめに10万円のことを話したが、反対された。謙太郎は君子が好きだが、とめも栗村も友子を嫁にしようとしていた。

 

とめは謙太郎と友子を連れて、君子の家へ。とめは治療代として2万円をかねに渡し、友子を謙太郎の嫁にしようと決めていると話した。気が弱い謙太郎はオロオロ。

 

君子は死んでやる!と家を飛び出すと、友子が追いかけてきて、死んだふりをするよう勧めた。

 

東山温泉のムカイダテ旅館

とめ、謙太郎、隆吉、友子がかけつけたが、友子が隆吉に狂言自殺だとバラした。隆吉や友子は謙太郎を責め、虎吉も松葉杖をついて乗り込んできた。

 

虎吉に君子が本当に薬をのんで苦しんでいたと言われて友子はびっくり。

 

謙太郎は君子との結婚を決意する。

 

友子はなぜ薬を飲んだのか疑問に思っていたが、置屋の女将がのりこんできて、みんな私が悪いのだと謝った。医師が遺書を虎吉に渡した。女将は警察に届けるのかしつこく聞いた。

 

君子の遺書には謙太郎のことは何とも思ってない。ホントに好きなのは隆吉。だけど、隆吉も友子が好きで、2人が好きだと書いてあった。ホントの気持ちを問われて、隆吉も君子のことは嫌いではない。友子は隆吉が好きだと言ったことはないと戸惑う。とめはみんな私のせいにして原因は友子と隆吉じゃないかと怒る。

 

布団に寝かされていた君子の元を隆吉が見舞った。とめと栗村の中でまた友子を謙太郎の嫁にという話が再燃する。困るわ、と言っていた友子だったが、母に相談すると言い、とめと栗村はホッとする。

 

君子は隆吉のスクーターに乗せてほしかったと話し、いい雰囲気に!? 

 

友子が信子を呼んできた。最初は信子が18歳で早すぎると思いますと穏やかに話していたが、とめが嫁に来たのは16歳、信子も結婚話が出たのは18歳。しかし、だんだんととめと信子でくそばばだのたばこ屋のバカ娘だの罵り合う。

 

昔は今より身分差が激しかったと栗村がとめをかばい、友子は信子と栗村との再婚話を勧め、旅館を出た。友子と謙太郎のことは先のことだから分からない。

 

友子は外で待っていた平一に信子と栗村のことを話し、若旦那のことは何とも思ってないと話した。平一は隆吉の方がおすすめだと友子に言った。信子が旅館から出てきて、バスが来るから帰るよ!と2人をせき立てて帰った。(終)

 

源氏鶏太原作の映画って「蔵出し名画座」で度々紹介するけど、未ソフト化なのが納得のおっさんドリームばっかり。若い娘が主人公に見えるけど、独身のおっさん(栗村)に美人な自分の母を差し出す娘なんて存在するかぁ!?みたいな。この人の作品が1950~60年代にかけて映画化されまくっていたのは何でなんだろ?

 

友子は隆吉が好きなあまり、君子と謙太郎をくっつけようとしてたのね。謙太郎の立場って…謙太郎役の三上信一郎さんって70年代の作品でもわりと若い役をやってた気がした。隆吉の気持ちも、ちょっとよく分からなかったな。

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野麦峠だと女工をビンタしまくってし、セクハラもしてた。

 

三上真一郎さんはいつも青年、浦辺粂子さんはいつもおばあちゃんて感じ。菅井きんさんは「おやじ太鼓」などでおばあさんよりおばさんのイメージに変わったけど、浦辺粂子さんは、1960年代から亡くなる1980年代まで”おばあちゃん”だな~。