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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (101)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

恭子(松本友里)の見合いの話は、恭子がキャバレーで歌っていたから、と断られる。純子(山口智子)からその話を聞かされた恭子がひとり物思いにふけっていると、西川(北京一)が東京から帰ってきたと、顔を出す。西川が東京へ行くと言うので、恭子が東京でパントマイムをするのか、と聞くと、パントマイムはやめた、と言う。それを聞いた恭子は、自分が働いて食べさせていくから、パントマイムをやめないでくれ、と言い…。

夜・速水家 玄関先

村山「実はね、言いにくいことやけど…」

純子「何ですやろ」

村山「恭子ちゃんの見合いのことやけどな。恭子ちゃんのことを先方に話したらな、最初はよかったんや。進駐軍やキタのキャバレーで歌うてはる言うたら、それはちょっとということになってな」

純子「ジャズ歌うてる、そのことがあかんて言わはるんですか?」

村山「まあ、そやろな。それでまあ言いにくいねんけど、お見合いする前にお断りしてほしいと…」

 

部屋で聞いていた秀平が会話に入ってくる。「どうしてですか。おかしいじゃないですか」

村山「いや、わしに言われたかて先方さんが言うてはんねんから」

純子「分かりました」

村山「すまんなあ」

純子「いえ。おおきに」

 

村山が帰って行き、振り向いた純子の前には怒っている秀平がいた。

秀平「いいよ、いいよ。そんなバカなこと言う人と見合いなんかすることないよ」

 

小野家

恭子「ほんま」

純子「腹が立つやろけど」

恭子「そうか。キャバレーで歌うてる女やいうだけで、きっとすれっからしやと思わはったんやろね」

純子「秀平さんはそんなとこに行くことないて言うてはったよ。私かてそう思うねん。そういうとこは結婚してからも苦労するやろて思うし」

 

恭子「そやな。お姉ちゃん、ほんまに私、何とも思てないからね。私は私でないとあかんという人を見つけて結婚するさかい」

純子「そうや。それが一番や」

笑顔でうなずく恭子に純子は「おやすみ」と帰って行った。純子がいなくなって一人残った恭子の顔は寂しげ。

 

戸をたたく音がして、恭子が返事をすると西川だという。笑顔になって戸を開ける。

恭子「大阪に帰ってきはったん?」

西川「ちょっとええか」

 

家をでて路地へ。

恭子「この間、葉書もろたし、まだ東京やとばっかり思てたわ」

西川「僕な、ずっと東京で住むことに決めた」

恭子「ずっと?」

西川「うん。それで家のことやら何やら整理しに帰ってきたんや」

 

恭子「ほんま。パントマイムしはるんやね?」

西川「いや、パントマイムはやめた」

恭子「何で?」

西川「東京に行ってよう分かったことはパントマイムでは食べていけんいうことや」

恭子「パントマイムやめてどないすんの?」

 

西川「仕事見つけたんや。この年やから大した仕事はないねんけど丸の内のビルの管理人や。ここやけどな(住所の書かれたメモを手渡す)」

恭子「住み込み?」

西川「うん。手紙でももろたらうれしいけどな。(恭子に背を向ける)スティーブ西川は死んだんや。みんな忘れることにした」

恭子「どうしてもやめなあかんの? ビルの管理人にならなあかんの?」

 

西川「僕かて食べていかなあかんし。もう借金つくれる年やないし、借金できても返すアテなんかあらへん。(向き直って)というわけでちょっとここらでさよならや」

恭子「食べていく手だてがあったらパントマイム続けていけんの?」

西川「そらそうやけど、そんなんあらへん」

パントマイムで荷造りして重いカバンを持った西川は「ほな…。元気でな」と帰ろうとしたが、恭子が呼び止めた。

 

恭子「私が食べさしてあげる。私が食べさしてあげるさかい、パントマイムをやめるなんて言うたらあかん。お願いだからやめんといて」

西川「恭子ちゃん…」

恭子「私も一緒に東京へ行く」

西川「あかん」

恭子「何でや!」

西川「あかん」

 

恭子「うち…西川さんが好きやねん。前から好きや」

西川「おおきに。うれしいけど、それはあかん。僕みたいな男を食わせるために東京へ来るやなんて、お母さんやお姉さんどれだけ悲しむか」

恭子「かまへん」

西川「あかん! 絶対あかん。ええな? これ以上言うたら怒るで」

家に入る前に恭子に笑顔を見せる西川。恭子は涙を流した。

 

速水家の2階

秀平「大体ね、お見合いなんていう制度がおかしいんだよ。結婚も恋愛も当人同士の問題じゃないか。それを間に人が立って引き合わせたりだね、経歴や財産や家柄やそんなことだけで人を判断したり、日本人は不思議だよ」

純子「…」

 

清原先生が恭子が呼んでいると純子のところに来た。純子は1階へ、清原先生は秀平に話しかけた。

清原「どうしたのかな?」

秀平「…」

 

いつも洗濯してる辺りのところ?

純子「そんなこと西川さんに言うたの?」

恭子黙ってうなずく。

純子「ほんまに恭子は西川さんが好きやの?」

恭子うなずく。

純子「いつから?」

恭子「ひょっとしたら私が宝塚の試験を受ける頃からかもしれん。そんな気がする。そやけどそうやとはっきり分かったのは、ついさっきや。どないしよ」

peachredrum.hateblo.jp

純子「西川さんは何て言わはったん?」

恭子「絶対にあかん。これ以上言うたら怒るって」

純子「同情だけでそんなこと言うもんやあらへんよ」

 

恭子「同情やないねん。西川さんにパントマイムをやめさせとうないんや。いつかきっと西川さんの芸が分かってもらえる時が来る。今、やめてしもたら何のために…。今まで何のために苦労してきたか分からんようになるやないの。こんなことお母ちゃんにはよう言わん。お姉ちゃんやったら分かってくれるやろ思て」

 

純子「15も年上の人を好きになってどないすんの。分かった。そやけどな、お母ちゃんは反対しはると思うよ。お姉ちゃんかて、ほんまの気持ちを言うたら反対や。なあ、どないして食べさしていくの? 西川さんを」

恭子「東京でジャズを歌う。ジャズ喫茶もあるそうやし、なんとかなると思てる」

純子「とにかく今夜はおやすみ。今日明日どうこうということやないのやから」

恭子「ごめんな」

恭子は家に帰り、純子は考え込む。

 

西川家を純子が訪れた。

純子「今、恭子に聞いたんですけど。西川さんに好きやて言うたそうですね。恭子が働くさかい西川さんはパントマイムを続けてほしいて言うたそうですね」

西川「そのとおりです」

純子「西川さんはどない思てはるんですか?」

 

西川「僕は返事のできる人間やないさかい。恭子ちゃんの好意に甘えるわけにはいかへん。恭子ちゃんにもそない言うてましてんわ」

純子「それがほんまやったらパントマイムをやめんといてください。やっぱりパントマイムはやめんて、そう恭子に言うて東京へ行ってください。これは私の勝手で言うてることです。すんません」

西川「分かります…よく」

純子「恭子にもう一度頑張るて、そう言うてください」

西川を見つめる純子。

 

西川さん、大人だね。でも男性の脚本家だからおっさんドリームだなーとも思ってしまった。昔のドラマで時々出てくるお見合いぶち壊しがなくてよかった。みんなに迷惑かけるやり方で見てる方も気まずい。

 

昭と雄太が中学生になる年に恭子は中学卒業&宝塚受験をしてるので、おそらく昭和7(1932)年生まれで西川さんは15歳上の大正6(1917)年生まれ。西川さんはマー姉ちゃんと同じ歳で、恭子は「ゲゲゲの女房」の布美枝と同じ歳。布美枝も10歳上の茂さんと結婚したね。こちらもうまくいってほしい。