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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (110)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

昭の突然の死から1か月がたち、いまだに力を落としているあき(伊藤榮子)を心配する純子(山口智子)。そこへ正太夫笑福亭鶴瓶)が、西宮の旅館を引き受けてくれ、としつこく頼む。家に帰ってきた雄太(唐沢寿明)は、昭の遺品も整理せずに、なかなか前向きになれないあきを何とかしようと、純子と秀平(髙嶋政宏)に相談する。純子と秀平が、そのままにしてあった昭の物を片づけようとすると、あきはかたくなに抵抗し…。

雨が降る中、足を引きずったあきが家に帰ってきた。

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前も足痛めたことあったしねえ。

 

昭の突然の死から1か月がたちました。しかし、悲しみは薄らぐどころかいっそう重くあきの心にのしかかってくるのであります。

 

昭の遺影を見つめるあき。

 

戸が開き、純子が訪ねてきた。

あき「何や純子か」

純子「どないしたんや。2階から声かけたんやで」

あき「そうか。気ぃ付けへんかったわ」

純子「足引きずるようにして帰ってきて心配するやんか」

 

あき「足引きずってた?」

純子「そやがな。足引きずって肩落として。気になったさかい来てみたんや」

あき「も少ししゃんとせなあかんな」

純子「どこに行ってたん?」

 

あき「丸越デパートへな品物納めに行ってたんやけど…。この秋に部長さんが代わらはってな。個人個人に下請けに出すのをやめるて言わはったんや」

純子「どういうこと?」

あき「そう分からんけど守口の方に縫製工場が出来て縫製も寸法直しもそこでやるようになるて言わはったんや」

純子「ほな、お母ちゃんはどないなるの?」

 

あき「そやから仕事を続ける気ぃがあるのやったら守口の工場の方に出勤するようにしてほしいて」

純子「守口いうたら通勤にだいぶ時間がかかるやんか」

あき「何や気持ちの張りいうんか、そういうもんが一遍にしぼんでしもた」

 

純ちゃん食堂

ぬひ「ほんまにおかわいそうにな。やっぱり昭君が亡うなったんがこたえてはりまんのやろな」

もも「そやな。なんもデパートの下請けがないようになるちゅうことだけと違うな。気持ちがちゃんとしてはったらな工場へでもどこへでも何のためらいもなしに行かいらよ」

純子「そうなんや。気持ちが落ち込んでるさかい新しいことをする気にもならんのやろと思うわ」

もも「うん、なあ」

ぬひ「なあ。というてわてらが何ができるわけやなし」

ぬひさんもお店手伝ってるのね。小平治さんずーっといないよね。そこに正太夫登場。

 

太夫「純ちゃん、西宮の旅館のことやけどな、いつまでもうちで管理するわけにいかんからというて転売するわけにもいかんしな惜しいから。純ちゃん、引き受けてくれへんやろか?」

純子「あかんて。前にも断ったやんか」

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ぬひ「ちょっと、嬢さん旅館だすて?」

太夫「うん。部屋数が11でな、近所の工場の偉いさんが会合やら出張やらそれから忘年会に使うてくれはんのや」

純子「そんなんあかんて。旅館やなんて素人ができるような商売とは違うと思うんやけど。毎度おおきに。またどうぞ」

 

太夫「純ちゃん、新規に始めるわけやないで。現に今、営業中なんやから」

純子「とにかくちょっと考えさしてもらうわ。急にそないなこと言われたかて」

太夫「急やないがな。お母ちゃんがアメリカ行く前から言うたあったがな」

純子「そやから、ちょっと考えさせてって言うてるやんか。やるならやるで秀平さんにも相談せんならんし」

太夫「ほな、しゃあない、待っとくわ」

純子「堪忍な」

太夫「うん、ええよ」

 

夜、雄太帰宅。あきは1階にいない。「お母ちゃん?」と言いながら2階へ上がる雄太。あきは昭の机の前に座っていた。

雄太「ただいま」

あき「お帰り」

雄太「何をしとんのや」

あき「何でもない。昭一人おらんようになっただけやのに、何や5人ぐらいおらんようになった気がするな」

 

あきは部屋を出ていき、雄太は壁にかかった昭の学生服やユニフォームに触れた。机の上には昭のノートと万年筆、花瓶に入った枯れた花。

 

雄太が1階へ下りるとあきはミシンを踏んでいた。

雄太「ちょっとお姉ちゃんとこへ遊びに行ってくるわ」

あき「もう遅いんと違うか?」

ミシンを踏んでいたあきは、雄太が家を出ていくと、ミシンを止め、涙を流した。

 

速水家2階

雄太「たまらんのや。僕が帰るやろ。昭の机の前にじっと座ってんのや。何時間も座ってんのやないやろか。何もかも昭がおった時と変わらんようにしてじいっと昭の幻を見てるんや」

純子「知ってる」

雄太「なんとかせな、ほんまにお母ちゃん体壊してしまうわ。お姉ちゃんから何とか言ったってえな」

純子「そない言うたかて…」

秀平「忘れろっていうのは無理なのかもしれないね」

 

雄太「僕が帰ると下にすっと下りていくのやけどな」

秀平「昭君のものを片づけてしまった方がいいんじゃないか?」

純子「そやけど、お母ちゃんは昭のもんは紙一枚いらわんといてて…」

秀平「しかしね、今のまんまじゃいつまでたっても昭君の思い出から逃げられないよ」

雄太「僕もそないに思うわ。僕かてな昭がおった時と同じになってるやろ。ひょっとしたら昭、帰ってくるんやないやろかて夜中に何べんも目が覚めんのやわ」

 

秀平「やっぱりひどいかな。昭君のものを片づけたらっていうのは。酷だろうな、おかあさんには」

純子「ううん、そうしよ。私かてたまらんし。そうなんや。後ろを見とったら気ぃがめいるばっかりや」

純子は窓を開けて小野家の2階を見る。後ろに立つのは秀平と思ったら雄太だった。

 

翌日

路地で子供たちが♪もしもしかめよを歌いながらゴム跳びをしていた。あきは今日も2階で昭のノートを広げ、英文を手でなぞっていた。そしてまた涙。

 

純子「お母ちゃん」

秀平「こんにちは」

あき「(背を向けたまま)どないしたんや?」

純子「なあ、お母ちゃん。ゆうべ雄太とも相談したんやけど、この部屋な片づけた方がええんと違う?」

あき「あかん!」

 

秀平「こういうものを置いとくと思い出すばかりじゃないですか」

あき「嫌や」

純子「なあ、お母ちゃん、なんもほかそう言うてんのやないねん。茶箱に入れてなおしとくだけや」

あき「あかん。お願いやからこのままにしといて」

純子「お母ちゃんの気持ちは分かるけど、いつまでもめそめそしてたら昭かて喜ばへんのんと違う? 私は嫌や。秀平さん、片づけんの手伝うて」

 

秀平「しかし…」

あき「純子! 純子、何すんのや」

キャッチャーミットや学生服を片づけ始める純子にすがりつくあき。

純子「貸して! こんなもん毎日見てるから泣いて暮らすことになるんや!」

あき「泣いたかてえやないか!」

純子からユニフォームを取り返して胸に抱くあき。純子はなおも机の上を片づけようとする。

 

あき「何すんのや! 何すんのや…。純子!」純子をビンタするあき。純子は驚いた顔をしてあきを見て、泣き出す。

あき「純子、堪忍」

秀平「おかあさん、すいませんでした。純子を連れて帰りますから」

あき「純子…」

純子「お母ちゃんだけが悲しいんやない。私かてつらいし雄太かてつらいし…」

 

秀平「すいませんでした! 僕が昭君のものを片づけたらって言ったんです」

純子「私、秀平さんに言われて片づけよう思たんやない。お母ちゃん見てると、私、ほんまにたまらんようになるさかい。なあ、なあ、なあ? なあ、お母ちゃん、お願いや」あきに抱きついて泣きだす純子。

あき「分かった。そやな…ほんまにそやな」

純子「お母ちゃん…」

 

あき「秀平さん。昭の机、押入れの中入れてください。こんなもん置いといたかて昭が帰ってくるわけやないしな」

秀平「すいません!」

 

秀平と純子が小野家を出てきた。

秀平「よかったのかな…」

純子「私、西宮の旅館に一遍、行ってみようかな」

秀平「旅館?」

純子「思い切って新しいこと始めんのもええかもしれん。私かてお母ちゃんかて、この家を離れた方がええんや」

 

次回は11日(金)放送か…てっきり来週からパラリンピックと相撲でしばらくないものと思ってたから、来週金曜日だけでもやるんだとびっくり。だけど、それから先はしばらくないんだろうけどね。

 

あきさんにはもっと時間が必要だった。末っ子で男の子なんて母親にしたら特別だろうな。だけど、純子、酷い!とも思わなかったけどね。ここから旅館編に突入か。あー、やっぱりつらい。昭…