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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(67)「おかあちゃん」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

健次郎(國村隼)の末っ子、亜紀(畑未夢)がいたずらの楽しさを覚え徳永家では被害が続出。町子(藤山直美)の秘書の純子(いしだあゆみ)が亜紀を保育園に通わせることを勧めるが、そんなとき、町子は子どもたちの母である藤木澄子の命日を思い出す。町子はご近所さんも呼んで澄子の法事をしようと健次郎に提案し、方々に声をかける。晴子(田畑智子)は、「わざわざ思い出させるのは子どもたちがかわいそうだ」と大反対する。

台所

町子「はい、お願いします」

イシ「ありがとう」

町子が仏壇用のごはんを盛りつけて、イシに渡す。それを供えたイシが仏壇で鈴を鳴らし、手を合わせる。

 

茶の間

町子「給食当番のエプロン!? 隆君、何で昨日のうちにおばちゃんに言わへんの?」

隆「朝起きたら思い出してんもん」

健次郎「今朝は何や?」

町子「給食当番のエプロンのアイロンがけ。不思議なん、この子、いっつも学校行く15分前に思い出しやんねん」

 

健次郎「お前な、そこまで忘れとったんやから、いっそのこと学校行ってから思い出せ。ほんで、先生に怒られるぐらいの大物にならんとなあ」

町子「そうや。その方が大物になるか分からへんね」

隆「いや~(照)」

町子「何を笑てんのんよ~。健次郎さん、歯磨き粉ついてます、ここ」

 

イシ「アイロン、線さしときましたよってな」

町子「お母さん、えらいすいません。よいしょ」

いざアイロンがけを始めると熱くなってない!?

町子「え? 嫌やわ。このアイロン、古いからつぶれてしもたんやろか」

アイロンの線が黒電話につながっている。

 

町子「亜紀ちゃん」

亜紀「もしもし?」

町子「はい、もしもし亜紀ちゃんですか?」

亜紀「は~い」

町子「お元気ですか?」

亜紀「お元気で~す」

 

町子「お電話でお話すんの楽しいですか?」

亜紀「楽しいです」

町子「これ、もう! いたずらの面白さ覚えてしもたな」

 

登「亜紀やろ!?」

ランドセルをひっくり返すとおもちゃが出てくる。

町子「あっ、登君、被害者?」

登「教科書とノート、どこやった?」

亜紀「知らん!」亜紀が逃げ、登が追いかける。

町子「亜紀ちゃん! 亜紀ちゃん、危ない、ちょっと! 危ない、危ない、危ない! ちょっと、もう! ちょっと待ちなさい。ちょっとちょっと。もう、後から捜そ。なっ」

 

登「おばちゃん、ええで。今日は使えへんやつやから」

町子「え?」

登「時間割合わそうと思て、かばん開けたら出てきてん」

町子「今、時間割合わせよう思たの? 前の日の夜にちゃんと時間割合わせますて、おばちゃんと約束したやないの」

登「あ…しもた」

 

町子「登君、ちょっと待ちなさい、ちょっと!」

まだパジャマ姿の隆がボーッと茶の間に入ってくる。

町子「はよ着替えなさいって!」

隆、一瞥して台所へ。町子は大きなため息をつく。

 

診察室

レントゲンの台?に国語と算数の教科書が挟まれていた。

健次郎「ハハッ。亜紀か…。ハハハ!」

 

仕事部屋

純子「いたずらですかあ?」

町子「最近、怒ってもしょげたりせえへんのんですよ~。『コラ!』て怒ったらね、ニタ~ッて、うれしそうな顔するんですから」

純子「あっ、これどうしましょう?」

町子「あ…えっとね、そしたらこれとこれは、まだそのまま置いといてください。そっちの方、もうよろしいわ。処分してください」

純子「はい、分かりました」

町子「結構です、はい」

 

純子「かまってもらうのがうれしいのかもしれませんね。お兄ちゃんたちは大きくなって外でお友達と遊ぶ方が多いでしょ。お姉ちゃんは中学生だし」

町子「ああ…」

純子「保育園とか…ありますよね?」

町子「保育園?」

純子「同い年ぐらいのお友達と触れ合う機会があってもいいんじゃないかななんて。すいません、差し出がましいこと」

町子「いいえ。そうか、保育園ねえ…」

 

机の上にある写真を手に取り、見る。

町子「みんながちっちゃい時、もっと大変やったんやろねえ…」

純子「亡くなられた奥様、ご病気で…?」

町子「亜紀ちゃん、産まはって、すぐにね。私、藤木澄子さんの文章、大好きやった。凛として情熱的で肝が据わってどっしりとしてた。何回かお会いしたんですけどね。私もこんな小説家になりたいなて思たもん。あ、そや。そろそろご命日と違うやろか」

純子「ご命日…」

 

廊下

町子「あら、それ」

健次郎「え? あ~、いや、僕が隠したんちゃうで」教科書を持っていた。

町子「分かってますよ。それよりね…もうすぐですよね?」

健次郎「何が?」

 

町子「澄子さんのご命日」

健次郎「ああ…」

町子「毎年、どうしてはんの?」

健次郎「うん。まあ、三回忌の時には親戚も呼んだんやけどな、ほかは家族だけでその日におじゅっさんに来てもろてるんや。うん、今年は、そやな…」

 

町子「ねえ、健次郎さん」

健次郎「うん?」

町子「今年ちょうど日曜日なんですよ。で、午後からにしてお食事の用意しましょ。で、ご近所さんも声かけて来てもらって…。あっ、池内さんなんかも声かけたらどうかなと思うんですけどもね」

健次郎「うん、まあ、それはええねんけどな、みんな忙しいん違うか?」

 

町子「あれだけお願いしますね、健次郎さん」

健次郎「何?」

町子「ほれ。いや『何?』て、ほら、おじゅっさんの…ねっ、ほれ、あれ…ねっ、あの、そう、予約」

健次郎「『予約』て…」

 

診察室

健次郎「うん、心配ないわ。軽い風邪や」

タエ「よかった。こんなんでも大事なうちの跡取りですさかいな」

健次郎「『こんなんでも』はひどいな」

タエ「ハハハ!」

 

イスが回転して鯛子をまともに見た守。キラキラ~と効果音。

鯛子「頭、痛いの?」

守「ちょっと…」

鯛子「痛いの痛いの飛んでいけ~!」笑顔。

ポーっとする守。

 

健次郎「はい、これ、お薬出しといてあげて」

鯛子「はい」

 

タエ「ほら、あの先週、町内の子、交通事故で死んだでしょ? まあ、かわいそうで親御さん見てられへんかった…」

健次郎「確かにな、小さい子が亡くなるのはつらいなあ」

会話中も鯛子に見とれる守のアップ。

 

茶の間

健次郎「いただきます」

一同「いただきま~す」

 

鯛子「うん、おいしい! やっぱりたまには、あったかいもんいいですね」

純子「いつもお弁当ですもんね。でも、偉いわ~」

鯛子「私、包丁持つの好きなんです。今日もせっかく作ったのに玄関に忘れてきて」

一同の笑い声

 

健次郎「今度、晴子にもいっぺん言うたってくれよ。あいつな『魚さばけるか?』て聞いたら『うん。メス使うねやったらね』て言いよったからな」

鯛子「恋人でもできたら今に変わりますて」

喜八郎「え? 恋人? あ…恋人な。うんうんうんうん」

町子「あ、そや、鯛子さんも来てくださいね。あの、澄子さんの法事をしようと思て。日曜日なんですけども、よかったらお願いします」

 

鯛子「あ…今年もですか?」

町子「私、初めてなんでね行き届かへんと思うんですけども」

鯛子「へえ」

イシ「そやね。去年は一緒にまだ暮らしてへんかったからね」

町子「はい」

喜八郎「法事か…。法事な。うんうんうん」

 

町子「あ、そうそう、鯛子さん、都合が悪かったらいいんですよ」

鯛子「いえ、必ず参ります。私、奥さんのこと大好きでしたから」

 

夕方、徳永醫院前

たき火をしている喜八郎。「あっ、おおきに、どうも」

清志が帰ってきた。

喜八郎「あ~、お帰り」

ボーッとしている清志。

 

喜八郎「清志」

清志「あっ、ただいま」

喜八郎「お前、ボヤっと歩いとったら車にひかれて死んでしまうぞ」

ハッとして、自転車のベルにも大げさによける清志。

 

その日の深夜でした。

 

応接間に明かりがつき、テレビの音が聞こえる。

町子「晴子さんやろか」

応接間の戸を開ける。

町子「清志君…。何してんのよ? こんな夜中に。はよ寝なさい。何時やと思てんの?」

清志「嫌や! 寝えへん!」

町子「寝えへん?」

清志「嫌や!」

 

町子「清志君…」

清志「寝たら…寝たら…そのまま死んでしまうかも分からへん! 嫌や! 嫌や! 嫌や! 嫌や!」

健次郎「どないしたんや?」

清志「嫌や!」

 

町子「あ…どうでした?」

健次郎「うん。やっと寝たわ」

町子「何で急にあんなことを…。『死ぬかも分からへん』て。一体何があったんやろ?」

健次郎「うん…」

 

町子「訳、聞いてくれました?」

健次郎「うん…。どうもこれみたいやな」

机の上に置かれたのは「楽天乙女」。

町子「え!?」

 

健次郎「これをしばらく読んでたらしいねん。空襲のとこでようさんの人死ぬやろ。おまけにこないだ学校の友達が交通事故で亡くなって…。それで自分も死ぬかもしれん思たら急に怖なったらしい。『寝てる間に死んでしもたらどないしょう』言うて…」

町子「健次郎さん、何て言ってくれました? 清志君に」

健次郎「うん…。そら起きとんのは勝手やけども睡眠時間短かったら寿命短なるぞって…」

 

町子「それちょっと乱暴すぎる」

健次郎「え?」

町子「余計、脅してるみたい。ねえ、ほかにもっと何か言いようがあるでしょ?」

健次郎「ほな、何て言うねん?」

町子「いや、ほれ、そやから…ほれ…」

 

あくびをする健次郎。「まあ、大丈夫。心配ないて。一時的なもんや。寝よ。こんな夜中に起こされとったら、こっちの身がもたん」

 

翌朝

いつものように仏壇にごはんを供えるイシ。

 

町子「えっ!? 清志君、もう行った?」

登「慌てて行って車にはねられたらあかんから、はよ行くねんて」

町子「え~」

喜八郎「けったいなやつじゃな」

健次郎「しょうがないな、ほんまに。まっ、遅刻するよりは、ええか」

町子「ようそんなのんきなこと言うてるわ。今日、清志君が帰ってきたら、私、話、してみますね」

健次郎「すぐおさまるて。大丈夫や」

 

晴子「おはよう」

町子「あっ、おはようございます!」

子供たち「おはよう」

健次郎「お前、今、起きたんか? うん。午前中の診察、頼むで。僕、何軒か往診あるから」

晴子「はい」

 

町子「あ、そや、健次郎さん、おじゅっさんに連絡してくれた? 法事のこと」

健次郎「あっ。後で寄ってくるわ」

晴子「法事?」

町子「あ…あの、澄子さんの法事」

晴子「うちでやんの?」

町子「日曜日ですからあけてくださいね」

 

路地

鯛子「♪こまっちゃうナ デイトにさそわれて」

こまっちゃうナ

こまっちゃうナ

守「うわ~!」鯛子の後ろを歩いていて転ぶ。

鯛子「大丈夫?」

守「痛い…痛い…。折れたかも」

鯛子「えっ!?」

 

♪こまっちゃうナが流れてるけど、商店街の有線放送?

 

手当てする鯛子を見つめる守…を見ている喜八郎。

鯛子「何ともあらへんから。風邪はようなったん?」

守「はい」

鯛子「具合悪なったら、すぐおいでな」

守「はい、ありがと」

はは~ん…な表情の喜八郎。

 

鯛子「何や、けったいな子」

 

台所

お皿を拭いている町子。

晴子「お兄ちゃんは?」

町子「あっ、往診に行かはりました」

晴子「あのね…」

町子「はい」

 

晴子「さっきの話やけど…。法事、ほんまにうちでする気?」

町子「あっ、はい」

晴子「お兄ちゃんと子供らでお墓参り行くぐらいでええん違うかな。わざわざ人呼んでせんかて」

町子「けど毎年、ご命日、おうちでしてはるんでしょ?」

晴子「去年まではね」

 

町子「あっ、ほな、あのいつもどおりに」

晴子「けど、もう前とは違うでしょ?」

町子「は?」

晴子「おかしいやん」

町子「おかしい?」

 

晴子「そやから…後妻さんが仕切って前の奥さんの法事するやなんて、おかしいでしょ?」

町子「あ…後妻さんて私のことですよね」

晴子「あのね、子供らかてどんな顔してええか分からへんでしょ。新しい母親の前で前の母親の話もしづらいし」

町子「そんなことありませんよ。澄子さんの話は由利子ちゃんとも時々してますのでね」

晴子「やっと新しい環境に慣れてきたのにわざわざ思い出させることもないでしょ。かわいそうだと思えへんの? ちょっと無神経や、町子さん。とにかく私は反対です。後でお兄ちゃんにも話、するけど」

 

ミニ予告

晴子「私はそんなことするために医者になったんやありません」

びっくり顔の鯛子。つながったシーンじゃなさそう。

 

無神経とは思わないけど、晴子の気遣いなのかな~? 町子は作家としての藤木澄子を尊敬してるから、また普通?の前妻、後妻とは違う関係性だしな~。