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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(135)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)が日記を書いていると祐介(赤塚真人)が頼みごとにやって来る。ポスター撮影に使った正道(鹿賀丈史)デザインの椅子を、モデルの女性が気に入ったので譲ってほしいという。正道は体形の合わない人に売る椅子ではない、ファッションとしての家具ではないとこだわり続け、元子は頑固さにあきれる。一方、順平(斎藤建夫)は、吉宗の家作を潰して機械を入れ、手染めと二本立てで仕事をしていきたいと言い出す。

木の枝に赤トンボが止まっている。

 

大原家ダイニング

日記を書く元子。「2学期の中間テストが近づいたせいか春から続いていた大介のビートルズ熱もこのところ、だいぶん静かである。しかし、例の武道館では警備の警官が2,000人も動員されたというからビートルズ狂は、あながちうちの大介ではないらしい。それにしても、近頃の大介は、だいぶん大人っぽい口をきくようになってきた。けれど、たかが高校生。私だって、まだまだ負けてたまるかという気概だが…」

以前から何度か主に大介のことを文章に綴る描写が出てきてるけど、これは表に出すものじゃなくて日記だよね。婦人雑誌でエッセイを連載してるとかじゃないよね。

 

⚟藤井「ごめんください。藤井です」

 

元子「あっ、どうぞ、いらっしゃい。上がってくださいな」

 

⚟藤井「お邪魔します」

 

元子「はい」ノートを片づける。

 

藤井「いやぁ、相変わらず忙しそうですね」

元子「いいえ。どうぞどうぞ」

藤井「失礼します」

元子「吉宗の方、近頃どうかしら? 順平、真面目にやってるかしら?」

藤井「ええ、店のこと、いろいろ考えてるようですよ」

元子「私もね、ちょくちょく様子を見に行かなきゃいけないとは思ってるんですけどね」

 

藤井「へえ~、近頃ではこの机で仕事をなさらないんですか?」

元子「中学生の?」

藤井「ええ」

元子「実験の第1段階が終わって、今、試作デザインに入ってるの。まあ、そのうち、その試作品を持ってきて、この机で45分ずつ書いてみろなんて言うに決まってますけどね」

藤井「けど、お義兄(にい)さんの家具設計はそういう点に信用があるんでしょうねえ」

 

元子「あっ、今日は何か?」

藤井「ええ、実は、そのことなんです」

元子「そのことって?」

藤井「ええ。これなんですけどね」

 

ポスターを広げる。椅子に座った青いドレスの女性。この女性の名前はキャストクレジットに出てこない。

 

元子「これが、何か?」

藤井「実は、この椅子、お義兄さんの作品なんですよ」

元子「まあ」

藤井「ええ。写真の上がりもいいし、製品の質感もよく出てるとスポンサーがご機嫌でしてね」

元子「ええ」

藤井「それで気をよくしたせいもあるんでしょうが、実はこのモデルさんがこの椅子がどうしても欲しいって言ってきてるんですけど、お義兄さん、にべもなくこの椅子を引き揚げてしまって。なんとかなりませんでしょうか?」

元子「なんとかならないかって…」

藤井「ええ、つまりお義姉(ねえ)さんのからのお口添えで、この椅子をモデルさんになんとかプレゼントしてあげたいんですよ」

元子「ああ…」

藤井「無論、ただと言ってるんじゃありません。うちが買い取らせてもらいますから。だから、この際、どうか…」頭を下げる。

 

夜、ダイニング

正道「要するに僕はね、ファッションとしての家具は作らないし売りたくもないって考えてるからだよ」

元子「ファッション?」

正道「いくら欲しがっても、あのモデルさんが持って帰っても、彼女には何の役にも立たんからさ」

元子「だったらどうして撮影用にしてもあの椅子を祐介さんに貸したんですか」

正道「何でもな、そのスカートのひだが一番美しく出るような写真撮りたいからって相談されたんだよ」

元子「それで?」

正道「それだったら、椅子に腰掛けさせてみたらどうかって言ったらな、椅子の選定まで任されてね。それでスカートのひだが一番きれいに出るような椅子を選んで貸したんだよ。だから、あの椅子は、ふだん座るにしては彼女の体型には全然合わないんだ。そんなものを気をよくしたついでに欲しいなんて言われたって冗談じゃないっていう以外の何物でもないんだよ」

 

元子「ん…何だかよく分からないけど、あなたって結構頑固なんですね」

正道「そんなことあるもんか」

元子「けど、祐介さんの立場も少しは考えてやれないんですか」

正道「祐介君の立場?」

元子「ええ。あの人(しと)が私のところへ来るっていうのは、よっぽどのことだと思うんですよ」

正道「そんなこと言ったってだな」

元子「でもね、私はやっぱりお得意様相手のうちに育ったせいかも分からないけど相手の気をそらせないってことが商いにつながることだと思うのよ。あなただって祐介さんには仕事のことでいろいろ力になってもらってるんだし、そのモデルさんがそんなにその椅子欲しいって言ってるんだったら、ね? 椅子の一つで祐介さんの仕事がうまくいくなら」

 

元子のセリフの途中で「しかし…」と言いかける正道さん( ´艸`) 字幕には出ない。

 

正道「しかしだな、あの椅子の場合は頭が痛いって言ってる人に胃の薬を売るようなもんなんだよ」

元子「そりゃそうかもしれませんけど少しは融通利かせることできないんですか」

正道「ああ、できない」

元子「河内山そっくり」

正道「僕はね、お義父(とう)さん大好きだったしな」

元子「全然違うタイプだと思ってたのに何だかだまされたようなもんだわ」

正道「何言ってるんだ。お義父さんだってな、納得できない染めの場合はいくら相手がお得意さんだって品物を納めたりは絶対しなかっただろ」

元子「それは…」

 

正道「君だってそうだろ。嫌なものは嫌、きっぱりたんかを切ったから危うく女性時代クビになりかけたんじゃないか」

元子「ええ。でも、あれは…」

正道「同じだよ。魂の自由は売り渡しちゃいけない。これはね、単にモンテーニュが言った言葉でも正大君が言い残した言葉でもないよ。我々の生き方、暮らしの中にちゃんと取っておかなきゃいけないことじゃないのかい?」

元子「あなた…」

正道「何でも人がいいっていうものはいい。最近はな、どうもそういう風潮が多すぎるよ。僕は気に入らんな。はあ~」

元子「あなた?」

 

正道「お茶だよ」

元子「あっ、私がやります」

正道「いいからほら、まだ仕事終わってないんだろう」

元子「でも大したことないですから」

正道「我が家では手が空いている者がやる。これが大原則なんだからな、気にしないで早く片づけてしまいなさい」←さすが! 元子の湯飲みにもお茶を注いでくれる。

 

女性時代編集部

福井「いいじゃないの。頑固な男って私は魅力的だと思うけど」

元子「そうですか?」

福井「すいません、ちょっとそのファイル取ってちょうだい」

元子「はい」

福井「ありがとう」

 

近頃の正道の頑固さは仕事に対する姿勢の中にも発揮されておりました。

 

山田木工所

正道「僕はね、絶対に賛成できないですよ。何で小学生の机をこんなゴタゴタと飾り立てなきゃいかんのですか」

これはかなりシンプルなタイプだけど、もっと色の濃い学習机。

 

大川「ですから、それはつまり、我々はお客様の要求を先取りしてですね」

正道「客とは一体、誰を指してるんですか? 確かに金を払うのは親かも分かりません。しかし、この机の本来の客は小学1年生ですよ」

大川「だから、だからですよ。鉛筆削り、時計、電気スタンド、これらの備品をバラバラに買うよりも、こうして一つにセットした方がはるかに単価も安くなるし、それにあっちこっち散らしておくよりも、より机周りが整頓されるという美的利点もあるわけですからね」

 

いろんな機能がついてるのは便利だけど、何かしらすぐ壊れそうだしなあ。

 

正道「そんなのまやかしですよ」

大川「まやか…。あんた、ちょっとそりゃ言い過ぎじゃないか」

山田「ちょっと大原さん…」

正道「いえ、言葉が過ぎたら謝りますよ。しかしね、机は机です。それをね、こんなものゴタゴタとセットして…。小学生は鉛筆は自分で削りゃいいんです」

大川「しかしね、消費者は常に新しいものを待ってるんですよ。今や消費は美徳の時代だ。ケチケチする時代は終わったんです」

正道「あの、あなたね、親からものを粗末にするなって教わってこなかったんですか」

大川「時代が違うでしょう。あなたみたいなこと言ってたらね、日本の経済は停滞するばっかりですよ」

 

それが今や…。

 

山田「まあ、とにかくですよ…」

正道「山田さん! あなたもね、納得するものを作ったらどうですか」

大川「しかし、山田さんも商売だ。あなたが口出しすべきことじゃないでしょう。選ぶのは山田さんですよ。長年のつきあいですから、私も山田さんとこへ話を持ってきたんですけども山田さんが作りたくないっておっしゃるんでしたら、うちはほかへ発注するだけですからね、まあ、どちらでもいいんですよ」

山田「ちょっと大原さん、すまないんだけど…」

正道「あっ、そう…」

 

別に正道さんは山田木工所の社員ではなく、デザイナーとして自分のデザインしたものを山田木工所で作ってもらってるという感じなんだろうか。

 

大川…住吉道博さん。検索すると住吉正博が本名で、道博は別名と出てきた。昭和32年に大連から引き揚げてきて、高校では萩本欽一さんと同級生。

peachredrum.hateblo.jp

↑このドラマにも出てたらしい。あとは時代劇が多め。

 

夜、桂木家茶の間

元子「機械を入れる?」

順平「ああ。それで、彦さんと善さんにも意見を言ってほしいんだ」

善吉「ちょっ…ちょっと待っとくんなさいよ。そのいきなり機械を入れるって言われても…」

彦造「いいから、黙って話を聞きねえな」

善吉「分かったよ。けど…手染めを捨てるってことだけは、あっしは反対ですぜ」

順平「もちろんさ。俺は機械と手染めの二本立てでいこうと思うんだ。それでね、母さん、藤井の義兄さんとも相談したんだけど、裏の家作だけど、あれ潰して工場にしたいんだがどうだろう」

トシ江「裏の?」

 

裏の家作…元はキンさんの家→元子と正道の新婚時代を過ごした家→藤井と巳代子の家…で今は空き家かな?

 

元子「いいから全部話してみなさいよ」

順平「うん。おやじが死んでから彦さんと善さんのおかげで吉宗の手染めの仕事はなくなるどころか、最近わざわざ手染めのものが欲しいという新しい客も増えてるくらいでさすが吉宗ののれんだと俺も感謝している。けど、数をこなすとなると、やはり機械じゃなくちゃ間に合わないんだ。だから、決まりの柄は機械でやって特注や一品物は従来どおりの型から起こしての手染めでいく。で、その責任者には善さんにやってもらえないだろうか」

善吉「じょ…冗談じゃ…。あっしは、そんな柄じゃございません」

元子「じゃ、彦さん、どういうことになるの?」

彦造「いやぁ、あっしなんざ、お嬢…」

順平「彦さんは死ぬまで俺の師匠だ。彦さんには長生きしてもらって吉宗の手染めの仕事に目を光らせてもらわなきゃ。それこそ、おやじに夢ん中ででもぶん殴られちまうからな」

彦造「若旦那…」←グレーヘアがすっかり黄色っぽい白髪に。

 

トシ江「私にもひと言、言わしてくれないかね、元子」

元子「何でも言ってちょうだい」

トシ江「家作を潰すのも結構。順平が継いだ所帯だもの、私は別に何にも言うことはないけどね、けど機械は、はなっから大々的に仕入れない方がいいんじゃないのかね」

順平「けど、やるならやるではっきりと打って出なきゃ」

トシ江「だったら、正道さんとももう一度よ~く相談してほしいのよ。今は何でも安直なものばっかりがはやって、世の中、便利になってきたけどね、けど、今に必ず手間かけた息の長~い手仕事が見直される時代が来るんじゃないかしら。まあ、機械にしたって所詮、大きなところには、かないっこないもの。ねっ、そこんとこよ~く考えてほしいのよ」

順平「うん」

 

大原家ダイニング

お茶漬けを食べている正道。「あれほど言ったのに順平君もしょうがないな」

元子「でも、あくまでも手染めは捨てずに機械の方と二本立てでやるって言ってたわよ」

正道「それをね、今はじっと辛抱する時期なんだ。世の中が、こう急に変わってる時期は、その流れの中で一度立ち止まってみる必要があるんだよ」

元子「でも流れが速ければ押し流されてしまうじゃありませんか」

正道「吉宗の土台はね、そんなに薄っぺらじゃないよ。それを藤井のやつは全面的に機械にしろだなんて、最近のあいつは、どうも先取りのしすぎだ」←久々の”藤井”呼び。

 

元子「ねえ、祐介さんと何かあったんですか?」

正道「何もないけどちょっとウロチョロしすぎる」

元子「しかたがないじゃありませんか。それはそういう仕事なんですから。近頃のあなた、ちょっと厳しすぎるわよ。あの椅子にしたってプレゼントしてあげればいいのに意地悪するんだもの」

正道「何が意地悪なもんか。ああいうのがはしゃぎ回るから山田さんだってあのざまなんだよ」

元子「山田さんって?」

正道「家具工場の山田さんさ。そりゃね、食っていかなきゃいかんのは分かるけれども、ああいう職人かたぎの人までがだよ、変な企画に手を出さざるをえなくなるような世の中だっておかしいし、もっとね、職人としてちゃんと意見を言ってほしかったよ、僕は」

 

元子「でもそうして世の中、全てあなたの思うようにならないんですよ」

正道「どうしてそこで君は彼らの肩持つんだ」

元子「そんなことしてませんよ。人は人、うちはうちの考え方をしっかり持ってればそれでいいじゃありませんか。あんまり我を通すとね、あなたのお仕事にだって差し障りがでてくるんじゃないですか」

正道「あ~、余計なお世話だ」

元子「本当に強情なんだから」

正道「君こそよっぽど頑固じゃないか」

元子「しかたないでしょう。それが子供の時から私のあだ名なんですから」

正道「えっ」

元子、ちょっと吹き出す!?

正道「俺たちもそろそろ年かな」

元子「いい勝負みたい」

正道「まあ、夫婦は似てくるっていうしな」

元子「では、お互いにその信念でやってまいりましょう」

正道「ん、お代わり」

 

女性時代編集部

デスクで原稿を書いている元子。

 

福井「冬木君」

冬木「あっ、はい」

福井「これはさ、これをこっちに入れてほしいって言ったじゃない。これ、違うわよ」

冬木「あっ、そうですか、あれ…」

野村「どうやるんですか?」

福井「いや、この方が分かりいいの」

冬木「じゃあ、この部分どうします?」

 

野村「あっ、大原さん、4時ですよ」

元子「わっ! 取材だったんだわ」

福井「ああ、原稿の方は、まだ時間があるから大丈夫よ。取材を先にやっちゃってちょうだい」

元子「はい、それじゃあ行ってきます」

福井「頑張ってね」

元子「はい」

福井「ご苦労さま」

 

再び、冬木、野村と話し始める福井編集長。元子は女性時代編集部を出るとさっそうと歩いていく。冬木、野村は今日も役名じゃなく”編集員”だった。

 

つづく

 

来週も

 このつづきを

  どうぞ……

 

頑固になった正道さん。今日は元子がなだめ役。

 

明日から予定では1週間BS環境のないところへ出かける予定で見られないのが辛い…。録画はしてあるけど、毎日15分ずつ見るのが楽しいのに1週間分まとめて見ることになりそう。来週のあらすじを読むと、いよいよあの人が出てくるのにぃ~。