徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】あゝ野麦峠<4Kデジタルリマスター版>

1979年 日本

 

あらすじ

製糸工場の実態を取材を通し描く、山本茂美の同名ノンフィクションの映画化。真実に鋭く切り込む社会派の名匠・山本薩夫監督の下、大竹しのぶら若手実力派女優が集結し、興行・批評の両面で成功を収めた。明治中期、幼い弟妹を抱えるみね(大竹しのぶ)は、貧しい家計を支えるべく、飛騨地方の寒村から長野県・岡谷市の製糸工場で働くことになるが、身寄りのないゆき(原田美枝子)ら女工たちと劣悪な環境下で長時間労働を強いられ、次第に心身をすり減らしていく。

2025.1.17 日本映画専門チャンネル録画。日曜邦画劇場で軽部さんの解説付き。吉永小百合さんが映画化を企画したこともあったが実現せず。録画時間が3時間超え! 

 

協力

飛騨高山市

飛騨古川町

飛騨丹生川村

飛騨神岡町

飛騨高根村

飛騨朝日村

飛騨河合村

飛騨上宝村

長野県岡谷市

長野県奈川村

福島県郡山市

岩手県沢内村

秋田県田沢湖町

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飛騨朴ノ木平スキー場

飛騨流葉スキー場

飛騨ロッセスキー場

飛騨高山スキー

山形県蔵王スキー場

山形県高畠町長谷川合名会社

㈱豊島屋清酒「神渡」

飛騨古川町八ッ三旅館

妻籠観光協会妻籠を愛する会

北海道十勝岳温泉凌雲閣

静岡県大井川田鉄道

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東宝株式会社

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新日本映画株式会社

第一回作品

 

明治35年(1902年)

 

鹿鳴館前に止まる馬車。

 

一界世髙産生絲生

  場會賀祝

 會興振絲蠺本日 主催 

 

室内には吊り看板が出て、正装した日本人や外国人が集まる。

 

ナレーター<鉄道、電信、大砲から軍艦まで欧米先進国の輸入に頼ってきた明治の日本にとって、外貨の稼ぎ頭、絹糸こそ文明開化の資本であり、生糸相場は国際経済に直結していた>

 

楽団の生演奏による優雅なダンスパーティー

 

一方、着物にすね丸出しで雪の山道を歩く女性たち。いくら明治時代でも足を覆うものくらいないかぁ?って思ったけど、前にファミリーヒストリーで貧しくて着ていく服がなくて、小学校欠席って見たことあったんだよな…

 

製作:持丸寛二

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原作:山本茂美

   朝日新聞社

    角川文庫版

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企画:山岸豊吉

制作:伊藤武

   宮古とく子

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脚本:服部佳

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音楽:佐藤勝

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ナレーター:鈴木瑞穂

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政井みね:大竹しのぶ…字幕黄色

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篠田ゆき:原田美枝子…字幕水色

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三島はな:友里千賀子

庄司きく:古手川祐子

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政井辰次郎:地井武男

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黒木権三:三上真一郎

立春夫:森次晃嗣

川瀬音松:赤塚真人

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野中新吉:山本亘

金山徳太郎:小松方正

伏見宮殿下:平田昭彦

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石部いわ:中原早苗

久保えい:岡本茉利

平井とき:浅野亜子

木谷やえ:津田京子

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お助け茶屋の老婆:北林谷栄 

政井友二郎:西村晃

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足立藤吉:三国連太郎

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監督:山本薩男

 

ナレーターは志摩邦夫!

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一晩中歩いた女性たちが一旦休憩。飛騨地方から信州の製糸工場へやって来た新工(しんこ)たちは親たちに別れを告げる。

 

飛騨古川を夜の明けないうちに出発した糸取り工女たちは3泊4日かけて信州岡谷まで歩く。途中合流したゆきは母を亡くして葬式を終えたばかり。実家には父が1人残された。

 

手袋なしで吹雪の中を綱を頼りに歩き続ける。みね、はならが崖から転がり落ちた。綱を引いてるから1人落ちると何人も道連れになっちゃう。付き添いの黒木たちが引き上げる。

 

宿屋

あ、小松方正さん。

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昨日見たばっかり。

 

お助け茶屋のおばあさんは崖から落ちたみねに甘酒を出して飲ませた。

 

工女たちは宿屋の中で就寝、男たちは外! 火を焚いてるっていっても寒いだろ~。

 

政井みね 明治22年9月15日生まれ。明治36年3月1日より向こう5年間、工女として働く。金5円。違反したら違約金50円を支払う。父が西村晃さん、母が野村昭子さん。兄が地井武男さん。

 

途中、諏訪湖に立ち寄る。工女たちは海だと思ってはしゃぐ。

 

山安(やまやす)足立組の経営者の足立藤吉は三国連太郎さん。みねたちが到着して挨拶をする。生糸の値段が上がり、横浜の中田商店にすぐ売りに出す手配をする藤吉。生糸問屋から外人商館、そしてヨーロッパ各地に輸出される。

 

鐘の音が鳴り、暗いうちから起床。顔を洗って、指で歯を磨いて、トイレに並んで…急き立てられて作業につく。みねは繭をかごからぶちまけた。黒木は繭は米の粒と一緒だと言い、新工たちを並ばせて全員ビンタした。

 

きくは、さなぎのにおいがダメで倒れてしまう。

 

食堂

麦4部、米6部のご飯。ラーメンどんぶりみたいな大きな器にご飯だけ?立ち食い。しかし、農家の娘たちにとってはごちそう。

 

日露戦争の勝利に喜ぶ工女たち。

 

明治39年(1906年)

工場が増え始める。

 

デニール検査…出しの最高、最低で45もんめの違い。平均より下の者は給金より差し引かれた。ひとりひとり成績が読み上げられ、みねやゆきは合格、罰金の者は昼飯抜き。ますます作業効率が落ちるね。

 

森次晃嗣さんは山安足立組の跡取り息子の春夫。放蕩息子ってやつか。朝帰りで一晩で45円も使った。

 

みねとゆきは藤吉に呼ばれ、春夫を紹介され、どっちが先に百円工女になれるかと言われる。みねはメシ抜きを堪忍してやってくださいと直談判。軍隊経験のある春夫も能率が上がらないと口添えしてくれた。

 

夜の自由時間。小説を読み聞かせる岡本茉利さん。いい声。ときは、クロゴン殺して私も死ぬ!と言い、他の工女に色目使ってるんじゃねえか?とつかみ合いのケンカになる。とき役の浅野亜子さんを調べたら、出演作は少ないけど、「いごこち満点」があった。あー、里子。

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きくは黒木にセクハラを受けていたが、ちょうど、ときが通りかかり、難を逃れた。

 

えいは他の製糸工場で工女たちが寄りあいをし、ボイコットをし、給金を元に戻してもらうことに成功したと話し、みねたちは旦那さんたちのところへみんなで行こうと話し合うが、ゆきは行かないと言い、銭を稼ぐためにここにきている、人の指図は受けたくないとふて寝する。

 

工場から逃げ出そうとしたときを見つけたみねは、男衆や警察に見つかるし、野麦峠は越えられないと説得した。

 

大日本蚕糸会総裁の伏見宮殿下が夫婦で山安足立組を見学に来た。殿下は工場を出て、吐き気を催した。繭のにおいは強烈なのね。

 

食堂

工女たちに紅白まんじゅうが配られた。ときの姿が見えないので捜しに出たみね。見習いの子にまで借金を申し込んだと聞き、みねが若旦那に前借りを頼めばいいんだと気付いたが、ゆきに色目を使うなと嫌みを言われた。

 

事務所で働く新吉ときくがこっそり会っていたところに行き、おときの行方を聞いたみね。

 

殿下の前で鯉を網でとっているところを見せていたが、漁師が水死体が引っかかっていることに気付いた。死んでいたのは、ときでみねがすがりついて泣いた。

 

仕事納め。若旦那は、みねにときの見舞金を渡し、俺のことをどう思う?と聞いた。俺の嫁さんになってくれと言われ、襲われそうになったみねは大きな声を出して抵抗したが、ゆきに目撃された。みねが見舞金を落として行ったので、若旦那はゆきに口止め金として渡そうとしたが、ニヤリとして受け取らない。

 

ゆきは10月に父も亡くし、帰る所もない。みねは豆を渡し帰省した。

 

歌いながら帰省する工女たち。

 

藤吉は、春夫をみねやゆきと結婚させようとしたが、妻は反対。藤吉は婿養子なんだね。

 

春夫は、ゆきに襲いかかるが、ゆきの母もまた工女で父親は経営者だと言う。父なし子を産みたくないと言うが、春夫に身を任せた。

 

みねたちはそれぞれ迎えに来た親元へ帰った。みねのもとには辰次郎が来て、黒木は辰次郎にみねが百円工女になったことを伝えた。

 

飛騨古川

 

辰次郎は、みねをおぶって帰った。キャピキャピした演技過ぎない?と思ったけど、明治22年生まれで今、明治36年? 14歳とかじゃしかたないか。大竹しのぶさんは映画公開時は22歳。

 

親元へ送り届けたあとの検番は宿屋で年を越し、優秀な工女の引き止めや別の製糸工場から引き抜きなどの作戦を練る。

 

綺麗な着物とかんざしをつけて家に帰ったみねは両親から家の宝と褒められる。もう一人、兄もいて、その人は軍人なのね。みねは歌を披露する。

 

辰次郎の炭焼きの手伝いをするみね。辰次郎は、もういっぺんキカヤへ行ってくれと頼む。ん? もう5年経って帰ってきたのか。

 

山安の検番である金山が、みねの家に来て、ほかのキカヤの話を聞かないように釘を刺す。おっ、丸正の検番は江幡高志さん! 優秀工女にはきれいな着物を着せて、いろんなところから引き抜き工作にあってるのね。

 

みねは優等工女様の父親だぞ!と飲んだくれるようになってしまった。辰次郎の軽蔑のまなざし。

 

山安足立組

120円もの金がなくなり、新吉が疑われた。金庫を開けられるのは新吉と藤吉だけ。新吉は弁償できなければ監獄行きだときくに話して泣き、きくはなんとか金を作ると約束した。

 

春になり仕事に戻ったみねたち。ああ、今が5年目のシーズンなのね。きくは黒木に事情を話して頭を下げて頼んだ。しかし、黒木のやることといえば…性的暴行ね。

 

春夫が金庫を開けているのを見たゆき。

 

ゆきは若旦那・春夫を射止め、秋には祝言だと工女たちが噂した。みねにおりの勝ちだと勝利宣言するゆき。

 

きくが襲われた繭蔵から火が出た。きくは新吉に抱きついて、おりと一緒に逃げてくれと叫ぶ。きくが火をつけた? 

 

翌朝、水車の下で新吉ときくが見つかった。

 

次の場面で盆踊り大会! 気持ちの切り替えが…みんな笑顔いっぱいで踊っている。年に一度の無礼講だと藤吉ははしゃぎ、ゆきも足立家の人たちと一緒におにぎりを出す。はなは新人検番の音松といい感じ。

 

春夫とゆきの結納…じゃあないのね。ゆきは藤吉から腹の子を始末しろと封筒を渡された。やっぱりなあ。ゆきは赤ん坊を産んで寄宿舎で育てたいと頼んだが、却下された。春夫が結婚するのは頭取の娘。ゆきは、春夫と2人きりになると、きくと新吉が死んだのは、あなたのせいと指摘。120円を持ちだすところを見ていた。ゆきと春夫の仲裁に入ったみねは春夫に殴られた。

 

ゆきは、おりはお前に負けたと荷造りをしていた。阿多野に戻って、赤ん坊を産む。しかし、母と違って、ゆきは他の製糸工場へ戻って子供を育てると言う。

 

春夫の結婚式。工女たちが憧れのまなざしを向ける。工女たちはまた紅白まんじゅうが配られたが、みねたち同期は我慢して食べなかった。

 

大きなおなかを抱えて一人野麦峠を歩いていたゆきは産気づいて?倒れていた。「死ぬもんか!」と叫ぶゆき。目が覚めるとお助け茶屋にいて、茶屋のおばあさんが男の子で葬ったと伝えた。おばあさんは毎年のようにはらまされて、野産み峠だと言う。

 

横浜の中田商店アメリカが風邪をひいたと電話していた。生糸が暴落。アメリカの景気が回復するまで国内向けに生産する。

 

生糸工場は閉業が相次いだが、仕事は忙しい。春夫は時計を夜は20分遅らせ、朝は20分早めて、労働時間を延ばした。春夫が棒を持って、スパルタ若旦那になってる! みねは疲れで作業が進まず、黒木に往復ビンタされた。みねは高熱を出していたが、翌日も働き続けた。咳をし、手ぬぐいには血がついた。

 

終業後、倒れてしまったみね。

 

ミネビョウキヒキトレ

 

政井家に電報が届き、辰次郎が迎えに行った。みねは物置小屋で寝かされ、看病する者はいない。

 

辰次郎は草鞋を履き替えながら進む。

 

音松はこっそりみねが寝かされた小屋に卵を差し入れ、おでこに手拭いを濡らして乗せた。すいません、病人に襲いかかるかと思ったよ。

 

藤吉は辰次郎に見舞金10円を懐にねじ込んだ。春夫は春から糸を引いてないから給金は払えないとそれ以上の出費は断った。藤吉にはまだ暖かさがあるんだけど、春夫はひたすら非情なヤツ。

 

辰次郎に会い、家へ帰りたいと言うみね。

 

はな、えい、さわの同期組は、みねを見送らせてほしいと頼んだが、黒木も春夫も暴力で制圧した。春夫はお前らは機械とはっきり言う。

 

山安足立組の守衛さんは長浜藤夫さん。みねを優しく見送ってくれた。

 

辰次郎は、みねを背負って帰った。おんぶじゃなくて、しょいかご…じゃなくて背負子(しょいこ)だった。

 

野麦峠まで来て休憩。みねは「飛騨が見える」と辰次郎に語りかけたが、そのまま亡くなってしまった。

 

お助け茶屋のおばあさんが紅を引き、「お前は80、90になるまで生きるはずやったんや」と言い、辰次郎は泣いた。

 

みねが死んだと言う知らせが工場にも入り、工女たちは、みねが寝かされていた小屋へ行き、はなやえいが優等工女になったことを報告。外ではみんなが念仏を唱え、ひとり残っていたさだも泣き叫んだ。

 

明治43年(1910年)

 

みねが死んだ翌年、アメリカの景気が回復し、日本の生糸輸出量は世界一になった。

 

働く工女たちの様子。(終)

 

エンディングでもスタッフや出演者の紹介

 

荒井たみ:志方亜紀子

杉山みつ:黒川明子

山村さわ:今村文美 

松本さだ:石井くに子

井上まさ:采野圭子

伏見宮妃殿下:三条泰子

足立とみ:斉藤美和 

中村たつ

政井もと:野村昭子

町田博子

伊万里

きくの父親:福原秀雄

丸正の検番:江幡高志

山安の守衛:長浜藤夫

寄山弘

木村愰

草薙幸二郎

上田忠好

里木左甫良

中津川衛

八木隆

坂敏一

政井菊五郎:渡部由光

伊藤敏孝

おやま克博

久遠利三

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外野村晋

保科三良

伊藤浩市

井上三千男

田畑善彦

入江正徳 

鮎川恵

新井梨枝

磯部稲子

伊東智恵子

上田三津子

遠藤あこ

大杉治美

大竹めぐみ

大野富久代

岡恵美子

岡本洋子

小高節子

尾曳伊都子

神谷ゆり

神田順子

北構みな子

木下京子

熊井康予

剣持光子

上月香代

古山典子

坂井孝子

酒代恵

咲野美緒

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山東レイコ

下井田育美

住吉由美子

摂祐子

高田奈保子

田川千春

立原幹

友霧雅子

長瀬優美

中田久美

中野遊

中村恵子

野中鈴江

野見山さと子

浜あり

浜村理花

藤あけみ

前田樹美

万見邦子

森田元子

山内淳子

山本真理

吉江直子

横部薫

劇団ひまわり

民族歌舞団わらび座

早川プロ

 

長かったなー! 154分か。でも途中一切CMなしなので世界に没入で来た。

 

映画後、大竹しのぶさんのトークショー。クランクインが遅れ、冬から撮影が始まり、みねが亡くなるシーンは秋だったため、一番最初に撮影した。撮影の年は暖冬だったため、雪山のシーンを求めて、北上し、歩いているのはおじいちゃんおばあちゃんが多かった。松明を持っているのはおじいちゃん。滑落シーンは十勝岳

 

実際、岡谷にあった実際に使われた機械を使って、本当に使う練習をした。繭のにおいは例えようのない動物のにおい。

 

山本薩夫監督について。女優には優しい。大竹しのぶさんは、さっちゃん先生と呼んでいた。

 

解説まで終わって2時間54分くらいか。3時間超えの映画かとビビったけど、あとは長いCMだった。しかし、そうはいってもやっぱり長いわ。ひたすら横暴なクロゴンがムカついたわ。続編はさすがにこの長さはないけど、ちょっとこの監督合わないかも…