徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(68)「おかあちゃん」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

健次郎(國村隼)の亡き前妻、澄子の法事を晴子(田畑智子)から大反対された町子(藤山直美)は、秘書の純子(いしだあゆみ)に相談するが、純子も無理しなくてもと言う。近所の人たちは、法事は町子が気の毒だという思いから出席する気になれず、町子と健次郎が法事を呼びかけると、皆、用事を作って断ってしまう。一真石田太郎)は、家での法事ではなく、「子どもたちを連れての墓参りでよいのでは」と、提案するが…。

仕事部屋

掃除をしている純子とはたきを持っている亜紀。

純子「亜紀ちゃん、今度はね、そこ拭きますから、ちょっとどいてくださ~い」

亜紀「うん」机の上の原稿をはたきでなぞる。

純子「あら! 亜紀ちゃんも将来は文豪ですね!」

亜紀「うん」

 

町子がいつも飾っている澄子と子供たちの写真をじっと見る亜紀。

純子「亜紀ちゃんはねえ…ほら、この赤ちゃん!」

亜紀「これ、おばちゃん?」

純子「いや…おばちゃんじゃないの。この人はね、亜紀ちゃんのお母様!」

亜紀「お母様?」

純子「そうか…お顔、覚えてないよね、小さくてね」

 

町子「あら、亜紀ちゃん何してんの?」

純子「あ~、すいません。お手伝い」

町子「本当? お掃除してくれてたの?」

うなずく亜紀。

町子「ありがとう!」

 

純子「はい、行きましょう、亜紀ちゃん。はい」

町子「亜紀ちゃん、おばちゃんね、今からお仕事します! おとなしゅう待っててや。ねっ」

純子「はい、すいません」

町子「えらいすいません。ねえ、矢木沢さん」

純子「はい!」

 

町子「何であかんのやろね…。澄子さんの法事ね『やめた方がいいよ』て言われたの、晴子さんに。『新しい環境に慣れた子供たちに、わざわざ思い出させるのはかわいそうや』って…」

純子「あの…」

町子「はい」

 

純子「いえ…。じゃ、私、あの本屋さん行ってまいります」

町子「あ~、お願いします。あっ、それから頼んでた奈良の古地図もお願いします」

純子「はい、分かりました。あの…。先生…。無理なさることないと思います。このうちではもう、お子さんたちもすっかり先生になじんでらっしゃいますし…前の奥様のことは、もう4年もたってるんですし…。そっとなさった方がよろしいんじゃないでしょうか」

 

町子「矢木沢さんもそう思いますか?」

純子「はい。ああ…すいません。また差し出がましい…」

町子「いえ」

純子「じゃ、行ってまいります」

町子「お願いします」

 

工藤酒店

タエ「ありがとうございました!」

 

そのころ町内の人々も…

 

俊平「今年もやるてか? 健さん

一真「ああ。『命日には家に来てくれ』て、さっき寺に来て頼まれたんや。あんたらにも来てもらうつもりやて」

タエ「ええねやろかなあ…」

貞男「え? いや、俺は別にええで。用事、あらへんやろ」

タエ「アホやね! そやからあんたは無神経や言うねん!」

 

貞男「何やと!?」

タエ「町子さんがどない思うか…。よう立場考えてみ。前の奥さんの法事でみんな集まって『あの人はええ人やったな』『はよ亡くなって残念やな』とか思い出話しはんねや。ほんな、もう、後妻さんが居心地ええわけあれへんやないの」

貞男「ああ、そうか。うん。そらそや。健さん無神経や」

 

一真「まあまあ…しかしやなあ、お供養に関しては『やらんでもええで』やなんてワシの口からは、よう言わんし…」

俊平「健さんも『やる!』て言うたらやるやろしな」

貞男「そやな」

タエ「町子さん、気の毒やわ。それに私らかて何や気ずつのうて澄子さんの話、思い切りできへんもん…」

 

徳永醫院前

帰ってきた清志。

喜八郎「おっ。お帰り」

清志、スルー。

 

待合室

「ありがとうございました」

鯛子「お大事に」

 

ため息をついて待合室の椅子に座る鯛子。

晴子「お兄ちゃん、まだ? 朝から出たままやね」

鯛子「あ~、そう言うたら、お昼も戻ってきはりませんでしたね」

晴子「何軒も回ってんの?」

鯛子「いや、2~3軒のはずですよ。けど、先生も話し込みはったら帰りはれへんタイプですし」

 

晴子「いっぺん連れていかれて、えらいことやったわ。おじいさんの奥さんの愚痴から息子さんの愚痴…果てにはタイガースが負けたという愚痴」

鯛子「その問題一つでも解決できる薬発明したらノーベル賞もんですよ」

晴子「ほんま…。私はそんなことするために医者になったんやありません」←ミニ予告。

 

鯛子「あっ! 忘れ物!」待合室の椅子に紙袋発見。

晴子「えっ?」

 

病院の外に出る鯛子。「よいしょ…。あっ、田中さ~ん、忘れ物!」

 

♪「こまっちゃうナ」が流れる。外で待っていた守。

こまっちゃうナ

こまっちゃうナ

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登「何やってんねん? 守」

隆「何してんの?」

守「いや…」

登たちの前から立ち去る守を微笑みながら見守る喜八郎。

 

仕事部屋

原稿を書いている町子。

 

登・隆「ただいま!」

 

町子「お帰り!」

 

登・隆「行ってきま~す!」

 

町子「えっ!?」

 

登「公園行ってくる!」

隆「僕も!」

 

町子「行ってらっしゃ~い!」

ふと、外を見ると清志が植木鉢を見つめていた。

 

昨日の夜遅く、死ぬのが怖いと泣いていた清志でした。

 

植木鉢の土の上にはセミの抜け殻。

町子「清志君、どないしたの?」

清志「セミて土から出てきて1週間で死んでしまうんやな」

町子「え?」

清志「死んだら、また暗い土の中に帰っていくねやろか?」

 

町子「遊びに行っといでよ。登君、公園行ったから野球してらっしゃい、一緒に。ねっ」

清志「おばちゃん!」

町子「うん?」

清志「人は死んだらどこ行くの!? 何にも見えへんし、聞こえへんようになんねやろ? 嫌やなあ…」

 

町子「何を言うてんのよ! 清志君なんか、まだまだまだまだず~っと死なへんよ! でしょ? ねっ。死ぬなんていうのは順番から言うたらやね、お父ちゃんでしょ、おばちゃんでしょ、おばちゃんの妹の…」

清志「えっ!? お父ちゃんが!?」

町子「違うって! もっともっとずっと先の話。清志君がもっと大人になって…。ちょっと待ちなさい、清志君!」

玄関に入っていく清志。お~、そこがああなってたのか。

町子「えらいこと言うてしもた…」

 

夜、徳永醫院

鯛子「お先に…。失礼します」

 

病院前に守が立っていた。「あの…」

鯛子「はい?」

守「こ…今度、僕と一緒に天神屋さんのお好み焼き食べに行きませんか? 豚タマでもイカタマでも好きなんごちそうします」

ニッコリ笑った鯛子は守と視線を合わせる。「ありがとう。けどね、君がお酒飲めるようになったら、また誘てね」

鯛子さん、スマートだな~。陰で聞いてる喜八郎。しかし、昨日からアップで写るようになった守の顔がこんなにかっこいいなんて気付いてなかった~。

 

茶の間

純子「大丈夫ですよ」

町子「母親亡くしてね、お父さんまでなんて思たら落ち込むの当たり前やもんね。私、軽はずみやった…」

純子「先生の戦争中のご本読んだり、親しいお友達が亡くなったりで、今、一時的に神経質になってるだけですよ」

町子「そうかな?」

純子「そうですって!」

 

登「おばちゃん」

町子「お帰り」

隆「お兄ちゃん、おかしいで」

町子「清志君?」

 

庭に虫たちのお墓を作り線香をあげている清志。「ナンマイダブ、ナンマイダブ…ナンマイダブ、ナンマイダブ、ナンマイダブ…ナンマイダブ、ナンマイダブ、ナンマイダブ…」

登と隆が笑う。

清志「笑うな!」

町子「何してんの?」

 

清志「今まで遊んでて殺してしもたアリやらダンゴムシやらカマキリやらを供養してんねん」

顔を見合わせる町子と純子。

清志「『僕が死ぬ時は痛くないようにしてください』て…。ナンマイダブ、ナンマイダブ…。アーメン!」←最後(笑)

登「♪おらは死んじまっただ」

隆「♪おらは死んじまっただ」

町子「これ!」

清志「あっち行け!」

登・隆「♪天国よいとこ一度はおいで 酒はうまいし」歌いながら家の中へ。

 

清志「ナンマイダブ、ナンマイダブ…。ナンマイダブ、ナンマイダブ、ナンマイダブ…」

 

たこ芳

町子「元気づけようとしてしょうもないこと言うてしもた…」

健次郎「思春期には大いに悩むがよろしい。なっ、おじゅっさん」

一真「うん! 人は死んだら極楽浄土へ行きます」

りん「いいや、信仰があれば天国へ行けます」

 

一真「いえいえ、あのね、私ら東洋の人間にはね…」

りん「人間にあんた、そんな東洋も西洋もあれへんでしょ」

一真「あるんですがな!」

町子「おじゅっさん、ちょっとゆっくり落ち着いて座って、座って」

健次郎「お互い意見もあるやろうけれどもね」

 

俊平「お~、さぶっ!」

一真は口に指を当てる。

俊平「あの…熱かんでね」

貞男「俺も」

りん「はい」

 

一真「寒かったか?」

貞男「寒いよ」

 

健次郎「あっ、ちょうどよかったわ」

貞男「え?」

健次郎「あのな、次の日曜日に澄子の法事を家でやろう思てんねん。都合ついたら来てくれへんか?」

 

町子「夕方からですのでね、お食事の用意もちゃんとさせていただきます。俊平さん」

俊平「はい」

町子「上映終わってからでもええから、すぐ来てくださいよ。ねっ」

俊平「日曜でしょ?」

町子「はい」

 

俊平「日曜ねえ、あの…2人でちょっと出かけることになってるんですわ。あの奈良の兄貴んとこへ。うん」

貞男「いや、俺も実はな、あの…神戸の親戚の家に…」

健次郎「そろて都合悪いんかいな」

町子「何や…みんな来てくれはらへんのんですか…」

 

一真「どやろ、健さん

健次郎「うん?」

一真「家でやるのもええけどな、みんな集まられへんようやし…食事にしても忙しい町子さんには大変やろ」

町子「いやいや、私は全然…」

 

一真「だからその子供ら連れて墓参りでええんやないかなあ。もちろんワシも一緒に行って、お経あげさしてもらう。うん」

健次郎「う~ん、墓参りな」

貞男「そうそう、あっさりめにな」

一真「うん!」

りん「コラ、バチ当たりな!」

貞男「あ…すんまへん…」

 

町子「私ね、作家のお友達にも声かけさせてもらおうと思てるんです」

一真「まあな、そら…そうやな…うん」

貞男「あの、町子さんはよろしおますのか?」

町子「何がです?」

貞男「あ、いや…」

俊平「いや~、あの…何がて…いや、何が…」

 

一真「ほらほら、ほらほら、りんさん、お酒遅いよ~!」

町子「??」

俊平「はいはいはい」

貞男「おおきに、おおきに」

 

茶の間

健次郎「何してんねんな?」

町子「あっ、健次郎さん。あの、法事のことなんやけども」

健次郎「うん」

町子「ええのんでしょ? やっても」

健次郎「え?」

 

町子「貞男さんたち何かけったいやったし…」

関西人じゃないので度々出てくる”けったい”の意味が難しいな~。

健次郎「あいつらがけったいやない日は横綱大鵬が負ける日より少ないで」

町子「ねえ、それから、ほら、おじゅっさんもね『お墓参りでええやないか』て言わはったでしょ」

健次郎「うん」

 

町子「晴子さんも反対みたいやし」

健次郎「晴子が?」

町子「うん」

健次郎「何で?」

 

町子「いや何かいろいろ意見があるみたい。それ直接聞いて」

健次郎「ふ~ん」

町子「ねえ、それからねえて、あの、ほれ、矢木沢さんも」

健次郎「うん」

町子「うん」

 

健次郎「矢木沢さんは何て?」

町子「いやいや、それはええねんけどね…」

 

冷蔵庫から瓶ビールとコップを持ってきた健次郎。「やめよう」

町子「えっ!?」

健次郎「法事やめよう。おじゅっさん言うみたいにお墓参りだけにしよ」

町子「いや、そやけど…」

健次郎「ええねん、ええねん。形なんかこだわらんでも。まあ、要は気持ちや。気持ちのあるもんだけで手合わしたらええねや」

 

町子「気持ち…」

健次郎「うん」

町子「そらそやね…。はい」

乾杯してビールを飲み始める。

 

健次郎「あんたも忙しかったら無理せんでええで」

町子「今、何て言うたの?」

健次郎「うん?」

町子「『あんたも忙しかったら無理せんでええで』て、ほな私が何か一生懸命無理してこのこと言うてるみたいに聞こえるやないの!」

 

健次郎「いやいや、別にそういう意味やないよ。誰もそんなこと言うてへんがな」

町子「そういう意味と違うて。聞こえたから言うてんのでしょ。ひきょうやないの逃げたら!」

健次郎「あんたな…」

 

晴子「ただいま」

 

町子「お帰りなさい」

 

健次郎「(晴子に)あっ、法事はなし」

晴子「え?」

健次郎「理由は聞くな。一切ゴチャゴチャ言うな」部屋を出ていく。

晴子「ちょっと…。何? あれ」

 

町子「さあ。都合が悪なったら逃げはるんですよ」

晴子「法事やめんの?」

町子「あの…お墓参りはちゃんとさせていただきますので」

晴子「その方がええわ。それが普通や」部屋を出ていく。

 

手酌でビールを注ぐ町子。「もう私には…何が普通か分からへん」

 

ミニ予告

揺れてる?純子さん。

 

私は貞男タイプで気付かないんだな~。町子は平気でも周りに気を遣わせるのはダメかもね。墓参りが無難か。私は故人を思う気持ちはあるんだけど、こういう行事ほんとうに面倒で嫌い。多分親戚に会うのが嫌なんだな。