明日放送🌅
— 日本映画専門チャンネル (@nihoneiga) October 8, 2024
「#日本の青春」未ソフト化📀
◆10/9(水)午後5時5分~ほか#遠藤周作 の小説「#どっこいショ」を#小林正樹 監督が映画化📽️
戦争とは青春とは。
戦中世代に思いを馳せる
見所がある作品👤#藤田まこと #新珠三千代 #黒沢年男 #酒井和歌子 #田中邦衛https://t.co/miLdys0DGl pic.twitter.com/oiZyAwdenv
1968年 日本
あらすじ
遠藤周作の小説「どっこいショ」を映画化したヒューマンドラマ。戦争中に上官から暴力を受けて耳が不自由になった男(藤田まこと)は、戦後特許事務所を開いて平凡に生きていたが、ふとしたことからその元上官・鈴木(佐藤慶)と、初恋の女性・芳子(新珠三千代)に再会し、青春の心の傷が疼きだす。そんな時、長男の廉二(黒沢年男)が交際している女性・真理子(酒井和歌子)が鈴木の娘だと知り・・・。
2024.10.9 日本映画専門チャンネル録画
最初に川本三郎さんの解説あり。喜劇役者の藤田まことが初めてシリアスな役に挑んだ。田中邦衛が新珠三千代に読む詩は立原道造の「逝く昼の歌」。
東宝株式会社配給
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東京映画作品
作者の声から始まる。この声、聞いたことある。そして、白黒なんだね。満員電車から降りる人々の中に白髪混じりの善作がいて「蒸発したいと思ったことありませんか?」と女性からインタビューを受ける。善作は女性から声をかけられて、右耳にイヤホンのようなものを入れた。
蒸発したいと思ったことはないと言う善作。「3人家族」の敬子たちの父もだけど、蒸発が流行ってたの!? 結婚して20年、妻と息子と娘がいると女性に問われるまま答える。蒸発したいと思ったことはないかと再び聞かれ、ないと言うとさっさと行ってしまうインタビュアー。
この温かい語り口、聞いたことあるぞ~。トボトボ歩く善作にもうちょっとシャンとならんかねとツッコミを入れる作者の声。
ビルに入り、うっかり隣の碁会所に入りそうになった善作。
内外特許商標/向坂特許事務所に入っていく。
職場の席に着き、どっこいしょ。
どっこいショより
原作:遠藤周作
読売新聞連載講談社版
社員の妙子、金子が入ってくる。
脚本:廣澤榮
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音楽:武満徹
12時10分過ぎ、昼休みになり、出前のざるそばをすする善作。
向坂善作:藤田まこと…字幕黄色
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英芳子:新珠三千代…字幕水色
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向坂廉二:黒沢年男…字幕緑
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向坂美代:奈良岡朋子
遠山正介:花沢徳衛
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竹内亨
酒井軍曹:山本清
金子和夫:橋本功
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児玉泰次
田中幸四郎
尾瀬俊子
若い母:川口敦子
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向坂咲子:菊容子
大下育子
平山妙子:水木梨恵
大川能子
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岡田:守田比呂也
戸川:田中志幸
菅沼正
北代絢
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阿部博
西原純
ロブ・エルジンガ
デヴィット・ロジャース
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ナレーター(作者の声):三島雅夫
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監督:小林正樹
声だけで三島雅夫さんと分かった! キャストクレジットが流れる間も絶えず、善作にツッコミを入れる作者の声。お昼を終え、席で居眠りする善作にどう見ても魅力ある主人公とは言えませんな。こんなさえない男を映画の主人公に選ぶなんて損じゃないかな。しかし、作者は、こういう男が好きなんだから仕方ないと語る。
金子は自分の席で雑誌を見るふりをして、妙子のミニスカートから出ている足をのぞき見。妙子はメイクに夢中。
3時過ぎ、外出から戻った善作は、金子と妙子の熱いキスシーンを目撃し、再びドアを閉めた。
午後4時44分。仕事中の善作。金子と妙子は先に帰っていった。金子は耳が不自由な所長(=善作)を少しバカにした感じ。
出陣学徒壮行会
善作の友人・大野が「俺たちどうなるんやろう」と不安を漏らす。二人とも学生服。
金子役の橋本功さんと大野役の田中邦衛さんは「若者たち」では兄弟だった。
向坂の下宿先に来ていた大野。上がセーラー服で下がモンペの芳子が芋を持ってきて、大野に詩を読んでほしいとせがむ。これが立原道造の「逝く昼の歌」なのね。
大野に赤紙が届いた。善作の下宿先というわけではなかった。
その夜、大野の壮行会が行われた。男たちは酒を飲み「露営の歌」を歌う。
「国家ってなんや? 俺たちを幸せにしてくれる代わりに、こない惨めにする国家ってなんや?」と大野は善作に問いかけた。大きくなったら小さなうちを建て、家族を作り、おふくろと暮らすのが夢だったと言う大野。
あれから23年。くたびれた中年になった善作。家に帰ると妻の美代からくどくど文句を言われる。でもさ、何も言わずに夕飯食べてきたと言われたら、文句言いたくなるけどな。あ、この映画でもアブラムシって言ってる。ゴ×××だよね?
戦中派だが、ベトナム戦争に無関心を貫く。
美代に言われて、息子の廉二と話す善作。大学受験を前にした廉二は勉強する意味が分からない。
予備校で同じ一浪の真理子と知り合った廉二。
遠山という発明家が男はみんな痴漢の要素を持っていると痴漢防止用パンティーを持ってきた。悪臭を放つガスをつけたカプセルを取り付ける。善作は、このパンティー買ってはくかね?と妙子に聞くと「痴漢にあったほうがマシですわ」と答えた。パンティーって響きがやだわ。職人役が多い花沢徳衛さんがオシャレなベレー帽をかぶっている。
金子は銀座のバーのマダムに知り合い、所長が向坂と言うとあれこれ聞かれ、詩を書いた紙をもらったと言う。詩は大野が芳子に読んだもの。遠山がいる間は無関心を装ったが、遠山が帰ると、金子がクズ箱に捨てた紙を探した。
街では「ベトナム戦争反対!」と叫ぶ学生たちが立っていた。廉二は本屋で名越達彦という作家を見かけ、一緒のバス停に並んだ。この人、竹内亨さんかな?
横入りしてきた男性に注意した廉二は男に殴られたが、名越はじめみんな無関心でバスに乗った。しかし、岬という青年が男の手首を捻り、謝らせた。岬は自衛隊になる前は浪人だったと廉二に言った。横入りした男は松崎真さんだと思う。
Bar英(はなぶさ)
まだ準備中のところへ入った善作は芳子との再会した。
回想
善作の壮行会で「日本陸軍」が歌われた。
荷物をまとめた善作の部屋に芳子が入ってきた。世話になったなとお礼を言う善作。
警戒警報が鳴り、すぐラジオをつける善作。これが俺たちの青春かとつぶやく。俺は兵隊に行かない、入営しないと芳子に言い、芳子に口止めして作戦を話した。B29がばら撒いたチラシによれば、善作が大阪の高槻に入営する前日、名古屋で空襲がある。善作は大野の母がいる名古屋に行き、名古屋の空襲で死んだことにする。
防衛大学を見学に行った廉二。こんなまるっきり軍隊っぽいんだ。廉二は人を殺すためなんでしょと率直に質問する。アメリカか自民党のためでしょと言って、全学連か?と自衛隊員に責められる。規律正しい生活がしたくて自衛隊員になったのいう青年もいた。
廉二が防衛大学に見学に行ったことを責める真理子とケンカ別れになった。
大野の墓参りをしようと言う芳子と善作。芳子の亡き夫は理研に勤めており、どんな高熱にも耐える合成樹脂の発明していた。
善作は遠山にこの発明を買ってくれる実業家はいないかと相談した。
今度は遠山を交えて話し合い。遠山は知り合いに声をかけるとし、芳子も善作も自分も戦中派だと酔っ払って「消灯ラッパ」を歌う。
♪新兵さんはかわいいよね
また寝て泣くのかよ
ほかの客も一緒になって歌う。
帰りの遅い善作に文句を言う美代。女がいると言われ、ギクっとしたが、廉二あてにきた手紙を勝手に開けて読んでいた。防衛大学を受けることが書かれていて、美代は相談されなかったことは腹立たしいが、毎月9200円くれて、ボーナスも出ることには関心を寄せていた。
横浜の根岸に行き、社長の鈴木を紹介した遠山。鈴木は善作を戦争中は同僚だったとにこやかに笑いかけたが、善作は鈴木が差し出した手を握ることができなかった。
回想
倉庫に盗みに入っていたオピンズルという米兵捕虜? 善作はオピンズルをかばったが、結局、鈴木に見つかり、責められた。ヒンソンという弱った戦友のために米を盗んだのだとオピンズルをかばい続ける善作に竹刀を渡し、オピンズルに体罰を加えるよう命じる鈴木。竹刀を振り上げた善作にごめんなさいと言うオピンズル。「自分にはできません」と断った鈴木にめちゃくちゃ殴られ、竹刀で叩かれ、右耳をグリグリ突かれた。
港
善作はこんな耳にしたのはあの男ですと芳子に言うと芳子は鈴木にはっきりお断りしますと答えた。明日にでも手紙を出して原稿を返してもらう。
善作が家に帰ると、美代から真理子が来たと報告を受けた。笑顔で歓迎する美代。美代は明るくていい娘だとすっかり美代が気に入り、いろいろ話した。横浜の根岸で工場を経営している…父の名は鈴木武則と聞いて、慌てて風呂から上がった善作は廉二の部屋に行き、受験生なのだから勉強しなさいと暗に真理子との付き合いを禁じた。それでも引かない廉二に真理子の父親は、お父さんの耳をこうした人だと言った。
遠山から鈴木が芳子と連名で再申請したいと話していると聞いた善作は芳子に話を聞きに行った。芳子が断りの手紙を出す前に鈴木から悪いようにはしないからと言われ、断りきれなかったと言う芳子。
がっくりとうなだれて歩く善作に「女なんてそんなもの」と語りかける作者。善作が事務所に戻ると、芳子がお詫びに来た。鈴木は今度銀座に建てるビルに入ったらどうかとも提案されていて、店を移したいと考えていたところだったので、その話も受けようとしていたが、断ると言う。
真理子は廉二にパパに会って、本当かどうか聞いてちょうだいと言う。廉二は僕の父の耳をつんぼにしたんですか?と直球で聞くが、鈴木はシラを切った。殴ったことはあったが、当時の秩序を知らない、君のお父さんは臆病だと言う。廉二は鈴木を責め、真理子はパパを恥ずかしがった。君は君だと言う廉二。
バスに乗っていた廉二は善作と芳子が歩いているのを見かけ、なかなかやるじゃねえかとニヤけた。これが息子の反応なのだろうねえ。
芳子から鈴木が店にしょっちゅう来て、結婚してくれと言われていることを聞いた善作は嫉妬する。
家にそのまま帰りたくなく、街をぶらついていた善作は廉二と会い、屋台のラーメン屋へ。女の人と歩いていたねと言われて、仕事上の…と言い訳し、だから大学に入れないんだと廉二を責めるようになことを言い、ケンカになった。
屋台を出た善作は消防車のサイレンを聞いて、空襲を思い出し、芳子のアパートを訪ねたが、うまく切り出せなかった。だが、帰り際、芳子を抱きしめた。
家の前まできた善作は廉二の部屋の窓に小石を当てて起こそうとしたが、玄関に灯りがつき、美代が立っていた。善作を家に入れた美代が大声を出して泣いた。廉二から女性と歩いていたことを聞かされていた。夫婦ゲンカをしていると、廉二は嫌な家庭だな。お母さんは愚痴ばっかり、お父さんは卑怯だと責め、家出した。
遠山から芳子が鈴木の話を受けたと聞き、ショックを受ける善作。鈴木は芳子の夫の発明を防衛庁に売り込もうと考えているらしいと鈴木の部下の戸川から聞いたと言う。
善作が芳子の店に行くと、鈴木がいた。鈴木は善作とはっきり決着をつけたい、善作をグズで無能だと罵る。善作も二度と会いたくないとあの日のことを語り始めた。左耳は全く聞こえず、右耳は補聴器なしでは聞こえない。鈴木は善作の言うことを弱虫だと切り捨てる。
善作は鈴木が防衛庁に売り込んだことを話すが、鈴木は芳子の夫の発明からも芳子自身からも身を引くように言われた。芳子から鈴木のビルで店を出すことを知り、善作は店を出た。
まだ帰らない廉二。美代は捜索願を出すべきか善作に相談したが、返事もせず、出勤する。
「しばらく旅をする。案ずるな」と家に帰らなかった善作。咲子は真理子と一緒に廉二に会いに行き、善作のことを伝えた。美代は善作が女と出て行ったと思っており、にやける廉二。
名古屋の大野の墓参りに行き、大野と心で対話していた善作。芳子は廉二に話を聞き、墓に来て、廉二の手紙を渡した。芳子のことが信じられないと言う善作。戦争中、諦めるということを学んだ芳子だが、善作が鈴木から逃げなかったら希望が持てると懸けていた。芳子は家族の元に戻るように説得した。
一晩考えて家に帰らないとしたら、明日の朝10時に名古屋駅で会いましょうとその場は別れた。
回想
ビラ通り、3月12日、名古屋で空襲があり、人々は逃げ惑った。善作は焼死体に自分の学生服を着せ、タスキをかけた。遺体と思ったら口が動いた! 勘弁してくれと走り去った善作。赤ん坊を抱いた若い母が水をくださいと叫び、善作は手に水を汲んであげた。女性は目が見えておらず、善作がおにぎりを手渡した。
俺だけじゃない、みんなつらい思いをしていると気付いた善作は翌日、高槻に入営したと芳子に話した。
善作は芳子の好意を受けるわけにはいかない、妻や息子を見捨てるわけにはいかないと芳子に言う。え〜!? なに、芳子をフった感じにしてんのさ?
家に帰った善作。玄関のクモの巣を取っておきなさい、お茶などといつも通り振る舞う。帰ってきた咲子は善作の顔を見て、すすり泣き、部屋へ上がって行った。お父さんの他、頼る人いないんですからねと泣く美代。
好きなように生きてくれと手紙にバイト代を入れていた廉二にお金を返しに行った善作は改めて防衛大学に入らないようにということと家に帰るように言った。
真理子が声をかけ、外に出た廉二。真理子もまた防衛大学行きは反対。
妻や子供たちを幸せにしたいとまたいつもの満員電車の生活に戻った善作。(終)
もうちょっと妻に目を向けてもいいのにね。自分にすがりつくだけの愚痴っぽい女と思ってないか!? だけど、戦中派の思いに見応えがあり、面白かった。