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ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(46)「おおきに」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

新たな作業員たちが徳永医院に詰めかける。先日喜八郎(小島慶四郎)が連れてきた作業員を健次郎(國村隼)が無料で診察したことが広まったのだ。一方町子(藤山直美)は、路上で雑誌を読まずに捨てている小学生の子どもを見かける。景品がもらえる抽選ハガキを目当てに雑誌を買いあさっていることを知ると、町子はすごい勢いでしかりつける。そして、先日出版社から届いた景品のことを思い出し、町子を複雑な気分にさせる。

路地を歩く町子。「こんにちは」

「こんにちは。どうも」

 

工藤酒店前

タエ「こんな無駄遣い!」

本をひもでまとめながら子供を叱りつけている。

 

町子「あっ、こんにちは」

タエ「あっ、お帰りなさい。お出かけでしたん?」

町子「ええ。ちょっと打ち合わせで」

タエ「ちょっと見たってください、うちのアホ息子」

町子「え?」

 

タエ「これ全部、同じ月の雑誌。『プレゼント当たるまで応募するんや』言うて」

 

月刊冒険少年 

特別企画・カラーページ 

★ウルトライダーの秘密 

同じ12月号が5冊。

 

タエ「何とかライダーのこの剣?」

町子「ああ…」

タエ「小遣いはたいてこんなぎょうさん買うてから。まあ…。『学校で何十冊も買うて当たった子がいてる』言うて。親も親やけどねえ。『二度とするな』て怒ったりましたたんやけど。分かってんのかどうか」

本の束を見つめる町子。

タエ「どないかしはりました?」

町子「いえ、何でも…」

 

タエ「あっ、そやそや、今度の日曜ね、守の誕生日会しますよって時間があったら来たってくださいね。あの清志君らにはね、この子の方から言うてると思いますんで」

町子「聞いてます。お招きありがとうございます」

タエ「いいえ、もう大したことでけしませんけどな。ほな。なっ」

 

そんな町子の知らないところで、また一つ事件が起きようとしていました。

 

月刊冒険少年

12月号

カラーページ

ウルトライダーの秘密

 

  連載

◆無情のジョニー

キックの鬼

 サワモトタダシ

 

■ウルトライダービーム剣プレゼント

  懸賞応募はがき付

さっきのは背表紙、こっちは表紙。ウルトライダーは顔の下半分が見えてるっぽく見えるけど、肌色のお面かもしれない。 

↑ちょっと違うけど、こんなイメージ。

 

路地

「絶対うそや!」

「うそつき! うそつき! うそつき!」

隆「うそちゃう!」

「ライダーと友達なんてうそに決まってる!」

隆「うそちゃうもん! 家に遊びに来たもん!」

「うそつき!」

 

そして一方、診療所では…

 

待合室は作業員風男性であふれている。そのなかに主婦っぽい人が混じってる。受付から見ているイシ、健次郎、鯛子、晴子。ここがミニ予告か。

 

「ここやとタダで診てもらえて薬もくれはるて聞いたんやけど」

晴子「そんなこと誰が言うたんですか?」

「誰て…公園にいてる、え~…あっ、鹿児島の男」

イシ「あっ!」

鯛子「昨日の!」

晴子「何?」

 

イシ「あ…お父さんが…」

晴子「え?」

イシ「お金もね…」

 

喜八郎が連れてきた男たちを健次郎が無料で診察したことが広まったのです。

 

健次郎「分かりました。順番に診ますから、ちょっとそこで座って待っててください」

晴子「ちょっと! 無料で診るなんて話広まったらどないすんのよ?」

健次郎「病人を追い返すわけにもいかんやろ。それに、あの顔色見てみ」←ミニ予告はここかあ?

 

待合室にはぐったりした様子の男たち。診察室に戻る健次郎たちと大きなため息をつくイシ。

 

徳永醫院前

町子の前を歩いていた少年2人。その内の一人が雑誌からハガキだけを取っていた。

 

東京都中央郵便局

   私書箱第四五三-一

講永社 冒険少年12月号

 ウルトライダー懸賞係

 

「今度は当たるかなあ」とハガキを持ち、雑誌を目の前のごみ箱に捨て立ち去ろうとした。

 

町子「ちょっと待って、あんたたち。何で読みもしてない本、こうやって捨てんの?」

「もう読んだもん。それ、3冊目」

町子「抽選ハガキが欲しいから?」

「ウルトライダーの剣、当てるねん」

町子「ウルト…。あんた、これ読まんとまっさらなままやないの。こんなんで捨ててしもて本、かわいそうやなと思わへんの?」

 

「僕のお金で買うたもん、どうしようが自由やんか」

「そやそや、おばちゃんには関係あれへん」

「♪『ほっちっち かもてなや お前の子でなし 孫でナシ』」

atelierkyoto.minibird.jp

「行こ行こ!」

町子「ちょっと待ちなさい! あんたもちょっとこっち戻ってらっしゃい! 『僕のお金』て、ほんなら何? 自分で一生懸命仕事して働いて稼いだお金なの? これ買うたの。仮にそやったとしたかて稼いだお金やから自分の好きなように何に使てもいいっちゅうことと違うでしょ!」

少年一人が逃げる。

「待って!」

 

町子「待ちなさい! 人の話、聞きなさい! この本はね、毎月毎月みんなに喜んでもらお思て、一生懸命マンガ描いてる人がいてるのよ。それを印刷する人、それを本にする人、それをわざわざ本屋さんまで運ぶ人。この一冊の中にはね、たくさんの人の努力が詰まってんの。あんた、そんなことも分からんと本、買うてたんかいな!?」

少年、泣き出す。

町子「自分の要るもんだけ破って何にも読まんと、ほとんどさらのままほかしてしもて、あんたそれで心が痛まへんの? 恥ずかしいと思ったことないのんかいな!?」

少年は泣き続け、町子がふと気づくと人だかりができていた。

 

町子「いや、ち…違うんですよ。いや、ち…違うんですよ、あの、これね、あの、いや、違うんですよ。も…もの教え…。いや、違うんですよ、私、これ。教えてますねん、こどもに。ええ。いや、全然、違うんです。いや、ち…違うんですて、私。そんなとんでもない。僕、泣いたらいかんよ。ねっ、男の子でしょ。泣いたらあかんよ、ねえ、僕。賢いから泣いたらいかんよ。ねっ」

 

清志「あっ、おばちゃんや」

 

町子「男の子でしょ、僕。ねえ、泣いたらいかんて。泣いたら…。泣きな!」

更に泣き声が大きくなる。今は「男の子だから」泣いたらいかんは駄目だろうね。

 

仕事部屋

純子「それは怒って当然です。買った本、読まないで捨てるやなんて」

町子「それ分かってて買い与える親もいてるんですって」

純子「そんな! 子供に言われたからってまとめ買いするなんてどんな親なんでしょ? 私そういうの許せません!」

町子「『冒険少年』てね、マンガだけやなくてSFのいい短編小説も載ってるんですよ。それやのにそれも見もせんとさらのまんま捨ててしまうて、私、ほんまにこれだけは我慢できへんかったんです」

純子「いや、私もその場にいたらどなってますから」

 

町子「『自分のお金で買うたもん、それ、どないしようが自由やろ』とまで言うんですよ」

純子「う~ん…。誰かが教えなきゃいけないのに。親が子供の感覚をおかしくしてるんです」

町子「親が子供の感覚?」

 

出版社から子供たちに送られたプレゼントのことが町子をいっそう複雑な気分にさせていました。

 

私の世代だと「ビックリマンチョコ」かなー。私は興味なかったけど、箱買いしている男子は見かけました。しかしながら私も付録目当てに雑誌を買ったこともあるからな。複数冊はないけど、ろくに読まなかった。本を一生懸命作ってる人がいるという言葉に「ゲゲゲの女房」や「マー姉ちゃん」を思い出しました。

peachredrum.hateblo.jp

マチ子にもらった「少年倶楽部」を大事に大事に読んでいた三吉君。

 

待合室

男がまた一人増える。

 

診察室

鯛子「減りませんよ。それどころか次々、来てます」

健次郎「え? 読みが甘かったかあ…」

鯛子「口コミでどんどん広がってますね。『タダで診療して薬くれる』って。ほかの患者さんも困ってはりますし…」

健次郎「うん…」

 

待合室

健次郎「え~っと…ここからこっち全部入って」

診察室には10人近くの男たち。

健次郎「ほな、皆さん、上着脱いで胸見せて」

「こいつらの前で? 別々に診てえな」

 

健次郎「1人ずつなんか診とったら時間かかるで」

「先生、かまへんで。ワシら、どうせ暇やし控え室には新聞もあるしな」

鯛子「さっさと脱ぐ!」

ゆっくり診てもらいたかったら、お金払うことだな。

 

どこからか帰ってきた喜八郎が、いつものように病院前のイスに座る。

「あ…。あっ! あんたやったんかい、先生のおやじさんて!」

喜八郎「ちゃんと診てもろたか?」

「あ~、おおきに、おおきに! おかげさんで助かりました! おおきに、おおきに! 今度な、公園に来たら必ず寄ってや! おおきに、おおきに!」

喜八郎「大事にな!」

「あ~、おおきに、おおきに!」

 

診察室

健次郎「あんたまだ若いのに何してんねんな?」

耕助「はあ?」

健次郎「何か大きな病気でもしたんか?」

耕助「そんなもんしてへんわ」

 

健次郎「ほな、働かな。仕事探したらなんぼでもあるやろ。もったいないことして」

耕助「うるさいなあ!」

健次郎「何があったんか知らんけど、人生、この先の方が長いんやで」

耕助「説教は勘弁してえな。無料の診療所やいうから来たんや。さっさと薬、出したってえな」

 

鯛子「ちょっとあんたね!」

健次郎「鯛ちゃん。ただの風邪や。薬、3日分、出しとくわ。それと酒は控えること。栄養も偏っとる。で、風邪が治ったら仕事、探し」

耕助「俺の人生、俺の自由にするわ。♪『ほっちっち かもてなや お前の子でなし 孫でナシ』」

鯛子「腹立つ~!」

 

待合室

イシ「はい、お薬」

「あ…」

イシ「はい、ここに住所と名前を書いて」

「え? 『借用書』て何や?」

イシ「診察料タダにするわけにはいかへんの。うちが立て替えてお貸しするの」

「そんなもん返せる当てなんかあれへんで」

イシ「できた時でいいから持ってきてくださいね。はい、そちらさんも」

 

立ち上がった耕助はイシの手から薬の袋を取る。「そんな金あったら酒、飲みますわ。アハハハハハハ…!」

イシ「若いのに命を粗末にしなさんな!」

イシのまっすぐな視線に堪えられなくなったのか、耕助は受付に置かれていたガラスの時計を壊した。

イシ「何するんです!? ちょっと!」

 

耕助は病院を出ていき、イシは壊れた時計を拾う。残っていた男たちも慌てて外へ出ていった。

喜八郎「えらいまた今日はようけ来よったなあ」

イシ「お父さん」

喜八郎「うん?」

イシ「ええ加減にしてください!」

喜八郎「何が?」

 

イシ「健次郎かわいそうでしょ、タダで診察やなんて」

喜八郎「何百人も診たわけやあるまい」

イシ「人数の問題やありません」

喜八郎「お金やったらワシが払うやないかいな!」

イシ「ここから持ってったお金で払っても意味ないでしょ!」

喜八郎「いやいや、あの…ワ…ワ…ワ…。ワシ…」

喜八郎さんにはあんまり響いてないのが悲しいなあ。

 

たこ芳

新しいちょうちんになっている。

町子「今回はいろいろとご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした」

りん「もうそのこと言わんといて。奥さんのせいと違いますやん。あっ、それより、先生のお父さんにあんなことしてもろてかえって悪かったわ」

健次郎「いやいやあれはもう、おやじの気持ちやから」

 

町子「優しいね、お父さんて」

健次郎「ええ? 今、うち、大変やがな。晴子がね、おやじと口きかへん」

町子「みんな診察してあげたんでしょ?」

健次郎「そら、医者やねんから病人を追い返すわけにはいかんやろ」

町子「鯛子さん言うてはったよ。『ちゃんとみんな働きなさいよ』て説教までしてはったって」

健次郎「『ほっちっち かもてなや』やて」

町子「『お前の子でなし 孫でナシ』。ハハハ!」

 

りん「ほっとかれへんタチなんやね、結局、先生もお父さんも」

健次郎「おやじと一緒にせんといてえな。私は医者としての責任がございます。あんたも今日はほっとかれへんかったんやろ?」

町子「え?」

健次郎「『えらい勢いでどなってた』て清志、言うとったで」

町子「清志君、あれ、見てたん?」

健次郎「うん」

 

町子「ああ…。私もね、黙ってられへんかったん」

健次郎「まあな、捨てられてんのが本やから余計やろな」

町子「ねえ」

健次郎「え?」

 

町子「うちの子供たちもね、ライダーの剣、もらわれへんかったら、いっぱい本買うて、それ、さらのまま全部捨ててたと思います?」

健次郎「それはないな」

町子「何で?」

健次郎「物大事にせえへんかったら僕、怒るがな」

町子「ああ…」

 

健次郎「買うた本は大事に読む。一枚のハガキでそのチャンスを大事に使う。当たらへんかったら我慢する」

町子「プレゼントを出版社の人にもろたこと、余計なことやったんかなあ…」

健次郎「いやいや、それはまた別の話や」

町子「登君も成績のことでからかわれることもなかったやろし…。私が来たことで子供たち変わらへんかったらええねんけどね」

 

健次郎「そら、変わることもあるで」

町子「うん?」

健次郎「人と人が暮らすいうのはそういうこっちゃがな。そやから面白いねや。うん?」

町子「ふ~ん」

健次郎「で、けったいなふうに変わったら、またその時、考えたらええねん」

りんもうなずく。

 

健次郎「なにもほれ、こうこう、こういう人間に育てないかんていう、そういう決まりはないねや。まっ、最低限の約束事いうのはあったとしてもな」

町子「うん」

 

変わることも変わらぬことも恐れない。家族に必要なのはそういう強さだと改めて知る町子でした。

 

ミニ予告

登と貞男が後ろに立ってて、手前の隆「僕な…行かれへんねん」

 

まあ、登君の実母だって作家だからね、どっちにしたって言われちゃうよ。ツイッターでもでも本何冊も買えば出版社がもうかるしみたいなのを見かけた。それはそうかもしれないけど、そういうことじゃないと町子は言ってるんじゃないのかな。

 

そういえば、岩本多代さんはこれまで「澪つくし」「あぐり」「マー姉ちゃん」とたまたま続けて再放送朝ドラに出演されてるけど、「あぐり」は夫役が出てこないので別にして、今回の小島慶四郎さんとは年離れすぎてない?と思ったけど、岩本さんが1940年生まれ、小島さんは1931年生まれだった。「澪つくし」の津川雅彦さんは同じ1940年生まれで、「マー姉ちゃん」の小泉博さんは1926年生まれで何気にこちらの方が年の差があった。ただそれだけ。