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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(95)「しもたっ!」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)に弟子入りを断られた二ノ宮留夫(マギー)から、数日後に手紙が届く。小説家の学校に通いだしたというのだが…。また、手を折ってしまった観音像とそっくりな像を取り寄せたが、町子はごまかさずに一真石田太郎)には正直に告げ謝る。そのことを聞いた一真は…。夜、町子は一緒に呑んでいた男たちの「本音」を楽しそうに聞いている。翌日、神田みすず(友近)の新しいボーイフレンドの話を聞いてあきれる町子。

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昨日の振り返り

健次郎「あんた、もう、ええ年や。子供さんもいてはる男やろ?」

二ノ宮「結婚して夢持ったらあかんてことですか?」

町子「それは違います! そしたら夢だけで生きていけますか? 夢持ってるだけで、すばらしい小説て書けるんですか? 小説というのはね、そんなに甘いもんやないんですよ!」

振り返りここまで。

 

茶の間

町子「はい、お疲れさまでした」ビールを注ぐ。

健次郎「ありがとう」

町子「ねえ、健次郎さん」

健次郎「うん?」

 

町子「諦めてくれるかな?」

健次郎「さあな。まあどっちにしても、あの状態ではもう奥さんフルタイムの仕事、無理やな」

町子「子供さんもいてて、ええ年して夢だけ見てるてねえ」

健次郎「ええ年して子供やな」

町子「そう、子供なんや」

 

翌日から二ノ宮は姿を見せなくなりました。

 

徳永医院には「本日休診」の札がかかっていた。

 

内科・小児科

徳永医院

診療時間

午前9:00~午後12:00

午後3:00~午後7:00

日・祝 休診

(土曜午後休診)

 

仕事部屋

2つ並んだ千手観音

町子「微妙に違うのよね~。けど、しゃあないな…。これ、お返しするよりほかないもんね。うん…」

腕の折れた千手観音を机の下に置き、もう一つはそのまま机の上に置いたまま、仕事部屋を出た。

 

事情を知らない健次郎と晴子は観音様の腕が折れたのは自分たちのせいだと思い込んでいました。

 

健次郎と晴子がそれぞれ手に木工用ボンドや接着剤を手に取り仕事部屋へ。

健次郎「うわっ! 折れてない。これ、何でや? (すぐそばに晴子が来ていて)何や…!」

晴子「ひっついてる!」

健次郎「あっ!」お互い、手に持った接着剤を見る。

 

茶の間

朝食の準備をする町子と晴子。健次郎は新聞を読んでいる。

町子「はい、お願いします」

晴子「はい」

 

健次郎「お前、夢でも見てたん違うかい?」

晴子「お兄ちゃんこそ」

健次郎「僕は間違いなく折ったんや」

晴子「ほな、何で元どおりになってんのよ?」

健次郎「謎や…」

 

町子「何やの? さっきからきょうだいでこそこそと」

健次郎「え? 何でもないで」

町子「ねえ、健次郎さん、あの、おじゅっさんにお借りしてました観音さんのことなんですけども…」

健次郎「はい」

 

町子「私、今日にでもお返ししてきます」

健次郎「ああ、ああ…はい」

 

隆「あかん! あかん! ほんまのこと言わんと僕、気持ち悪い! おばちゃん、僕、観音様、壊してしもてん。ごめんなさい!」手をついて謝る。

町子「え…」

 

仕事部屋

町子「申し訳ございませんでした」

純子が町子の脇に控え、健次郎、晴子、隆に頭を下げた。

町子「みんなが倒してしまう前から折れてたんです」

健次郎「最初っから?」

町子「はい」

 

晴子「ほな、私ら…」

町子「ごめんなさい」

健次郎「ほんで同じもんを骨とう屋さんから取り寄せた?」

町子「はい」

 

健次郎「知ってた?」

純子「あ…はい」

町子「いや、あの、純子さんはね『正直に自首をするように』て勧めてくれはったんですよ。けど、あるやないですか。こう、言おうと思たら何かこうスッとタイミングが崩れてね。言おうと思うんですけども、シュッとこう間が外れるっちゅうかあるじゃないですか。こう、こうやって、うわっていう、こう…。申し訳ございませんでした」

 

晴子「けど、誰がやったにせよ、この家で壊してしもたことには変わりあれへんねやから、おじゅっさんに正直に言うて謝らなあかんのと違う?」

町子「はい。私も同じものをと、こうやって用意したんですけども、それで済む話ではありませんし…。あの…何ちゅうたかて、これ、大切な観音さんですからね…」

 

そして、その日の午後

 

町子「どうぞ」お茶を出す。

健次郎「わざわざすんません」

一真「いや、ちょうどお参りの帰りやよって。うん」

町子「あの~、おじゅっさん、これ…」

 

一真「おう! どないやった? 役に立ったか?」

町子「あの…申し訳ありませんでした」包んでいたオレンジの布から千手観音を見せる。

折れた腕を見ている一真

町子「私がうっかりと不注意で折ってしまったんです。ごめんなさい」

健次郎「ほんまに申し訳ない」

 

一真「やっぱりあかんかったか」

健次郎「え?」

町子「はあ?」

一真「いっぺんはひっついたんやけどな、荷物入れる時に折れてしもてな」

 

町子「ほな、最初から?」

一真「うん」

健次郎「けど、よう、そんな高価なもん壊して平気でいられましたな」

一真「いや、実はな、帰りの飛行機で友達に聞いたら、これ買うた店、偽物つかますので有名なんやて」

町子「はあ?」

 

一真「だまされてしもた…。あの骨とう屋! あ~あ、高い買い物してしもた。は~。あんたが褒めるさかいに、なかなか口に出さんかったんや」

膝を崩す健次郎。

町子「あ~あ」

 

仕事部屋

残った腕の折れていない千手観音。

町子「この数日間、返してほしい…」

純子「でも、よかったじゃないですか。この観音様だって…あっ、一真さんおっしゃってましたけど、ご縁があってこちらにいらしたわけですから何かありましたら助けてくださいますって」

町子「ご縁ねえ…」

 

純子「でも結局、最初に言った隆君が一番勇気があったってことですよね」

町子「私は恥ずかしいです」

純子「ああ~! あの二ノ宮さんも諦める勇気を持ってくれればいいんですけど…」

町子「どうぞよろしくお願いいたします」

町子、純子も共に千手観音に手を合わせる。

 

その数日後、弟子志願の男、二ノ宮から手紙が届きました。

 

茶の間

二ノ宮からの手紙を読む町子。二ノ宮、字がきれい。

町子「『今週から小説教室に入ることにしました。夜間のクラスなので仕事をしながら、きちんとそこで基礎から勉強しようと思います』やて」

純子「まだ続けるつもりですか?」

町子「『家内には仕事を辞めさせました。今後は妻に負担をかけません。カモカ先生のおっしゃることも心にしみました。だからちゃんと社会にも出て、しっかりと人間観察もしようと思っています。ちなみに通っている小説教室は池内幸三…池内幸三先生の主宰です』やて」

純子「池内先生!?」

町子「はあ~。『池内先生とは小生と作風が合いそうです』。まあ、一生懸命頑張ってくださいや」

 

電話が鳴る。

純子「あっ。あっ、もしもし、徳永でございます。先生! はい、いらっしゃいます。ちょっとお待ちくださいませ。池内先生!」

町子「うそ! ちょっと…」

純子「はい」

 

町子「もしもし、先生? いや~、ご無沙汰いたしております。ええ。なんとか頑張ってます、はい。あ…二ノ宮ですか? ええ。ちょ…ちょっと待ってください。名前、見せてもらえます?」

純子「あっ、はい。はい」

町子「はい、二ノ宮留夫。ええ、二ノ宮留夫さんですよ。ええ。え? ちょ…ちょっと待ってください。その人、私の弟子じゃないですよ。弟子じゃないです。はい。いえいえ。推薦て…。いえいえ、私、ほんまに知らないんですから。ええ。いや、それ、うそですて、うそ。違いますから、うそですから。え? 事細かに指示なんかしてませんよ、私!」

 

でも何だかんだこうしてやめないで続けられる人というのは成功するかもしれないな。仕事してても才能あるのにもったいないなと思う人が、家庭の事情であったりさまざまな理由で辞めてしまうことってあるもんね。

 

たこ芳

健次郎の笑い声

健次郎「池内先生んとこ行きよったんかいな」

町子「笑いすぎだって。あのね、教室は仕事を持ってても通えるからでしょ? ねえ」

健次郎「むやみに粘り強い男やな」

純子「もう確かに」

健次郎「ねえ」

 

俊平「いや~。お~、おそろいで。熱かんで。で、関東煮き、適当で」

りん「はい、はい。はい、どうぞ。お願いします(箸を手渡す)。あっ、そうや、先生、こないだのお友達ね」

町子「あっ、みすずですか?」

りん「ええ。あの『うちのお店のこと、書いてもよろしいでしょうか』て電話くれはった」

 

健次郎「へえ~。みすずちゃん気に入ってくれたんや」

町子「その、あの、ご迷惑やなかったら…」

りん「いや、それはうれしいことやわ。お連れさんもえらい気に入ったみたいで」

町子「いや、あの、それはね…ほれ…。けどまあ、あの、また来ると思いますので、その時、よろしくお願いいたします」

 

俊平「あ~、その人、結婚式の時にきれいな着物着て司会してはった、ちょっとええ感じのお友達でっしゃろ? うんうん、うんうん。『様子のええジェントルマンを連れてきてはった』いうて、ごえんさん、言うてはりましたで」

町子「おしゃべりやわあ…あの人」

貞男「まあ、近頃ではしかるべき男を愛人に持って悠々としてる女性も多いからなあ」

俊平「違うがな。『女の方がしかるべき男の愛人をしてる』言うべきなんちゃうの」

 

町子「いや…みすず、そんなんやないんですよ」

貞男「まあ、何にせよよろしな。大人のおつきあい。情があってなあ、嫁はんとは大違いや」

健次郎「嫁はんとも大人のおつきあいしたらええがな」

俊平「これがなかなか嫁はんと愛人は違いまんねん」

 

純子「あっ、どんなふうに?」

貞男「え? う~ん。まっ、寝顔見られて平気なんが嫁はん。で、見られとないんが愛人」

りん「そんな経験おますのかいな」

俊平「いや、オナラをね、プッとできるのが嫁はんの前。グッと押し殺すのが愛人の前や。ハハハハハ!」

 

健次郎「体に悪いで」

俊平・貞男「え?」

健次郎「何でそんなに違うねん。嫁はんやろが愛人やろが一緒やがな」

町子「今、何て言うたん?」

健次郎「え?」

 

町子「今、何て言うたの? 健次郎さん」

健次郎「それは『一緒やろうと思う』いうことや」

町子「あっ、『思う』の話。紛らわしいねん。『思う』やね?」

健次郎「うん。そんなもん、オナラやろうがゲップやろうが愛人の前でして何が恥ずかしいねんな。一様にかわいい女の人やがな」

貞男「いや、それだけ愛人との仲はフレッシュやいうことですわ。ロマンチック?」

健次郎「体悪して何がロマンチックやねん。あっ、あのね、厚揚げ下さい」

 

町子「男の本音て…小説より面白いねえ」

純子「先生」

町子「え?」

 

バッカじゃねーの?とか思わずに、そこで面白がれるのが小説家の町子なんだろうな~。私は小説家にはなれないな。

 

翌日の午後、早速、たこ芳での話をエッセーに書いている町子に来客がありました。

 

仕事部屋

執筆する町子。「ゲゲゲの女房」の茂もしょっちゅう机に向かっているシーンがあったけど、やっぱりこういう場面は必要。「マー姉ちゃん」はマリ子メインのせいもあるけど、ちょっと少なめだったかもね。

 

応接間

みすず「借りてた資料、ありがとう」

町子「え? もういいの?」

みすず「仕事中、ごめんな」

町子「ううん。みすず、仕事は?」

 

みすず「今からたこ芳行って写真撮らしてもらうねん。小さいけど、記事の横に載んねん」

町子「女将さん、べっぴんさんに写してあげてね」

みすず「当たり前よ、看板娘なんやもん」

町子「ねえ、今日は、あの例の彼と一緒?」

 

みすず「ううん、今日は別口」

町子「別口?」

みすず「年下のカメラマンやねん」

町子「それ、新しいボーイフレンド?」

 

みすず「まあ、それはそれ、これはこれでね」

町子「は?」

みすず「年下君とは2回目のデートやねん。1回目のデートでビフテキ食べに行ってん。ほな、1人でグワ~ッ3人前食べて『おいしいわ』言うてモリモリ食べてるの見てかいらしいなとか思たん。で、そのあとな、バー行って、ナッツ食べながら『僕、ピーナツ以外の豆、食べたん初めてですわ』やて」

町子「ハハハハハハ…」

 

みすず「あ~あ、何人かボーイフレンド持ってバラエティー持たせながら楽しまんと仕事だけやったら気持ちがささくれ立ってしまうねん。まあ、町子は私と違って面倒くさがり屋やから無理や思うけどね」

町子「そやねえ…」

みすず「あ~、もうこんな時間や。お邪魔したわ。待ち合わせしてんねん。行ってくるわ。ごめんな」

町子「お仕事頑張ってね」

みすず「うん、うん、頑張る、頑張る」

町子「ほなまたね」

みすず「よろしくしてくるわ」

2人の笑い声

 

町子「ついていけんわ~。はあ…」

 

ミニ予告

和代と話していてフラダンスの手ぶり?をする町子。

 

田辺聖子さんの小説を1冊くらい読んでみようと買ったものの、読んだら、まさしく今日のみすずみたいな女性が主人公で、ふだん少女漫画ばっかり読んでいる私には刺激が強く、途中で止まったままになってました。文章自体は読みやすいので完走しようかな。ほんと、こういう人のマメさってすごいよなあ。パワフルだし。