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【ネタバレ】江戸川乱歩の陰獣

1977年 日本

 

あらすじ

ミステリーブームの「ルーツ」であり、戦前戦後にわたり推理界の巨星であり続けた江戸川乱歩の小説を映画化。独特の猟奇趣味と恐怖性全開の淫靡さの中に、二転三転するトリックで見る者を混乱に突き落とす。

「私は先生のファンです」。探偵小説作家の寒川に近づいてきた女、うなじに赤いミミズ腫れのある人妻の小山田静子は、寒川の男心をそそった。その静子が、推理作家・大江春泥から脅迫されていると訴えてきた。

2024.10.11 BS松竹東急録画。内容的にどうかな、と思ったものの、あおい輝彦さん、香山美子さんじゃ「おやじ太鼓」ファンとしたら見るっきゃない!

 

仏像をじっと見ている寒川。自ら本格派探偵小説作家・寒川光一郎とナレーション。近頃は探偵小説界に変革派と称する者が出てきた。例えば、大江春泥(しゅんでい)のような。寒川は大江のような輩を軽蔑し、不賛成だと言う。本格探偵小説のセオリーに従ったものを書き続け、世界の作家に挑戦していくつもりだと語る。

 

寒川の脇をうなじに傷のある美しい和服女性が通りかかり、思わず見とれる。

 

東京国立博物館前に立つ寒川。女性も博物館を出ていった。ここでタイトルが画面いっぱいに出る。時代は大正か昭和初期くらい?

 

原作:江戸川乱歩

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製作:白木慶二

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脚本:加藤泰

   仲倉重郎

 

車中、何よ、あのトリックはとカメラマンの女性にツッコまれている寒川。小説が次々映画化され、京都の撮影所で「湖畔亭殺人事件」がお盆の超特作として映画化されたため、撮影のクライマックスの見学と主演女優・宮島すみ子との対談があり、関西旅行に出かけている。

 

音楽:鏑木創

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挿入画:林静一

林静一「四季の七色」POST CARD

林静一「四季の七色」POST CARD

  • 作者:林 静一
  • 株式会社東京四季出版
Amazon

関西旅行に随行したのは博文館の外交記者・本田達雄と若い女の写真記者。女性カメラマンは女が描けてない、女を知らない、恋愛したことないんじゃないの?と寒川にしつこく絡む。

 

寒川光一郎:あおい輝彦…字幕黄色

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小山田静子:香山美子…字幕水色

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宮島すみ子:倍賞美津子

増田芙美子:加賀まりこ

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市川荒丸:川津祐介

植草河太郎:仲谷昇

糸崎検事:中山仁

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植草京子:野際陽子

ヘレン・クリスティ:田口久美

佐々木初代:任田順好

前衛劇スター:花柳幻舟

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青木民蔵:尾藤イサオ

支配人:汐路章

ピエロの小母さん:石井富子

一銭蒸気のお婆ちゃん:菅井きん

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津軽じょんがら節〟

三味線:木田林松栄(津軽三味線名人)

    高橋祐次郎

唄:浅利みき

津軽じょんがら節

津軽じょんがら節

  • 浅利みき
  • 演歌
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

太鼓:佐藤寿昭

踊り:大瀬社中

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原田力

田川勝雄

滝佐太郎

園田健二

加島潤

小田草之介

今井健太郎

岡本忠幸

立原潮

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大杉侃二朗

小森英明

中川秀人

木村賢治

志馬琢哉

椿淳司

羽生昭彦

城戸卓

沖秀一

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村上記代

原和子

茅野タカ

泉マキ

みのわかよこ

高木信夫

土田桂司

長谷川英敏

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東京バレーグループ

アート ダンサーズ

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映画スター:中野英治

オコゼ:倉田準二

女流カメラマン:桜町弘子

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小山田六郎:大友柳太朗

一銭蒸気の係員:藤岡琢也

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本田達雄:若山富三郎

 

クレジットが出てる間も映画の撮影に行った寒川たちの様子が描かれている。カットがかかると寒川の元に女性たちが集まり、サインを要求する。寒川は宮島すみ子と握手して写真を撮られる。

 

監督:加藤泰

 

寒川は講演会もやっていた。「彼を軽蔑し、大変不賛成である」って、大江春泥のこと言ってるんだろうね。

 

本屋で買い物した寒川は店を出たところで静子と再会。喫茶店で話し込む。静子は寒川のファンで全作品を読んでいて、小山田静子と自己紹介し、主人は碌々商会の小山田六郎だと言う。主人は事業が趣味で小説は読まないと静子は笑う。さらに寒川が大江春泥の友達なら住所を教えてほしいと言う。寒川は居所不明の男で住所は知らないと答えた。

 

茶店を出る時、静子は、これからお手紙差し上げてもよろしいでしょうか?と言って去って行った。本田も小山田静子を知っていた。

 

小山田はイギリス人女性のヘレンに碁を教えていた。同席しているのは植草夫婦。碁を打つ音がたまらないというヘレン。なんだ、この雰囲気は。

 

締め切りが迫り、原稿が進まない寒川。山の上ホテルで缶詰になっている寒川の様子を見にきた本田は下宿先に届いていた手紙を届けた。

 

下宿先に小山田静子が来ていると聞いた寒川は原稿の締切日だというのにホテルを飛び出して、静子に会いに行った。静子は寒川に相談があると切り出し、手紙を差し出した。全部消印が違う大江春泥からの手紙で大江春泥は本名・平田一郎。静岡出身の静子は女学校4年18歳のころに平田と付き合い出したが、執着がすごくて別れたかったころ、父の商売がうまくいかずに一家で彦根へ引っ越したと寒川に話した。

 

最近、静子を復讐するという手紙を送りつけてきた春泥。寒川は怒り、一緒に春泥を捜して捕まえようと提案した。

 

編集部

ラジオで早慶戦を聞いている編集部員たち。

 

春泥に小説を書かせたい本田と静子と待ち合わせした寒川と吾妻橋に向かった。本田が見かけた春泥の顔と静子の知っている春泥の顔とは別人だが、とにかくピエロみたいな格好で道端でチラシを配る男を追いかけた。

 

津軽じょんがら節を生演奏しながら、首なしピエロの奇術を見ている本田と寒川。演目が終わっても透明な箱に寝かされている首なしピエロを見張っていたが、男たちに追い出された。しかし、後でこっそり顔を確認すると春泥ではなかった。

 

それからひと月。毎週、春泥から脅迫の手紙が届くと静子から連絡が来ることを嬉しく思う寒川。

 

ある日、寒川は小山田亭に招待された。手紙には寒川と組んでいることも知っていて、夫婦生活も見ていると書かれていた。私はお前を殺すという文言に怯え切っている静子は、このうちの中に平田さんがいると声をひそめた。

 

コチコチと腕時計の音がすると言う静子は、天井の反り返ったところにいると思っているので、寒川は屋根裏に上がった。静香は棒で天井をつついて場所を指示する。天井の穴に向かって、平田さん、許してくださいと訴える静子。寒川は別の降り口を見つけた。

 

静子は主人に全てを話して警察に言うと言うが、寒川は反対し、天井裏のない洋間で寝るように提案した。

 

小山田が帰宅したが、植草くんに碁に誘われたと出て行った。

 

ムチで打たれた静子のイメージ映像。ナニコレ?

 

一銭蒸気の係員に孫の家に行きたいのに行き先を言わないおばあちゃん。10銭なのに5厘しか払わず、トイレに入った。しかし、トイレの中に死体が!! 怖っ! 船着場のトイレで下は海そのままだったってことかな?

 

え、遺体は小山田六郎だったの!? 遺体を確認に来た静香は泣き叫ぶ。通夜の場に寒川が駆け込んできた。そして、赤い帽子、緑のワンピース、白い手袋をつけたヘレンが棺の中の顔だけ確認して出て行った。

 

その場を立った静子は2階の自室に寒川と行き、寒川に抱きついて泣いた。

 

小山田家で働いていた初代を取り調べる刑事たち。静子から実家の館山に帰っていいと言われていたが、好きな男と木更津に泊まったと言う。しかし、運転手の青木と上野に泊まったと泣き崩れた。

 

背中を刺されて死んでいた小山田は裸で服は浮浪者にはぎ取られたらしいが、かつらをかぶっていた。寒川は警察に手紙のことも話すように静子に話した。部屋で乗馬用のムチを見つけた寒川。ムチを振るうと静子は反応する。洋間でも窓が閉め切られておらず、人の顔が見えたと静子は言う。

 

静子と寒川のキスシーン。うわっ! 秋子と敬四郎がっ!

 

ヘレンと植草夫人が洋装で出かけるところを追いかけた寒川。2人は横濱驛に降り立ち、ホテルへ。

 

地下のカウンターバーにいた寒川の隣にヘレンが座った。真っ赤なドレスのヘレンの後を追う寒川。部屋に入ったヘレンはカーテンを下ろし、帽子を脱ぎ、手袋を外した。手袋のボタンは寒川が天井裏で見つけたボタンと同じ。ヘレンは手袋は小山田のものだと言い、寒川の目の前で全裸になり、ムチで叩くよう要求した。

 

ムチ打ちをしながら、小山田との関係を尋ねる寒川。お前もやるんかい!

 

茶店

君恋し

君恋し

  • provided courtesy of iTunes

君恋し」のインストが流れる。寒川はヘレンが小山田の情人ではないかと静子に言う。静子はヘレンの存在を知っていた。寒川は屋根裏にいたのも窓から覗いていたのも小山田だと推理し、小山田を殺したのはヘレンか静子ではないかと指摘した。ヘレンは既に帰国。

 

部屋を借りようと提案する静子。田園調布の大きなお屋敷に住んだらいいと思う!

 

寒川の行為中に平田さんとあえぎ声を出す静子。えっ!?

 

本田が静岡に行き、平田が大江春泥であることを幼なじみの芙美子にバラした。芙美子は平田は大学生の頃に死んだと思っていて、その頃付き合っていた女が情熱的で平田がげっそりしていたと話した。

 

初代と荒丸という男が取引してる? 何者なんだ。初代!?

 

前衛的な舞台。荒丸は舞台に出ている一人で初代に受け取った薬を舞台袖で飲んでいた。舞台を見ている寒川、静子、初代、後から来た本田。舞台上にいた荒丸が突然苦しみ出し、舞台から落下。会場はパニックになり幕が降りた。

 

本田は荒丸を「俺の春泥」と言い、先に帰った。寒川、静子、初代と車に乗った。寒川は運転手の青木の手袋を見せてほしいと頼んだ。“大江春泥”とつぶやく寒川。青木の手袋は小山田からもらったものだった。

 

車から降りた寒川と静子。脅迫状を書いたのは小山田。雨で滑ってガラスの忍び返しに落ちた。

 

静子は寒川と暮らすために借りた部屋に寒川を連れ込んだ。階段を上ると真っ赤な部屋で、寒川は、あなたが春泥で春泥夫人だと言う。平田一郎は春泥ではない。平田一郎は幻の春泥、小山田六郎は空(くう)の春泥、市川荒丸は偽の春泥、誠の春泥は小山田静子。

 

小山田がヨーロッパに行った2年の間に欲求を作品にぶつけた。才能ありすぎぃ! すっかり乗せられたと言う寒川の前で脱ぎ出す静子。え〜、香山美子さん脱いでたのぉ!? びっくり。小山田六郎も市川荒丸も殺したのは静子。ぶって!と静子に要求されたものの打てなかった寒川。これ以上操らないでくださいと脱いだ着物をかけた。

 

静子が平田一郎も殺しましたね?と寒川が指摘すると、静子が立ち上がりムチ打ちして抱きついて…ん〜

 

好きです、愛してましたと泣く寒川は静子を置いて去って行った。

 

その後、静子は崖から飛び降りた。(完)

 

はぁ〜…BS松竹東急ってさ、こういう映画を平気で夜8時台に放送すんだよね。録画でしか見ないけど、日本映画専門チャンネルは内容によって時間帯は気遣ってる感じするけどなあ。

 

「おやじ太鼓」で姉弟役だったので、ラブシーンで目を逸らしたくなったよ。当時、借金でもあったんだろうか?と余計なこと考えちゃうよ。