公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
大介(田島理司)が捨てたのは面接通知のプリントだった。教師からの電話で、出勤を遅らせ学校に向かった元子(原日出子)は、大介が最近情緒不安定だと告げられ当惑する。編集室では「女性時代」の編集方針を時流に合わせる、元子には主婦の浮気の記事を書いてほしいと言われ、強く反論して孤立してしまう。夜、正道(鹿賀丈史)は元子と一緒に大介にプリントの一件を問いただす。覚悟を決めたように大介は攻撃的にしゃべりだす。
大原家台所の外からのカット…珍しい。
正道「おい、元子、行ってくるよ」
元子「は~い!」
玄関
元子「行ってらっしゃい」
正道「ああ、行ってきます」
道子「行ってまいります」
元子「気を付けてね、道子。大丈夫? あっ、大介、ハンカチ持った?」
大介「…」無言で玄関から出ていく。
元子「大介…?」
あれから何となく気になる大介です。
吉宗前の路地
宗俊「はい~、ソレソレ、ソレソレ、ソレソレ! よいよい、よいよい、よいよい! ソレソレ、ソレソレ、ソレソレ! おう…おい、決まったぞい」
桂木家台所
トシ江「何、跳ねてるんですか。もう、福代さん心配してたじゃありませんか」
宗俊「何でだよ」
トシ江「え、だって、ごっそさんって言うから、はいって、お茶出したらプイッて出てったっきりなんだもの」
宗俊「何だ何だ、おい、そんなことを心配してたのか?」
福代「はい」
宗俊「ハハハ、大丈夫(でえじょうぶ)だよ。秀美堂へ行ってたんだ」
トシ江「ああ、元子の話?」
宗俊「ああ、そいつはいいや、大いにしゃべろうじゃねえかって、そういうことになった。元子にそう言っといてくれ。はい、そいじゃな。おい、ソ~レ、ソ~レ、ソ~レ…」走って裏へ。
トシ江「ハハ…まるで子供よ」
福代「はい」
大原家
出かける準備をして階段を下りてきた元子が冷蔵庫を確認。「うん、これでよしと」
ダイニング
連絡ノートを広げて書く。「大介君、道子さん。このところバタバタと出かけてごめんね。でも、今日の打ち合わせが済むと、またしばらくは、うちで書く仕事ですから今夜だけの辛抱です。それから…」
電話が鳴る。
元子「はい、大原でございます」
大友「もしもし、私、根岸三中3年B組担任の大友ですが」←おっ、3年B組!
元子「あっ、大介の母でございます。いつもお世話になっております」
大友「実は昨日と今日の父兄の面接通知のプリントをですね、だいぶ前に生徒に渡してあるんですが、大原さんからまだ何の連絡もないので、どうしたのかなと思いまして」
元子「それは大変申し訳ございませんでした。で…これから伺ってもよろしいんでしょうか?」
大友「ええ。都合がつくものなら、やはり来ていただいた方が」
元子「分かりました。では、なんとか都合つけまして必ず伺いますので」
大友「一応、面接は一人10分ですから、そんなにお手間はとらせません」
元子「はい。よろしくお願いいたします。どうも」受話器を置く。
元子は大介の部屋へ
ビートルズのポスターや長嶋選手のパネルが飾ってある。
「THANK YOUR LUCKY STARS 2/6」というポスターは、テレビ番組?
元子は机の引き出しなどを見て、机の上に並べられた本の中にある「特選当用日記」に手を伸ばすが…さすがに手を止める。
根岸三中
大友「さあ、どうぞ」
元子「恐れ入ります。先ほどは、わざわざお電話を頂きまして」
大友「いえいえ。しかし、お会いできてよかったです」
元子「はい」
大友「大原君は、きちょうめんな性格ですし、今まで連絡事項など一度も忘れたことがありませんでしたのでね」
元子「はい」
大友「このところ、ちょっと情緒不安定気味に私には見えるんですが、お母さんの方で何か思い当たることありませんか?」
元子「はあ…」
大友「まあ、成績の方もまずまずですし、協調性があって、友達からも大変信頼されています。それが、昨日もちょっとクラスをもめさせるような発言をしましてね。まあ、ちょっとしたことにも敏感な年頃なんですが、少々いらだちが目立ちます。お母さんは、お宅で書き物をしてらっしゃるとか」
元子「ええ…それでここのところ、少し話し合いが足らないのかもしれません。実はゆうべも主人に同じようなことを言われました」
大友「そうですか…。成績の方なんですが」
元子「はい」
大友先生…宮寺康夫さん。現芸名は川口康夫さんだそう。大河数作、「あぐり」にも出演。見たことあるような気もするけど、2000年あたりまでの作品しかない。
女性時代編集部
冬木「いやぁ、僕にしてもあんまり遅い帰りが続くと、時々、女房のことが心配になりますからね」
野村「そうそう。遅いのにやたらと愛想がいい時は、これぞ要注意」
冬木「全く何やってるか、こっちには全然分からないんだもんな」
野村…佐々木良行さん。今まで”編集員”というクレジットで女性時代編集部にいたけど、今日初めてちゃんとセリフもあって、名前もついた。
福井「情けないわねえ。昔は『女房妬くほど亭主もてもせず』。もてない亭主も女房もかわいいもんだったのにさ」
野村「全く怖い世の中になってきました」
福井「と言いつつ、案外、あんたたち男性は責任逃れをしているのではないのかな」
冬木「冗談じゃありません」
元子「遅くなりまして」
福井「大丈夫よ。きっかり15分の遅刻だから」
元子「すいません、出がけの電話だったものですから」
福井「じゃ、始めましょうか。はい」
元子「はい」
福井「読んでくれたでしょう。今月の手記、どう?」
元子「どうって…驚きました」
野村「いやぁ、今も話、してたんだけどさ、女性はますます大胆に我々はますます分からなくなる」
冬木「まあ、大原さんのような貞女には考えられないことだろうけどさ、最近の主婦の体験記とそれを書いてくる状況について少し分析してみる必要があると思うんだ」
元子「ええ」
福井「つまりね、今までの手記は、こうして苦難を乗り越えた的なものが多かったのよね。それぞれ年輪もあるし、歩いてきた道を振り返ってもいるけれども最近の特徴はもっとホットなのよね。自分自身でまだ整理もついていない真っ最中のものを延々と書いてくるものが多いの」
冬木「それも大体、若い主婦に多く見られる傾向だけれど、浮気が結婚生活に及ぶとなると、これは欲求不満の裏返しのような気もするんですがねえ」
野村「それは少し甘いんじゃない? 冬木さん」
福井「まあね、ジェネレーションの違いかも分からないけれども、昔は仮にこういうことがあったとしても恐らく誰にも打ち明けず、お墓の中まで持ってったと思うのね。それから比べると、とても露出症的に思えるんだけど、大原さんなんかどう感じたのかなあ」
元子「はあ」
冬木「いやぁ、確かに編集長の言うとおり露出症ですよ。露骨に聞いて聞いてって感じだもの」
野村「女性週刊誌の影響も大きいんじゃないですか。読み切りで必ず体験記という際どいものも入ってるし、今やそうした分野というのは男性専用のものじゃなくなってきてるんですよ」
福井「まあ、問題はそこだわね。こういう手記が出現してきたっていうことは、それだけ女性がオープンになってきたのか、それとも羞恥心がなくなったのか、そこを追跡してみるほかはないわね」
冬木「それでいけるかな、大原さん」
元子「いえ…私なら結構です」
冬木「結構ですって…何を言ってるんだ、あんた」
元子「あ…でも、私には向いていそうもありませんし、何かほかの仕事をさせていただいた方が」
冬木「向き不向きは、こっちで決めることじゃないか。そりゃ並行して僕たちも当たるけど主婦ライターが主婦の浮気を追う、これが売り物じゃないか」
元子「でも私、本当に苦手なんです。それにあんまりこういう話は好きじゃないんです」
野村「ぜいたく言わないでよ。仕事は好き嫌いでやるもんじゃないでしょう」
元子「でも…嫌なんです」
福井「だけど、あなた最初に私を訪ねてきた時、どんな仕事でもやります、やらせてくださいとは言わなかったかしら?」
元子「それは…」
冬木「これだから女は困るんだよなあ」
福井「どうして?」
冬木「えっ…僕は大原さんのこと言ってるんです。いい? ルポライターっていうのは何かありそうなところへは、どんなことにも鼻を突っ込んでいく。そして、話を拾い、作り上げていく。昔も今も全く変わりないんだ。そこを取り違えてもらったら困るんだよな」
元子「でも、品位の問題はどうなるんですか?」
冬木「品位?」
元子「ええ。同じ話でも書き手が興味本位に捉えるか真面目に書くかによって出来上がった話が上品にも下品にもなります。つまり、作る側に品位がなければ、何をどう繕っても落ちた話は落ちるしかないんじゃないでしょうか」
冬木「あんた、仕事をえり好みできる身分だと思ってんの?」
元子「そうは思いませんけど」
冬木「思わないけど、どうなんだい」
野村「まあまあ、まあまあ…これはいわばその企画会議なんだから。ねっ、編集長」
福井「いや、今、この2人は仕事に対しての基本的な姿勢について話し合ってるのよ」
元子「編集長、私、確かにどんな仕事でもすると言いました。でもそれは労力は惜しまないという意味だったと思います」
冬木「けど、あんた現に惜しんでるじゃないか」
元子「いえ、私が惜しむとしたら女性時代の名前です」
冬木「名前も結構。しかし、現実に扇状的なものに押されて、こっちの売り上げが落ちてるんだ」
元子「でも私『女性時代』という雑誌に愛情を感じています」
冬木「愛情だって!?」
元子「そうです。主婦たちは一度、自分の好みで雑誌を決めたら、あまり、ほかの雑誌に乗り換えるということはないと思うんです。そして、自分が読んでいる雑誌によって世間を知るということがあるんだと思うんです」
冬木「それはだね…」
元子「ええ、ですから、その雑誌が浮気やいいかげんな恋愛を面白おかしく取り上げていれば、近頃の世の中とはそうしたものだと思うでしょうし、たとえ、美談ぽくっても、たゆまず自分の人生を大事にしてきた人(しと)の話を載せれば、それが大事なんだと思うでしょう。あんまりうまくは言えませんけどもマスコミには、そうして世の中の風潮を左右してしまう力と責任があるんじゃないでしょうか」
冬木「マスコミ論ですか」
シラ~ッとした雰囲気。福井編集長はタバコを吸い始める。
女性時代編集部を出た元子は一礼して帰っていく。
喫茶ロン
冬木「いやいや驚いたね。あのおばさんがあれほど理屈っぽいとは思わなかった」
船田「へえ~、あっ、そう?」
冬木「うん」
船田「俺は何度かつきあったけどね、彼女は大体、相手をご機嫌にするし、彼女の取材はあなた、結構楽しいよ」
冬木「相手を見てるのさ。近頃、慣れてきたもんだから」
野村「それはないでしょう。ごねる相手としては編集長ほど、やばい相手はいないんだから」
船田「そうそうそう…」
冬木「まあね。ご主人も働き出したということだし、生活背負(しょ)ってないやつは、いつだって辞めさせていただきますと言えるんだから、強いんだよ」
好き勝手言う男性社員たち。仕事なんだからという冬木の言うことも分かるが、元子がどうしてもやりたくないという姿勢があってもいいと思うんだけどな。
夜、大原家ダイニング
正道「おう、座りなさい。お母さんがね、話があるそうだよ。だから座りなさい。そして、考えてることがあるんだったら、ちゃんと話して、お母さんに分かってもらいなさい。いいね」
大介「はい」
元子「今日、学校へ行ってきたわ。何の話か大体分かるでしょう?」
大介「プリントを渡さなかったのは悪かったと思います。だけど、出したって、どうせお母さんは忙しいから出さなかっただけで、現に今日、お母さんは仕事で出かけていたんでしょう?」
元子「でも、先生から連絡を頂いて、ちゃんと時間を作って面接してきたわ。ねえ大介、もしもあなたがお父さんが働いてるのに、お母さんがいつまでたっても普通のお母さんみたいにうちにいて、あなたたちの面倒をこまごまと見てやれないことに不満を感じてふてくされてるんだとしたら、それは大変な見当違いよ」
正道「そうだな。もう中学3年なんだから、いちいち親の手を借りずとも何でもできる年頃だろ」
大介「自分のことは自分でやってます。けど…」
正道「うん? けど、何だ?」
大介「庭掃きや風呂の掃除は僕の仕事じゃないでしょう。それなのに、お母さんがそれをいつまでもいいことにしてるなんて変だと思うんだ」
元子「じゃあ、誰の仕事なの?」
大介「でも、どこにもそんなことをさせる家はないよ。みんな勉強しなさいって言うし、うちは反対じゃないか」
元子「よそはよそ、うちはうちです。僕はお風呂の掃除だって人一倍、上手にできるんだって胸を張ったらいいじゃないの」
大介「そんな」
元子「今日ね、先生から電話を頂いて、お母さん、あなたの部屋に入ってみたの」
大介「どうして!」
元子「あなたが何を考えているのか知りたくて。もう少しで、お母さん、あなたの日記読むところだったわ」
大介「ひどいよ!」
元子「ごめんなさい。でもそれだけはしませんでした。黙って、あなたの日記を読めば、お母さんの方からあなたへの信頼の絆を切ってしまうことになるんですものね」
大介「当たり前だよ! 勝手に僕の部屋に入らないでください!」
正道「大介! 待ちなさい!」
元子「待って」
正道「しかしだな、まだ話は終わってないんだし、何だ、あの態度は」
元子「後で私からゆっくりと話しますから」
正道「しかしだね」
元子「私、もしかしたら女性時代辞めることになるかもしれないの。そしたら、時間はたっぷりとありますから」
正道「おい、元子」
つづく
明日も
このつづきを
どうぞ……
今の問題は周りの子たちにからかわれたということだろうか。大介については今までがいい子過ぎて心配だったみたいなつぶやきを見ていると、別の人!?って思うくらい印象が違う。ちょっとしたことだけど、女性には強い口調で言ったりするところが前々から気になってたけどな。元々、元子の印象の悪い人だと何を置いても元子ばっかり悪いことにしちゃうような感想も見かける。大介と元子、正道と道子は似てるんだと思う。
今日は大介が根岸三中3年B組であることが判明。以前、昭和38年の春に中学1年になったというナレーションがあり、そこまではよかったんだけど、東京オリンピックまで589日という話になり、それじゃ、大介の学年がずれてない?と思ったんだけど、そこからふわっと学年には触れずに展開したので軌道修正できた。
大介役の田島理司さんを見て、金八先生を見たくなったので以前、ブルーレイに録画していた金八の第1シリーズを見てみることにしました。録画はしてたけど、一通り見たかな~?くらい記憶なし。10年ほど前は気になる番組をとりあえず録画してブルーレイに焼いてたなあ。スペシャルドラマも何本か録画してたのと、トシちゃんと武田鉄矢さんが30年ぶりに再会した爆報theフライデーも録画してました(その割にファイナルは録画してなかったんだな~)。
体育の伊東先生(正大あんちゃん~!)が生徒を引き連れて走り、服部先生(洋三叔父さん)は野球部の指導、浅井雪乃と宮沢保は一緒に登校し…1話のオープニングでここまで描かれてるんだ。田島理司さんが演じた池野国広は前から2番目。出席番号も2番目に呼ばれる。坊主頭。
先生たちは字幕テロップで名前が出て紹介されるけど、生徒たちは出席番号順に呼ばれても後ろ姿だったり、あくまで先生が主役という感じ。坂本金八は長髪で生徒たちに”オカマ”と呼ばれ、職員室でも長髪をいじられる。国井先生(絹子叔母さん)ほっそいよ~。1話はカンカン(沢野)も川村さん(福井編集長)も出番なし。
田島さんは当時中2だったそうで、学年的にはパート2の年齢なんだね。大介を演じてた時は、高1の学年だったということかな。金八はとりあえず1話しか見てないけど、目立たないとされる吉村孝がメインで、それより目立たない生徒だった。大介は金八の頃よりだいぶがっちりしてる。
前々から「本日も晴天なり」のキャストの中に川上麻衣子さんの名前があったけど、同学年ということか。弘美役か道子役かと何となく思ってるけど、もう1チェンジくらいあるのかな。