徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】警察日記

1955年 日本

 

あらすじ

東北の山村にある警察署。そこを舞台に繰り広げられる人情味溢れる、ユーモラスな人間群像ドラマ。村の治安を守るだけでなく、お金を工面してあげたり、捨て子の引取先を捜して奔走したりと警察署は毎日大わらわ。そんな忙しい時に限って、大臣が帰郷するということで更に大騒ぎに。

Amazonプライムビデオにて視聴。

 

せっかくAmazonプレミアムビデオに加入したので何か古い映画でも見ようと思い、「三人家族」で素敵なパパを演じていた”三島雅夫”で検索してみました。

peachredrum.hateblo.jp

久松静児監督は私の好きな「南の島に雪が降る」の監督だ。

 

日活映画だった。オープニングは「会津磐梯山」。

会津磐梯山

会津磐梯山

  • provided courtesy of iTunes

またしても字幕なしか。バスを待っていた男が一升瓶片手にバス乗り込み、運転手に酒を勧める。バスガールは運転手はお酒を飲んじゃいけないんですよというものの半ば無理やり飲ませる。ひどいね~。花嫁さんが乗ってるから、親戚? バスに乗ってる人たちにも酒を勧める。

 

大きな農家にたくさんの人が集まる。山本岩太(伊藤雄之助)が家に入ると、男女が「無理もねえ」と酒を飲ませる。花嫁さんと結婚できなかったとか?

 

酒を飲まされた岩太が道の真ん中で寝ているところを自転車で巡回中の警官に声をかけられた。この花川巡査は三國連太郎さんかな?

 

警察署

若い女性がタバコを吸いながら、倉持巡査部長に説教されていた。殿山泰司さん、若い頃は結構太ってたね。女性は生理だから盗みを働いたように言っている。岩太が花川巡査に連れられてやってきた。仏像が近くに置いてあって花川に仏像を盗んだと思われていた。

 

女性は岩太を知っていて、岩太が好きだった女性が嫁に行ったと知り驚いていた。岩太は馬のタロウがいなくなっていることに気付き、慌てる。

 

タロウが一人で家に帰って来て、岩太の父は驚く。

 

村の半鐘が鳴り、火事だと騒ぎになっていた。消防車が走り出すが、うまく進まず、歩行者が協力して押してやっと動き出した。

 

「空襲警報解除」とメガホンで叫びながら歩きながら歩く村田老人(東野英治郎)。吉井巡査部長(森繁久彌)は「校長先生、もう大丈夫です」と声をかけた。

 

吉井は愛知の紡績工場で働いていた若い女性・アヤ(岩崎加根子)と女の子、赤ちゃんと一緒にいて、村田が去った後、村田は小学校の校長先生だったが男の子を5人とも戦争で亡くして少し頭がおかしくなったんだと説明した。5歳くらいの小さな女の子・ユキ子は二木てるみさん。

peachredrum.hateblo.jp

そこら辺を歩いていた村田はカラスを見かけても「空襲ー!」と大きな声で叫んでいる。ギャグっぽく描いてるけど悲しすぎる。

 

警察署

アヤは立派な工場で8時間労働、洋裁も習わせる、3年たてば嫁入り道具一式をそろえるなどとうまい話に騙されてしまった。3000円~5000円の仲介料?を取ってる者がいるらしい。

 

吉井が連れていた子供たちは捨て子。吉井たちが赤ちゃんをあやす。赤ちゃんの名前は”シゲル”だと姉であるユキ子が答えた。シゲルがおしっこをすると、ユキ子が風呂敷包みを吉井に渡した。

 

アヤを送って一緒に歩く花川。三國連太郎さんはあの時代にしてはかなりの長身(178cm)なはずなのにアヤさん意外と背が高い。岩崎加根子さん162cm。この時代の人にしては高いか。

 

アヤの家は割と広い農家だが、病身の母はアヤをもう年季奉公にはやらない、無理やり嫁に行かせるようなこともしないと花川に約束する。しかし、花川が帰ると杉田モヨ(杉村春子)がニヤニヤしながら家に入ってきて、アヤの母と笑いあう。花川には「はいはい」と返事しとけと指示していたのは杉田で、杉田が売り飛ばしたんだろうなあ。怖い。

 

吉井はユキ子とシゲルを孤児収容所や保健所、民生保健相談所などに連れて行くが、戸籍がしっかりしてない引き取れない、町の予算内でやってるので…と断られまくる。それにしても女性や子供はまだまだ着物姿が多い。

 

自転車で玄米パンを売っている男に声をかけ、玄米パンを2つ買った吉井は1つをユキ子に、1つは自分で食べる…のかと思ったら口に一度含ませたパンをシゲルの口に入れようとした。うわっ! 昔のあるあるかもしれないけど、今見るとぎょっとする。シゲルは顔をそむけて食べなかったけど。

 

割烹旅館 掬水(きくすい)亭前を通りかかると、女中がかけた水がユキ子にかかった。内儀・ヒデ(沢村貞子)が出てきて、吉井たちを招き入れた。ヒデは一晩くらいなら子供たちを預かると言ってくれたが、吉井はシゲルだけでいいとユキ子を連れて旅館を出ようとし、ユキ子は静かに涙を流した。

 

その後も何度も振り返るユキ子。吉井の家にはたくさん子供がいると話して、なんとか連れ帰る。道の真ん中を犬が歩いてる。

 

吉井宅に到着。吉井の家では妻が男の子を出産していた。ほかにも5~6人きょうだいがいる。ユキ子は生まれたばかりの赤ん坊を見てまた涙を流す。

 

町内をチンドン屋が歩く。倉持巡査部長が店主から万引きされたと言われ、子供を2人連れた若い母親・セイを捕まえた。

 

警察署

ここで三島雅夫さん登場。石割署長は剣道着姿でいっちょもんでやろうと若い署員を誘う。

 

セイは家出した亭主を探しているうちに万引きしてしまったという。これくらいなら身柄を送らない。もう絶対やらないと約束させると店主が盗まれたものを風呂敷包みに包んで持ち帰った。

 

花川は杉田が若い娘を連れ歩いているのを見かけた。再び家を出ようとしているアヤの家に行った花川は逃げるアヤを追いかけるが、背の高いすすき野原に隠れてしまって見つけ出せない。アヤさん、着物ながら素早いな。

 

ようやく捕まえたアヤにどこで杉田と待ち合わせしたのか聞き出そうとするが、アヤは言わない。借金があるのだから杉田のおばあに紹介されたようなところで働かなければどうにもならないと言い、花川は思わずビンタしてしまう。花川はアヤの手にお金を無理に握らせると走って逃げた。

 

署長室に集まる村の男たち。方言がすごすぎて分からない。しゃべってるのが左卜全さんか? 便宜を図ってほしい系の話かな? 石割署長は何といってもまかりならんと断る。字幕がないし、何回聞き直してもよくわからなかった。

 

丸尾通産大臣閣下

歓迎会会場の看板が立てられる割烹旅館掬水亭。

 

署長も旅館内を歩き回る。ヒデの母がシゲルを連れてきた。署長は吉井から話を聞いていなかったが、もう1日、もう1日ともう5日も預けられていると言われ、驚く。

 

吉井宅

吉井が子供が寝ている中、尺八を演奏している。ユキ子が突然起きるが、すぐ横になった。子供を捨てるなんてどんな気持ちだろうと吉井の妻が言う。

 

駅は提灯などを吊り下げて飾りつけ、通産大臣を待つ。花火も打ち上げられた。

 

警察署

杉田が取り調べを受けていた。昔、奉公していた縁もあり、愛知県の一宮に紹介していた。

 

石割署長が「大臣たって大したことないなー」と帰って来た。この役、終始テンションが高くて面白い。

 

労働基準監督署から杉田はこちらで送検すると電話があり、こちらで取り調べしていると赤沼主任(十朱久雄)が返した。職業安定所からも電話があり、杉田の件はこちらで預かる、警察とは関係ないと言い合いになる。どっちも引き取らないというんじゃなく、犯人の取り合いになるという展開が今の日本では考えられないような?

peachredrum.hateblo.jp

十朱幸代さんのお父様である十朱久雄さんはこの前見たばかり。

 

愛知の労働基準監督署員の紅林(多々良純)が来て、送検はこちらですると言うが、署長が送検はこちらですると強く言う。

 

杉田は署内で持参の弁当を食べている。

 

正装した町の有力者たちが警察署を訪れ、通産大臣を案内するために消防車を動かす許可が欲しいと言ってきた。

 

通産大臣一行と左卜全さんら貸し切りバスが橋の上で向かい合い、バスが後ろに下がった。左卜全さんらは別の人に陳情してるのかな? 背景がよく分かってない。

 

掬水亭でシゲルは芸者さんたちにかわいがられていた。

 

吉井はたすき掛けをして家事をしている。奥さん出産したばかりで布団に横になってるからね。昔の映画見てると意外と家事とか男の人やってるよね? 昔も今も人によるってことか。

 

掬水亭に通産大臣到着。消防車たちも帰っていった。

 

飲み屋

入って来た客がいきなり女性の胸を触る。おえっ。この女性、盗みをして取り調べを受けていた女性か? いきなり10円くださいと入ってきた男が歌?を歌う。

 

掬水亭

通産大臣(稲葉義男)があいさつ。

 

飲み屋では岩太が自衛隊に入るという話をし、自衛隊に行くのは百姓の次男か三男だという話をしている。

 

掬水亭

芸者たちの芸。白虎隊の舞?

 

飲み屋

客同士が言い合いになり、男の一人は俺は役人だぞと言うと、もう一人がひるんだ。

 

店の外で走り出した消防車が電柱にぶつかってしまい、一帯が停電になってしまった。掬水亭も停電になってしまい、騒ぎになる。

 

掬水亭でも飲み屋でもろうそくで急場をしのぐ。役人はしつこく男に絡むので、飲み屋の女性は警察に電話した。

 

シゲルが泣いているところを吉井家を飛び出して町を歩いていたユキ子が気付く。

 

やがて明かりがついた。掬水亭の前にはユキ子が立っていて、ヒデが出てきた。ユキ子はシゲル会いたさに来たことが分かると、ヒデが下駄を脱がせて家に上げた。再会して泣き出した2人にヒデはユキ子もこの家にいなさいと言う。

 

警察署

役人だと威張っていた酔っ払い男が連れてこられた。相変わらず態度がでかい。翌朝、酔いがさめて平身低頭だった男はあの労働基準監督署の紅林で「あの件はそちらで」と慌てて帰っていった。署長たちは大笑い。

 

ユキ子、シゲルの母・シズ(坪内美子)が見つかった。亭主に死なれて家を追い出されたという。

 

セイが無銭飲食で再び捕まった。カレーライスを食べ、ラムネを飲んだという息子に母親はお茶を飲んだだけ。セイは引揚者で家出した夫は見つからない。夫の名前を聞いた倉持は留置場に連れて行った。盗みで捕まっていた夫・重四郎と再会。仕事がうまくいかず置き引きをした。赤沼主任に取り調べ受けてた人ね。

 

ユキ子やシゲルは掬水亭のヒデが自分の子供として育てると吉井が説明し、町一番の大きな家だと掬水亭前まで連れていき建物を見せた。私では子供たちは育てられないと泣きだすシズ。

 

警察署

署長のおごりでセイたち家族に天丼を食べさせた。そして署長がお金も渡した。

 

警察に戻ったシズは子供たちと死ぬつもりだったと話し、吉井や倉持に東京に戻ってお金を稼いで来い、子供たちとは顔を合わせない方がいいということになる。

 

掬水亭を訪れた吉井は子どもたちの顔が見たいと表玄関に連れてこさせた。ユキ子は洋服を着せられている。シゲルを抱っこし、ユキ子を連れて表へ出た。 

 

道路の向こうには警察のジープに乗ったシズがいた。ジープは何度か往来を行き来した。ユキ子もシゲルもジープを見ている。このジープを運転してるのが新人の宍戸錠さんか! すごく顔の濃いカッコいい人がいるなと思ってたんだよ。

 

警察署の花川宛に手紙が届いていた。

 

住所は福島県安積郡横宮町

横宮警察署あて

 

差出人は福島県安積郡猪苗代町字立野

二田アヤ

 

手紙の中身は千円の為替? 小切手?とモミジの葉っぱ。

 

自衛隊に行く岩太を村田老人が軍歌で送る。♪天に代わりて不義を討つ

日本陸軍

日本陸軍

  • provided courtesy of iTunes

ホームのベンチでうなだれるシズに吉井は服を持ってきた。花嫁姿の女性も汽車に乗り込む。汽車が走り出すと村田老人は万歳万歳と叫び続ける。ずっと戦争を生きてる人になっちゃったんだね。名物おじさんという感じで周りの人は笑っている。

 

汽車の中でおにぎりを食べる岩太。花嫁は金持ちじじいの家に行くのに浮かない顔。もしかしてこの花嫁ってアヤ? だから花川にお金を返せた? シズもうつろな顔。汽車を遠くで見送る花川が目をこすってるから、やっぱり…衣装がちょっと変わったりするともう誰が誰だか…になっちゃう(-_-;)

 

汽車が走っていく。(終)

 

貧困とか戦争とかいろんなものが詰まった映画で面白かった。二木てるみさん名演技。左卜全さんが演技してるところを初めて見たかも? 三島雅夫さんも豪快な署長で面白かったな。でも字幕…しつこい。