徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】わが子は他人 #17「夏休み」

TBS 1974年7月24日

 

あらすじ

一郎(春田和秀)と晃(吉田友紀)は、夏休みに互いの家を交換し、泊まりこみで遊びに行こうと計画する。大吉(松山省二)は晃を迎える喜びを感じつつも、一郎に捨てられたような気持ちになり、深刻に考えこむ。

2024.5.16 BS松竹東急録画。

peachredrum.hateblo.jp

福山大吉:松山省二…太陽カッター社長。字幕黄色。

福山紀子:音無美紀子…大吉の妻。字幕緑。

*

和泉和子:林美智子…元の妻。

*

福山一郎:春田和秀…大吉、紀子の息子。小学1年生。

和泉晃:吉田友紀…元、和子の息子。小学1年生。

*

坂本眸

ナレーター:矢島正明

*

福山ゆき:小夜福子…大吉の母。

 

ある日、突然、子供たちの提案がありました。夏休みになったら、それぞれ血のつながった親のうちへ行くというのです。6年前、産院で取り違えられたとはいえ、事の真相を知らない子供たちがなぜそのような提案をしたのか、親たちの心は思わず動揺するのでした。

 

朝、布団をたたんで物干し場に運んでいる紀子にパジャマ姿の大吉が話しかける。「お前の責任だぞ」

紀子「どうして私の責任なの? だってしかたないじゃない。子供たちが勝手に決めたんですもの」

大吉「大体ね、お前がちゃんと勉強を教えていれば、こんなことにはならなかったんだよ。いいか? どこのうちでもだな、母親がだよ、ちゃんと勉強を見ているもんなんだよ」

紀子「私だってちゃんと見てたわ」

大吉「中途半端なんだ、お前のは」

紀子「一郎は小学校に入ったばっかりよ。そんな教えることなんかありゃしないわ。教科書見てごらんなさいよ」

 

大吉「いいよ、干さなくて。暑くて寝られやしないよ」

紀子「甘いのは自分じゃないの」

大吉「何言ってやがんでえ。人のせいにして」

紀子「私が厳しくしようとすれば、いつもいいよいいよって言うのは、あなたじゃないの」

大吉「男親はね、ここぞと思うときに厳しくすればいいんだよ。子供のしつけは母親の役目じゃねえか」←今なら炎上するだろうなあ。

 

紀子「どうして父親がやっちゃいけないのよ? 母親が信用できないんだったら、自分でやるしかないでしょ」

大吉「俺はね、仕事をしてるんだぞ。金を稼いだり、子供の面倒を見たりなんかできるわけねえじゃねえか。何言ってやがんでえ」

紀子「じゃあ、どうしろっていうのよ」

大吉「悔しいんだよ、俺は。6年間も育ててきてさ、自分の子供じゃねえか。それがなんだい、急にどっかへ飛んでいっちまうなんて。捨てられたんだぞ、俺たちは」

紀子「そんなことないわよ」

大吉「それがおめでたいっつうんだよ」

 

紀子「だって、親戚づきあいしようって言ったのは、あなたよ。子供を血のつながった親に返すべきだって言ったのも、あなたじゃないの。そうでしょ?」

タバコをくわえる大吉。

紀子「子供たちが仲良くなったのは、そのためよ。一郎は、なにも特別変わったことを決心したわけじゃないわ。あなたが思ってることを自発的にやっただけよ。それを怒るなんて勝手だわ」

大吉「ひと事みたいに言ってやがらあ。どうせ、お前、あれだろ? 晃が帰ってくるからうれしいんだろ?」

紀子「ええ、うれしいわ。夏休みの間だけでも自分から帰ってくるなんて、うれしいわよ。でもね、一郎が行くのを喜んでるわけじゃないわよ」エプロンで顔を覆って泣きだす。

 

一郎と手をつないで学校へ送る大吉。「なあ、一郎。今度夏休みになったらさ、どっか旅行、行こうか」

一郎「ダメだよ。僕は晃ちゃんちで勉強だよ」

大吉「勉強ぐらい、お父さんが教えてあげるよ。それもだよ、旅行しながらだったら、もっと面白いぞ」

一郎「じゃあ、来年、行こう」

大吉「ダメだよ、来年じゃ遅すぎるよ」

一郎「だってもう約束したんだもん」

大吉「いいじゃないか。約束っていったって、まだ先の話なんだから。断るのは簡単だよ。それにさ、断ったって別に裏切りじゃないよ、そうだろ? 都合が悪くなって、約束をやめる場合だってあるんだから」

一郎「ダメだよ」大吉の手を振り払う。

 

大吉「和泉さんちへそんなに行きたいのか」

一郎「うん」

 

ボーナスは定額貯金に

 

後ろに大きな垂れ幕が見える。郵便局かな。

蒲田郵便局の横を歩いているみたい。

 

大吉「うちがイヤか?」

一郎「ヤじゃないよ。ただ勉強しに行くだけだよ」

大吉「お前の勉強ぐらい、お父さんだって教えられるよ。わざわざ和泉さんちに行かなくたって」

一郎「晃ちゃんちのお父さんは学校の先生だよ」

大吉「お父さんだって社長だよ」

一郎「でも、勉強は先生だよ」

 

大吉は歩き出すが、一郎は道端の街路樹に手を伸ばしてジャンプし始めた。

大吉「一郎、そんなことしてると遅れるぞ、ほら」

一郎「ねえ、お父さん。あの枝に飛びついてごらん」

大吉「いいんだよ、そんなことしなくたって。カエルじゃあるまいし、ほれ」と一郎に手を伸ばす。

 

一郎「なんだ、お父さんできないのか。飛びつけないんだろ?」

大吉「お前、お父さんバカにすんのか? 簡単じゃないか、こんなもの」一郎の煽りにのってジャンプ。

一郎「やっぱりダメだね」

大吉「バカ」まだジャンプし続ける。

 

一郎「お父さん、無理だよ。もう行くよ」

 

ようやく一枚葉っぱをむしり取って「やったぞ、一郎」と話しかけるが、一郎は先を歩いていた。大吉は葉っぱを持って走って追いかける。

 

福山家台所

ゆき「まあ、子供なんてさ、親の思いどおりになるもんじゃないよ」

紀子「でも、ショックだわ」

ゆき「まあ、深刻に考えないことね。単なる気まぐれだよ」

紀子「どうしてあんな約束したのかしら。信じられないわ、子供のくせに」

ゆき「それぐらい仲がいいのさ」

紀子「そうでしょうか」

 

ゆき「そうよ。子供たちにしてみればさ、なんとなく相手のうちのほうが楽しそうに見えるんだよ。隣の麦飯だよ」茶の間へ行き、ちゃぶ台の上を拭く。

proverb.jp

自分のうちでは米のごはんを食べていても、隣の家の麦飯のほうがおいしそうに見えちゃう的な??

 

紀子「そんなに簡単なんでしょうか?」

ゆき「だと思うね」

 

台所から茶の間へ来た紀子。「ねえ、お義母(かあ)さん。もしかしたら、なんていうのかしら、動物的本能っていうのかしら、そういうのが働いてるんじゃないでしょうか?」

ゆき「そうね」

紀子「子供っていうのは、まだそのへんが鋭いでしょう? なんとなく自分の血のつながった親を嗅ぎ分けてるような気がしてしかたがないんです」

ゆき「私には分かんないね。そういう難しいことは。でも、考えすぎじゃない?」

紀子「だって、お義母さん、2人が同時に決心したんですよ。そりゃまあ片方だけが相手のうちに行きたいって言うんだったら別ですけど、両方が血のつながった親のうちへ行きたいって言いだしたんですもの。単なる偶然とは思えないわ」

ゆき「そうかね。そういうもんかねえ」

 

紀子「大吉さんは私たちが一郎に捨てられたって言ってましたけど。そうかもしれませんね」

ゆき「そんなバカなことがあるもんじゃない。まったく情けないことを言うね、大吉は。あんなにかわいがってるくせに」

紀子「だから、ショックなんですよ。もう朝からプリプリ、プリプリ怒ってばっかりいたんですよ」

ゆき「まあ、私には分からないね。そんなに自分の子供に自信がないもんかね」

 

紀子は席を立つ。

ゆき「じゃ、こうしたらどう? もう一度、向こうのうちと話し合ってさ、もし心配なら今度は取りやめにしたら?」

 

台所で高速皿拭きする紀子。「でも、子供たちはもうその気でいますからね」

ゆき「そんなことはいいじゃないか。親がダメなものはダメなんだから」

紀子「そうしようかしら」

 

ゆき「ただ、そうするときは親戚づきあいのことも考え直さなきゃね」

考え込むような紀子。

 

バランスの取れたいいおばあちゃんだな~。

 

突然、和泉家を訪れた紀子に和子は驚く。晃は風邪をひいて病院へ行ってきたと言い、今は布団の上でうつぶせになって本を読んでいる。

 

紀子「大丈夫かしら? 晃ちゃん」

立ち上がって様子を見る和子。「本、見てるわ。それで、さっきのお話しですけど…」

紀子「ええ。そのことで、まあ、一度、奥さんとご相談しようと思いまして。何しろ子供が考えたことでしょ? ですから」

和子「そうね。でも、私、子供の言うとおりにしようと思いますけど」

紀子「かまわないんですか? お宅のほうは」

和子「主人も子供たちの自由にさせたいって言ってるんです」

紀子「あっ、そうですか」

 

和子「何か困ることがおありなんですか?」

紀子「いえ、別に困るってことはないんですけど。ただ、ご近所の噂がちょっと…」

和子「そうでしたわね」

紀子「ですから、今度のことは…」

和子「でも、一応、遠い親戚ってことになってるんでしょ?」

紀子「ええ」

和子「それでもまだしつこく聞かれるかしら? そこまで詮索するかしら?」

 

和子はそういう場合、なんか強そう(イメージ)。

 

紀子「まあ、大丈夫だとは思いますけど」

和子「ねえ、奥さん。私たち、今まで随分考えてきたわ。子供の将来のことも自分たちのことも。でも、いつも考えるだけでどうにもならなかったでしょ? 今度はそうじゃないわ。少なくとも、ひと月は一緒に暮らすことになるわ。何かが分かると思うの。今後どうすればいいかってことも分かるんじゃないかしら」

紀子「ええ」

和子「それに子供たちが自分で言いだしたことですから気持ちも素直だと思うんです。子供も無理しないで一緒に暮らせると思うの。こんな機会は二度とありませんわ。私ね、自分の気持ちを確かめてみたいの。ひと月でも一緒に暮らせば必ず、私たちの結論も出ますわ。必ず」

 

和子は割と血のつながりを重視してるタイプなのかも。

 

福山家茶の間

一郎がノートでひらがなの練習。ゆきはアイロンがけ。

大吉「違うよ。ほら、ここに書く順番が書いてあるだろ? そうだよ、そのとおりしなきゃダメじゃないか。そう、まず横の棒な」

一郎「こう?」

大吉「そうそう。もっとな、落ち着いて書かなくちゃダメだよ。はい、次」いちいち口うるさく言ったり、うちわで一郎の頭をポンとたたいたり。

 

一郎「うるさいなあ」

ゆき「ホントだねえ」

大吉「なんだよ、母さんまで」

ゆき「教えるんだったらさ、もっと優しく教えなきゃ。まるで怒ってるみたいだよ、ねえ?」

一郎「うん」

大吉「じゃ、勝手にしろよ。晃ちゃんのお父さんにでも教わりゃいいだろ」と2階へ上がってしまう。

 

紀子「ダメよ、一郎。お父さんにうるさいなんて言っちゃ。さあ、謝ってらっしゃい」

 

部屋で寝っ転がる大吉。一郎がのぞきに来る。

大吉「なんだ?」

一郎「お母さんが謝ってこいって」

大吉「ふ~ん」

 

一旦扉から離れてまた来る一郎。

大吉「どうした?」

近寄ってニヤッと笑う一郎にニヤリと笑い返す大吉。一郎は寝転んでいる大吉に抱きついてきた。

 

大吉「ハハハハッ。こんにゃろめ、まったく。よ~し、おい、海でも行こうか」

一郎「うん、行こう!」

大吉「よし、行こう」また抱きつく一郎。

 

海水浴場

 

いよいよ夏休みに入ったその日、大吉たちは海に来ました。新しい変化を目の前にして、それぞれが落ち着きを失っていたのです。それは一郎とて同じでした。

 

まだ若いのに中年体型の大吉さん。紀子さんの青い水着風ワンピ?がかわいい。大吉と一郎が砂浜で相撲したり、走っているのをガン見してる人もいるな。

 

パラソルの下にいる紀子は大吉と一郎にタオルを渡した。

紀子「そろそろお昼にしましょうか」

大吉「そうだな」

一郎「まだいいよ」

紀子「もう11時半よ」

大吉「それじゃ、飯にすっか」

紀子「そうよ、少し休んだほうがいいわよ」

 

一郎「いいよ。ねえ、早く行こうよ」

大吉「お前、ジュース飲みたいっつってたじゃねえか」

一郎「もういいよ」

大吉「まあ、そう言わないでさ。少し飲んで、また泳ごう」

 

ファンタグレープの缶のプルタブを開けて一郎に渡す紀子。一郎は左手に缶ジュース、右手に浮き輪を持ったまま、海へ駆け出した。

 

大吉「一郎! 1人で海へ入っちゃダメだぞ!」

紀子「ホントよ」大吉にもプルタブを開けて渡す。「大丈夫?」

大吉「これ飲んだら、すぐ行くよ」

 

紀子は「一郎に向こうのうちに行くなって言ったの?」と聞いたが、大吉は言っていない。「言ったりしたら、またお前に怒られっからな」

 

大吉「ただ…晃が来たら、こんなふうに3人で楽しめるかなと思ってさ」

紀子「晃が来たら困るの?」

大吉「怖いんだよ」と言って、海へ駆け出す。

 

浮き輪をつけた一郎の手を取り、水泳指導する大吉。顔を水につける練習をしていたが、子供の「助けて~!」という声が大吉の耳に入った。

 

子供が溺れているのが見えた大吉は、一郎と浜辺に戻り、一郎に紀子の所へ行くように言って、泳ぎだした。

 

ギャラリーも騒ぎだす。

 

大吉は子供を抱えて浜辺へ。

女性「ユキオ! バカだね、お前は。大丈夫? どうして、お母さんの言うこと…」

大吉「ダメだよ、子供を1人にしちゃ。死んだらどうすんだよ」

女性「早くこっちいらっしゃい」

 

女性は全く大吉が目に入っていないのか、お礼も言わずにユキオを連れて立ち去った。

peachredrum.hateblo.jp

母親役は「あしたからの恋」では直也の病院の看護師だった坂本眸さんかな。

 

大吉「しょうがねえ親だな」

 

紀子が近づいてきた。

大吉「よかったよ。手遅れになんなくて」

紀子「ええ」

 

一郎は波打ち際で浮き輪に座っていた。

 

着替えて海の見える高台のパラソルの下にいる福山親子。大吉と一郎はお揃いのシャツ。おばあちゃんの手作りだろうか。

 

大吉「俺が気がつかなかったら危なかったよ」

紀子「そうね。あなたが飛び込んでしばらくしてからよ。他の人が気がついたのは」

大吉「見たのか?」

紀子「ええ、なんとなく様子がおかしかったから」

大吉「まったくのんきな親がいたもんだよ。もしあれで子供が死んだら、どうするつもりかね」

一郎「僕も溺れそうになっちゃった」

 

大吉「お前が?」

一郎「うん」

大吉「いつ?」

一郎「さっき」

 

一郎は先にジュースを飲み干すと席を立った。

 

大吉は驚いて紀子に問いただすと、溺れかけたが、なんでもなかったから言わないほうがいいと思ったと言う。大吉が助けに行ってる間に一郎がそのあとを追いかけたが、急に浮き輪が外れて、そばにいた若い男の人が助けた。大吉は俺の不注意だと落ち込む。紀子は大吉が気にすると思って言わなかった。

 

大吉「危なかったんだな」

紀子「塩水を2~3回飲んだだけよ。コーヒーが冷めるわ。いいじゃないの。無事だったんですもの。それに1人の命を救ったわ。今日はいい日よ」

www.shonan-monorail.co.jp

湘南モノレールで帰った大吉たち。一郎はチューリップハットをかぶって寝ている。

 

一度は子供に捨てられたと思って苦しんだ大吉でしたが、自分の不注意から命を失いかけたとすれば、一郎の意思を無視してまで自分の愛を押しつけることができなかったのです。一郎が夢みている真実の親は和泉夫婦なのだと、そのとき、大吉は自分に言い聞かせました。

 

大吉は帽子を脱がせ、一郎を膝にのせて眠らせる。

 

その晩、大吉は一郎を行かせる決心をしたのです。

 

一郎の勉強部屋

一郎は「証城寺の狸囃子」を歌ってウロウロ。

証城寺の狸囃子

証城寺の狸囃子

  • provided courtesy of iTunes

紀子は一郎を着替えさせている。

 

一郎「ねえ、お母さん。僕が行くと寂しくない?」

紀子「別に寂しくなんかないわよ」

一郎「よかった」

紀子「いい? 向こうのおうちはね、先生なんだから礼儀正しくしなきゃダメよ。お行儀悪いと笑われるのは、お母さんなんですからね。分かった?」

一郎「はい」

 

大吉は一郎に持たせる爪切りと歯ブラシを買ってきた。「おっ、なんだい、正装じゃねえか」

紀子「だって、ふだん着ってわけいかないでしょ」

大吉「まあ、そりゃそうだけどさ、向こうで驚くんじゃねえか?」

紀子「そうかしら? じゃ、やめる?」

大吉「いや、そういう意味で言ったんじゃないんだ。まあ、いいじゃないか」

紀子「私だって、どういうふうにしていいのか分からないのよ。はい、もういいわ」

 

一郎「お父さん、格好いい?」

大吉「おうおう、とってもいいぞ」

 

一郎「♪証 証 証城寺 証城寺の庭は…」と歌いながら部屋を出て行く。

 

大吉「人のうち行くのがそんなにうれしいのかな」

紀子「そうらしいわ。さっきから、もうソワソワ、ソワソワしちゃってのよ。こんなに荷物が多いんですもん。まだ足りないのよ」途中から涙声

大吉「いいじゃねえか。あとで届ければ」

紀子はタオルで顔を覆って泣きだす。

大吉「おい、一郎に見つかるぞ」

紀子、涙を拭いたタオルをそのままバッグに詰める。

 

大吉は他に忘れてる物があったら今のうちに買いに行ってやるというが、紀子はもういいという。

 

大吉「どうせ近いんだ。毎日会いに行けばいいさ。しかたないよ。もう行くことに決まっちゃったんだから」

 

駅前のパーラーで暑くならないうちに10時に会うことにしていた。

 

玄関

ゆきは一郎のよそ行きの靴を磨いていた。

一郎「もっと光らせてよ」

ゆき「これ以上、無理だね」

一郎「そうかな」

 

大吉「母さん、お茶1杯くんないか?」

ゆき「はいよ」台所へ。

 

大吉「なあ、一郎。向こうのうち行ったら、ちゃんと勉強すんだぞ」

一郎「うん」

大吉「それからな、自分のことはなんでも自分でやるんだ」

一郎「うん」

大吉「そうだ。母さんとこ行ってあげなさい。なっ? お前の支度してんだから」

一郎「うん」2階へ。

 

茶の間

大きなため息をつく大吉。ゆきからお茶を出されて飲む。

ゆき「いよいよだね」

大吉「ああ」

ゆき「いいのかい?」

大吉「いいんだよ、これで」

ゆき「そう思うしかないね」

大吉「いや、違うよ。俺はホントにいいと思ってんだよ」

 

大吉は仕事が忙しいので一郎を見送らず、晃を迎えに行かずに出勤。

 

ゆき「イヤなのかい?」

大吉「ハハッ、そうじゃないよ」玄関にあった一郎の靴を自分の服の裾で軽く磨き、ヘルメットを持って出て行った。

 

紀子と一郎は出かけて行った。ゆきは落ち着いて見送ったように見えたが、玄関を出た2人を急いで追いかけ、戸を開け「一郎ちゃん、気をつけてね!」と声をかけた。手を振る一郎。素早く鼻の下をこするゆき。

 

踏切を渡る紀子と一郎。

 

大吉は相変わらず工事用ヘルメットをそのままかぶってバイク出勤している。

 

大吉はたとえ、一郎が悲しんでも去っていく後ろ姿を見送りたくはなかったのです。そのかわり、血のつながったわが子を迎える喜びをじっと我慢するのでした。

 

晃は麦わら帽子をかぶって和子と歩いていた。

 

バイクで走る大吉。(つづく)

 

和子以外は今まで育てた子が自分の子だと思ってるって感じかな。和子だって晃に愛情がないわけではないけどね。

 

「おやじ太鼓」34話。モテモテ神尾。

peachredrum.hateblo.jp

番組表を見たら、今日と月曜日はゴルフで休止らしい。毎日放送してたら来週金曜日が39話で第一部最終回のはずが、再来週月曜日に延びちゃった。