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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(45)「おおきに」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

喜八郎(小島慶四郎)が、作業員らしき男を連れて、家に帰ってくる。そして酒を振る舞い、家に泊める。翌日、喜八郎に問いただすと、寝るところがなくて困っていたからだという。そんなとき、今度は町子(藤山直美)に珍しいお客がやってくる。町子の先輩作家である池内(板尾創路)が、子どもたちに人気のテレビドラマでヒーローを演じている俳優、河原崎(海部剛史)を連れてきたのだ。居合わせた隆(土井洋輝)は驚くが…。

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前回の振り返り

電話が鳴る。

町子「はい、もしもし、徳永でございます。あ~、おりんさん。はい。いいえ。ちょうちん? 新しいちょうちんですか? うちのお父さんが?」

純子が顔を出す。「気付かれた…」みたいな表情。

町子「いやいや、いや、何にも…ええ…。いや、知らないです、はい」

振り返り終わりでナチュラルに今日の回に突入。

 

町内にあるおでん屋・たこ芳のりんから電話を受けた町子でした。

 

たこ芳

カウンターに新しいちょうちんが置いてある。

りん「もうさっき持ってきてくれはってポ~ンと置いていきはったんですわ。もうそんなことしてもろて、うち、どないしたらええねやら、もう…」

町子「すいません、どうも」

 

健次郎がないしょにしていたたこ芳の事件のことを町子はこの時、初めて知ったのです。

 

徳永醫院の廊下

町子「何で隠してたん? 何で言うてくれへんかったの?」

健次郎「別に隠してたわけやない」

町子「健次郎さん!」

健次郎「まだちょっとカルテの整理せなあかん」

 

町子「何で私に教えてくれなかったん?」

健次郎「あんたのせいと違うやろ」

町子「私のせいやないの。お店が満員になったから」

健次郎「それぐらいのことで嫌がらせするやつが悪いねやろ」

そうだそうだ!

 

町子「雑誌のことでこんなことになってるて、私、全然、知らんかったんやもん」

無言で診察室に入っていく健次郎。町子は、肩を落とし、母屋へつながる廊下を歩いていく。

 

背後から健次郎が声をかけた。「喜んではったで…おりんさん」

立ち止まる町子。

健次郎「若い子がな『おばちゃんとこの関東煮き、おいしいおいしい』言うてくれたいうて。みゆき館も喜んどった」

振り向く町子。

健次郎「ええことも悪いことも両方あんねん。表があったら裏がある。それで人生トントンや」

町子「トントン…」

笑ってうなずく健次郎。

 

登「待て~!」

隆「ウルトライダー!」

清志「捕まるか!」

恐らく茶の間を出てきて、剣を持った3人がそのまま廊下に出て階段を上っていく。

町子「ええことと悪いことか…」

 

夜、茶の間

手づくりのウルトライダーのお面を見る健次郎。「『ライダー見参!』か。ハハッ! たこ芳のこと、もう気にしなや」

町子「はい」

健次郎「それよりもちょうちんや」

町子「え?」

健次郎「うん? おやじやがな。ほんま、おせっかいなことしてからに、もう…。何や…時々、ああいう気前のええ、ああいうことしよんねん」

 

喜八郎「帰ったよ!」

牛山「あ~、お邪魔します!」

喜八郎「入れ、入れ!」

牛山「はいはい、はいはい!」

 

玄関

晴子「お父ちゃん!」←昨日のミニ予告

喜八郎「あ? 何や、あれがな、あの息子とその嫁はん。ほいで、あれがな、娘!」

牛山「ハハハハ! こんばんは!」

喜八郎「さあ、上がり上がり!」

 

晴子「お父ちゃん! こんな時間に何言うてんの!?」

喜八郎「こちらへこちらへ!」

牛山「お邪魔します!」

 

そのまま茶の間へ

喜八郎「遠慮せんでもええで。さあ、あの焼酎飲むか? 焼酎!」

牛山「おお~、よかいね! お~!」

晴子「あっ、ちょっと!」

喜八郎「このにいちゃんな、鹿児島じゃが!」

牛山「枕崎やど」

 

喜八郎「さあさあ、さあさあ…。いや、あの息子な、鹿児島の医専出とるんじゃ!」

牛山「え? 『イセン』?」

喜八郎「いや、医者じゃが、医者」

牛山「お~、お医者さんか! そら、よか息子たいね~!」

喜八郎「さあさあさあ、飲め飲め! 飲め飲め飲め飲め!」

 

晴子「お兄ちゃん! 何とか言うてよ!」

健次郎、頭ポリポリ。

 

翌朝・徳永醫院前

清志・登・隆「行ってきま~す!」

町子「行ってらっしゃ~い!」

由利子「行ってきます!」

町子「行ってらっしゃ~い!」

 

茶の間

喜八郎「『寝るとこがない』言うて困ってたから」

晴子「どこから連れてきたん?」

喜八郎「焼き鳥屋で会うて、たこ芳に行った」

健次郎「あっ、そや。たこ芳にちょうちん買うて持ってったらしいな」

イシ「ちょうちん?」

 

喜八郎「いや、ご近所はんが困ってはったからな、ほっとけんじゃろ」

晴子「そやから言うて、お父ちゃんが買うことないやないの! そやからお父ちゃんにあんまりお金持たしたらあかんて言うてるやないの!」

健次郎「おい!」

晴子「うちには小さい子供もいてんねよ。何かあったらどないすんのよ? それに町子さんかて気の毒やんか」

町子「いえいえ、私は…」

 

純子「おはようございま~す!」

一同「おはようございます」

花束を持参した純子だったが、茶の間の雰囲気を察し、すぐ部屋を後にする。

 

喜八郎「ほな、ワシ…」

晴子「お父ちゃん、ちょっと! まだ、話…」

喜八郎「お便所」

晴子「ちょっと!」

 

純子「ああっ!」

 

町子「あっ! 言うの忘れてました。お客さんなんです」

純子「あ~、びっくりしました! もう!」

花束を持った牛山。「ねえちゃん、焼酎あるとかい?」

 

徳永醫院前

喜八郎は体操をしていた。「1,2,3,4,5,6,7,8!」

 

廊下ですれ違う健次郎と町子。

健次郎「あっ」

町子「はい」

健次郎「悪かったな…あの…お客」

町子「あ~、いいえ」くすくす笑い出す町子。

 

健次郎「えっ?」

町子「ううん。ちょっと思い出した」

健次郎「何を?」

町子「いや、昔、バアバアばあちゃんがね、岡山の友達とか遠縁の親戚が大阪に遊びに来るたんびに、うち、泊めるのよ」

健次郎「バアバアばあちゃんが?」

町子「うん。朝起きたら知らんおばあちゃん、家ん中、ウロウロ、ウロウロしてんの。お母ちゃんもおばあちゃんもえらい困ってたんよ」

健次郎「へえ」

 

町子「そやから私ね、どんなお客さんが来たとしても別に気にならへんの。さすが純子さん驚いてたけどね。ねえ、健次郎さん」

健次郎「うん?」

町子「お父さんのこと、あんまり怒らんといてあげてね」

 

そして、その日の午後、またもや珍しいお客がやって来ました。

 

玄関

町子「うわっ!」

池内「いや~、久しぶり!」

板尾さん…池内幸三の背後に見知らぬ青年も一緒にいた。

 

応接間

池内「突然悪かったね。近所まで来たもんやから」

町子「いや、お茶でもどうぞ。どうぞ。ねえ、私ね…いや~、この方、どっかでお会いしたような気するねやわ」

池内「うん。僕の書いたテレビドラマに出てもろた役者さんでね」

 

町子「俳優さん?」

原崎「河原崎健介です。初めまして」

町子「ああ!」

池内「分かった?」

変身ポーズをする河原崎

 

町子「ウルトライダーや!」

原崎「僕、子供の頃から池内先生にかわいがってもらってるんです」

池内「今や日本一の人気者やで」

原崎「いや…」

池内「その彼が『一目、花岡さんに会いたい』て。なっ?」

原崎「はい! あの、僕も姉も母も先生の小説、大好きなんです」

町子「ありがとうございます」

 

池内「いや~、ハイミスもん大人気やね。まさか篤田川賞からこっち、こんなにエンターテイメント立て続けやとは思わへんかった」

町子「私ね、大阪弁の恋愛小説、ず~っと昔から書きたかったんです。恋愛している女性の心の移り変わりて、まあ何よりドラマチックでしょ?」

 

健次郎「失礼します」

 

町子「あっ」

健次郎「いらっしゃい!」

池内「あ~、先生、ご無沙汰してます!」

町子「健次郎さん、健次郎さん、この方、ほれ! ねっ、ほれ! ねっ、これ!」

変身ポーズをしてみせる町子。「『エイッ!』て。ねっ」

健次郎「何やってんねや?」

町子「いや、この方や」

 

路地

登の後ろを男の子が2人歩いている。「0点、作家の子! 0点、0点!」

登「何やねん!?」

「漢字テスト0点!」

「作家の子やのに漢字0点!」

登「うるさい!」

男の子たちを追いかける登。

 

応接間

池内「開業医も大変やね。往診とかもあるし」

町子「けど、夜は大概、一緒に飲んでます」

 

純子「失礼します!」

町子「はい」

純子「先生、お電話です」

町子「はい。そしたらちょっとすいません」部屋を出ていく。

純子「あ…コーヒーいかがですか?」

池内「あ~、ありがとうございます」

 

純子「あっ、コラ!」

隆「ウルトライダー見参! あ!」

原崎の顔を見て驚く隆。河原崎は隆に笑顔を向ける。

隆「ウ…ウ…ル…」

池内「ほんまもんやで」

 

原崎「お名前は?」

隆「3年5組 徳永隆」

原崎「ウルトライダー好きやの?」

隆、うなずく。

原崎「そうか! あっ、じゃあ今度のショーに特別に隆君を招待するね」

隆「え?」

 

池内「あのな、ウルトライダーはな、おばちゃんのお友達やねんで」

隆「うそや…」

池内「ほんま!」

隆、目をパチクリ。

 

仕事部屋

電話で話している町子。おー、この部屋に電話を引いたのか!

町子「はい、はい、じゃあよろしくお願いいたします。すいません、どうも」

 

由利子「また、けんかしたん?」

由利子の声に反応する町子。

 

玄関

由利子「そんなことでいちいちけんかしてどないすんの?」

登「あいつらうるさいねんもん」

由利子「『作家の子と僕の0点は関係ない』て言うたら済むことやんか」

 

立ち聞きしてしまう町子。

由利子「腹立つねやったら勉強しい!」

登「え~!」

 

そのころ、診療所では…

 

待合室

ぐったりしている牛山を介抱している喜八郎。

イシ「やあ…この人、ゆうべの? ねっ、まさか、また今晩も?」

喜八郎「いや、あの具合が悪いんじゃ。それにな、『お金はないし保険証もないさかいに病院行かれへん』言うてんねん。ちょっと診てやってくれんか?」

イシ「保険証あれへんのですか?」

喜八郎「うん、ないねんて。頼むわ。なっ」

 

健次郎「どないしたん?」

喜八郎「あっ、健次郎、ちょっと診てやってくれんか? いや、金やったらワシ出すさかい」

牛山の表情を見る健次郎。「どないしはりました?」

牛山「いや…何かフラフラして…」

健次郎「とにかくこっち来てください」

 

喜八郎「さあさあ、立てるか? さあさあ、しっかりせい。よいしょ。あ~、ちょっと! 何してんねんな」

様子を見ていたイシも手伝う。

喜八郎「ほら、よいしょ!」

イシ「しっかり! 大丈夫ですか?」

 

診察室

喜八郎「どないや?」

健次郎「栄養失調と貧血。それと多分、肝機能障害やな」

牛山「栄養失調…」

健次郎「酒ばっかりで満足に食べてないやろ? 後でお薬3日分出しときますから、もう一回診せに来てくださいね。点滴」

鯛子「はい」

 

牛山「じゃど、あの…保険証が…」

健次郎「え…?」

喜八郎「あ…今、公園で寝泊まりしとるさかい、住所があらへんのじゃ。それで…」

健次郎「あ~…」

 

夜、茶の間

健次郎「漢字テストなあ…」

町子「からかわれたみたい、私のせいで。ねえ、どうしたらええの?」

健次郎「『どうしたら』て…どないできる?」

町子「うん?」

 

健次郎「仕事替えるか? 問題はそんなことで解決せんやろ」

町子「そやね」

健次郎「心配しなて。そんなことで曲がったり、しょげたりするようなやつ違うやろ?」

町子「うん…」

健次郎「けんかっ早いのは困ったもんやけどな」

 

町子「人生はトントンや…。ほんで毎日シーソー。今日はね、悪いことの方が重たかったんやね」

健次郎「明日もシーソー、あさってもシーソー。ギッコンバッタン、ギッコンバッタン! こっちかて明日は何が起こるか分からんけども何でも来いや! なっ」

町子、笑顔でうなずく。

健次郎「はい」お酒を注いでくれる。

町子「ありがとう」

 

しかし、2人には翌日からもまだ大きな揺れが待っているのでした。

 

ミニ予告

受付から待合室を見ているイシ、健次郎、町子、晴子。

 

毎日がシーソーで、今日は悪いことの方が重たかったか…。染みるような言葉があってええよねえ。