TBS 1971年11月30日
あらすじ
行方をくらませていた竜作(近藤正臣)が、ゆり子(丘ゆり子)の結婚式の最中に戻ってきた。もと子(ミヤコ蝶々)のおかげで、心を入れ替えて仕事に励む竜造。そして健一(森田健作)が仲介役を務める姿に涙するもと子だった。
2024.2.8 BS松竹東急録画。
尾形もと子:ミヤコ蝶々…健一の母。字幕緑。
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尾形健一:森田健作…大工見習い。字幕黄色。
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江波竜作:近藤正臣…先輩大工。
石井文子:榊原るみ…竜作の恋人。
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生島とし子:松岡きつこ…新次郎の妻。
安さん:太宰久雄…建具屋。
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雪子:菅井きん…安さんの妻。
堀田咲子:杉山とく子…堀田の妻。
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堀田ゆり子:丘ゆり子…堀田の娘。
園部浩三:朝比奈尚行…ゆり子の恋人。
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江波竜造:由利徹…竜作の父。
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堀田:花沢徳衛…鳶の頭(かしら)。
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生島新次郎:杉浦直樹…健一の父の下で働いていた大工。
堀田家を訪れた安さん。堀田は玄関を入ってすぐの階段に座っていた。
安「頭(かしら)、うちかい? 今日は」
堀田「俺だって、うちになんかいたかねえけどな」
安「あれ? 機嫌悪(わり)いね、どうも」
安さんは、雪子の弟が群馬から遊びに来たと言って、泥付きの長ネギの束を持ってきた。
堀田「そりゃ、ありがとよ」
安「なんだい。どうでもいいけど愛想がねえなあ」
堀田は面白くねえと怒っている。そこに咲子が出てきて、堀田をなだめる。安さんは泥付きだからここへ置くけどねと玄関に長ネギを置く。
咲子は堀田がゆり子の縁談のことで座敷から閉め出しを食っていると安さんに言うと、安さんは結婚が決まったことに「そりゃよかったねえ」と笑顔。
しかし、堀田は機嫌が悪く、座敷に入ろうとするが、もと子に頭(かしら)から仲人を頼んできたのだから黙って待ってちょうだいと止められる。ゆり子に悪態をつく堀田に今度は健一が顔を出して、仲人を信用しなよと閉め出す。
安さんは仲人をもと子と健一に頼んだことに関心している。堀田はやたら早く結婚したがっているゆり子たちにイライラ。
もと子が顔を出し、堀田を呼んだ。座敷にはゆり子と浩三が並んで座っている。堀田と咲子が部屋に入り、堀田がタバコの火をつけようとすると、浩三が「おとうさん、つけましょう」と言うものの、「自分でつけるよ」と断る。咲子に「ゆり子の夫になる人だよ」と言われて、渋々、顔を向けないままタバコを浩三に向ける。
堀田「筋の通らねえこと言ってんのは、こいつらのほうだろうが」
もと子「ねえ、ゆりちゃん。確かに今度のことはあんたのほうが筋が通らなかったわね」
ゆり子「はい」
もと子「お父さんはあんた方の結婚も認めてくれたし、式のこともちゃんと考えてくれたのよね?」
ゆり子「はい」
もと子「それを知ってて、あんたが急にって言うから、そりゃ、お父さんどなんの当たり前だと思うのよ」
ゆり子「はい」
もと子「それと、あんまり急いで結婚すると世間じゃ、ひょっとしたら、あれ、子供でもできたんじゃないかなあと思わないかなあとね」
堀田「あねさん、それホントですか?」
もと子「いや、これは例え話よ」
堀田「おい、ゆり子。そんなことはねえんだろうな?」
もと子「大丈夫。ちゃんと聞いて分かってるわよ。そんなことは」
堀田「だけど、来週なんて言われたって、そんなもん、支度も何もできやしねえじゃねえか」
もと子は2人の狙いを説明する。来年の2月となると、一人娘の結婚に堀田も咲子も立派な支度をするだろう、そういうことをやってもらわないで2人はいきたい。もと子もその心がけをいいと思っている。急いで結婚してしまわないといろんな物をゴチャゴチャ言いながら買ってしまう。
「あしたからの恋」は大体1年前の作品で同じように結婚が決まった和枝と直也は来年3月に結婚すると言っていたな~。それでも時間がないって話だったもんね。
咲子は支度のいい悪いは、あとあといろいろに響くもんだと言うが、そんなことはないと否定する浩三。派手婚否定派だったんだな~。
式場は警察の裏の神社。今度改築するため、今月の23日に壊してしまう。神主は勤労感謝の日は最後の日ではあるし、神社の経営らしく、実費だけであとはタダでいいと言っている。
やっぱりこのドラマ、26話なら11月23日に最終回を迎えるはずだったんだろうな。途中1回飛ばしたのはなんだったんだろう~? 10月に大したニュースなさそうなのにな。
堀田は土地でも財産でも人並み以上にあり、一人娘なら日比谷や赤坂など、大きいところで盛大にやってやりたいという夢がある。それをその辺の式場でタダを狙うというのは情けないと言う。
結婚を急ぐもう一つの理由は健一が言う。2人とも早く一緒に暮らしたい。メチャクチャなこと言ってるわけじゃないから言うとおりにしてほしい。
堀田「ヘッ…健坊には、まだ分からねえんだよ」
健一「そのかわり若いほうの気持ちはよく分かるよ。母ちゃんがおじさんやおばさんたちの気持ちをくんでさ、俺がゆりちゃんたちの気持ち、くんでさ。どうだい? この際、仲人の決定に従わないかい? 頭(かしら)」
堀田「ヘッ…なんだい、健坊。一人前(めえ)の口利くじゃねえか」
健一「当たり前だよ。俺はもう一人前だぜ、頭(かしら)」
もと子「まあ、そのぐらい、そのぐらい。じゃ、それでいいですね? 頭(かしら)」
堀田「えっ?」
もと子「あの…全ては仲人に全部任してくれますね?」
堀田「いや、しかし、ちょっとそれは…」
もと子「大丈夫よ。悪いようにしないから」
堀田「う~ん…」
健一「そう。悪いようにはしないって。ねっ? ホントだよ。はいはい、決まった決まった決まった! ご苦労さんでした」勝手にまとめて拍手する。笑顔になるゆり子と一緒になって拍手する浩三。
夜道を歩く健一と文子。「大変ね、あんたも」
健一「まったくだよ。竜作と文ちゃんは世話焼けるしな」
文子「もう私のことはいいわ。自分のことしなさいよ」
健一「自分のことはしてるさ。アパート、墨付け2部屋分やったんだからな」
文子「そうじゃないわ、恋愛よ」
健一「チェッ。ひでえこと言うなよ」
文子「どうして?」
健一「何言ってんだい。分かってんじゃねえか。俺、文ちゃんが好きだったんだぜ。恋愛しろなんて文ちゃんの口から聞きたかないよ」
文子「そんなこと言っちゃいけないわ」
健一「だから言わなかったろ? 今まで一度も文ちゃんにアタックしたことなかったよな? 今、こんなこと言うのは、もう完全に諦めたからだよ。竜作といい結婚しろよな」
文子「手紙来ないわ」
健一「来るさ。来るに決まってんじゃないか」
文子「私ね、竜作さんが冷たいとき、よく思ったの。健ちゃんが18なんかじゃなくて26か30だったら、すぐに結婚しちゃうのになあって」
健一「おれもそう思ったよ」
文子「そう? フフッ」
健一「だけど18じゃ結婚ってわけにはいかねえもんな。やっぱり文ちゃんには竜作のほうがいいよ。いいようになったと思ってるよ。多少はまだモヤモヤしてるけど。ハハッ、竜作の嫁さんじゃ、しゃあねえよな」
文子「ありがとう」
健一「文ちゃん」
文子「なあに?」
健一「一度だけ…ほっぺたキスしちゃいけないかな?」
文子「ダメよ、そんなの」
健一「ダメか」
文子「バカね」
先を歩く文子とちょっとガッカリな健一。
噴水のある公園に行った健一たち。
文子「ここでいいわ」
健一「ああ、前まで送るよ」
文子「ううん、いいの」
健一「さっきはバカなこと言っちゃったよ」
文子「いいのよ」
健一「竜作、早く手紙よこせばいいのにな」
文子は健一に目をつぶるように言う。「私、竜作さんが好きよ」
目をつぶっていた健一が目を開ける。「ハッ、分かってるさ」
文子「つぶってて」
健一「おう」
文子は健一に近づき頬にキスして走り去っていった。呆然と立ち尽くす健一。
朝子のことはあれで完全に終わりだったんだな~。勝手なところはあったけど、ちょっとかわいそうかも。文子と朝子どっちがいいかと言われてもどっちもよくないかな(-_-;)
現場
竜造も真面目に仕事をしている。新次郎のもとにとし子が弁当を持ってきた。
新次郎「ハハッ、あいつ、俺に惚れ直しやがったな」
とし子「ほら、早く歩きなさい。現場は危ないんだから、んっ!」←小さな子供の手を引っ張って怖いよ~。
健一「なんか、さおりちゃんを怒ってるよ。あれで変わったのかね? 奥さん」
新次郎「そりゃね、お前、いっぺんには変わらないさ。なんだってちっとずつだよ。大工の修行だってな」
健一「やだよ、新さん。ヤキ回ったんじゃないか?」
新次郎「何を言ってんだよ。あっ、とし子」
とし子「お弁当よ。あったかいご飯だからね」
新次郎「ああ、そうか。そりゃうれしいね。うん? ホントだ。あったかいよ」
イチャイチャする二人に見ちゃいらんねえという表情をする健一と竜造。
尾形家
もと子「新さんもホッとしただろうね」
健一「しかし、いい年した男がだらしねえよな、まったく」
もと子「そんなことないよ。いい年をした立派な男がだな、一人の女の前ではなんとも甘くなる。女にしてみりゃ男の大した魅力だよ」
健一「へえ。じゃ、やってみるかな? 俺も」
もと子「バカ。そりゃ立派な一人前の男の話だよ」
健一「分かったよ。すぐそういうこと言うんだから」
もと子「例えば父ちゃんがだな」
健一「父ちゃんが?」
もと子「父ちゃんが表へ出れば辺りを払うほどの棟梁ぶりだったよね」
健一「そうかな?」
もと子「そうだよ、お前。何言ってんだ。建て前、見ただろう。建て前のとき、屋根の上へスーッと立った父ちゃんの姿。キャーッと言いたいほどのあの男前、ねっ?」
健一「死んじまったら、だんだんいい男になんだね、父ちゃんは」
もと子「そうだよ。お前、何言ってんだ。昔から男前の職人で通ってたんだから。じゃなかったらね、そんな遠い、お前、大阪からこんなとこまで来るか。母ちゃんが」
健一「それで?」
もと子「だからさ、その父ちゃんがだよ、つまり、女の前…分かる? (自分を指す)女、ねっ? ただ一人の女の前では優しく甘くなったということだよな」
健一「んっ、ああ…まあ、そうだったよな」
もと子「なんだ? その言い方は。お前、それ」
健一「あっ、ううん。甘かったよな、父ちゃん」
もと子「いいよ、もう。父ちゃんのよさは結局、母ちゃんしか分からないのかもしれない」
健一「すねたこと言うなよ。俺だってね、父ちゃんのよさはよく分かってるよ」
もと子「それでどうした?」
健一「何が?」
もと子「竜造さん、働いてるか?」
健一「なんだい、急に変わるんだね」
もと子「続きそうか?」
健一「うん、よくやってるよ。まあ、年も年だし、あれで落ち着くんじゃないかい?」
もと子「偉そうに。ものの分かったような言い方して」
健一「そりゃそうだよ。母ちゃんはバカにするけど、俺だってね…」
もと子「分かってるよ」
健一「なんでえ、すぐ子供扱いするんだから」
もと子「母親なんてそんなもんなんだよな。でも母ちゃんよく見てるよ。お前がどんどん、どんどん一人前になっていくのをよく分かってるよ。でもね、あんまり上がりすぎちゃいけないから、母ちゃんがそばから、まだだ、まだだってくぎを刺してるというわけよ」
健一「余計な心配すんなよ」
もと子「フッ、まあ、とにかくお前とのつきあいは、まだ当分続きそうだからね」
健一「うん、そりゃそうだい」
もと子「なんでもいいから一人前の立派な男になってくれよ。じゃないと頼れないからな」
健一「任しとけって」
もと子「ハハッ。さあでは、片づけ物(もん)でもするか」
健一「たまには俺やろうか?」
もと子「いいよ。2人分ぐらい男に手伝わせちゃ女のこけんに関わらあな」
電話の着信音が鳴る。頭(かしら)からだと思って電話に出た健一。
土砂降りの中の電話ボックスが映る。
健一「母ちゃん、竜作だよ」
もと子「そうか、ホント?」
健一「どこにいるんだ? お前」
健一「九州じゃなかったのか?」
竜作「ああ、ちょっと気が変わってな」
健一「お前ね、そんなのんきなこと言ってる場合じゃないんだよ。さっさと帰れよ、さっさと」
もと子「ちょっと貸しなさい。もしもし、私や。竜作さん、あんたのお父さん、うちで働いてんのよ。うん、一生懸命、働いてるよ。早く帰ってらっしゃいよ。あんたが帰ってくんの、みんなで待ってんだから」
竜作「そうですか…そうだったんですか」
健一「おい、竜作。俺、23日にな、ゆりちゃんの仲人やんだよ。それ見に来いよ。それまでに帰ってこいよ、いいな?」
もと子「もしもし、あの…あんた、どこにいんの? 鳥取の。町の中?」
竜作「いえ、餘部(あまるべ)っていう駅なんです」
もと子「餘部?」
竜作「ええ。親父が生まれたとこなんですよ」
もと子「そう。お父さんの生まれたとこ」
竜作「おかみさん、帰ります。今勤めてるとこに話して、できるだけ早く帰ります」
もと子「帰ってらっしゃい、早く。お父さんもね、文ちゃんもね、みんな待ってんだから」
竜作「はい。はい」電話を切った竜作は土砂降りの中、外へ出る。
結婚式当日
引き出物を車から出す竜造と運んでいる安さん。重そうに受付に持っていき、落とした。
新次郎「あっ、安さん。あっ、あっ…ダメだよ。これ、壊れ物(もん)なんだからね」
安「あっ、そうか。壊れちゃったかな?」
新次郎「『高砂』、安さんだからね」
安「えっ? 俺?」
新次郎「だって、他にやる人いないんだもん。頭(かしら)、やるわけにはいかねえだろう? 頼んだよ」
安「俺…できっかな? 俺」
控室
ミヤコ蝶々さん、菅井きんさん、杉山とく子さんが黒留袖姿で、角隠し姿のゆり子を囲む。ゆりちゃんの角隠しは淡いピンク。
菅井きんさんのプロフィールだと身長155cmだそうで、杉山とく子さんも同じくらいに見える。菅井きんさんと並んだミヤコ蝶々さんは頭半分くらい小さいから150cmなさそう。菅井きんさんと杉山とく子さん細いし、スラッとしてる。
もと子「まあ、きれいな花嫁さん。これならどこへ出しても恥ずかしくないわよ。お咲さん」
雪子「ホントよ。きれいな衣装だわ」←コラッ( ´艸`)
もと子「どこ見てんのよ? 前見なさい」
咲子「フッ、まあね。ゆり子の花嫁姿をこんなに早く見られようとはね」
笑顔を見せるゆりちゃん、かわいいぞ!
雪子「あら。頭(かしら)どこ行っちゃったのかしら? こんな、すばらしいの見ないで。まあ…頭(かしら)! お父さん!」
廊下ですでに泣いてる頭(かしら)。
とし子「おじさん。おめでたいんじゃないの。笑ってあげなきゃ。おめでとうって言ってあげなくっちゃ」
堀田「ああ、ああ…」
とし子「ねっ?」
とし子は若いから?黒留袖ではないけど、めちゃくちゃきれいだし、着物似合う。
花婿の控室に入った健一。「よう」
紋付袴姿の浩三は長髪もそのままにあぐらをかいて座っている。「やあ」
健一「へえ、いい格好してんな」
浩三「ヘッ、しょうがないよ」
健一「俺だって見ろよ、これ。ギリギリまで背広でいいって言っといて土壇場へきたら、ちゃんと借りてあんだからな」モーニング姿。「ある程度、親に合わせようと思ったら、どんどん押しまくってくるからな」
浩三「まあ、一人娘、手放すんだからな」
健一「うん」
浩三「結婚式は人形みたいに言うなりになるつもりだよ」
健一「へえ。なかなかいいとこあんじゃねえか」
浩三「しょうがないよ」
健一「幸せになれよな」
うなずく浩三。
文子が健一を呼ぶ。「今、帰ったの」と明るい笑顔の文子。水色のワンピースでいつものツインテールじゃなくおろしてるけど、髪がバサバサに見える。
ビシッとスーツで帰ってきた竜作。竜造が竜作の前に正座し「すまなかった」と手をついて頭を下げた。
竜作「いいんだよ、父ちゃん。ほら、立てよ、もう。父ちゃん、いいんだよ、もう」
ドラマだからこれで改心したんだろうけど、現実はな~。
健一「竜作!」
竜作「よう!」
健一「待ってたぞ」
竜作「ああ」いい笑顔。
文子と見つめ合い、泣きそうになる竜作。
もと子も入り口に駆け付け、竜作を歓迎する。「ええ結婚式や。おめでたいことばっかりや」
すすり泣く文子。全身見たらすんごいミニじゃないか! 健一は文子に早く飛びつくように言い、押し出すが、2人は潤んだ目で見つめ合うだけ。もと子や竜造も目を潤ませる。
健一「さあさあ、泣くのはやめてくれよ。結婚式じゃねえか。そうみんなに泣かれちゃ、なあ? さまになんねえじゃねえか。ねっ? 母ちゃん」
もと子「うん」
結婚式
もと子「え~、本日はお忙しい中をかくもにぎにぎしくおいでを賜りまして、仲人として厚く御礼を申し上げます。しかし、言うもんの今度は大概慌てましたで、そりゃ」
一同の笑い声
もと子「私も人間、長いことやってますけど、こんな、まあ忙しい結婚式、見たことないわ。とにかくね、この2人がね、なんかお互い仲がようて、ようて、一日も早く結婚したいと、こう言うんですよ。だから私はそういうこと言うけど式場はどうすんだと言いましたらね、式場なんかどうでもいいじゃないかって言うわけよ。だから…いや、ここは立派な式場でございますけどね、ハハハッ。だけどまあ、親御さんとしてましては古いと申しますか、どっか、やっぱり立派なホテルで挙げたかったんでしょう。その間を取んのにこの頭の悪い仲人としては随分これでも苦労したんですよ」
安「アハハハッ」
もと子「そこでまあ、親御さんのメンツも立てまして料理はご覧のように超一流でございます。そして引き出物はデラックス魔法瓶、そして掛け時計。大変豪華版になってございますから」
拍手
もと子「まあ、これから、浩三、ゆり子さんが末永く手を携えていけますように、どうぞ皆さん、よろしくご指導ご鞭撻のほどをひとえにお願い申し上げます」
一同の拍手
もと子「健一」
健一「うん? えっ、もう、俺かい?」
もと子「何聞いてんだよ」
健一「あっ…(せきばらいして)え~、仲人の一人といたしまして、ただいまより園部浩三さん、あっ…堀田ゆり子さんの簡単なご紹介を申し上げます。夫君の浩三さんは日本でも有数のベース奏者になることを目指し、刻苦勉励している次第であります。一方、新婦のゆり子さんは小学校、いや…」
見つめ合ってニッコリ笑う新次郎ととし子。こっそり「高砂」の練習をして雪子にツッコまれている安さん。竜造と目が合い笑顔の竜作、文子。泣いている頭(かしら)にそっとハンカチを渡す咲子。新郎新婦の後ろの掛け軸は「羽田神社」。
テーマソングのインスト版が流れる中、一生懸命しゃべっている健一(無音)。ほほ笑ましく見ているもと子。あらすじと違うな。
健一の挨拶が終わり、みんなビールを持って乾杯。一口飲んで拍手。(終)
今思うと、全65話も放送した「おやじ太鼓」は結婚式や赤ちゃん誕生のシーンが一度もなかったんだよな。武男は二部が始まる頃には結婚していて、赤ちゃんが産まれる前にドラマが終わってしまった。秋子と神尾は最後まで結婚しなかったし、それを思うと主人公ではないとはいえ、施主の中西夫婦に子供が生まれたり、ゆり子が結婚したり、木下恵介アワーの中では展開が早いドラマだったかも。
ドラマを見る前にホームページなどで「たんとんとん」の場面写真を見ると、近藤正臣さんがめちゃくちゃかっこよく、実際動いてるところも良かったけど、森田健作さんは写真で見るより、尾形健一として動いてるところを見たらもっとカッコよかった!
若いころの作品は「男たちの旅路」とか「砂の器」で見ていたし、そういえば竹脇無我さん&山口崇さん目当てで見た「大岡越前」にも出ていたのに、「たんとんとん」の森田健作さんは今まで見た中で別格にカッコいい~というか、かわいい。「おれは男だ!」主演中のノリノリな時期だからかな~。
ドラマを見たことないけど、歌は知ってる。
ドラマから6年後という設定で映画化された「おれは男だ! 完結篇」(1987年公開)にミヤコ蝶々さんが出演されてるのは「たんとんとん」からの縁かな?
でも、正直言うと、結婚式で終わるより普通に仕事を頑張ってる健一と竜作と新さんが見たかったな~。橋田ドラマは割と仕事してるシーンで終わることが多いよね。大工仕事より一生懸命演説?してるのが、健一というより森田健作さんの未来を暗示してたのかも!?
山田太一脚本の木下恵介アワーの作品は「3人家族」「兄弟」「二人の世界」「たんとんとん」の4作品。どれもそれぞれ面白かったけど、私はやっぱり一番好きなのは「3人家族」かな~。耕作パパが忘れられない。
「たんとんとん」以外はナレーションがついてて、共通する出演者も多いから兄弟番組みたいな感じがするけど、「たんとんとん」だけは別世界みたい。1971年の森田健作さんと近藤正臣さんの共演は眼福でした。杉浦直樹さんの殴らない大工も素晴らしかった。
いろいろ検索してるうち、2015年2月11日のフジテレビ系「ごきげんよう」(この番組自体が懐かしい)で「あの青春スター!あれから40年。今の青春を語る」として近藤正臣さん、森田健作さんがそろって出演していたことを今さら知る。旧ツイッターで検索してもお互いが出演した青春ドラマの話だけだったみたいだけど見たかったな。
あしたからの「思い橋」。美しい女性たちの共演だけど、キャストもまたなじみのない人ばかりだし、あらすじ見ても正直ひかれるものはない。実際見たら変わるかな? 「あしたからの恋」も始まる前はそんなに期待値は高くなかったけど、主人公より修一とトシ子にハマった。あと修一と正三のコンビ。
「太陽の涙」または「記念樹」の再放送求む。