徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】金の卵

1952年 日本

 

あらすじ

芸能界に公私ともに翻弄される、スターの卵の葛藤を描く人間ドラマ。新進女優として売り出し中の島崎雪子が自身と重なる役を熱演するほか、舞台となる撮影所で、映画人が豪華に顔を見せるのも見所。電気工場で事務員として働く藍子(島崎雪子)は、親戚が無断で応募した映画会社のニューフェイスに合格し、同期の芳子(香川京子)の代役を務めたのを機にスター街道を駆け上がるが、兄の啓治(小林桂樹)や恋人の勉(小泉博)らとの関係に亀裂が生じ始める。

未ソフトなどと言われると弱い。オープニングでいろんな知ってる名前が出てきた。音楽は古関裕而さん。

 

同じ会社で働く美男美女が会社帰りに満員電車に揺られながら女性の実家で一緒に夕ご飯を食べる。

 

藍子の元には東邦ニューフェイスの二次審査通知の手紙が届いた。身に覚えのない藍子は翌日、会社の同僚にも聞いてみるが知らないと言う。

 

黒縁丸メガネの女性が「私が代わりに受けてこようか?」「君鏡見たことある?」「まあ失礼ね」出たー、昭和27年の容姿いじり。昔から日本人ってそういうの好きだよね。

 

藍子を推薦したのは甥っ子で推薦者には1万円もらえるということで勝手に写真を送っていた。

 

試験場には杉葉子が通りかかり、面接には越路吹雪原節子などがいた。同期の芳子は母が女優・藤村つる子(杉村春子さん)で本人にそれほどやる気はないというが、藍子共々試験に合格した。ホント美男美女〜。

 

ダンス、歌、座学など毎日レッスンの日々。藍子も美容体操を家でやっている。ショートパンツからでた脚はスラリとしてめちゃくちゃ長い。これが昭和一桁生まれのスタイル?!

 

ある日、藍子の恋人・勉の住むアパートに灯りがついていた。中には藍子が待っていた。抱き合う二人だったが、藍子が「お腹ペコペコ」え、料理とか作ってたんじゃないのか。二人で大衆食堂に行く。

 

同期の芳子にいち早く役が決まる。複雑な気持ちの同期メンバーだが、芳子は病気で降板することになってしまい、代わりに抜擢されたのは藍子。

 

初映画の舞台挨拶の日、芳子は亡くなった。ええー!!! 舞台衣装のまま、花束を持って駆けつけた藍子は泣き崩れた。

 

以降、スターの階段を駆け上がる藍子。しかし、弟の俊夫は女性の同僚たちからサインをもらってくるようにいわれ、それを見ていて「モテてる」と勘違いした男の同僚たちからは、食事代をおごらされる。いつもの大衆食堂には藍子のアサヒビールのポスターが貼られた。

 

たまに実家に帰っても姪っ子や弟にお小遣いをやる藍子に兄はいい顔をしない。以前の職場で同僚と会って話しても工場長と一緒に写真撮影したり忙しい。事務員の女の子が言っていた“とんでもはっぷん”ーとんでもないこと。昭和25年前後の流行語。

 

千葉の実家を出て、渋谷の叔父の元で暮らしている藍子はお金の管理も叔父夫婦に任せていた。これまでの5倍のギャラで1年4本契約。何やら悪い企みしてないか?? 叔母が沢村貞子さん。

 

芳子の命日は同期で芳子の母の元に集まるのが恒例になっていたが、藍子は社長のパーティーに呼ばれていて行けない。同期の男にお金を渡して、花とお菓子を買うよう頼んだ。芳子の家には同期の男女二人だけ。京子はなかなか芽が出ずやめようと思っていたが、つる子が励ました。

 

勉の誕生日。パーティー帰りの藍子が高級時計をプレゼントに持ってきた。ご馳走も作って待っていたそうで、勉、なかなかマメな人だ。藍子がコーヒー沸かし直すね、と火鉢か〜。

 

藍子は電気工場のポスターになった。同僚から藍子は社長や映画監督の妾なんだろ?とやっかみを受けて喧嘩する俊夫。

 

藍子のギャラで洋風の家が建ち、俊夫は大学へ通い始めた。家に三國連太郎が遊びに来る世界。すごいな。実名で出てくる俳優はいわゆる友情出演で1カットだけ。

 

叔父のいうまま、建設会社の社長に会い、二次会?は叔父とキャバレー?へ。そこには女優を辞めた同期の京子がいた。

 

酔っ払って実家に帰る藍子。藍子が新しく建てた家に母と俊夫が住んでるってことかな。藍子は遅刻した。まぁ〜偉くなってと端役たちに噂された。

 

叔父や俊夫は金遣いが荒くなった。叔母も遊び回ってる罰だと叔父に指輪を買わせ、俊夫の元同僚の大森たま子が訪ねても、冷たく追い返した。

 

たま子は勉に相談していた。なんとたま子には子供ができていた。勉が藍子に会いに行って話をするが、その方を幸福にするためにはどれくらい必要かしら?と叔父に処理させると言い、部屋を出た。

 

藍子は京子の店に行き、そのやりとりを再現して、どうにもできないと泣き出した。翌朝、また遅刻。タクシーに飛び乗る。

 

撮影所へ向かう途中、藍子が乗っていたタクシーとトラックが正面衝突し、タクシー運転手、トラック運転手、助手もろとも死亡。藍子だけが助かるが、映画は降板。松葉杖をついた藍子は俊夫にたま子に向き合うように言う。

 

再起不能と言われひなびた温泉宿で半年ほど過ごしていた藍子にプロデューサーは、藍子にびっこの役を持ってきた。しかし、すっかり脚が治っている藍子は断った。

 

藍子は、芳子の母・藤村つる子と共演作で女優復帰することになった。主役ではなくなり、アサヒビールのポスターも別の人に代わった。楽屋から撮影スタジオに入る道すがら、東邦ニューフェイスの応募者が列をなし、三島藍子だと騒ぎ始めた。二人はその声を耳にしながら撮影スタジオに入っていった。(終)

 

スターの華やかな世界だけじゃなく、社長とパーティーとか家族の金銭感覚が狂うとか闇の部分も描いていたのが面白かった。ただ母や兄は終始浮ついたところはなく、母は立派なお屋敷より兄家族の住む家の方が好きそうだった。兄はあまりセリフはなかったけど小林桂樹さん。

 

俊夫がたま子とどうしたか、藍子と勉の仲は、その後どうなったのか。終盤、藍子が俊夫に男物の時計をあげていたのは、結局勉から返されたとかそういうことだったりするのかな?

 

藍子と勉は同僚で割と気軽にお互いの家を行き来してたり、結婚前のたま子に子供ができたり、想像してた昭和27年の世界とは違った。