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【ネタバレ】原爆の子

1952年 日本

 

あらすじ

新藤兼人率いる独立プロ「近代映画協会」の自主製作映画の第1作品。原爆を直接取り上げた初の劇映画。広島の原爆で一家を失った小学校教師・孝子(乙羽信子)は瀬戸内海の叔父のもとに身を寄せていたが、原爆投下以来、戻ることのなかった広島へ行くことを決意する。原爆の爪痕が残る広島で、かつての教え子たちと再会しようとする孝子だが・・・。

2022.8.9 日本映画専門チャンネル録画。

peachredrum.hateblo.jp

終戦から10年もたたずにこういう映画がつくられるのがすごいな。「原爆の子」は1952年、「ひろしま」は1953年。

 

校庭で体操をする子どもたち。男の子たちは上半身裸に半ズボン。ハーフパンツくらいの長さがあるけどね。

 

教師の孝子は島で働いていたが、夏休みは実家の広島へ帰ることにしていた。広島への帰省は4年ぶり。両親は既に亡く、実家ではなく友達の家に泊まる。おじさんおばさんの家で暮らしている。乙羽信子さんは若い頃からあんまり顔が変わらない人だな。

 

船で帰省する途中、川べりにはバラックが建ち並ぶ。セットじゃないんだろうな。

 

乙羽さんのナレーションで今の広島の近況報告。街の中もまだまだ焼け野原みたいなところも目立つ。

 

孝子の実家は県庁の近くだったというけど、何もなく、石に花を供え、手を合わせる。

 

1945年8月6日の回想。8時に警戒警報は解除されたが、原子爆弾は落とされ、皮膚が焼けただれた人、母親にしがみついて泣く赤ちゃんなどが映し出される。背中一面のケロイド状の火傷の人は本物じゃないかな?

 

原爆ドームに行った孝子は、孝子の家で働いていたじいやの岩吉と再会。岩吉は目が見えなくなり、道端で物乞いをしていた。孝子は岩吉の家に泊まりたいと言い、ついて行く。岩吉は町外れのバラックで暮らしていた。岩吉の息子は南方から帰らず、息子の妻は原爆で亡くなった。孫は助かったものの、岩吉一人でやっとの生活なので孤児収容所にいる。

 

孤児収容所に行った孝子。岩吉の孫・太郎は今7歳。太郎のいる新生学園の職員は山内明さんかな? 面影あるなあ〜。孝子は岩吉に太郎を島に連れて行きたいと言う。しかし、岩吉は太郎といつか暮らせるのを生きがいにしていると申し出を断った。

 

孝子は当初泊まる予定にしていた元同僚、森川夏江の家へ。元々2人は幼稚園で働いていた。夏江にスイカをごちそうになる。外は盆踊り。夏江は助産師、夫(下元勉さん)は市役所職員。夏江は2年前、原爆が原因で子供が産めないことが判明し、5人目が生まれる夫婦から子供をもらうことにしていた。

 

孝子が広島に来た目的は幼稚園の教え子で生き残った3人に会いに行くこと。教え子の一人、三平の家を訪ねた孝子。三平の父は10日ほど前から急に歯茎から出血し、亡くなった。父が亡くなり、バタバタしていてろくに話もできないまま、三平の家を出た。

 

教会へ教え子の一人、山岸敏子に会いに行く。敏子はベッドに寝かされていて、もう長くないという。両親は亡くなり、6年前に牧師に拾われ、教会で暮らしている。敏子は平和になるよう祈ってるという。敏子にリクエストされ、孝子は赤いお船の歌を歌う。教会の鐘が鳴り、敏子は胸の上で手を組み、祈った。

 

夏江に今日のことを報告する孝子。夜でも子供が生まれそうだという知らせを受け、出かけていく夏江。

 

橋の上から川に飛び込む男の子たち。孝子は教え子の増田平太に会いに行く。平太のお姉さんは奈良岡朋子さんかな? 「おしん」!! 髪結をしているという姉は足を引きずって歩いている。両親は亡くなり、兄ときょうだい3人暮らし。平太の兄は宇野重吉さんだ。

 

姉の咲江は今日が婚礼の日。結婚の約束をした田中は戦争から帰ってきて一番に咲江を訪ねて結婚しようと言ってくれたが、生活の基盤ができるまで5年待ってくれと言われて、その5年が今日。きょうだいに挨拶をする咲江。あ、もう一人平太にお兄さんがいた。

 

夕方?夜?兄と咲江はバスに乗って行ってしまった。孝子はそのまま平太の家に泊まった。

 

島へ帰る前、孝子は岩吉に太郎のことをもう一度頼みに行った。なんなら岩吉も一緒に島で暮らそうと言うが、こればっかりはこらえてつかあさいと頭を下げられた。お手紙ちょうだいねと孝子は言ってたけど、岩吉は目が見えないんだよぉ!

 

近所のおばあさんは孝子と岩吉の話を聞いていて、人間いつまでも生きられないのだから、と岩吉に同情しつつ、孝子の考えに同調し、説得する。

 

岩吉はついに太郎を手放す決心をする。おばあさんが新生学園に太郎を迎えに行った。太郎に話をすると、おじいちゃんと一緒にいたいと泣いた。ずっと一緒に暮らしてないのにずいぶん懐いてるんだなぁ。おばあさんは北林谷栄さん。こんな時代からおばあさん役か。この時、実年齢は40そこそこくらいかな。

 

その晩、岩吉の家に泊まった太郎。「おじいちゃんが死んだらどうする?」と聞かれた太郎は「死にゃあせんけん何でもない」と返す。岩吉はその前に橋のたもとで学生たちにお願いして手紙を書いてもらっていて、太郎に夏江の家に行って孝子に手紙を渡すよう言った。

 

一人で酒を飲んでいた岩吉。そのうち、岩吉の家から火の手が上がった。おばあさんが何とか外へ助け出した。

 

夏江の家でスイカを食べていた太郎。夏江の家をおばあさんが訪ねてきた。孝子が駆けつけると岩吉は全身包帯でぐるぐる巻きにされており、死んだら遺体を病院に寄付してくださいと言い残し、亡くなった。

 

翌朝、孝子は太郎、夏江と原爆ドーム前を歩いていた。

 

おばあさんは岩吉の家の前に花をお供えした。

 

船に乗り込もうとした時、飛行機が飛び、不安そうな表情の孝子。太郎は無邪気に飛行機だ!と騒ぐ。船長が殿山泰司さん! 髭濃い。夏江と別れ、船に乗り込む孝子と太郎だった。(終)

 

太郎はおじいちゃんも一緒に行くと白い包みを持っていた。昨日の今日で火葬!? いやいや、病院に寄付したはずだし…遺品を持ってたのかな?

 

80年代のドラマでおじいさんおばあさん役だった人たちの若い頃が見れた。他にも大滝秀治さん、東野英治郎さん、佐々木すみ江さんなども出てたらしいが分からなかったな。

 

まだまだ生々しく原爆の傷跡が残る広島の街。これだけでも見る価値あると思う。所々説明口調なところもあったけど、興味深い作品だった。あの街並みをカラーで見てみたい。