公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
飛行機事故の取材で波津の最期に間に合わなかったと、自分を責める元子(原日出子)を邦世(磯村みどり)が慰める。正道(鹿賀丈史)も帰路の車内で、編集長を悪く思わないようにと元子をさとす。しかし編集室に顔を出した元子は、福井(三木弘子)に事故と祖母に会えなかった二重のショックで、記事をまとまられそうもないと申し出る。福井は元子の疲労をいたわりながらも、できれば事故の記事を元子にまとめて欲しいという…。
松江城の城壁と白鳥?の群れ。
大原家
昨日も書いたけど、波津の遺影がすごくいい写真だな。遺影をじっと見つめる元子。
邦世「元子さん…頼みますわね、もうそれ以上、自分を責めえことやめてごしなはい。すんませんでしたねえ。おばあ様の容体には十分気ぃ付けちょったつもりだったに、あんまり急なことだったんで、あんたにもそぎゃん心配かけてしまって」
元子「とんでもありません。お背中の一つもおさすりできなかった自分が情けなくて…。大原の嫁でありながら、とうとう嫁らしいことは何一つできずにお別れしてしまったんですもの」
邦世「いんや。正道のけがの時、東京でおばあ様、元子さんとも本当に力を合わすことができてうれしかった、そぎゃんふうに言っちょられましたけんね」
元子「お義母(かあ)様…」
邦世「本当に大往生だったと皆さん言ってくださっちょうますわね。だけん、嘆かんでごしなはい、元子さん。だども、順送りだけんね。私は、あんたの世話になあますけんね」←ちょっとだけ怖っと思ってしまった。
元子「はい…」
正道「それじゃ、そろそろ支度できましたから」
邦世「本当にご苦労さんだったね」
正道「また四十九日には参りますから。本当にお母さんにはお願いすることばかりで申し訳ないんですけれども、その時までよろしくお願いしますね」
邦世「はい」
元子「どうぞお疲れが出ませんように」
邦世「あんたたちこそ」
正道「本当に体には気を付けてくださいよ」
邦世「大丈夫だわね。おばあ様をお送りするのが私の大任だったども、皆さんのおかげで果たすことができたですけんねえ」
正道「はい…」
帰路。列車の車体は写さず、車窓の風景。そして合成丸出しの車内。あ、道子いたのか。
順平「大介、大介、ジュース飲み行こう」
大介「うん」順平、道子と他の車両へ。
正道「元子。今度のことでね、編集長のことあんまり悪く思うなよ。あの人は、できるだけのことしてくれたんだから」
元子「分かってます」
正道「おばあさんにしたってね、まあ、眠ったまま逝かれたようなもんだったけれども、僕や大介は一応、最期の時に間に合ったんだから。しかしね、飛行機自体は怖くなかったけれども、あんな事故のあとだったからね、決めるまでが…正直怖かったよ」
元子「あなた…」
正道「母さんがくれぐれも言ってたけれども、今度のことで自分を責めちゃ駄目だよ。でないと、おばあさんの死が君にマイナスになるだけなんだから」
道子は、順平や元子と後から一緒に来たということかな。
女性時代編集部
元子が出社。
福井「大原さん。ご苦労さま」
元子「昨日、戻ってまいりました。いろいろとご配慮いただいてありがとう存じました」
福井「疲れたでしょう。富士の取材から引き続いてですもの、電話でよかったのよ。2~3日何も考えずにゆっくり休んでちょうだい」
元子「いいえ。実はあの記事のことなんですけれど…。いろいろ考えましたけれども、私にはとてもまとめられそうにないんです。本当に申し訳ありませんが勘弁していただくわけにはいかないでしょうか」
福井「そう」
元子「現地取材までしていながらルポライターとしてお願いできることではないのは承知しています。主人にも祖母に会えなかったショックが二重になっているんだろうとも言われました。でも、私にはどうしても…本当に申し訳ございません」
福井「そうね、ルポライターっていったって人間ですもの、時には取材をしても書けない時もあるわ。一つの体験よね」
元子「編集長…」
福井編集長、やはり立つとすらっと長身でかっこいい。でも今まで金八や「マー姉ちゃん」の時も意外と背が高いんだなと思わなかったから、このドラマだと156cmの原日出子さんと並ぶことが多いせい!? マー姉ちゃんの熊谷真実さんが160cmらしいので同じくらいだったのかな。
福井「まあ、お掛けなさい。富士での事故は乗客がほとんど外人だったために富士山をよく見せようとして乱気流に巻き込まれたらしいのね。そもそも旅客機とはサービスや快適を売るためのものではなくて目的地へより早く着くための機能を交通の手段として乗客から求められるものでしょう?」
元子「ええ」
福井「現にご主人は飛行機を利用なさったからこそ、おばあ様のご最期に間に合われた」
元子「はい」
福井「私はご主人の意見に賛成だわ。あなたは今、二重のショックの中にあるのよ。飛行機は恨むべきものでも何でもないわ。ただ、便利だと思い込むところに慣れと落とし穴があるんでしょうね。私はできれば、やはりあなたにまとめてほしいの。時間は十分にあるから、よく考えてちょうだい。どうしても無理なら私が書きます。事故現場を取材した翌日、生まれて初めて飛行機で肉親の葬儀に向かったルポライター、その複雑な心の中、それをのぞかせてほしいの。本当にご愁傷さまでした。今日は、おうちへ帰ってゆっくり休んでちょうだい。くれぐれも無理をしないでね」
元子「はい」
山田木工所
正道「さあ、座ってみてください」
こういう背もたれと足を置くスペースもあるちょっと変わったデザインの椅子。
山田「はいはい。よいしょ…。お~、座り心地もいいよ、うん」
正道「この椅子の人はですね、膝を悪くしてるんでね、ほとんど椅子生活なんですよ。ですから長時間座っていても疲れないっていうのがこの椅子の目的で、まあ食事みたいに短時間使用するものとは、はっきり違うんですよ」
山田「しかし、大原さん、あんたこれで商売になるの?」
正道「はっ?」
山田「なるほど、この椅子を注文した人は、いい買い物をするけどさ、こんな一品物ばかりじゃ手間暇もかかって大変でしょうに」
正道「まあ、しかたないですよ。やっぱ、いいものを作ろうと思えばね、手間暇かかりますよ」
山田「まあ、次々と注文があるからいいようなもんだけど」
正道「そうでしょう? それにですね、こうやってデータを集めていけばですな、そのうちに洋服みたいにL、M、Sサイズ風にですね、椅子もその人の身長に合わせて購入できるようなそういう既製品の生産化も夢じゃなくなると思うんですよ」
山田「そうかなあ」
正道「今もね、ある中学から机と椅子の注文も来てるんですよ」
山田「お~?」
正道「ハハハハ…しかしね、今度、飛行機に乗ってつくづくと感じましたよ。確かにあの椅子は窮屈です。しかし、辛抱できないっていうほど長時間乗るわけじゃないんですね。つまり、その人間の生理、それに経済性、また何人まで乗せて安全かという安全性も含めて考えた結果、まあ、あのスタイルしかないっていう、あれは見本みたいなもんでしょうなあ」
山田「ハハハハ…けど、大原さん、あんたも好きだね」
正道「ハハハ…まあ、そうかも分かりませんね。人間の生活に密着するものを作るっていうのは、やりがいがありますしね、また楽しいですよ」
でもやっぱり木製の椅子は腰痛には、きつそう。
そして、元子は…。
女性時代編集部
福井「ご苦労さま。よく書いてくれたわね」
元子「はい…。あんまり自信はなかったんですけれども一生懸命書きました。祖母への供養だと思って…。亡くなられた方たちのためにも一生懸命、自分の弱みをさらけ出して書きました」
福井「十分に伝わってきました。ありがとう」
今日は大介の入学式でした。
吉宗
大介「こんにちは」
トシ江「ああ、おやまあ、立派だこと。まるで本物の高校生みたいだわ」
大介「みたいじゃなくて、もう入学式が済んだから本当の高校生です」
トシ江「まあ、そうだった。さあさあ、お上がりよ」
大介「はい」
トシ江「おじいちゃんとね、松江のおばあちゃんにね、ちゃんとお線香あげてちょうだいな」
大介「はい」
トシ江「お母さんは?」
大介「お母さん、式が終わったら、そのまんま高校から女性時代行っちゃった」
トシ江「まあ、相変わらずだねえ」
福代「いらっしゃい! はい、これ。順平叔父さんから入学のお祝いですって」
大介「わっ、ビートルズだ!」
福代「それが欲しかったんですって?」
大介「うん! ちょっと僕、お礼言ってくる!」
トシ江「おやまあ、仏様は後回しだわ」
笑い声
女性時代編集部
冬木「そう、今日が入学式だったの。それはおめでとう」
元子「どうもありがとうございます」
野村「これ、大原さんが来たら渡すようにって編集長から預かりました。ダイジェストの仕事のようですよ」
元子「どうもすいません。それじゃ、また後で電話しますので、今日はこれで失礼いたします」
冬木「ご苦労さん」
野村「気を付けて」
小走りで編集部を出ていく元子。
冬木「けど、女っていうのは、やっぱりしたたかだね。ほら、例の富士行った時、私には書けませんって泣き言、言ってたのにさ、どうしてどうして」
野村「けど、そういうのに結局書かしちゃうんだから、編集長の方がまだ一枚うわてじゃないですか」
冬木「合理化だよ、合理化。社外ライターはね、うまく使うのがコツなんだから」
オープニングのキャストクレジット、女性時代の冬木も野村もちゃんとセリフがあったのに、女性事務員?と一緒に3人”編集員”という扱いだった。前々から何となく元子に好意的な野村とそうでもない冬木という感じ。
大原家茶の間
学校の机と椅子を持ち込む正道。
元子「え~…。どうして私がこの机で仕事しなくちゃいけないんですか?」
正道「実験なんだよ。すまないけどな、ちょっと2~3日試してくれないか。1日45分ずつ4回だ。なっ」
元子「そんな区切られても仕事が乗ってる時っていうのはですね…」
正道「だから、すまないっつってるじゃないか」
元子「それがすまないっていう言い方かしら」
正道「だってしょうがないだろ。中学生の授業時間は45分なんだから」
元子「中学生って、あなた、まさか私に?」
正道「うん、最近はな、みんな体格もよくなってきてるから元子でちょうどいいんだよ」
元子「もはや何をか言わんやだわ」
正道「さあさあ…座って座って」
元子「はいはい」
正道「それで、何か気付いたことがあったら、そのつどこれに感想をちゃんと書いてくれ。な」
⚟♪~レコード「A Hard Day's Night」←今日は字幕で曲名が出た。
↑大介がもらったジャケットは「Help!」っぽく見えたけど、多分この曲は入ってないと思う。
大音量の音楽が聞こえてきて、正道と元子は茶の間を出ていく。
大介の部屋
ベッドに横になってレコードを聴いている大介。
元子「大介!」
正道「おい!」レコードを止める。
驚いて飛び起きる大介。
正道「おい、何なんだ、こりゃ一体」
大介「何だって、何が?」
元子「あんな大きな音でびっくりするじゃないの」
大介「あっ、聞こえた?」
元子「当たり前ですよ。あんな騒々しいレコードをかけてたら、うちは狭いんですからね。下までそのまま筒抜けです」
大介「ごめんなさい。でも、ビートルズはこのぐらいのボリュームで聴かなくっちゃ」
正道「何だ? そのビートルズっていうのは」
大介「やだなあ。だから大人は困るんだよ」
元子「困るって誰が困るのよ」
再びレコードを再生する大介。「これはね、イギリスのロックバンドですごいんだよ。とにかくすごいんだ」
元子「すごいのはこの騒々しさですよ」ボリュームを下げる。
正道「なあ大介、そのだから…ビートルズって一体何だ?」
大介「一大音楽革命なんだよ。うん、エレキサウンドを使った新しいグループなんだ。今度6月にいよいよ日本にやって来て武道館でやるんだから行ってもいいでしょう?」
元子「さあ? お父さんに聞いてごらんなさい」
正道「いいにはいいけどな、高校へ入ったからって、あんまりのんびりされちゃ困るぞ、え」
大介「はい」
ダイニング
元子「でも、武道館っていうのは武道をするためのいわゆるスポーツ会場なんでしょう?」
正道「そうだな」
元子「どうしてそんなとこでコンサートをやんなきゃいけないんですか」
正道「別にやらなきゃいかんっていうわけじゃないだろ」
元子「ん…。ねえ、あの子、私たちの留守の間にいつもあんな音でレコード聴いてるのかしら」
正道「さあ」
元子「『さあ』じゃ困りますよ」
正道「だって僕にそんなこと言ったってしょうがないだろう」
元子「とにかく私はショックだわ。歌手の実演を聴きに行ってキャーキャー言うのは女の子だけだと思ってたのに、あの大介までが行ってもいいでしょうだなんて」
正道「うん…でもな、物は試しだ。君もそのビートルズっつうの、ひとつ、研究してみたらどうだ?」
元子「私がですか? どうしてです?」
正道「革命とか大介のやつ言ってたぞ」
元子「ええ、確か音楽の一大革命なんですって」
正道「だからな、大介が高校へ入ったから、そういうものに興味を持ったのか、それとも世間一般の風潮なのかママさんライターならその辺をだな」
⚟♪~レコード
この曲かな。またしても曲が聴こえて、2階を見上げる正道と元子。
つづく
明日も
このつづきを
どうぞ……
いや~、大介は中3の秋からビートルズが好きだったし、今日みたいなにぎやか系じゃないしっとりした曲聴いてたよ。
ビートルズかかるとテンション上がるな~。
この映画見ただけのニワカなんですけどね。
福井編集長はなかなかの策士なのかもね~。土曜の夕方に元子が出発して、日曜の朝一で正道と大介が松江に行って、昼過ぎに波津が亡くなったらしいのに間に合ったんだ?と思っていたら飛行機だったんだね。