1978年 日本
あらすじ
原作・松本清張×監督・野村芳太郎の黄金コンビが、子殺しというショッキングなテーマを鮮烈なタッチで描いた問題作。切っても切れない親子の絆を描いた異色ドラマ。緒形拳、岩下志麻、小川真由美共演。
印刷屋の主人・宗吉(緒形拳)は、愛人に生ませた3人の子を引き取るハメになる。強気な妻・お梅(岩下志麻)は子どもたちに冷たく当たり、その結果、三男が死亡。気弱な宗吉は、残りのふたりもどうにかしなければと追い詰められる……。
2024.10.5 BS松竹東急録画。前に見たような気はする。録画していた松本清張原作映画は、これで最後かな。
昭和53年度芸術祭参加
利一が「ガッチャマンの歌」を歌っている。上半身裸の女の子と赤ちゃんもいる。利一がランニング着てるのに、同じか下くらいの良子(よしこ)が上半身裸なんてやめてよ。子供たちの様子を見ていた菊代はイライラ。子供たちに服を着せ、出かけた。
男衾(おぶすま)駅
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製作:野村芳太郎
野村芳樹
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脚本:井出雅人
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音楽:芥川也寸志
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協力:三協精機
京福電鉄福井支社
石川県富来観光協会
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お梅:岩下志麻…字幕黄色
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竹下宗吉:緒形拳…字幕緑
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(子役)
利一:岩瀬浩規
良子:吉沢美幸
庄二:石井旬
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刑事:鈴木瑞穂
阿久津:蟹江敬三
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医師:加藤嘉
福祉係:浜村純
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捜査課長:梅野泰靖
捜査係長:山本勝
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印刷屋の男:山谷初男
新幹線の車掌:三谷昇
アパートの管理人:江角英明
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水口:穂積隆信
主婦:檜よしえ
松田史朗
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堀北幸夫
松山洋紙店店員:松井範雄
刑事:加藤潤
刑事:渡辺紀行
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市丸得雄
城戸卓
岡本忠行
能登の宿の主人:山本幸栄
塚田一彦
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河村久子
遠藤慎子
中沢敦子
有賀ひろみ
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溝口貴子
藤あゆみ
五十嵐美恵子
光映子
大島美鳥
石井ひとみ
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木村:大滝秀治
警官:田中邦衛
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婦警:大竹しのぶ
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菊代:小川真由美…字幕水色
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監督:野村芳太郎
道を聞きながら歩いていった菊代と子供たちは竹下印刷前に到着。しかし、引き返して食堂に入った。
印刷所では仕事を終え、お梅が従業員の阿久津に明日の仕事のことを話していると、菊代が「いますか?」と訪ねてきた。誰のことか分からないお梅。宗吉が顔を見せると利一や良子が「父ちゃん」と言い、お梅は驚く。
とりあえず外へと宗吉が出ると、菊代はお金を受け取りに来ていた。お金のない宗吉が明日とごまかしていると、お梅が出てきて、ご近所さんに聞こえるから家に上がって話をするように言う。菊代もいい機会だと家に上がる。
宗吉の世話になって7年。鳥料理屋の女中をしていた菊代。7年も騙されていたお梅はいきさつを聞かせて欲しいと言う。ちどりという店で招待されて店に来た宗吉は要領も悪く、菊代はあれこれ世話を焼いているうちにそういう関係になった。夕一(ゆういち)って名乗ってたのね。
子供ができて、お腹も目立つようになり、菊代は「産んじゃいけない?」と聞くと、宗吉が子供が欲しかったと喜んだ。宗吉の印刷所は火事になったり、一気に落ち目になり、宗吉と菊代は痴話喧嘩を始めた。
お梅は私と一緒になったから店も持てたのよ!と何度も宗吉をビンタした。ほんとにあんたの子?と宗吉に聞くお梅。オロオロするばかりの宗吉。菊代は責任取ってもらいますからねと居座った。お梅は、その晩は蚊帳もないところで布団だけ貸した。
菊代は高笑いして、子供が3人もいるから頭に来てんだろうと指摘し、子供は置いてくよ!と出て行ってしまった。
宗吉は菊代を追いかけて川越市駅まで行ったが、菊代の姿はなかった。
翌日、子供たちを連れて菊代が暮らしていた家に行くと、菊代はいなくなっていて、近所の主婦たちが預かっているものがあると荷物を渡した。おお、檜よしえさんいた。菊代は主婦たちには故郷の山形に帰ると伝えていた。
子供たちと公園の遊具で遊ぶ宗吉だったが、結局は印刷所に連れ帰ってきた。お梅は他人が産んだ子の面倒は見ないと言う。お梅は水口にあの3匹は宗吉が外で作った子だよと嫌みっぽく言う。水口は男なら一度は夢見るとニヤニヤ。お梅はイライラを子供たちにぶつける。
宗吉は銀行の木村に貸し付けの相談に行ったが、最近のやり方はあざといと断られた。
竹下印刷
松山洋紙店との付き合いもなくなり、イライラしたお梅は庄二の口にご飯を詰め込んで泣かせていた。
お梅に怒鳴られた利一は良子と公園に行き、遊ぶ。
夜中、利一が宗吉を起こした。庄二があぶくをふいてると言い、翌日、病院に連れていくと慢性の消化不良と診断された。栄養が足りていないと医師に怒られた。
家に帰り、宗吉が庄二にミルクをあげていると、急いで仕事を取りに行くようにお梅にせかされた。
利一と良子は公園で遊び、宗吉は子供たちの服の洗濯。印刷所に戻り、お梅が2階にいると阿久津に聞き、恐る恐る階段を上るとお梅が紙の整理をしていて、庄二がシートの下で寝ていた。
阿久津が印刷所を辞めたいと言うが、宗吉は上の空で手首を強くこする。
宗吉は菊代を探し回ったが見つからなかった。
ある夜、庄二を抱えて病院へ駆け込んだ宗吉。しかし、庄二は消化不良による衰弱死してしまった。家に帰った宗吉にお梅は心配事が一つ減ったろ? 子供たちを見てるとあの女を思い出して気が狂いそうになると叫んだ。
利一と良子は庄二の墓参りに行った。
その後、宗吉は良子だけを連れて川越市駅へ。利一が探し回り、お梅に聞いても無視。それにしてももうちょっとうまい子役いなかったのかなあ。あんまり子役の演技力は重視してなかったのね。
デパートに連れていった良子は宗吉の耳元で「よっ子はお父さん好きですよ」とささやく。宗吉はお父ちゃんの名前言えるか? 所番地言えるか?と聞くが、お父ちゃんの名前はお父ちゃん。家は紙がいっぱいあると答えた。
展望台に行き、良子が望遠鏡を覗いてる間にエレベーターに乗り込んだ宗吉は東京タワーに良子を置き去りにして、そのまま帰った。
竹下印刷
よっ子いないもんと利一に言い、宗吉に表で遊んでろと怒鳴られるが、阿久津にもしつこく聞く。お梅は青酸カリを手に入れ、少しずつ飲ませて体を弱らせようと提案した。
庄二の上にシートを乗せたのは、やっぱりお梅なのか! お梅は良子のことは知らないよ!と宗吉に言う。
利一は大人の後をついて男衾駅に行き、前に住んでいた家を見にいった。
お梅は利一がいなくなったことを宗吉に話した。利一が誰かに話したら…と心配するお梅と宗吉。家の前にパトカーが止まる。警官が男衾付近を歩いていた利一を連れてきた。利一は宗吉の名前も住所も言え、弟妹の話もした。宗吉は妻は病に伏せっていて、庄二が亡くなり、良子も親戚に預けて寂しかったんだろうと言い訳した。
宗吉は利一を連れて動物園へ。菓子パンを買い、園内を歩き回る。利一は菓子パンをちぎって猿に投げた。ダメだろ〜! 宗吉は残っていた菓子パンに青酸カリをふりかけた。
夕方、帰る前にこれを片付けちまおうと菓子パンを利一に渡した宗吉だったが、利一は少し食べて吐き出した。宗吉は、ほら、食え!と無理矢理口に入れたところを通行人に見られ、やめた。利一に帰ろうと言われ、すすり泣く宗吉。
熱海の錦ヶ浦は死体が何日も上がらないと言うお梅。
今度は新幹線に乗って出かける宗吉と利一。乗り越して米原駅で降り、岸壁へ向かう。
宗吉は利一を連れて居酒屋へ。太鼓の生演奏があって賑やか〜。
駅の待合室で利一を寝かせていたが、能登のポスターが目に入り、能登の海を見に行った。福浦旅館に泊まった宗吉と利一。夜、酒を飲みながら印刷屋で10から働いていたと語る宗吉。生まれた時には父は亡く、母も6つのときにいなくなった。親戚をたらい回しにされ、弁当を持たされずに学校へ行き、誰もいない運動場で昼を過ごした。奉公に出した叔父さんがお給金を何年分も前借りしていて、宗吉はお給金をもらえなかった。叔父さんに置いてけぼりにされたと涙ながらに語る。
翌日は小さなフェリーに乗って出かけた。関野鼻というバス停で降り、岸壁へ。結局、突き落とすことはできなかった。眠ってしまった利一に上着をかぶせ、再び岸壁に向かった宗吉は利一を落とし、利一の持ち物も海に投げ込んで岸壁をあとにした。
後日、関野鼻に警官が集まっていた。漁師が松の根に引っかかっている利一を見つけた。心中ではない、利一は完全黙秘を貫く。婦警が名前やほかの情報を聞き出そうとあれこれ質問をした。カニを取って、寝てたら落っこっちゃったと話し始めた。
今度は刑事が厳しく問い詰める。警察署に来た印刷屋が利一の持ち物の石を石板印刷に使う石だと言い、刑事たちが興味を示す。
阿久津はとうとう田舎へ帰って行き、宗吉とお梅だけが残った。そこへ刑事が訪ねてきた。
新幹線で能登に向かう。
警察署で利一と対面した宗吉。利一は「違うよ。父ちゃんじゃないよ。父ちゃんなんかじゃない。知らない人」と繰り返す。「勘弁してくれ」と何度も言い、泣く宗吉。
お、最後の最後に浜村純さん。利一は福祉係の男に連れられて車に乗った。(終)
なんちゅー胸糞映画だよ、ええ!?
2002年のビートたけし版を見たような気もする。利一が万事いろいろうまくやれば子供が死ぬことはなかった。お梅は酷いっちゃ酷いけど、被害者でもある。