徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】思い橋 #1

TBS 1973年4月3日

 

あらすじ

秩父の温泉宿「二上」の女将・彩子(淡島千景)は、多美(上村香子)と桂(松坂慶子)の姉妹を育てつつ、女手ひとつでここを守ってきた。だが、この旅館も今では時流に取り残されつつあった。そんなある日…。

夢は流れて

夢は流れて

  • ひごじゅんこ
  • J-Pop
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

2024.2.9 BS松竹東急録画。

 

脚本:高橋玄洋

 

音楽:木下忠司

 

主題歌「夢は流れて」

 作詞:ヒロコ・ムトー

 作曲:木下忠司

 唄:ひごじゅんこ

 

協力:秩父観光協会

   秩父織物商工組合

   万兵

 

二上(ふたがみ)彩子:淡島千景…温泉宿「二上」の女将。

*

北晴彦:藤岡弘…「二上」の宿泊客。

*

二上桂(かつら):松坂慶子…彩子の次女。字幕緑。

*

中西良男:仲雅美…鶴吉の息子。

*

二上多美:上村香子…彩子の長女。字幕黄色。

大須賀伸(しん):荒谷公之…織庄の一人息子。

*

山下幸子:望月真理子…思い橋から身投げした。

静子:相生千恵子…「二上」の仲居。

*

西鶴吉:花沢徳衛…「二上」の板前。

 

また役名なしに戻ってしまった。ナレーション付きなのにナレーターのクレジットなし。

 

ナレーション「秩父は影の盆地である。四方を取り巻く山の影が静かな家並(やな)みを覆い、そこにひっそりと生きてきた人々の胸に影を落とす町である。しかし、時代の流れは、この静かな町をも容赦なく変えようとしている」

 

仲居の静子が歌いながら部屋の掃除をしている。

♪主(ぬし)のためなら賃機夜機(ちんばたよばた)

主のためなら賃機夜機

 

歌詞検索すると「秩父音頭」が出てくるけど、これかな。

秩父音頭

秩父音頭

  • 佐藤美恵子
  • ワールド
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

それにしても、wikiは相生千恵子さんの役名が「れい子」になってた。謎。

 

静子が窓から外を見ると、思い橋に若い女性が立っているのが見えた。静子は部屋の電話からすぐに女将の彩子に電話。彩子はすぐ行くから手を振ってあげなさいと電話を切り、鶴吉を呼び、多美も呼んだ。

 

キャストクレジットだと真ん中へんなのに、多美役の上村香子さんが字幕黄色で主演扱いなんだね。

 

部屋の窓から手を振って止める静子。座布団を振りながら「命は二つとないのよ! 取り返しつかないのよ! 死んじゃダメよ~!」と必死に叫ぶ。

 

彩子、鶴吉、多美が思い橋に到着したが、橋の上には誰もいなかった。鶴吉は川まで駆け下り、多美は救急車を呼びに旅館に戻った。「あっ、もしもし、こちら横瀬(よこせ)渓谷の二上(ふたがみ)ですが、至急救急車お願いします。思い橋から女の人が…ええ、そうです。お願いします」

 

秩父消防署の救急車出動。形が今と違うね。パトランプみたいなのが車の前後についてる。救急車がサイレンを鳴らしながら町なかを走り抜ける。

 

ステーションレストラン

桂「だから、私、姉ちゃんや母さんにも秩父という町自体が昔の秩父じゃなくなってきたんだから昔の考え方は捨てなきゃダメだって言ってるの。昔の割烹旅館、二上のイメージは捨てなきゃダメなのよ。第一、アユやニジマスさえ奥秩父もかなり奥まで入らなきゃ取れない時代でしょう? いくら鶴さんの川魚料理が一流だからってもう売り物にはならないのよ」

伸「そうだろうな」

桂「手の込んだ料理そろえたって、そんな風流なお客来やしないんだもの」

伸「中にはいるだろうけどね」

桂「それじゃ旅館としては成り立っていかないわ」

伸「池袋から80分で来れるようになったんだもんな。もう首都圏の一角だよ」

桂「そうなのよ。織物関係の人だって十分、日帰りできちゃうんだもの。奥秩父登山の基地として一大観光ホテルにするか、さもなければ料理屋として割り切るかどっちかしかないんだわ。母さんたちだって頭ん中では分かってるくせにいざとなると踏み切れないのね」

伸「それはうちなんかだって同じさ。昔の秩父銘仙の柄じゃダメだ。もっと斬新な現代色を取り入れて脱皮しなきゃって口を酸っぱくして言ったって目先はとにかく売れるもんだから旧態依然の布団柄を織ってしまう。これじゃジリ貧を待つだけだよ」

 

字幕は”売れる物(もん)”になってたけど、普通に”売れるものだから”の流れの言葉じゃないのかな?

 

桂「アハハッ。うちなんかまさにジリ貧の典型だわ」

2人で笑う。

桂「あっ、いけない。レッドアローの着く時間だわ」

www.seiburailway.jp

今の秩父の説明といった感じ? 「あしたからの恋」の修一もだけど、伝統的なものをこのままじゃダメだと言ってた時代だったのかもね。

 

駅前には旅館のバスが数台停まっている。1台のバスが行ってしまい、もう1台のバスの運転席の良男は渋い顔。そこに桂が乗り込んできた。「よっちゃん、レッドアローは?」

良男「着いたさ」←wikiだと義夫になってたんだよな~。

 

桂と一緒に伸も「よっちゃん、頼むよ」と笑顔で乗り込む。「はいどうぞ」と無愛想に答えた良男。桂は市内のホテル形式の旅館に取られてしまうと伸に話していると、良男はバスを乱暴に発進させる。良男も伸も桂ねらいか?

クゥタビレモーケ

クゥタビレモーケ

  • フォネオリゾーン
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

仲雅美さんといえば、「爆報! THE フライデー」であの人は今的なコーナーで初めて知った小柄なおじさんのイメージだったけど、顔は端正だな。小倉一郎さん、江藤潤さん、三ツ木清隆さんと音楽ユニットをやってるのは「心」の再放送で小倉一郎さんと江藤潤さんを調べていて知った。

 

橋の上から身投げしたが、岩と岩との間の狭い淵にすっぽり体がはまって女性は助かったと多美と鶴吉が帳場で話している。花沢徳衛さんはまたも職人役がハマってるね。多美はどうして思い直せなかったのかと鶴吉と話していた。

 

彩子は仏壇の夫の遺影に手を合わせ、亡くなったお父さんのお引き合わせ、お父さんが助けてくだすったのだと多美に話す。何となく信じられない気持ちの多美に「あんたのお父っつぁんって人はね、そういう人だったよ」と鶴吉は言う。

 

呼び出し音のブザーが鳴り、多美が部屋から出た。

 

鶴吉「橋の上に立ってた彩(さい)さんはきれいだったな」

 

”あやこ”じゃなくて”さいこ”なの? 彩子は思い橋に立ってたところをのちの夫になった多美たちの父に助けられた!? 鶴吉は大ちゃんだけじゃなく俺も助けに行ったと話す。「ヘヘッ。久米の仙人じゃねえけど、乱れた裾から出た白いふくらっぱぎ見ちゃったのがいかなかったかな」

kotobank.jp

「たんとんとん」に次いで精力の強い役?

 

彩子は夫との出会いは多美たちには話してないみたい。

 

二上」に桂が帰ってきた。身投げした女性のことについて話していると、彩子が突然「多美さん、桂ちゃん。私、頑張るわよ。あなた方2人にすばらしいお婿さん見つけて、この二上を立派に守っていかなきゃバチが当たる。お父さんに申し訳ない」と言い出し、多美も桂もわけが分からない。

 

このドラマは2人の婿取り物語ということかな。

 

鶴吉は水の中に入って助けたため、風邪気味。盛り付け中に大きなくしゃみはやめて~。この腕の中にぬくもりが残ってるだの、すごい美人で色は抜けるように白く、ボリュームがある、うっすら開けた目がすごいなどと桂に話して聞かせる。良男が親父の顔を見て失神しちゃったとからかうと、鶴吉は怒る。

 

二上」にある男が一人でやって来た。藤岡弘さん、濃いなあ~。応対した多美が部屋に通すが、静子はうさんくさい客だと怪しむ。28~29の男。手ぶらで様子がはっきりしない。さっき飛び込んだ人の片割れではないかと疑う。

 

せせらぎの間に通された男は部屋をウロウロ。彩子がお茶を運んでくると慌てて座った。彩子はここの主(あるじ)だと手をついてあいさつし、思い橋の身投げの話を振ってみる。北は人それぞれ事情があると答えただけ。あとから桂も入ってきて、名前を書くように言うと渋るしぐさを見せたものの書き始めた。仕事で何日泊まるか分からない。

 

東京都中野区東中野二ノ八

会社員

北晴彦

 

宿泊者カードを鶴吉に見せると、偽名とは思えないが当分気をつけるんだなと言う。このまま飛び込まれたら大迷惑だと言う彩子。やっぱり”おおめいわく”と言うんだな。私の中ではこの字を見るとどうも”だいめいわく”と読んでしまう。

 

多美は簡単に泊めてしまったことを気にするが、桂は大丈夫だ、絶対シロだと明るく励ます。

 

鶴吉「桂ちゃん、どこで分かった?」

桂「おじさんは30年の経験でしょ? 私は勘よ、女の勘」

 

浴衣に着替えて旅館内をウロウロ歩き回る北。良男のいるボイラー室にも入ってきて古いボイラーを見る。

 

鶴吉「やい! ボイラーまだ直らねえのか? 大学へ4年も行ってやがって何を習ってやがったんだい」

良男「経済でボイラーの焚き方まで教えてくんねえよ」

鶴吉「チェッ。無駄な銭使っちまったな、ったく」

 

親子のやり取りを笑いながら見ている北。さらにタバコを吸いながら歩き回る。洗い物?を抱えた多美ともすれ違う。

 

伸が「二上」に来た。多美が桂を呼ぼうとするが、お風呂をもらいに来ただけだと言う。

 

ロビーのソファで雑誌を読んでいた良男は「織元の息子がなんでもらい風呂しなきゃならないんでしょうね」と嫌みを言いながらボイラー室へ。多美は桂に伸が来たことを報告。

 

お土産売り場をウロウロしていた北に話しかけた多美。北は刺身こんにゃくがうまいか聞き、ここ長いの?とも聞く。生まれたときですからと答えた多美にここの娘かと納得し、お母さんお若いですねと言う。

 

風呂にひとりで入っている伸を見て、温度をあげる良男。伸は風呂から飛び出した。

 

ロビーのテレビを並んで見ている多美と北。「瀬戸の花嫁」が流れている。

瀬戸の花嫁

瀬戸の花嫁

  • provided courtesy of iTunes

瀬戸の花嫁小柳ルミ子/1972年4月10日発売

ふたりの日曜日

ふたりの日曜日

  • 天地 真理
  • 謡曲
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

「ふたりの日曜日」天地真理/1972年12月5日発売

 

2人の後ろ姿を見た桂は笑顔になり、帳場に戻り、彩子にこれやってくれる?と頼む。伝票つけとかなきゃだめよと取り出したのは抹茶を立てるセット。「桂ちゃんもお茶ぐらい習わなきゃね」。桂はコーヒーを習おうと思ってると言い、鶴吉を驚かせる。「コーヒーねえ。あんなもんにも入れ方があんのかい?」←字幕は”コーヒー”だけど、”コーシー”って言ってるよね?

桂「あるわよ。おじさん知らないの?」←かわいいな~。

 

彩子の立てた抹茶をロビーに持っていった桂は多美に渡し、多美は北に渡した。ちゃんと茶碗を回して飲む北。多美の隣に座った桂は自己紹介し、秩父の感想を聞く。「どうぞごゆっくり」と去っていくと、多美は追いかけて来て、変に気を回さないでとムッとしてそのまま部屋に入って行った。

 

鶴吉「多美ちゃん、近頃沈んでるなあ。やっぱり田代の息子との縁談がこたえてんのかな」

彩子「そりゃ、いい気はしないでしょ。なんていったって断られたんだから」

鶴吉「う~ん、もう決めてやんなくちゃな。25だろ? 多美ちゃん」

彩子「私が三国一のお婿さん探してみせますよ。ええ、なんとしても立派なお婿さん迎えて、田代の旦那、見返してやらなきゃ。何よ、景気がいいからって。一度、死んだと思や、なんだってできないことはないんだから」立ち上がり、仏壇に手を合わせる。

 

帳場までのぞいている北に驚く桂が「なんかご用ですか?」と聞いても「いや、別に」とごまかし、お土産物を見ていた。(つづく)

 

今までの木下恵介アワーとまた違う雰囲気の作品だな。ほぼ美男美女ばかり出てきて、ちょっと硬い雰囲気。あと、BGMがあんまりないせいかシーンとしてる。

 

二上」のモデルというかロケ地?は今も存在している。

www.miyama-onsen.com

テレビ局のリサーチ力がすごいのか、今まで見た「心」「道」「ほんとうに」「あしたからの恋」でモデルにした飲食店全部今もあるのがすごいな~。