公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
マチ子(田中裕子)が田河(愛川欽也)の内弟子として、住み込みで働くことになった。マリ子(熊谷真実)はマチ子を案じるあまり、不安げにしているマチ子を夢にまで見てしまった。その頃、マチ子は案の定、ホームシックで元気がなく、心配した大宗(渡辺篤史)が田河に相談すると、マチ子の内弟子歓迎会を開くことになる。早速マリ子たちが招かれるが、田河は元気のないマチ子に、自分の漫画のキャラクターについて語り出し…。
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マチ子を送り出し、ヨウ子と寝ていたマリ子はマチ子の夢を見た。マリ子の寝顔のショットから田河邸の玄関を出てくるマチ子の図。マチ子は不安げ。マリ子が目を覚ますと、部屋にマチ子がへたり込んでいて、二人で抱き合って泣く。マチ子が「マー姉ちゃんの顔が見たかっただけ」と泣き、再び目を覚ます。
そうです。夢のまた夢だったのです。
さしものんき屋が看板のマリ子も夢が夢だけにもう一度安らかな夢路をたどることはできませんでした。
マリ子は真っ白いキャンバスに絵を描きだす。
テレパシーというのでしょうか。床が慣れないせいなのか同じ頃、マチ子もまた昨夜まで寝起きしていたきょうだい2人の部屋を思い出していたのです。
明け方、はるがずっと電気がついていたとマリ子たちの部屋に入ってきた。
マリ子「もし泣いてたら連れて帰ってきてもいいですね?」
はる「はあ、いいですよ」
マリ子「お母様!」
はる「マチ子はね、漫画が好きでお弟子入りしたのよ。だから泣いてるわけもないし、連れに行ったところで帰ってくるはずもなかとでしょう?」
マリ子「だって私の枕元で泣いてたんです!」
はる「そうね。夢の中の枕元でね。だからね行きたければ行ってもいいの。だけど今日はマチ子にとっても内弟子の第1日目でしょう。今朝はきっとマチ子もお豆腐を買いに出てるかもしれないじゃないの。それにお母様の夢には出てきませんでしたよ」
姉妹仲がよくてもマリ子とマチ子みたいな感じはちょっと仲良すぎだね。はるのリアクションの方が分かるな。
はる「それよりどうも気が散ってるようね、このごろのあなたの絵は」
マリ子「えっ?」
はる「あなたもね、やめたかったらさっさと画塾やめてもいいんですよ」
マリ子「いえ、私は…」
はる「一体誰の顔かしらね~? 変な顔」
マリ子「言われちゃった~」
マリ子の創作意欲が少しずつ薄れてしまった!? 芸大を受けるために行ってる画塾でマリ子も受験は毎年してたのかなー?
田河邸のマチ子が庭の掃き掃除をしていると、均が「そんなことは僕がやるからいいですよ」と出てきた。兄弟子だけど、ため口じゃない。
マチ子は均の田舎はどこか問う。均は東京の浅草のちょっとだけ先と答えた。マチ子は月に何回くらい帰れるか聞いた。
均「あのね。僕たちは奉公人でも給料取りでもないんだよ。僕たちは田河先生の弟子なんだ。それも全国からたった2人選ばれた内弟子」
マチ子「はい…」
均「どうして休みがいるんですか?」
マチ子「はい」
均「たとえ休みがあったとしたって何で勉強しない?」
マチ子「はい、そうでした」
しかし、マリ子に会いたい均は、お姉さんに会いたいんだったら僕が努力して呼ぶからねという。マチ子に奥様の食事の支度を手伝いなさいと言ってるから、別に家事が仕事じゃなく、あくまで漫画の勉強。内弟子、書生…小遣いなんかももらわずに衣食住は先生のお世話になる。いいような、ずっと家にいるのも辛いような。
均はマチ子がマリ子を恋しがってることを相談。水泡はマチ子のためにパーティーを開くことを思いつく。マチ子の歓迎パーティーをやれば、お姉さんや妹さんが来たって不自然じゃない。
均「はいはい、はいはい…漫画家は不自然が一番の禁物!」
順子に言われて花を持って来たマチ子に、今度の日曜日にパーティーをするから、お姉さんや妹さんやお友達も呼ぼうよ!と言ってくれた田河先生にマチ子は喜ぶ。
そして、次の日曜日です。マリ子がヨウ子を紹介し、マチ子が三吉を紹介した。友達というから女の子かと思ったよと水泡に言われ、三吉「申し訳ありませんでした」。かわいいなあ。今日はよそ行きの青いセーター。
マチ子「あの三吉君は『のらくろ』の…いえ、先生の大ファンなんです。それで私たち友達になったんです。ねっ?」
水泡「そう、それはどうもありがとう」
三吉「お礼を言うのは私の方です。私は炭屋の小僧だから、先生みたいな人に会えるなんてまるで夢のようで…!」
順子「何言ってるのよ。先生なんて言ってもね普通の人なのよ」
水泡「そうだとも。そうか、君は炭屋の小僧さんか」
三吉「はい! でも今にきっと店を持って『少年倶楽部』を私の小僧たちに必ず買ってやるってマチ子さんと約束したんです」
水泡「ああ、ありがとう!」
均と順子はお茶の用意で退席し、水泡は手伝おうとするマチ子をとどまらせて「のらくろ」への思いを語る。
水泡「僕はね、全国の三吉君たちのために『のらくろ』を描いてるつもりなんだ」
三吉「私たちのためにですか?」
水泡「うん」マチ子に持ってこさせたのらくろのぬいぐるみを持って解説。
水泡「ちょっと見てくれるかい? ねっ? ご覧のとおり彼は白と黒のぶちで顔がはち割れで足の先が4つとも白い四ツ白だっていうの、これはもう知ってるよね?」
三吉「はい!」
マリ子は知らずにマチ子にとがめられる。
水泡「しかしね、のらくろにはけんかをするようなきょうだいもいないんだね。もちろん生まれてきた時にはゴロゴロいたんだろうけれども、この、犬のはち割れ、四ツ白ってのは縁起でもないっていうんできっと飼い主が捨てちまったんだろう」
三吉「はい」
水泡「でもね、のらくろはそんなことにちっともくよくよしないでね、まあ時々は失敗もするけれども一生懸命頑張ったんだ。そうするとね、思いがけないことで手柄を立てて褒められたりするんだよ」
三吉「そうなんです、先生! あれを見ていて一生懸命やりさえすれば必ず進級するんだと私はそう思ってやってきました!」
水泡「ありがとう、三吉君。僕はね、ある時、こういう筋で描いたことがあるんだ。日曜日なんだよ。で、連隊はほら休みで新平さんたちはもう喜んでどんどんどんどん外出していった。でものらくろのやつは、ほら、野良犬で帰るうちがないだろう? だから 一人寂しく兵舎に残っていたんだ。しょんぼりと」
三吉「はい、覚えています。私も田舎が遠いから…」
水泡「そうか。そしたらね、今度の日曜日はのらくろがかわいそうだから、あの…うちへ遊びに来てくださいよって全国からね山のような手紙が編集部に届いたんだよ」
マリ子「まあ!」
水泡「僕も驚いたな~」
マリ子「つまりそれほどのらくろは愛されてるっていうかみんなの友達なんですね」
水泡「そうなんだよ。それで僕は考えたね。そのみんなの手紙を読んでね。そうだ、僕はね『少年倶楽部』なんか買えないみんなのためにね『のらくろ』を描こうって思ったんだよ。だってそうじゃないか。そうすればみんなで回し読みができてさ、そして『のらくろ』について話し合えるじゃないか。そうすりゃ少しでもねのらくろみたいに陽気で元気で生き生きと頑張ってくれるんじゃないかと思ってね。僕はそう思って『のらくろ』を描いてるんだよ」
三吉「はい! 『陽気で元気に生き生きと』ですね!」
水泡「うん。三吉君も頑張ってな」
三吉「はい、頑張ります!」
ハチワレに四ツ白が縁起悪いなんて初めて知ったな~。ハチワレも、足先が白いのは靴下はいてるみたいって人気があるのにね。
水泡「援護部隊が来てるんだから我々連隊も頑張らなくちゃ」
マチ子「はい! マチクロ二等兵、張り切っています!」
水泡「うむ。それでは行動開始!」
マチ子「はい!」
今日の様子ではまず一安心のマー姉ちゃんでした。