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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(84)「奄美想いて」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

風呂場で倒れた喜八郎は病院に運ばれるが息を引き取る。告別式を終えた夜、診療所の待合室で昭一(火野正平)が芸者を呼んで喜八郎の遺影の前で歌って踊る。健次郎(國村隼)がたしなめるが、町子(藤山直美)は、イシ(岩本多代)が楽しそうに歌っているのを見て、いっしょに歌い出し、やがて健次郎や晴子(田畑智子)も歌い出す。その次の日、かつて喜八郎に世話になった日給制の労働者の男たちが喜八郎の供養にやってくるが…。

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昨日の振り返り

廊下

由利子「お父ちゃん! お父ちゃん!」

 

茶の間

由利子「お父ちゃん!」

健次郎「何や?」

由利子「おじいちゃんがお風呂で!」

町子「え…」

イシ「え…」

すぐ立ち上がる健次郎。町子も「お母さん!」とイシの手を握り、廊下を歩いていった。

振り返りここまで

 

青空のカットから喜八郎の遺影。

 

脳溢血で倒れ、病院に運ばれた喜八郎は、翌朝、息を引き取りました。金婚式を祝った数日後のことでした。通夜、告別式は一真の寺、養安寺で行われ、大勢の人々が喜八郎の別れに訪れました。

 

夜、茶の間

香典の整理をする健次郎、晴子。

イシ「出版社の皆さんにもあれやこれやお手伝いしてもろて…」町子に頭を下げる。

町子「いえ、編集者の人たち言うてました。『お父さんみたいな男性が理想やな』て」

晴子「理想?」

健次郎「う~ん、まあな。あんたのエッセーに出てくるおやじは面倒見がようて、おおらかで気前がようて、面白うて」

町子「どっか違いますか?」

健次郎「う~ん…まあ、ええように書かれすぎやな」

 

晴子「それやったらお兄ちゃんもそやないの」

健次郎「え?」

晴子「包容力や正義感があって、その上、ちょっとインテリの赤ひげいうイメージ」

健次郎「どっか違いますか?」

3人の笑い声。イシは、そっと席を立って部屋を出た。

 

町子「お母さん、大丈夫かな?」

健次郎「うん…。式ではしっかりしとったけどな」

晴子「急やったもんね」

 

健次郎「兄貴は?」

町子「お寺で精進落とししたあと…あ、知らん」

 

茶の間に戻って来たイシ。「なあ」

健次郎「うん? 何?」

イシ「写真知らん? お父さんの」

 

仏間に置かれいていた喜八郎の写真がなくなっていた。

晴子「私、帰ってきて、ちゃんとここに写真置いたよ」

町子「ほんまにあらへんわ!」

 

昭一・芸者たち「♪『私があなたに ほれたのは』」

 

昭一が喜八郎の遺影を診察室に持ち出して、芸者たちと歌を聞かせていた。

 

♪ちょうど 十九の春でした

 

町子「お兄さん!」

健次郎「何をしてんねん!」

昭一「あっ、ちょ…ちょっと待って! ちょうどええとこ来た。みんなで歌おう、おやじの追悼や!」

晴子「お兄ちゃん、この人ら何?」

昭一「あのな、おやじはいつでもにぎやかなこと好きやったやろ。葬式終わって急にしんみりしてみい。おやじも寂しがるやないか。みんなで歌を歌おう。なっ。最初っからお願いします!」

 

昭一・芸者たち「♪『私が』」

健次郎「兄貴!」

町子「健次郎さん」

健次郎「近所迷惑やし不謹慎や!」

町子「健次郎さん」

 

♪ちょうど 十九の春でした

 

イシが口ずさんでいるのを見て、健次郎は昭一を止めるのをやめた。

 

♪今さら離縁と 言うならば

もとの十九に しておくれ

 

イシは昭一の隣に座り、遺影を抱くようにして歌う。

 

♪もとの十九に するならば

庭の枯木を 見てごらん

枯木に花が 咲いたなら

十九にするのも やすけれど

 

町子、健次郎、晴子も口ずさむ。

 

「十九の春」は別に沖縄民謡と言うわけではなく、20世紀に作られた流行歌もしくは新民謡というくくりらしい。

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翌朝

晴子が玄関を出る。

昭一「カクニか。うまそうな名前付けられたなあ。お前、行くとこないねんてな。俺が連れてったろか、どっか」

晴子「おはよう。寒いのに何してんの?」

昭一「お~、早いな、えらい」

晴子「待合室、掃除してた」一升瓶を2本抱えている。

 

昭一「あ~、そうか、すまんな…。ゆうべ飲み過ぎたわ」

晴子「お葬式の晩にドンチャン騒ぎやて…近所の人、どない思てはるか」

昭一「島やってみい。三日三晩踊ってるで~!」

晴子「ここは島やないの」

 

昭一「ああ…。いや、思たより急やったな」

晴子「私もびっくりしたわ。夜勤で医局にいてたら急患でお父ちゃん来てるて言われて…。そやけど、おかげで私は間に合うた。ごめんな、お兄ちゃん…」

昭一「何を謝っとんのや。こんな生活してんねやもん、親の死に目になんてあえるかいな」

 

茶の間

みんなでうどんをすする。

純子「あの…」

町子「はい?」

純子「誰か表でウロウロしてるんです」

 

玄関前に男たちが数人。

昭一「ちょっと! ちょっとあんたら、何!?」

牛山「先生…」

健次郎「あんた…」

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回想

喜八郎「さあ、上がり上がり!」

晴子「お父ちゃん! こんな時間に何言うてんの!?」

喜八郎「こちらへこちらへ!」

回想ここまで

 

牛山「その…おやじさんのこと聞いてなあ。線香の一本でもと思て来たんやけど…。ワシらみたいなもんが失礼やないかて…」

「ほら、見てみ。ご迷惑やで」

健次郎「いや、違う、違う! 違うねん!」

「帰ろう!」

 

町子「どうぞ。どうぞお入りください。どうぞ」

牛山「よろしいか?」

町子「どうぞ」

牛山「すんません! おおきに!」

「ありがとうございます」

町子「ありがとうございます」

 

牛山たちが来た反対方向に立っていた耕助。「あの…」

健次郎「ああ」

耕助「あの…僕…」

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回想

健次郎「酒しか飲んでなかったやろ? 今の生活続けとったら、いつこうなってもおかしないぞ。そうなりたいか!?」

回想ここまで

 

町子「あの時の…」

耕助「家内です。結婚しました」

健次郎「ああ…!」

 

仏間

イシ「いや~、皆さん、おおきに…!」頭を深々と下げる。

牛山「ワシは、おやじさんにはいっつもいっつも世話になりっぱなしで…。あげくこの家で命まで救うてもろた」

耕助「いっつも公園に食べるもん持ってきてくれはって、よう酒も飲ましてもらいました」

イシ「もうちゃんと働いてんのやね?」

耕助「はい」

イシ「ほうか…」

 

耕助以外はどうだかな~? 牛山は倒れた時に鹿児島から奥さんが来てくれたはずだけどね。

 

牛山「ほな、線香あげさせてもらいます」

イシ「おおきに」

 

牛山「あんたの『島唄』、もう聴かれへんのやなあ! ほんま、いつも、ようしてくれた…。おっちゃん言うてた。『うちにも1人、風来坊がおってなあ、きっとどっかの空の下で誰ぞに親切にしてもろてるはずやからおあいこや』て!」

この話を聞いていた神妙な顔の昭一が昨日のミニ予告かな?

 

イシ「この人、そんなことを…」

喜八郎の遺影とそれを見つめる昭一。

 

健次郎「おじゅっさん来てるから、ちょっと来て。兄貴も」

イシ「ちょっとすいません」

町子「そしたら皆さん、どうぞ順にお線香あげてあげてください。お願いします」

 

茶の間

一真「ほな、四十九日は身内だけやな?」

イシ「そうしましょ」

健次郎「そうやね。うん」

一真「ほんでなあ、あの、ちょっとまだ先の話やけど、納骨もなあ…」

健次郎「ああ。いや、お墓は、おじゅっさんとこがええな」

イシ「う~ん…」

 

牛山「ほな、失礼させてもらいます」

耕助「どうも」

純子「あの、今、お茶いれますので」

牛山「いやいやいや、もう、そんな!」

耕助「おかまいなく、もう」

牛山「おおきに。ありがとうございました」

耕助「どうもありがとうございました」

昭一「えらいすいませんね」純子も見送りに出ていく。

 

一真「お参りか?」

健次郎「いや、おやじにな、えらい世話になりました言うて」

一真「ああ…」

 

玄関

健次郎「ほなまた。今日はどうもすんませんでした」

一真「いやいや、いやいやいや、お墓のことはまた。うん」

イシ「ええ…」

一真「はいはい…ほな。あ~、そやそや、そやそや!」

健次郎「何です?」

 

一真「すっかり忘れてた。実はな、金婚式の次の日やったかな、喜八郎さん、うちに来てな」

町子「お父さんが?」

一真「うん。あの犬の名前、何やったかいな、カクベエかいな?」

町子「いえ、あのカクニです」

 

一真「あっ、そうそうそう。そのカクニをやな、なんとか引き取ってもらえんかと。いや、ワシもな前に飼うてたんやけど、死なれてしもてな。その思いがあるさかい、なんとか断ろと思てたんやけど、根が嫌いやあれへんやろ。それに何や喜八郎さんに頼まれたからにはなあ。ところでカクニ、うちで飼うてもええかいな?」

健次郎「ほんまに?」

町子「子供ら喜びますわ。お寺やったら近いし、いつでも会えますしね!」

イシ「よろしいんですか?」

 

一真「いやいや、もうそら、もう…」

町子「あのどうぞよろしくお願いいたします」

一真「フフフ…そんな…」

 

茶の間

健次郎「カクニの行き先、決めてたとはな」

イシ「ひと言も言わんとね…」そーっと立ち上がる。

昭一「どこ行くの?」

イシ「う~ん…。ちょっと横になってきますわ」出ていく。

 

昭一「ご苦労さんやったな」

健次郎「うん…」

昭一「慌てたか?」

健次郎「うん?」

 

昭一「倒れた時、おやじ…。あっ、お前、医者やったな」

健次郎「いや…。他人は毎日診とっても、やっぱり身内となるとな…。何べんあっても慣れへんわ…。いつかは来る日や思とってもな…」

昭一、仰向けになり、ため息をつく。

 

仏間

喜八郎の遺影を見つめるイシ。

 

夜、茶の間

登「えっ、そしたらカクニ、お寺で飼うてくれはんの!?」

健次郎「ああ。おじゅっさんがええて」

隆「よかった!」

町子「『いつでも遊びにおいで』て。よかったねえ!」

清志「ほんま、よかったなあ!」

 

登「おじいちゃん、約束守ってくれた」

町子「え?」

晴子「約束て何?」

登「おじいちゃんが『絶対行き先見つけたるから』て」

町子「そう言わはったの?」

登、うなずく。

 

昭一「ハハハ! カクニの身の振り方まで…。どこまで面倒見ええのやろな」

町子「ハハハ。けど、お寺にカクニがいてたら、お父さんお墓の中でも寂しくないよね」

健次郎うなずく。

 

イシ「健次郎…」

健次郎「はい」

イシ「お父さんのお墓のことやけどな」

健次郎「うん」

 

イシ「あの…考えてたんやけど、お墓、奄美大島に建てたらあかんやろか?」

健次郎「え?」

晴子「お母ちゃん、そんな遠いとこに建てたら、お墓参りとか世話とか大変やんか。ねえ」

昭一「ほんまやで」

イシ「私がします」

 

町子「お母さん?」

イシ「私…島に帰ろうと思うの」

町子「島に?」

イシ「うん」

 

突然のイシの申し出に驚く町子たちでした。

 

ミニ予告

「うわ~!」

「ハハハハハハ!」

台所で魚のうろこを取っている健次郎と見ている町子と子供たち。

 

この間から奄美の話が出てきてたし、なんたって「奄美想いて」だもんね。喜八郎がホームレスの面倒を見ていたのは、昭一を思ってのことだったとは。

 

その昭一がやることは一見破天荒なのに、結果母を喜ばすことだったりして、健次郎としては複雑だろうな~。